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PRIMECLUSTER Global File Services 説明書 4.6
FUJITSU Software

14.1.1 キャッシュ量

  GFS 共用ファイルシステムでは、キャッシュ量に関する以下の項目についてチューニングができます。

  ファイルシステムごとに、以下の大きさの領域が MDS のプロセス空間に確保されます。

  各チューニングパラメタのデフォルト値、設定可能な値の範囲と確保されるメモリ量は、以下のとおりです。

表14.1 チューニングパラメタのデフォルト値、設定可能な値の範囲と確保されるメモリ量

チューニングパラメタ名

デフォルト値

最小値

最大値

デフォルト値の場合に確保されるメモリ量
(メガバイト)

SFCFS_NCACHE_IEX

512

512

1048576

0.7

SFCFS_NCACHE_EXTENT

2304

192

32768

3.2

SFCFS_NCACHE_DIRECTORY

10240

64

16384

14.0

SFCFS_NCACHE_INODE

2048

32

16384

8.8

  チューニングパラメタは、sfcadm(1M) の -o オプションで値を指定します。

  以下に設定例を示します。

設定例:

# sfcadm -o SFCFS_NCACHE_IEX=5120 /dev/sfdsk/gfs01/rdsk/volume01 <Enter>
# sfcadm -o SFCFS_NCACHE_EXTENT=4096 /dev/sfdsk/gfs01/rdsk/volume01 <Enter>
# sfcadm -o SFCFS_NCACHE_DIRECTORY=20480 /dev/sfdsk/gfs01/rdsk/volume01 <Enter>
# sfcadm -o SFCFS_NCACHE_INODE=5120 /dev/sfdsk/gfs01/rdsk/volume01 <Enter>

  設定された値は、sfcinfo(1M) の -e オプションで確認します。

  以下に確認例を示します。

確認例:

# sfcinfo -e /dev/sfdsk/gfs01/dsk/volume01 | grep SFCFS_NCACHE <Enter>
SFCFS_NCACHE_IEX=5120
SFCFS_NCACHE_EXTENT=4096
SFCFS_NCACHE_DIRECTORY=20480
SFCFS_NCACHE_INODE=5120

ポイント

MDS が実際に確保した IEX キャッシュ量は、GFS 共用ファイルシステムのマウント時に出力される MDS の情報メッセージで確認することができます。このメッセージは、プライマリ MDS が動作するノードの /var/adm/messages に出力されます。

以下に確保されたIEXキャッシュ量の確認例を示します。

確保されたIEXキャッシュ量の確認例:

# mount /mnt/gfs01 <Enter>
# grep "sfcfs_mds:3022" /var/adm/messages <Enter>
Sep  1 16:20:10 host1 sfcfsmg[7550]: [ID 702911 daemon.notice] NOTICE: sfcfs_mds:3022: 1: amount of meta cache IEX is 5120

  ディレクトリのサイズがディレクトリキャッシュサイズを超えると、そのディレクトリへのファイル作成や検索の性能が低下します。サイズの大きなディレクトリが作成される可能性がある場合は、SFCFS_NCACHE_DIRECTORY の指定値を大きく設定することを強く推奨します。

  また、チューニングする際は、GFS 共用ファイルシステム専用の統計コマンド sfcstat(1M) の -m オプションを使用し、チューニングパラメタに対応するメタキャッシュのキャッシュヒット率を調べてください。キャッシュヒット率は、アクセス回数とキャッシュヒット回数から求められます。キャッシュヒット率が低い場合は、チューニングパラメタの指定値を大きくすることを検討してください。

  各チューニングパラメタと、sfcstat(1M) の -m オプションで表示されるメタキャッシュの種別との対応は、以下のとおりです。

表14.2 チューニングパラメタと sfcstat(1M) の -m オプションで表示されるメタキャッシュの種別との対応

チューニングパラメタ名

メタキャッシュの種別

SFCFS_NCACHE_IEX

IEX

SFCFS_NCACHE_EXTENT

NODE, LEAF

SFCFS_NCACHE_DIRECTORY

DIR

SFCFS_NCACHE_INODE

DINODE

参照

SFCFS_NCACHE_IEX のチューニングが必要な場面については、本書の“C.3.6 ファイルアクセス性能が低下する場合の対処”を参照してください。

  キャッシュ量をデフォルトに戻す場合は、各チューニングパラメタの設定を削除します。

  以下に削除例と確認例を示します。

削除例:

# sfcadm -o SFCFS_NCACHE_IEX= /dev/sfdsk/gfs01/rdsk/volume01 <Enter>
# sfcadm -o SFCFS_NCACHE_EXTENT= /dev/sfdsk/gfs01/rdsk/volume01 <Enter>
# sfcadm -o SFCFS_NCACHE_DIRECTORY= /dev/sfdsk/gfs01/rdsk/volume01 <Enter>
# sfcadm -o SFCFS_NCACHE_INODE= /dev/sfdsk/gfs01/rdsk/volume01 <Enter>

確認例:

# sfcinfo -e /dev/sfdsk/gfs01/dsk/volume01 | grep SFCFS_NCACHE <Enter>

何も表示されなければ、設定されていません。