GLS は、複数のNICを使用して、自システムが接続されるネットワーク伝送路を冗長化し、通信全体の高信頼化を実現するソフトウェアです。
GLSには以下のメリットがあります。
複数のNICにより伝送路を冗長化することで、耐故障性や可用性に優れた信頼性の高いネットワークを構築することができます。
GLSを利用するアプリケーションは、冗長化した伝送路の構成や伝送路上で発生したネットワーク障害を意識することなく、業務を行うことができます。
GLS には次の2つの機能があります。
高速切替方式
同一ネットワーク上のサーバ間の伝送路を多重化
NIC切替方式
同一ネットワーク上のサーバとスイッチ/HUB間の伝送路を二重化
仮想NIC方式(Solaris)
同一ネットワーク上のサーバとスイッチ/HUB間の伝送路を二重化。二重化した経路を仮想環境(ゲストドメインやノングローバルゾーン)で使用することで、効率的に仮想サーバ集約を実現。
仮想NIC方式(Linux)
同一ネットワーク上のサーバとスイッチ/HUB間の伝送路を二重化。二重化した経路を仮想環境(KVM仮想マシン機能のゲストOS)で使用することで、効率的に仮想サーバ集約を実現。
GS/SURE連携方式 (Solaris)、GS連携方式(Linux)
同一ネットワーク上のサーバ、グローバルサーバ/SURE SYSTEM、およびExINCA間の伝送路を多重化
マルチパス方式(Solaris)
同一ネットワーク上のサーバとスイッチ間の伝送路を多重化
マルチリンクイーサネット方式(Solaris)
同一ネットワーク上のサーバとスイッチ間で多重化した伝送路の 送信データ負荷分散
参照
GLSの機能の詳細については、“PRIMECLUSTER Global Link Services 説明書 (伝送路二重化機能編)” 、“PRIMECLUSTER Global Link Services 説明書 (伝送路二重化機能 仮想NIC方式編)”および “PRIMECLUSTER Global Link Services 説明書 (マルチパス機能編)” を参照してください。
なお、伝送路二重化機能 仮想NIC方式編およびマルチパス機能編はSolaris版のみ存在します。
同一ネットワーク上のSolarisまたはLinuxサーバ間の伝送路を冗長化し、伝送路障害発生時の通信継続、および伝送路同時使用によるトータルスループットの向上を実現します。本方式では、冗長化した伝送路を同時に使用し、障害発生時は該当の伝送路を切り離して縮退運用します。GLS自身が制御するため、障害を早期に検出することが可能です。通信可能な相手装置は、SPARC Servers、PRIMEPOWER、GP7000F、富士通S series、GP-S、PRIMERGY、およびPRIMEQUESTです。なお、ルータを超えた別ネットワーク上のホストとの通信には利用できません。
図2.13 高速切替方式
二重化したNIC(LANカード)を同一ネットワーク上に接続し、排他使用して伝送路の切替えを制御します。通信相手が限定されず、またルータを経由した別ネットワーク上のホストとの通信も可能です。
図2.14 NIC切替方式
同一ネットワーク上に接続した複数の物理NIC(LANカード)を、論理的に1本に見せるための仮想的なインタフェースを生成して通信を行います。通信相手が限定されず、またルータを経由した別ネットワーク上のホストとの通信も可能です。Oracle VM環境の場合、制御ドメイン上で作成した仮想インタフェースをゲストドメインの通信に使用することが可能です。
図2.15 仮想NIC方式(Solaris)
同一ネットワーク上に接続した複数の物理NIC(LANカード)を、論理的に1本に見せるための仮想的なインタフェースを生成して通信を行います。本方式では、二重化したNICを排他使用して伝送路の切替えを制御します。通信相手が限定されず、またルータを経由した別ネットワーク上のホストとの通信も可能です。
図2.16 仮想NIC方式(Linux)
グローバルサーバとの間で高信頼通信を行うための富士通方式に従って伝送路を制御します。本方式では二重化した伝送路を同時に使用し、正常時はTCPコネクションごとに伝送路を自動的に振り分けて通信を行い、異常発生時には、該当の伝送路を切り離してTCPコネクションを正常な伝送路へ移動し、縮退運用を行います。
図2.17 GS/SURE連携方式(Solaris)、GS連携方式(Linux)