AdvancedCopy Managerは、スナップショットバックアップ、差分コピーの両方をサポートしています。また、高トランザクション環境において、障害直前のデータ再現が可能なデータベースに対し、ポイントインタイムリカバリーを実施することも可能です。これらの機能は、システムの停止時間とサーバのI/O負荷を最小限に抑えることができます。
OPC
OPCは、ボリューム全体をコピーします。
OPCを実行すると、ストレージ装置は、コピー元ボリュームのポイントインタイムスナップショットを作成し、コピーの完了通知を返します。そのあと、物理的なコピー作業が開始されます。このため、コピー元ボリュームへのアクセスがほとんど中断されることなく、バックグラウンドでストレージ装置のハードウェアレベルのコピー処理が実行されます。
OPCは、以下の場合に使用できます。
業務継続が重要なインターネットビジネスアプリケーションなどの世代バックアップの作成
バックアップボリュームからのデータ復旧
アーカイブを目的としたデータ管理
OPCの処理の流れを以下の図に示します。
図A.1 OPCの処理の流れ
QuickOPC
QuickOPCを使用して差分コピーを行うには初期コピーが必要です。
QuickOPCを実行すると、初期コピーが存在しているか確認します。初期コピーが存在する場合は、特定のQuickOPCセッションに対して、バックアップボリュームに作成された初期コピー時からトラッキングされているデータのうち、更新されたブロックだけをコピーします。
初期コピーが存在しない場合は、OPCを使用して初期コピーを作成します。QuickOPCで使用されている差分コピーは、ポイントインタイムのスナップショットを作成する際に必要な物理コピーの時間を削減し、ストレージシステムのホストサーバにおけるI/O負荷を最小限に抑えます。
QuickOPCは、以下の場合に効果的に使用できます。
稼働率が重要な環境である場合のディスクへのバックアップ
復旧ポイントやバックアップの頻繁な作成
QuickOPCの処理の流れを以下の図に示します。
図A.2 QuickOPCの処理の流れ
SnapOPC
SnapOPCは、コピー・オン・ライト処理を利用し、更新される前の状態のコピー元ボリュームを作成します。SnapOPCを利用できるのはレプリケーション管理機能だけです。
コピー元ボリュームに変更がある場合、コピー元ボリュームの元データは、コピー先ボリュームにコピーされます。そのあと、変更されたデータは、コピー元ボリュームに適用されます。このようなバックアップコピー技術を“コピー・オン・ライト”と呼びます。
コピー先ボリュームは、コピー元ボリュームで修正または更新された元データだけを保存します。
コピー先ボリュームのサイズは、コピー元ボリュームの更新率に比例しており、ユーティリティーを用いて正確なサイズを見積ります。コピー元ボリュームが頻繁に更新されない場合は、比較的小さなコピー先ボリュームで済みます。
コピー先ボリュームの物理サイズが小さくても、コピー先ボリュームの論理サイズ(OSが認識するサイズ)は、実質的にはコピー元ボリュームと同じになります。AdvancedCopy Managerは、コピー先ボリュームにコピーされた元データと、コピー元ボリュームの変更されてないデータを組み合わせることによって、コピー先ボリュームの論理ビューを形成しています。
SnapOPCは、コピー元ボリュームのアクセス性能に影響します。また、コピー元ボリューム内でデータが失われると、コピーされたデータを使用できなくなるため、SnapOPCは、使用用途によって適さない場合があります。
SnapOPCは、以下の場合に使用できます。
テープなど、ほかの媒体にカスケードコピーする場合に使用する一時ファイル
ファイルサーバや、更新率が低い“その他のデータ”のバックアップ
SnapOPCの処理の流れを以下の図に示します。
図A.3 SnapOPCの処理の流れ
SnapOPC+
SnapOPC+は、SnapOPCと同様、コピー・オン・ライト処理を利用し、更新前の状態のコピー元ボリュームを作成します。SnapOPC+を利用できるのは、レプリケーション管理機能およびAdvancedCopy Manager Copy Control Moduleです。
SnapOPC+では、コピー元ボリュームの更新前データを、スナップ世代単位(複製ボリュームを作成した単位)で保存できます。また、新しい複製先ボリュームだけにコピーを行うため、SnapOPCに比べて、コピー元ボリュームへのアクセス負荷やコピー先ボリュームの物理容量の消費を軽減できます。
SnapOPC+は、その仕組みや特性上、オペレーションミスやソフトウェアエラーといった、ソフト障害からの回復に備えたバックアップとして利用されることを想定しています。コピー元ボリュームがハード故障によってアクセス不可能な状態になった場合、当該コピーセッションはエラーとなり、コピー先ボリュームも正しくデータを読むことができません。このような致命的なハード障害に備えるには、OPC、QuickOPC、EC、またはRECをSnapOPC+と併用して、全データをコピーすることを推奨します。
SnapOPC+は、以下の場合に使用できます。
テープなど、ほかの媒体にカスケードコピーする場合に使用する一時ファイル
ファイルサーバや、更新率が低い“その他のデータ”のバックアップ
SnapOPC+の処理の流れを以下の図に示します。
図A.4 SnapOPC+の処理の流れ