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PRIMECLUSTER Global Link Services 説明書 4.7 (伝送路二重化機能編)

3.3.3 仮想NIC方式

構成情報を追加する手順を以下に示します。

  1. 仮想インタフェース情報の設定をhanetconfig createコマンドで行います。詳細は“7.1 hanetconfigコマンド”を参照してください。

  2. 仮想インタフェースのインタフェース設定ファイルを編集し、IPアドレスやネットマスク等を設定します。

    なお、仮想インタフェースのインタフェース設定ファイルはhanetconfig createコマンドにて仮想インタフェースを設定した際に作成されます。

  3. 監視先情報の設定をhanetpathmon targetコマンドで行います。詳細は“7.12 hanetpathmonコマンド”を参照してください。

  4. 仮想インタフェース上にタグVLANインタフェースを設定する場合は、/etc/NetworkManager/NetworkManager.confにタグVLANインタフェース名を記述します。

    その後、systemctl reload NetworkManager.serviceを実行してください。

仮想インタフェースの設定
RHEL8の場合

仮想インタフェースの設定(/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-shaXファイル)の記述内容を、“表3.11 仮想インタフェースの設定項目(RHEL8)”、“表3.12 仮想インタフェース上に設定するタグVLANインタフェースの設定項目(RHEL8)”に示します。

表3.11 仮想インタフェースの設定項目(RHEL8)

項目

値(設定例)

説明

DEVICE

ethX

デバイスの名前を設定します。“ethX”を設定します。

IPADDR

192.168.1.1

IPv4アドレスを設定します。

IPADDR1

192.168.1.2

複数のIPv4アドレスを使用する場合に設定します。

IPADDR1は2つ目のIPアドレスです。さらに設定する場合は、IPADDR2、IPADDR3のように設定します。

PREFIX

24

IPv4アドレスに対するプレフィックスを設定します。

PREFIX1

24

複数のIPv4アドレスに対するプレフィックスを使用する場合に設定します。
PREFIX1はIPADDR1に対するプレフィックスです。さらに設定する場合は、PREFIX2、PREFIX3のように設定します。

BOOTPROTO

none

IPアドレスを取得する際のプロトコルを指定します。“none”または“static”を設定します。

ONBOOT

yes

OS起動時に仮想インタフェースを起動するかを選択します。“yes”を設定します。
なお、仮想インタフェースをクラスタリソースに登録した場合は、本設定の有無に関わらず起動します。

TYPE

Ethernet

デバイスタイプを設定します。“Ethernet”を設定します。

GATEWAY

192.168.1.254

デフォルトゲートウェイを設定する場合に、IPアドレスを設定します。

IPV6INIT

yes

IPv6アドレスを割り当てる場合に、“yes”を設定します。

IPV6_AUTOCONF

yesまたはno

IPv6アドレスの自動構成をする場合に“yes”を設定します。
自動構成をしない場合は“no”を設定します。

IPV6ADDR

fec0:1::1/64

IPv6アドレスを設定します。

IPV6ADDR_SECONDARIES

fec0:1::2/64

複数のIPv6アドレスを使用する場合に設定します。
IPv6アドレスを2つ以上使用する場合は、以下のように設定します。
IPV6ADDR_SECONDARIES="fec0:1::2/64 fec0:1::3/64"

IPV6_DEFAULTGW

fec0:1::3

IPv6のデフォルトゲートウェイを設定する場合に、IPv6アドレスを設定します。

BRIDGE

br0

仮想インタフェースに接続する仮想ブリッジ名を設定します。

MTU

9000

MTU長を設定します。
MTU長を設定する場合は、プライマリインタフェースおよびセカンダリインタフェースの設定ファイル(ifcfg-ethX)と、仮想インタフェースの設定ファイル(ifcfg-shaX)に、同じ値を設定してください。

SHAMACADDR

XX:XX:XX:XX:XX:XX

MACアドレスを設定します。

  • MACアドレスを指定した場合
    指定したアドレスが設定されます。

  • “auto”を指定した場合
    ローカルアドレスが自動作成されます。

/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-sha0 の記述例

[IPv4の場合]

DEVICE=sha0
IPADDR=192.168.1.1
PREFIX=24
BOOTPROTO=none
ONBOOT=yes
TYPE=Ethernet

[IPv6の場合]

DEVICE=sha0
IPV6INIT=yes
IPV6ADDR=fec0:1::1/64
BOOTPROTO=none
ONBOOT=yes
TYPE=Ethernet

[DualStackの場合]

DEVICE=sha0
IPADDR=192.168.1.1
PREFIX=24
IPV6INIT=yes
IPV6ADDR=fec0:1::1/64
BOOTPROTO=none
ONBOOT=yes
TYPE=Ethernet

[MACアドレスに自動作成ローカルアドレスを使用、かつ、IPv4の場合]

DEVICE=sha0
IPADDR=192.168.1.1
PREFIX=24
BOOTPROTO=none
ONBOOT=yes
TYPE=Ethernet
SHAMACADDR=auto

