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Enterprise Postgres 15 セキュリティ運用ガイド

1.3 セキュリティの脅威

セキュリティの脅威とは、情報資産に対し、“1.2 セキュリティの要件”で示した「機密性」、「完全性」、「可用性」を脅かすものと定義します。データベースへのアクセスなど技術的な脅威を対象とし、物理的な破壊は含みません。

脅威は、脅威の発生元である登場人物、守るべき情報資産、手口、不正アクションの組合せで考えます。たとえば、「一般利用者が、データベース管理情報を、データベースの脆弱性を悪用して情報を入手し、情報を改ざんする」などが脅威となります。

セキュリティ対策を考える上で、まず、どのような脅威があるかを明確にする必要があります。ここでは、想定される脅威の一覧を以下に示します。登場人物、守るべき情報資産の定義については、それぞれ、“登場人物について”および“情報資産について”を参照してください。

想定される脅威

登場人物

情報資産

手口

不正アクション

一般利用者

社内利用者

システム責任者

システム開発者

システム管理者

システム運用者

データベース管理情報

パケットの盗聴

情報の不正入手(参照)

情報の不正改ざん、破壊(更新)

パスワードの辞書攻撃

ソーシャルエンジニアリングによるID/パスワードの不正入手

設定を悪用した情報の不正入手

データベースの脆弱性を悪用した情報の不正入手

不正ルートで入手

一般利用者

社内利用者

データベース一般情報

通常ルートで入手

入手できる情報の悪用(持ち出し)

業務妨害を狙ったSQL発行

業務妨害(リソース枯渇)

一般利用者

社内利用者

データベース一般情報

パケットの盗聴

情報の不正改ざん、破壊(更新)

パスワードの辞書攻撃

ソーシャルエンジニアリングによるID/パスワードの不正入手

設定ミスを悪用した情報の不正入手

データベースの脆弱性を悪用した情報の不正入手

不正ルートで入手

システム責任者

システム開発者

システム管理者

システム運用者

データベース一般情報

パケットの盗聴

情報の不正入手(参照)

情報の不正改ざん、破壊(更新)

パスワードの辞書攻撃

ソーシャルエンジニアリングによるID/パスワードの不正入手

設定ミスを悪用した情報の不正入手

データベースの脆弱性を悪用した情報の不正入手

不正ルートで入手

システム開発者

データベース管理情報

バックドアの作成

情報の不正入手(参照)

情報の不正改ざん、破壊(更新)

データベース一般情報

システム責任者

システム管理者

データベース管理情報

不正なデータベース管理者アカウントの作成による情報の不正入手

情報の不正入手(参照)

情報の不正改ざん、破壊(更新)

データベース一般情報

システム責任者

システム運用者

データベース管理情報

データベース関連ファイル(定義ファイル、物理ファイルなど)改ざんによる情報の不正入手

情報の不正入手(参照)

情報の不正改ざん、破壊(更新)

データベース一般情報

データベース管理者

データベース管理情報

通常ルートで入手後、情報の悪用(持ち出し)

入手できる情報の悪用(持ち出し)

管理情報からID/パスワードの不正利用

入手できる情報の改ざん、破壊

管理情報の改ざんによる情報の不正入手

業務妨害を狙ったSQL発行

業務妨害(リソース枯渇)

データベース一般情報

パケットの盗聴

情報の不正入手(参照)

情報の不正改ざん、破壊(更新)

不正ルートで入手後、情報の悪用(持ち出し)

データベース運用者

データベース管理情報

パケットの盗聴

情報の不正入手(参照)

情報の不正改ざん、破壊(更新)

パスワードの辞書攻撃

ソーシャルエンジニアリングによるID/パスワードの不正入手

設定ミスを悪用した情報の不正入手

データベースの脆弱性を悪用した情報の不正入手

不正ルートで入手

データベース一般情報

通常ルートで入手

入手できる情報の悪用(持ち出し)

業務妨害を狙ったSQL発行

業務妨害(リソース枯渇)


登場人物について

データベースセキュリティでは、データベースに関わる人物とその役割を以下のように定義します。

登場人物

役割

システム責任者

開発者、管理者、運用者の管理

システム開発者

データベース周辺のネットワーク構築

データベースサーバ構築

システム管理者

データベース周辺のネットワーク機器の運用

データベースサーバの運用

システム運用者

データベース周辺のネットワーク運用

データベース管理者

データベースシステムの構築

データベースシステムの運用

データベース運用者

業務の運用

社内利用者

社内のエンドユーザー

一般利用者

社外のエンドユーザー


情報資産について

データベースセキュリティでは、データベースサーバに格納する情報資産を保護する必要があります。

保護すべき情報資産を以下のように定義します。

データベース管理情報
  • データベース構成情報(システムカタログ、ユーザーID/パスワードなど)

  • データベースログ(アクセスログなど)

データベース一般情報
  • 業務データ

  • アプリケーション