構成情報を追加する手順を以下に示します。
仮想インタフェース情報の設定をhanetconfig createコマンドで行います。詳細は“7.1 hanetconfigコマンド”を参照してください。
仮想インタフェースのインタフェース設定ファイルを編集し、IPアドレスやネットマスク等を設定します。
なお、仮想インタフェースのインタフェース設定ファイルはhanetconfig createコマンドにて仮想インタフェースを設定した際に作成されます。
監視先情報の設定をhanetpathmon targetコマンドで行います。詳細は“7.12 hanetpathmonコマンド”を参照してください。
仮想インタフェース上にタグVLANインタフェースを設定する場合は、/etc/NetworkManager/NetworkManager.confにタグVLANインタフェース名を記述します。
その後、systemctl reload NetworkManager.serviceを実行してください。
仮想インタフェースの設定(/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-shaXファイル)の記述内容を、“表3.11 仮想インタフェースの設定項目(RHEL8)”、“表3.12 仮想インタフェース上に設定するタグVLANインタフェースの設定項目(RHEL8)”に示します。
項目 | 値(設定例) | 説明 |
---|---|---|
DEVICE | ethX | デバイスの名前を設定します。“ethX”を設定します。 |
IPADDR | 192.168.1.1 | IPv4アドレスを設定します。 |
IPADDR1 | 192.168.1.2 | 複数のIPv4アドレスを使用する場合に設定します。 IPADDR1は2つ目のIPアドレスです。さらに設定する場合は、IPADDR2、IPADDR3のように設定します。 |
PREFIX | 24 | IPv4アドレスに対するプレフィックスを設定します。 |
PREFIX1 | 24 | 複数のIPv4アドレスに対するプレフィックスを使用する場合に設定します。 |
BOOTPROTO | none | IPアドレスを取得する際のプロトコルを指定します。“none”または“static”を設定します。 |
ONBOOT | yes | OS起動時に仮想インタフェースを起動するかを選択します。“yes”を設定します。 |
TYPE | Ethernet | デバイスタイプを設定します。“Ethernet”を設定します。 |
GATEWAY | 192.168.1.254 | デフォルトゲートウェイを設定する場合に、IPアドレスを設定します。 |
IPV6INIT | yes | IPv6アドレスを割り当てる場合に、“yes”を設定します。 |
IPV6_AUTOCONF | yesまたはno | IPv6アドレスの自動構成をする場合に“yes”を設定します。 |
IPV6ADDR | fec0:1::1/64 | IPv6アドレスを設定します。 |
IPV6ADDR_SECONDARIES | fec0:1::2/64 | 複数のIPv6アドレスを使用する場合に設定します。 |
IPV6_DEFAULTGW | fec0:1::3 | IPv6のデフォルトゲートウェイを設定する場合に、IPv6アドレスを設定します。 |
BRIDGE | br0 | 仮想インタフェースに接続する仮想ブリッジ名を設定します。 |
MTU | 9000 | MTU長を設定します。 |
SHAMACADDR | XX:XX:XX:XX:XX:XX | MACアドレスを設定します。
|
/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-sha0 の記述例
[IPv4の場合]
DEVICE=sha0 IPADDR=192.168.1.1 PREFIX=24 BOOTPROTO=none ONBOOT=yes TYPE=Ethernet |
[IPv6の場合]
DEVICE=sha0 IPV6INIT=yes IPV6ADDR=fec0:1::1/64 BOOTPROTO=none ONBOOT=yes TYPE=Ethernet |
[DualStackの場合]
DEVICE=sha0 IPADDR=192.168.1.1 PREFIX=24 IPV6INIT=yes IPV6ADDR=fec0:1::1/64 BOOTPROTO=none ONBOOT=yes TYPE=Ethernet |
[MACアドレスに自動作成ローカルアドレスを使用、かつ、IPv4の場合]
DEVICE=sha0 IPADDR=192.168.1.1 PREFIX=24 BOOTPROTO=none ONBOOT=yes TYPE=Ethernet SHAMACADDR=auto |
仮想インタフェース(shaX)上にVLAN-IDがYのタグVLANインタフェース(shaX.Y)を設定する場合は、タグVLANインタフェース用の設定ファイル(/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-shaX.Y)を以下のように記述します。指定可能なVLAN-IDの有効範囲は、1~4094までです。
項目 | 値(設定例) | 説明 |
---|---|---|
VLAN | yes | VLANを使用する場合に設定します。“yes”を設定します。 |
TYPE | Vlan | デバイスタイプを設定します。“Vlan”を設定します。 |
PHYSDEV | sha0 | VLANを付与するインタフェースを設定します。 |