仮想インタフェース(shaX)上にVLAN-IDがYのタグVLANインタフェース(shaX.Y)を設定する場合は、タグVLANインタフェース用の設定ファイル(/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-shaX.Y)を以下のように記述します。指定可能なVLAN-IDの有効範囲は、1~4094までです。

表3.12 仮想インタフェース上に設定するタグVLANインタフェースの設定項目(RHEL8)

項目

値(設定例)

説明

VLAN

yes

VLANを使用する場合に設定します。“yes”を設定します。

TYPE

Vlan

デバイスタイプを設定します。“Vlan”を設定します。

PHYSDEV

sha0

VLANを付与するインタフェースを設定します。
GLSの仮想インタフェースを設定します。

VLAN_ID

2

VLAN_IDを設定します。

IPADDR

192.168.1.1

IPv4アドレスを設定します。

IPADDR1

192.168.1.2

複数のIPv4アドレスを使用する場合に設定します。
IPADDR1は2つ目のIPアドレスです。さらに設定する場合は、IPADDR2、IPADDR3のように設定します。

PREFIX

24

プレフィックスを設定します。

PREFIX1

24

複数のIPv4アドレスに対するプレフィックスを使用する場合に設定します。
PREFIX1はIPADDR1に対するプレフィックスです。さらに設定する場合は、PREFIX2、PREFIX3のように設定します。

BOOTPROTO

none

IPアドレスを取得する際のプロトコルを指定します。“none”または“static”を設定します。

IPV6INIT

yes

IPv6アドレスを割り当てる場合に、“yes”を設定します。

IPV6_AUTOCONF

yesまたはno

IPv6アドレスの自動構成をする場合に“yes”を設定します。
自動構成をしない場合は“no”を設定します。

IPV6ADDR

fec0:1::1/64

IPv6アドレスを設定します。

IPV6ADDR_SECONDARIES

fec0:1::2/64

複数のIPv6アドレスを使用する場合に設定します。
IPv6アドレスを2つ以上使用する場合は、以下のように設定します。
IPV6ADDR_SECONDARIES="fec0:1::2/64 fec0:1::3/64"

/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-sha0.2 の記述例

[IPv4の場合]

VLAN=yes
TYPE=Vlan
PHYSDEV=sha0
VLAN_ID=2
IPADDR=192.168.100.1
PREFIX=24
BOOTPROTO=none

[IPv6の場合]

VLAN=yes
TYPE=Vlan
PHYSDEV=sha0
VLAN_ID=2
IPV6INIT=yes
IPV6ADDR=fec0:100::1/64
BOOTPROTO=none

[DualStackの場合]

VLAN=yes
TYPE=Vlan
PHYSDEV=sha0
VLAN_ID=2
IPADDR=192.168.100.1
PREFIX=24
IPV6INIT=yes
IPV6ADDR=fec0:100::1/64
BOOTPROTO=none

/etc/NetworkManager/NetworkManager.confにタグVLANインタフェース名を記述します。

/etc/NetworkManager/NetworkManager.confの記述例

[main]
…
ignore-carrier=sha0.1, sha0.2, sha0.3
RHEL9の場合

nmcli connection modifyコマンドで、仮想インタフェース(shaX)の設定を編集してください。設定項目について、 “表3.13 仮想インタフェースの設定項目(RHEL9)”、“表3.14 仮想インタフェース上に設定するタグVLANインタフェースの設定項目(REHL9)”に示します。

表3.13 仮想インタフェースの設定項目(RHEL9)

項目

値(設定例)

説明

connection.id
connection.interface-name

shaX

デバイスの名前を設定します。”shaX”を設定します。

connection.autoconnect

yes

OS起動時に仮想インタフェースを起動するかを選択します。“yes”を設定します。
なお、仮想インタフェースをクラスタリソースに登録した場合は、本設定の有無に関わらず起動します。

connection.type

802-3-ethernet

デバイスタイプを設定します。”802-3-ethernet”を設定します。

connection.master

br0

仮想インタフェースに接続する仮想ブリッジ名を設定します。

connection.slave-type

bridge

仮想インタフェースに仮想ブリッジを接続する場合に”bridge”を設定します。

802-3-ethernet.mtu

9000

MTU長を設定します。
MTU長を設定する場合は、プライマリインタフェース、セカンダリインタフェース、および仮想インタフェースに同じ値を設定してください。

ipv4.method

manual

IPアドレスを取得する際のプロトコルを指定します。”manual”または”disabled”を設定します。

ipv4.addresses

192.168.1.1/24, 192.168.1.2/24

IPv4アドレスとそれに対するプレフィックスを設定します。必要に応じて、複数のIPv4アドレスを設定します。

ipv4.gateway

192.168.1.254

デフォルトゲートウェイを設定する場合に、IPアドレスを設定します。

ipv6.method

manual

IPv6アドレスを取得する際のプロトコルを指定します。”manual”または”disabled”を設定します。

ipv6.addresses

fec0:1::1/64, fec0:1::2/64

IPv6アドレスとそれに対するプレフィックスを設定します。必要に応じて、複数のIPv6アドレスを設定します。

ipv6.gateway

fec0:1::3

デフォルトゲートウェイを設定する場合に、IPv6アドレスを設定します。

仮想インタフェース(shaX)上にVLAN-IDがYのタグVLANインタフェースを設定する場合は、nmcliコマンドでタグVLANインタフェース(shaX.Y)を作成してください。指定可能なVLAN-IDの有効範囲は、1~4094までです。

