スケジュール情報の分散について説明します。
日ごとスケジュール管理において、スケジュール情報の分散を行う契機について説明します。日ごとスケジュール管理では、自動的にスケジュール情報の分散を行うことも、手動でスケジュール情報の分散を行うことも可能です。
自動的にスケジュール情報の分散を行う契機
以下の契機に自動的にスケジュール情報の分散が行われます。
Systemwalker Operation Managerの日変わり時刻が到来したとき
Systemwalker Operation Managerのジョブスケジューラサービス/デーモンが起動したとき
ただし、[マスタスケジュール管理環境設定]ダイアログボックスの設定によってジョブスケジューラサービス/デーモンが再起動される場合、自動的にスケジュール情報は分散されません。
手動でスケジュール情報の分散を行う契機
手動でスケジュール情報の分散を行うには、スケジュール状況を監視/操作するウィンドウ([マスタスケジュール管理状況監視[全体状況]]ウィンドウ/[マスタスケジュール管理状況監視[詳細状況]]ウィンドウ)、またはstemManager スケジュール管理コマンドでスケジュール情報を分散します。手動でスケジュール情報の分散を行う契機としては、以下の場合があります。
スケジュール情報の分散で異常が発生した場合のリカバリ
スケジュール情報の抽出や登録に失敗した場合、運用日を指定してスケジュール情報を分散することで異常が発生した時点からスケジュール情報の分散を再開します。
事前に未来の運用日のスケジュール情報を分散する
運用日を指定して、未来の運用日のスケジュール情報を分散できます。また、スケジュール情報の登録後にマスタ情報に変更が入った場合、再スケジュール操作を実行してマスタ情報を反映します。ただし、すでに運用中の本日のスケジュール情報に対しては再スケジュールできません。
スケジュールが実行されることなく過去となってしまった運用日のリカバリ
サーバダウンなどでスケジュールが実行されずに過去の運用日となり、スケジュール情報の作成が行われなかった運用日に対してスケジュール情報の分散を行います。操作は、stemManager スケジュール管理コマンドから行います。
注意
スケジュール情報の分散が行われているときは、Systemwalker Operation Manager クライアントの操作を行わないでください。操作を行った場合には、Systemwalker Operation Managerクライアントが異常終了することがあります。
“Systemwalker Operation Manager 運用ガイド”の“ジョブスケジューラコマンド利用時の注意事項”を併せて参照してください。
ジョブネットの運用日(起動日)と[デフォルトホスト名]で指定されたスケジュールサーバ名で抽出したジョブネットの情報を各スケジュールサーバに圧縮して配付します。また、指定のサイズで分割して配付を行うことができます。スケジュールサーバへの配付が正常に完了した後、スケジュールサーバ上のジョブスケジューラにスケジュール情報が登録されます。
スケジュールサーバへの回線異常やサーバ停止などで配付が失敗した場合、一定間隔でリトライを続けます。
分割サイズ・待機間隔・リトライ回数の設定については、[マスタスケジュール管理環境設定]ダイアログボックスで設定します。詳細は、“2.4 環境設定”を参照してください。
運用日ごとに抽出、配付、登録されたスケジュール情報は、日変わり時刻の到来などを契機に適用されます。
ジョブネットが設定により日変わり時刻を越えて継続されている場合は、ジョブネットが完了したときに同名ジョブネットに対してスケジュールが適用されます。このときにジョブネットの開始予定時刻がすでに過ぎている場合、マスタスケジュール管理機能では、ジョブネットの開始予定時刻をスケジュール適用時の5分後に補正し、ジョブネットを動作させます。また、終了予定時刻が指定されている場合も補正されます。
また、以下の場合にもジョブネットの開始予定時刻をスケジュール適用時刻(注)の5分後に補正します。
日変わり時刻(スケジュール適用時刻)から+5分の間にジョブネットの開始予定時刻が設定されていた場合
スケジュール適用は、日変わり時刻の直後に動作するため、スケジュール適用時刻は、ほぼ日変わり時刻となります。
過去にスケジュール状況が“異常”、“異常対処待ち”、“持ち越し対処待ち”、または“適用待機”のスケジュール情報がある場合は、当日のスケジュール情報の分散での適用は行われません。
