ページの先頭行へ戻る
Systemwalker Service Quality CoordinatorV15.2.3 Web 利用状況管理編
FUJITSU Software

1.1.1 利用状況分析機能の概要

Webサイト利用状況分析機能は、WebサーバとProxyサーバを構築しているシステムの利用状況を分析するための機能です。

WebサーバとProxyサーバには、ユーザーからのアクセス情報がログファイルに蓄積されています。本機能では、そのログファイルの内容をURL、利用者(ユーザー名、IPアドレス、ホスト名、Cookieに設定したID)、時刻などといった観点で、ユーザーのアクセスの傾向を抽出することができるので、インターネット/イントラネット上に構築したサービスに対する意思決定を迅速に行うことができます。

注意

  • Solaris版では、利用状況分析機能は使用できません。

  • RHEL8版では、利用状況分析機能は使用できません。

  • SELinux機能が有効な場合、利用状況分析機能は使用できません。

ポイント

例えば、インターネットを利用して採用情報のページを広報しているような場合に、Webサイト利用状況分析機能を使用すれば、どの学校の生徒がリクルートページを参照しているかを簡単に知ることができます。

また、ネットワークの負荷を下げるためにProxyサーバを設置しているような場合、キャッシュヒット率、トラフィック量などを分析することによって、Proxyサーバの設定が有効かどうか、簡単に分析を行うことができます。

利用状況分析機能は、以下の分析機能を提供します。

Webサイト利用状況分析機能では、WebサーバとProxyサーバの利用状況についてデータを編集し、Webブラウザ上(Webページ)に表とグラフで表示するので、Webサーバとネットワークで接続されたWebブラウザであればどこからでも利用できます。

データの種類や期間は、Webページ上のボタンなどで簡単に変更できるので、様々な視点からの分析をすることができます。また、ドリルダウン機能も用意しているので、特定のURLや、特定のクライアントに絞り込んだ分析をすることもできます。


Webサイト利用状況分析機能の利用方法としては、大きく以下の2つがあります。

  1. 分析種類に応じて分析画面を切り替えて結果を表示する

  2. 定常レポート機能により、日報や月報などの定型的な分析結果をレポートとして出力する。

例えば、本製品を使用することにより、以下のような分析を行うことができます。


Webサーバの場合

分析種類

使用する分析データ種別

サーバの使用状況の全体を総括して見たい場合

分析した結果のサマリを見ます。サマリには、以下の状況が表示されます。

セッション回数(総数)

リクエスト回数(総数)

トラフィック量(総量)

キャッシュヒット回数(総数)

エラー回数(総数)

構築したWebサービスの人気度を知りたい場合

セッション状況を見ます。セッション状況では、サイトに訪れた人数を把握することができます。同一人物からのアクセスは複数回ページを参照した場合でも1人としてカウントされています。

構築したWebサービスのどのページに人気があるかを知りたい場合

リクエスト状況を見ます。リクエスト状況では、どのページに対する関心が強く、どのようなユーザーが関心を持っているかを把握することができます。

構築したWebサービスのページをどの順序でアクセスしているかを知りたい場合

ページ遷移状況を見ます。ページ遷移状況では、Webサービスのページをどの順序でアクセスしているかを把握することができます。

サーバへの不当なアクセス、サイトのリンク切れがないか知りたい場合

エラー状況を見ます。サーバが検出するエラーには、許可が与えられていない人のアクセス、サイト内のリンクを参照した際にリンク先が存在しない場合などが含まれます。それらのエラーが発生していないか調べることによって、不当なアクセスがないか、リンク切れがないかを把握することができます。発生したエラーの内容は、エラー状況の分析画面に表示されます。


Proxyサーバの場

分析種類

使用する分析データ種別

サーバの使用状況の全体を総括して見たい場合

分析した結果のサマリを見ます。サマリには、以下の状況が表示されます。

セッション回数(総数)

リクエスト回数(総数)

トラフィック量(総量)

キャッシュヒット回数(総数)

エラー回数(総数)

設定したセッション数の妥当性を知りたい場合

セッション状況を見ます。Proxy内のユーザーが一時期にどのくらい外に対してアクセスしているかを把握することができます。

キャッシュ対象のURLの妥当性を知りたい場合

リクエスト状況を見ます。Proxy内から外に対してどのようなページへのアクセスが多いか、誰が多くアクセスしているかを把握することができます。

キャッシュ量の妥当性を知りたい場合

トラフィック状況を見ます。Proxy内から外へのアクセスに対してどのくらいのデータを受信しているかが分かります。この結果からサーバのキャッシュ容量が少ない場合は改善する必要があることが分かります。

