GFS 共用ファイルシステムは、sfcmkfs(8) により作成します。対象ファイルシステムの共用ノード範囲のいずれかのノードで行います。
参照
sfcmkfs(8) の詳細については、本書の sfcmkfs(8) を参照してください。
“第4章 ファイルシステム設計”で述べたように、事前に決定したファイルシステムの運用に沿ってパラメタの値を指定します。
以下に sfcmkfs(8) で使用するデフォルトのパラメタを示します。
パラメタ | デフォルト値 |
---|---|
8192バイト固定 | |
ファイルデータ領域の 10% | |
8192バイトのディスク領域に 1個 | |
ファイルシステムサイズの約 1% | |
ファイルシステムサイズの約 10% |
注意
メタデータ領域サイズを指定しない場合、ファイルシステムサイズが大きくなるほど、メタデータ領域の使用割合は少なくなります。
GFS 共用ファイルシステムの代表的なファイルシステムの作成例を以下に示します。
シングルパーティション構成
GFS 共用ファイルシステムの作成は、ファイルシステムを作成するパーティションを指定します。この場合、代表パーティションには、メタデータ領域、アップデートログ領域、ファイルデータ領域のすべての種類を作成します。
以下に、sfcmkfs(8) によるファイルシステムの作成例を示します。
# sfcmkfs -o node=mikan,karin /dev/sfdsk/gfs01/dsk/volume01 <Enter> 代表パーティション (メタデータ、ログ、データ) : /dev/sfdsk/gfs01/dsk/volume01 共用するホスト : mikan, karin プライマリMDS : mikan セカンダリMDS : karin |
図11.8 シングルパーティション構成
マルチパーティション構成(複数ファイルデータパーティション構成)
ファイルデータ領域のマルチパーティション指定をするためには、代表パーティションと、ファイルデータパーティションの指定が必要です。この場合、代表パーティションには、メタデータ領域、アップデートログ領域、ファイルデータ領域が作成されます。
以下に、sfcmkfs(8) による複数ファイルデータパーティションを指定したファイルシステムの作成例を示します。
# sfcmkfs -o data=/dev/sfdsk/gfs01/dsk/volume02,data=/dev/sfdsk/gfs01/dsk/volume03,node=mikan,karin /dev/sfdsk/gfs01/dsk/volume01 <Enter> 代表パーティション (メタデータ、ログ、データ) : /dev/sfdsk/gfs01/dsk/volume01 ファイルデータパーティション: /dev/sfdsk/gfs01/dsk/volume02, /dev/sfdsk/gfs01/dsk/volume03 共用するホスト: mikan,karin プライマリMDS: mikan セカンダリMDS: karin |
図11.9 複数ファイルデータパーティション構成
ファイルデータ領域のマルチパーティション指定を行う場合に、-o dataopt=y オプションの指定により、代表パーティションにファイルデータ領域を含めない構成をとることができます。
以下に、sfcmkfs(8) による複数ファイルデータパーティション、かつ代表パーティションにファイルデータ領域を含めないファイルシステムの作成例を示します。
# sfcmkfs -o dataopt=y,data=/dev/sfdsk/gfs01/dsk/volume02,data=/dev/sfdsk/gfs01/dsk/volume03,node=mikan,karin /dev/sfdsk/gfs01/dsk/volume01 <Enter> 代表パーティション (メタデータ、ログ) : /dev/sfdsk/gfs01/dsk/volume01 ファイルデータパーティション: /dev/sfdsk/gfs01/dsk/volume02, /dev/sfdsk/gfs01/dsk/volume03 共用するホスト: mikan, karin プライマリMDS: mikan セカンダリMDS: karin |
図11.10 ファイルデータ領域の分離構成
GFS 共用ファイルシステムを作成する sfcmkfs(8) では、ファイルシステムをカスタマイズするパラメタを用意しています。以下に、代表的なパラメタについて説明します。
アップデートログ領域サイズ (-o logsz=n)
アップデートログ領域のサイズを指定します。指定できる値は、最小値が 5 メガバイトで最大値が 100 メガバイトです。省略時は、ファイルシステムサイズの約 1% をアップデートログ領域サイズとします。ただし、ファイルシステムサイズの 1% の値が 5 メガバイト未満の場合は 5 メガバイトに、50 メガバイトを超える場合は 50 メガバイトに設定します。
メタデータ領域サイズ (-o metasz=n)
メタデータ領域サイズを指定します。省略時は、ファイルシステムサイズの約 10% の値になりますが、ファイルシステムサイズが大きくなるほど、メタデータ領域の使用割合は少なくなります。
指定できる値の最小値は、省略値と同じです。最大値は、最大 1メガ個の Vデータを管理するために最低限必要なサイズです。(作成済みのファイルシステムの Vデータの総数は sfcdf(8) で確認できます。) ただし、代表パーティションのサイズより大きな値を指定することはできません。
GFS 共用ファイルシステムにファイルデータパーティションを追加して拡張する場合の、ファイルデータ領域の合計の最大値を指定します。ここで指定したサイズを超えてファイルデータパーティションを追加してしまうと、領域管理情報が不足することがあります。領域管理情報の不足が発生すると、ファイルデータ領域の空き領域の一部を使用できなくなることがあります。ファイルデータパーティションの追加は、sfcadd(8) により可能です。
指定できる値の最大値は、1048576 メガバイト (1 テラバイト) です。
GFS 共用ファイルシステムを構成するパーティションを、追加する場合の最大構成パーティション数を指定します。GFS 共用ファイルシステムを構成するパーティションには、代表パーティション、ファイルデータパーティションがあり、それらすべての合計となります。省略時の値は、16 となります。指定できる値の最小値は 1 で最大値が 32 です。
可用性向上のため、MDS 運用情報を指定する場合の GFS 共用ファイルシステムの代表的なファイルシステムの作成例を示します。
MDS の配置優先度の設定
プライマリ MDS とセカンダリ MDS の配置優先順位は、sfcmkfs(8) の -o node オプションで共用ホスト名を指定することで決定されます。指定した共用ホスト名の順番にプライマリ MDS,セカンダリ MDS の候補となります。そしてファイルシステム運用開始時の、実際の共用ノードの運用状況によって最終的にプライマリ MDS が決定されます。
以下に、プライマリ MDS の候補を mikan そしてセカンダリ MDS の候補を karin として配置する場合の sfcmkfs(8) によるファイルシステムの作成例を示します。
# sfcmkfs -o node=mikan,karin /dev/sfdsk/gfs01/dsk/volume01 <Enter> 代表パーティション (メタデータ、ログ、データ) : /dev/sfdsk/gfs01/dsk/volume01 共用するホスト: mikan, karin プライマリMDS: mikan セカンダリMDS: karin |