VLAN_ID | 2 | VLAN_IDを設定します。 |
IPADDR | 192.168.1.1 | IPv4アドレスを設定します。 |
IPADDR1 | 192.168.1.2 | 複数のIPv4アドレスを使用する場合に設定します。 |
PREFIX | 24 | プレフィックスを設定します。 |
PREFIX1 | 24 | 複数のIPv4アドレスに対するプレフィックスを使用する場合に設定します。 |
BOOTPROTO | none | IPアドレスを取得する際のプロトコルを指定します。“none”または“static”を設定します。 |
IPV6INIT | yes | IPv6アドレスを割り当てる場合に、“yes”を設定します。 |
IPV6_AUTOCONF | yesまたはno | IPv6アドレスの自動構成をする場合に“yes”を設定します。 |
IPV6ADDR | fec0:1::1/64 | IPv6アドレスを設定します。 |
IPV6ADDR_SECONDARIES | fec0:1::2/64 | 複数のIPv6アドレスを使用する場合に設定します。 |
/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-sha0.2 の記述例
[IPv4の場合]
VLAN=yes TYPE=Vlan PHYSDEV=sha0 VLAN_ID=2 IPADDR=192.168.100.1 PREFIX=24 BOOTPROTO=none |
[IPv6の場合]
VLAN=yes TYPE=Vlan PHYSDEV=sha0 VLAN_ID=2 IPV6INIT=yes IPV6ADDR=fec0:100::1/64 BOOTPROTO=none |
[DualStackの場合]
VLAN=yes TYPE=Vlan PHYSDEV=sha0 VLAN_ID=2 IPADDR=192.168.100.1 PREFIX=24 IPV6INIT=yes IPV6ADDR=fec0:100::1/64 BOOTPROTO=none |
/etc/NetworkManager/NetworkManager.confにタグVLANインタフェース名を記述します。
/etc/NetworkManager/NetworkManager.confの記述例
[main] … ignore-carrier=sha0.1, sha0.2, sha0.3 |
nmcli connection modifyコマンドで、仮想インタフェース(shaX)の設定を編集してください。設定項目について、 “表3.13 仮想インタフェースの設定項目(RHEL9)”、“表3.14 仮想インタフェース上に設定するタグVLANインタフェースの設定項目(REHL9)”に示します。
項目 | 値(設定例) | 説明 |
---|---|---|
connection.id | shaX | デバイスの名前を設定します。”shaX”を設定します。 |
connection.autoconnect | yes | OS起動時に仮想インタフェースを起動するかを選択します。“yes”を設定します。 |
connection.type | 802-3-ethernet | デバイスタイプを設定します。”802-3-ethernet”を設定します。 |
connection.master | br0 | 仮想インタフェースに接続する仮想ブリッジ名を設定します。 |
connection.slave-type | bridge | 仮想インタフェースに仮想ブリッジを接続する場合に”bridge”を設定します。 |
802-3-ethernet.mtu | 9000 | MTU長を設定します。 |
ipv4.method | manual | IPアドレスを取得する際のプロトコルを指定します。”manual”または”disabled”を設定します。 |
ipv4.addresses | 192.168.1.1/24, 192.168.1.2/24 | IPv4アドレスとそれに対するプレフィックスを設定します。必要に応じて、複数のIPv4アドレスを設定します。 |
ipv4.gateway | 192.168.1.254 | デフォルトゲートウェイを設定する場合に、IPアドレスを設定します。 |
ipv6.method | manual | IPv6アドレスを取得する際のプロトコルを指定します。”manual”または”disabled”を設定します。 |
ipv6.addresses | fec0:1::1/64, fec0:1::2/64 | IPv6アドレスとそれに対するプレフィックスを設定します。必要に応じて、複数のIPv6アドレスを設定します。 |
ipv6.gateway | fec0:1::3 | デフォルトゲートウェイを設定する場合に、IPv6アドレスを設定します。 |
仮想インタフェース(shaX)上にVLAN-IDがYのタグVLANインタフェースを設定する場合は、nmcliコマンドでタグVLANインタフェース(shaX.Y)を作成してください。指定可能なVLAN-IDの有効範囲は、1~4094までです。
項目 | 値(設定例) | 説明 |
---|---|---|
connection.interface-name | sha0.2 | デバイスの名前を設定します。”shaX.Y”を設定します。 |
connection.autoconnect | yes | OS起動時に仮想インタフェースを起動するかを選択します。“yes”を設定します。 |