キャッシング効果を知りたい場合

キャッシュ状況を見ます。サーバに設定しているキャッシュ定義がどのくらい有効に働いているかを把握することができます。ProxyサーバのキャッシュにProxy内から外へのアクセス、Proxy外からのアクセスに対し、Proxyサーバが保有しているキャッシュ情報にどのくらいヒットしているかが分かります。


また、上記の分析を以下の観点に絞って分析することにより、より詳細な分析を行うことができます。


分析観点種別

内容

クライアントホスト名

クライアントのIPアドレスをDNS変換した、ホスト名をキーに分析します。DNS変換できないIPアドレスについては、IPアドレスで表示されます。

ここでいうクライアントとは、

Webサーバの分析ではWebサービスにアクセスしているユーザーのことをいいます。

Proxyサーバの分析ではProxy内から外へアクセスしているユーザーのことをいいます。ただし、リバース運用されているProxyサーバの場合は、Webサーバの場合と同意です。

クライアントIPアドレス

クライアントのIPアドレスをキーに分析します。

認証ユーザ名

Webサーバ、Proxyサーバで認証を行っている場合には、その認証のユーザー名をキーに分析します。

ユーザエージェント

Webサーバ、Proxyサーバにアクセスしているユーザーが使用しているブラウザをキーに分析します。

リンク元ホスト名

どこのリンクをたどって構築しているWebサービスに来たかを、リンク元のホスト名をキーに分析します。

リンク元IPアドレス

どこのリンクをたどって構築しているWebサービスに来たかを、リンク元のIPアドレスをキーに分析します。

リモートホスト名

Proxyサーバにおいて、Proxy内からアクセスしたページのホスト名をキーに分析します。また、リバース運用されているProxyサーバの場合は、外からどのWebサーバに対する要求があったかを、ホスト名をキーに分析します。

リモートIPアドレス

Proxyサーバにおいて、Proxy内からアクセスしたページのIPアドレスをキーに分析します。また、リバース運用されているProxyサーバの場合は、外からどのWebサーバに対する要求があったかを、IPアドレスをキーに分析します。

URL

クライアントからアクセスされたURL名をキーに分析します。

EntryURL

クライアントからアクセスされたURLの入口点となるURLをキーに分析します。

ExitURL

クライアントからアクセスされたURLの出口点となるURLをキーに分析します。

リンク元URL

どこのリンクをたどって構築しているWebサービスに来たかを、リンク元のURLをキーに分析します。

URL拡張子

どの拡張子が多く参照されているかを、拡張子をキーに分析します。

アクセスID

Cookieに設定したIDをキーに分析します。WebサーバでCGIにより認証を行っている場合、CookieにIDを設定することで、ユーザーを特定した分析を行うことができます。

サブネット

クライアントIPアドレスをグループ化したサブネットをキーに分析します。

参照

分析データ種別、分析観点種別の指定方法については、「11.2 分析画面」を参照してください。

利用状況分析機能では、収集・蓄積した情報をCSVファイルの形式で出力することができます。この情報を「Symfoware e-Business Intelligence Suite」などのOLAP・マイニングツールの入力とすることにより、基幹システム上のデータとの統合的な分析など、より高度な情報活用が可能となり、Webサイトをビジネスでより活用することができます。

また、分析結果は、印刷して参照することもできます。


1.1.1.1 サポートするログ形式

Webサイト利用状況分析機能では、以下のログ形式に対応しています。その他のログについては、ログフォーマットを定義することにより、分析を行うことができます。

ログフォーマットの定義方法については、「4.2 利用状況分析の環境設定」(被管理サーバ)および「5.2 利用状況分析の環境設定」(管理サーバ)を参照してください。


No

ログ形式

サーバ名

1

W3C(CERN)Commonログ形式

W3C httpd(CERN httpd)