日変わり時刻直前でのスケジュール情報の適用
日変わり時刻の直前で、前日のジョブネットが完了したとき、または当日のスケジュール実行をした場合、すでに開始予定時刻を過ぎたジョブネットの適用は、以下のように実施されます。
開始予定時刻を5分後に修正した結果、日変わり時刻を越える場合
ジョブネットの運用指示が“打ち切り”の場合
日変わり時刻の1分前に時刻補正をしてジョブネットを動作させます。
ジョブネットの運用指示が“完了待ち”、“並列走行”、“オペレータ対処”の場合
日変わり時刻の5分後に時刻補正をしてジョブネットを動作させます。
開始予定時刻を5分後に補正した結果、ジョブネット終了予定時刻が日変わり時刻を越える場合、ジョブネットの終了予定時刻を日変わり時刻の1分前に時刻補正します。
補正した結果、開始予定時刻と終了予定時刻が同じ時刻になった場合、以下のように実施されます。
ジョブネットの運用指示が“打ち切り”の場合
時刻補正を行わずに適用します。そのため、ジョブネットはスケジュールされません。
ジョブネットの運用指示が“完了待ち”、“並列走行”、“オペレータ対処”の場合
開始予定時刻を日変わり時刻の5分後に時刻補正をしてジョブネットを動作させます。終了予定時刻は開始予定時刻を基準にした時刻に設定されます。
スケジュール情報の分散で異常が発生しているときの適用
前日までにスケジュール情報の分散で異常が発生している運用日がある場合、当日のスケジュール情報の分散での適用は行われず、“異常対処待ち”状況となります。過去運用日の“異常”状況のスケジュール情報をリカバリしたとき、過去のスケジュールとしてジョブネットは登録されますが、時刻によるスケジュールは行われません。また、持ち越しジョブネットの対象外となります。
数日前に異常が発生して、“異常対処待ち”の状態が複数運用日ある場合に、リカバリを行うと、“異常対処待ち”の状態が“適用待機”の状態となり、自動でスケジュールの適用はされません。スケジュールを適用するには、[マスタスケジュール管理状況監視[全体状況]]ウィンドウ、または[マスタスケジュール管理状況監視[詳細状況]]ウィンドウから順次スケジュール実行を行い、当日にスケジュールを適用してください。
詳細は、“4.1.4 スケジュールを操作する”を参照してください。
スケジュール情報は、運用日ごとに世代管理されます。過去のスケジュール情報は、指定した世代数分保管されます。保管する世代数は、[マスタスケジュール管理環境設定]ダイアログボックスで設定します。スケジュール情報の削除は、スケジュール情報の登録時に、保管する世代数を超えて管理対象外となった時点で行われます。ただし、削除対象となったスケジュール情報に持ち越しジョブネットが存在している場合は、スケジュール情報の削除は[マスタスケジュール管理環境設定]ダイアログボックスの設定に従います。
参考
登録できるプロジェクト数の制限とスケジュール情報の世代の調整
サブシステムに登録できるプロジェクト数は、過去、本日、未来の運用日管理プロジェクト数の合計が、1000までです。また、管理サーバの場合は、マスタプロジェクト数や運用変更用プロジェクト数も加わります。このことを考慮して、過去のスケジュール情報を保管する世代数を調整してください。
例えば、1台のサーバで運用する場合、プロジェクト数が10で、過去のスケジュール情報を保管する世代数を5とした場合は未来のスケジュールが可能な数はおよそ93日分となります。未来のスケジュールが93日分で十分かどうかで保管する世代数を調整します。
(登録可能プロジェクト数(1000) - |
プロジェクト数が最大数登録されているときに、新規にスケジュール情報の分散を行った場合、イベントログ/SYSLOGに通知を行い、一番古く、またジョブネットの実行が完了している運用日管理プロジェクトから退避され、新規のスケジュール情報を登録します。削除可能な運用日管理プロジェクトがないときには、スケジュール情報の登録はエラーとなります。退避された運用日管理プロジェクトの情報は、stemprintnet 退避情報確認コマンドで確認することができます。詳細は、“Systemwalker Operation Manager リファレンス集”の“stemprintnet 退避情報確認コマンド”を参照してください。
参考
スケジュール情報を保管する世代数を超えて管理対象外となった運用日についても、ジョブネットの履歴情報は、stemprintコマンドにより出力することができます。ジョブネットの履歴情報は、マスタスケジュール管理機能のスケジュール情報を保管する世代数とは関係なく、ジョブスケジューラのログファイル(jobdb1.log/jobdb2.log/jobdb3.log)のうち、現在使用中のログファイルと1世代前のログファイルに存在する履歴情報が出力されます。