表3.14 仮想インタフェース上に設定するタグVLANインタフェースの設定項目(REHL9)

項目

値(設定例)

説明

connection.interface-name

sha0.2

デバイスの名前を設定します。”shaX.Y”を設定します。

connection.autoconnect

yes

OS起動時に仮想インタフェースを起動するかを選択します。“yes”を設定します。

connection.type

vlan

デバイスタイプを設定します。”vlan”を設定します。

vlan.parent

sha0

VLANを付与するインタフェースを設定します。GLSの仮想インタフェースを設定します。

vlan.id

2

VLAN IDを設定します。”Y”を設定します。

ipv4.method

manual

IPアドレスを取得する際のプロトコルを指定します。”manual”または”disabled”を設定します。

ipv4.addresses

192.168.1.1/24, 192.168.1.2/24

IPv4アドレスとそれに対するプレフィックスを設定します。必要に応じて、複数のIPv4アドレスを設定します。

ipv6.method

manual

IPv6アドレスを取得する際のプロトコルを指定します。”manual”または”disabled”を設定します。

ipv6.addresses

fec0:1::1/64, fec0:1::2/64

IPv6アドレスとそれに対するプレフィックスを設定します。必要に応じて、複数のIPv6アドレスを設定します。

/etc/NetworkManager/NetworkManager.confにタグVLANインタフェース名を記述します。

/etc/NetworkManager/NetworkManager.confの記述例

[main]
…
ignore-carrier=sha0.1, sha0.2, sha0.3

注意

  • 仮想NIC方式では、物理インタフェースを他の仮想インタフェースと共有することはできません。

  • 仮想NIC方式では、IPアドレスとネットマスクの設定は、OS標準のインタフェースと同様に、インタフェースの設定ファイル(/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-shaX)に記述します。hanetmaskコマンドによるサブネットマスクの設定は、hanethvrscコマンドでクラスタ引継ぎIPアドレスを設定する場合にのみ必要です。

  • 仮想NIC方式でタグVLAN通信を行う場合は、仮想インタフェース上にタグVLANインタフェースを生成します。生成手順はOS標準のタグVLANインタフェースと同様です。

  • 仮想インタフェースのインタフェース設定ファイル(/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-shaX)に対して、ファイル名の変更や削除をしないでください。ファイル名の変更や削除をした場合、hanetbackupコマンドで環境定義ファイルを退避するときに、インタフェース設定ファイルがバックアップ対象から除外されます。

  • 仮想インタフェースのインタフェース設定ファイル(/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-shaX)、およびタグVLANインタフェース用の設定ファイル(/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-shaX.Y)は、vi等のエディタで直接編集してください。OSのGUI等が提供するネットワーク設定機能では設定できません。

  • VMware、またはHyper-VのゲストOSで仮想NIC方式を使用する場合、SHAMACADDRに、MACアドレスまたは“auto”を指定してください。

  • VMwareの仮想スイッチにおいて、[セキュリティ]配下の[無差別モード]に[承諾]を設定してください。

  • VMwareのゲストOSで仮想NIC方式を使用する場合、タグVLANインタフェースは使用できません。タグVLAN通信を行う場合、VMwareのポートグループにVLAN IDを設定してください。

  • Hyper-VのゲストOSで仮想NIC方式を使用する場合、Hyper-VマネージャーでGLSが束ねるネットワークアダプターを作成する際に、[MACアドレスのスプーフィングを有効にする]にチェックを入れてください。

  • Hyper-VのゲストOSで仮想NIC方式を使用する場合、タグVLANインタフェースは使用できません。タグVLAN通信を行う場合、ゲストOSのネットワークアダプターの設定でVLAN IDを指定してください。

  • SHAMACADDRによる指定は、仮想インタフェースにのみ適用されます。物理インタフェースには適用されません。

  • OS標準のMACADDRは、使用しないでください。

  • タグVLANインタフェース用設定ファイル(ifcfg-shaX.Y)に、SHAMACADDRは使用できません。

  • RHEL9の場合は、SHAMACADDRの指定にはhanetconfigコマンドを使用します。詳細は“7.1 hanetconfigコマンド”を参照してください。

  • RHEL9の場合は、仮想インタフェースのインタフェース設定ファイル(/etc/NetworkManager/system-connections/shaX.nmconnection)は直接編集しないでください。設定の編集にはnmcliコマンドを使用してください。

  • /etc/NetworkManager/NetworkManager.confの設定は、タグVLANインタフェースに対するNetworkManagerの処理を抑制し、GLSで管理するために必要です。必ず設定してください。なお、RHEL7では不要です。

  • MTU長を変更する場合は、必ず1280以上を設定してください。

  • hanethvrscコマンドを使用して引継ぎIPアドレスを設定する際、ホスト名に"shaX-NN"の形式の名前を使用することはできません。(例:sha0-65)