2

Apache Commonログ形式

Apache Web Server

3

Apache Customログ形式

Apache Web Server

4

Microsoft IIS ログ形式

Microsoft Internet Information Services

5

NCSA 共通ログ形式

Microsoft Internet Information Services

6

W3C 拡張ログ形式

Microsoft Internet Information Services

7

Netscape Enterprise Server Commonログ形式

Netscape Enterprise Server

8

Netscape Enterprise Server Flexibleログ形式

Netscape Enterprise Server

9

Netscape Enterprise Server Customログ形式

Netscape Enterprise Server

10

Fujitsu InfoProvider Pro Commonログ形式

Fujitsu InfoProvider Pro

11

Fujitsu InfoProvider Pro Extendedログ形式

Fujitsu InfoProvider Pro

12

Netscape Proxy Server Commonログ形式

Netscape Proxy Server

13

Netscape Proxy Server Extendedログ形式

Netscape Proxy Server

14

Netscape Proxy Server Extended2ログ形式

Netscape Proxy Server

15

Netscape Proxy Server Flexibleログ形式

Netscape Proxy Server

16

Netscape Proxy Server Customログ形式

Netscape Proxy Server

17

Squid Commonログ形式

Squid

18

Squid Nativaログ(バージョン1.1)形式

Squid

19

DelGate Commonログ形式

DelGate

20

DelGate Customログ形式

DelGate

21

DelGate Defaultログ形式

DelGate

22

Fujitsu InfoProxy Commonログ形式

Fujitsu InfoProxy

23

Fujitsu InfoProxy Commonログ形式

Fujitsu InfoProxy

24

Microsoft Proxy Server Webproxyログ形式

Microsoft Proxy Server

25

SQC拡張ログの形式

Systemwalker Service Quality Coordinator

注意

No.25の「SQC拡張ログの形式」は、SQC拡張ログを採取することにより蓄積されるログファイルの形式です。詳細は、「11.4 SQC拡張ログ採取」の項を参照してください。

Webサイト利用状況分析機能は、ログファイルが動作OSに応じた文字コードや改行コードで格納されているものとして扱います。その組合せは、次のとおりです。

Windows版】

文字コード

改行コード

シフトJIS

CR + LF

UNIX版】

文字コード

改行コード

日本語EUC

LF

注意

異なる組合せとなる場合は、正しく処理できません。特に、リモートホスト上のネットワークファイルの場合は、注意が必要です。


1.1.1.2 機能構成

Webサイト利用状況分析機能は、Webサービス分析機能と拡張ログ採取機能で構成されます。

Webサイト利用状況分析機能の機能構成は、下図に示すように、被管理サーバで分析を行う場合と管理サーバで分析を行う場合の2つの形態があります。

以下に示すような運用を行いたい場合に、管理サーバで分析を行います。

なお、下図では、Agent for Business(SQC-A)を導入したWebサーバとProxyサーバマシンのことを「被管理サーバ」、Manager(SQC-M)を導入したマシンを「管理サーバ」、利用状況分析機能を利用して分析を行う人のことを「分析者」と記述しています。


被管理サーバで分析を行う場合


管理サーバで分析を行う場合

参照

管理サーバで分析を行う場合の運用方法については、「第3章 基本的な導入の手順」を参照してください。


1.1.1.2.1 利用状況分析機能

利用状況分析機能は、Webサービスに関する各種ログを基にしたWebサービスの稼働状況分析を支援する機能です。

利用状況分析機能は、以下の5つの機能、画面、およびコマンドから構成されます。


利用状況DB登録エンジン

被管理サーバおよび管理サーバ上で、Webサーバに関する各種ログからデータを抽出し、本製品独自のデータベース、利用状況DBに格納するエンジンです。


利用状況DB参照エンジン

被管理サーバおよび管理サーバ上で、利用状況DBからデータを検索するエンジンです。「分析画面」からの要求に対して、利用状況DBからデータを抽出するためのインターフェース(HTTP通信を使用)を提供します。


分析画面

クライアントマシン(Webブラウザ)上で動作するグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)で、各種データの分析の実行、結果の表示を行います。「利用状況DB参照エンジン」のインターフェースにより編集された利用状況DBのデータを取得し、グラフや表として表示します。


分析レポート

管理サーバ上の[Webサイト管理]画面で[利用状況レポート]ボタンを押下し、利用状況分析用のレポートを選択することにより、分析結果を定常レポートとして表示・出力することができます。


CSV出力

被管理サーバおよび管理サーバ上で動作するコマンドで、利用状況DBのデータをCSV形式でファイルへ出力します。


1.1.1.2.2 SQC拡張ログ

SQC拡張ログとは、本製品が採取する独自のログで、Webブラウザから見たCGIプログラムのレスポンス時間のデータを採取します。なお、SQC拡張ログも「利用状況DB登録エンジンサービス」が扱う各種ログのひとつであるため、「分析画面」や「CSV出力」でデータを参照することができます。

SQC拡張ログは、例えば、WebページでCGIプログラムによる検索サービスを提供している場合で、Webページの利用者に対してどのくらいの時間で検索結果を返しているかを把握したい場合などに利用できます。


データ採取機能

SQC拡張ログを採取するためのJava(TM)アプレットです。SQC拡張ログを採取するWebページに設定することで、SQC拡張ログを採取することができます。


データ蓄積機能

SQC拡張ログを蓄積するためのCGIプログラムです。データ採取機能から呼び出され、SQC拡張ログを蓄積します。