connection.type | vlan | デバイスタイプを設定します。”vlan”を設定します。 |
vlan.parent | sha0 | VLANを付与するインタフェースを設定します。GLSの仮想インタフェースを設定します。 |
vlan.id | 2 | VLAN IDを設定します。”Y”を設定します。 |
ipv4.method | manual | IPアドレスを取得する際のプロトコルを指定します。”manual”または”disabled”を設定します。 |
ipv4.addresses | 192.168.1.1/24, 192.168.1.2/24 | IPv4アドレスとそれに対するプレフィックスを設定します。必要に応じて、複数のIPv4アドレスを設定します。 |
ipv6.method | manual | IPv6アドレスを取得する際のプロトコルを指定します。”manual”または”disabled”を設定します。 |
ipv6.addresses | fec0:1::1/64, fec0:1::2/64 | IPv6アドレスとそれに対するプレフィックスを設定します。必要に応じて、複数のIPv6アドレスを設定します。 |
/etc/NetworkManager/NetworkManager.confにタグVLANインタフェース名を記述します。
/etc/NetworkManager/NetworkManager.confの記述例
[main] … ignore-carrier=sha0.1, sha0.2, sha0.3 |
注意
仮想NIC方式では、物理インタフェースを他の仮想インタフェースと共有することはできません。
仮想NIC方式では、IPアドレスとネットマスクの設定は、OS標準のインタフェースと同様に、インタフェースの設定ファイル(/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-shaX)に記述します。hanetmaskコマンドによるサブネットマスクの設定は、hanethvrscコマンドでクラスタ引継ぎIPアドレスを設定する場合にのみ必要です。
仮想NIC方式でタグVLAN通信を行う場合は、仮想インタフェース上にタグVLANインタフェースを生成します。生成手順はOS標準のタグVLANインタフェースと同様です。
仮想インタフェースのインタフェース設定ファイル(/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-shaX)に対して、ファイル名の変更や削除をしないでください。ファイル名の変更や削除をした場合、hanetbackupコマンドで環境定義ファイルを退避するときに、インタフェース設定ファイルがバックアップ対象から除外されます。
仮想インタフェースのインタフェース設定ファイル(/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-shaX)、およびタグVLANインタフェース用の設定ファイル(/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-shaX.Y)は、vi等のエディタで直接編集してください。OSのGUI等が提供するネットワーク設定機能では設定できません。
VMware、またはHyper-VのゲストOSで仮想NIC方式を使用する場合、SHAMACADDRに、MACアドレスまたは“auto”を指定してください。
VMwareの仮想スイッチにおいて、[セキュリティ]配下の[無差別モード]に[承諾]を設定してください。
VMwareのゲストOSで仮想NIC方式を使用する場合、タグVLANインタフェースは使用できません。タグVLAN通信を行う場合、VMwareのポートグループにVLAN IDを設定してください。
Hyper-VのゲストOSで仮想NIC方式を使用する場合、Hyper-VマネージャーでGLSが束ねるネットワークアダプターを作成する際に、[MACアドレスのスプーフィングを有効にする]にチェックを入れてください。
Hyper-VのゲストOSで仮想NIC方式を使用する場合、タグVLANインタフェースは使用できません。タグVLAN通信を行う場合、ゲストOSのネットワークアダプターの設定でVLAN IDを指定してください。
SHAMACADDRによる指定は、仮想インタフェースにのみ適用されます。物理インタフェースには適用されません。
OS標準のMACADDRは、使用しないでください。
タグVLANインタフェース用設定ファイル(ifcfg-shaX.Y)に、SHAMACADDRは使用できません。
RHEL9の場合は、SHAMACADDRの指定にはhanetconfigコマンドを使用します。詳細は“7.1 hanetconfigコマンド”を参照してください。
RHEL9の場合は、仮想インタフェースのインタフェース設定ファイル(/etc/NetworkManager/system-connections/shaX.nmconnection)は直接編集しないでください。設定の編集にはnmcliコマンドを使用してください。
/etc/NetworkManager/NetworkManager.confの設定は、タグVLANインタフェースに対するNetworkManagerの処理を抑制し、GLSで管理するために必要です。必ず設定してください。なお、RHEL7では不要です。
MTU長を変更する場合は、必ず1280以上を設定してください。
hanethvrscコマンドを使用して引継ぎIPアドレスを設定する際、ホスト名に"shaX-NN"の形式の名前を使用することはできません。(例:sha0-65)