GDS は、ディスク装置に格納されているデータの可用性と運用管理性を向上させるボリューム管理ソフトウェアです。GDSは、ハードウェアの故障やユーザの操作ミスからデータを保護し、ディスク装置の運用管理を支援します。
ボリューム管理機能には以下の2つの役割があり、それらは密接に関連しています。
ディスクデータの可用性の向上
ディスクデータの運用管理性の向上
GDSのミラーリング機能は、ディスクデータの複製を複数のディスクに保持することにより、ハードウェアの故障からデータを保護します。これにより、不測のトラブルが発生しても、ユーザはアプリケーションを停止することなくディスクデータへのアクセスを継続できます。
図2.9 ディスクミラーリング
また、GDSの運用管理機能は、さまざまなディスク管理においてシステム管理者の負担を軽減します。使いやすい運用管理機能には、管理作業を簡易にするだけではなく、操作ミスによるデータ破壊を防止する効果があります。
SAN (Storage Area Network)においては、複数のサーバと複数のディスク装置が自由に接続されるため、ディスク装置のデータを複数のサーバから直接共用することができます(下図を参照)。これにより、ファイルシステムやデータベースの同時共用が可能になります。また、サーバ間でのデータの複写や、バックアップなどの作業の利便性が改善されます。その反面、複数のサーバからのアクセス競合によってデータ破壊が発生するという問題が潜在しているため、SANに適合したボリューム管理機能が不可欠です。
図2.10 SAN (Storage Area Network)
GDSは、SANに適合したボリューム管理機能を提供します。GDSを使用することにより、特定のサーバにローカル接続されたディスク装置だけでなく、SANを経由して複数のサーバに共用接続されたディスク装置も含めて、すべてのサーバに接続された、すべてのディスク装置を統一的に管理することができます。
注意
VMware環境を除いて、PRIMERGYでは、システムディスクは管理できません。
GDSの主な機能を以下に示します。
システムディスクのミラーリング機能 (Solarisサーバ、PRIMEQUEST、およびVMware環境)
共用ディスクのミラーリング機能
ディスクアレイ筐体間のミラーリング機能
運用ノードと待機ノードのローカルディスクをネットワーク経由でミラーリングするサーバ間ミラーリング機能 (Linuxサーバ)
ディスク故障時に自動的にミラーリング状態を回復するホットスペア機能
アプリケーションを停止することなく、故障したディスクを交換するホットスワップ機能
システムダウン後やクラスタフェイルオーバ後にミラーリング状態を高速に回復する高速等価性回復機能
SAN環境に接続されたディスクの統合管理とアクセス制御
サーバとディスク装置との物理的な接続構成を自動的に認識し、構成情報の登録や接続構成のチェックを行う自動構成機能 (Solarisサーバ)
大容量ボリュームの作成を可能にするコンカチネーション機能
ディスクへのアクセス負荷を分散するストライピング機能
柔軟なディスク構成を実現する論理パーティション分割機能
主業務への影響を最小限に抑えたバックアップ運用を支援するスナップショット機能
参照
詳細については、“PRIMECLUSTER Global Disk Services説明書”を参照してください。