stemprintコマンドの詳細については、“Systemwalker Operation Manager リファレンス集”の“stemprint -f(-F)/-g(-G)コマンド”を参照してください。
注意
1年に作成されるスケジュール情報が保管する世代数より少ない場合
マスタスケジュール管理機能は、スケジュール情報を月日で管理しているため、1年を超えるスケジュール情報は管理することができません。
1年間に作成されるスケジュール情報が、[マスタスケジュール管理環境設定]ダイアログボックスで設定した保管する世代数より少ない場合、運用日管理プロジェクトの名前が年をまたいで同じ名前になる可能性があり、同じ名前のプロジェクトが存在すると運用日管理プロジェクトの作成に失敗します。
例えば、
スケジュール情報を保管する世代数:5
1年間に作成されるスケジュール情報:4回(1月1日、4月1日、7月1日、10月1日)
の場合、以下の図のように、翌年の1月1日に運用日管理プロジェクト“PrjA+0101”が作成される時に、今年の1月1日の運用日管理プロジェクト“PrjA+0101”が残っているため、同じ名前の運用日管理プロジェクトは作成できません。
年に数回しか動作しないようなスケジュールは、通常スケジュールでの管理を推奨しますが、このような業務をマスタスケジュール管理機能で管理する場合には、古い運用日管理プロジェクトが自動的に削除されるよう、[マスタスケジュール管理環境設定] ダイアログボックスで設定した保管する世代数を減らしてください。
あらかじめ未来のスケジュールを行うことにより、未来に実行される運用予定の確認を事前に行えます。また、運用日の当日までにスケジュール情報の登録を行うことで、当日スケジュール開始までの時間を短縮できます。
未来のスケジュール情報を分散するには、以下の方法があります。
手動によるスケジュール
30日先までの未来のスケジュール情報が作成できます。特定の日に一時的に業務内容を変更しておく必要がある場合などに使用します。手動でスケジュールを行う方法には以下があります。
[マスタスケジュール管理状況監視[全体状況]]ウィンドウ、または[マスタスケジュール管理状況監視[詳細状況]]ウィンドウから、[未来のスケジュール]を指定し、表示されるダイアログボックスで運用日を指定して、スケジュールを行います。
[マスタスケジュール管理状況監視[全体状況]]ウィンドウ、または[マスタスケジュール管理状況監視[詳細状況]]ウィンドウから、未来の日付のスケジュール状況を表示し、[スケジュール実行]を指定してスケジュールを行います。
スケジュールする運用日を指定して、stemManager スケジュール管理コマンドを実行します。
Systemwalker Operation Managerに未来のスケジュール用ジョブネットを登録
日変わり時刻直後に起動させるジョブネットがある場合などで日変わり時刻前にスケジュール情報の分散を完了させておきたい場合に使用します。
Systemwalker Operation Managerに以下の例のようなジョブネットを登録しておくことにより、指定時刻に翌日のスケジュール情報を分散することができます。
登録方法の例:
管理サーバにスケジュール実行用プロジェクトを作成します。このプロジェクトはマスタ設定しません。
スケジュール実行用プロジェクトに以下の内容のジョブネットを登録します。
起動条件は、 [時刻起動]でスケジュール情報を分散する時刻を指定
登録するジョブのコマンド名は、
“Systemwalkerインストールディレクトリ\mpwalker.jm\bin\stemManager.exe -n”【Windows版】
“/opt/FJSVstem/bin/stemManager -n”【UNIX版】
起動日は、“毎日”を指定
日変わり時刻時の未来スケジュール
日変わり時刻到来時に、1から5日までの指定した日付後の未来スケジュールを行うことができます。当日運用前にスケジュール情報を確認したい場合などに使用します。
日変わり時刻時の未来のスケジュールは、[マスタスケジュール管理環境設定]ダイアログボックスの[設定項目]で[スケジュール]を選択し、[日変わり時刻時のスケジュール対象]で指定します。
未来のスケジュール情報を登録した後にマスタ定義が変更された場合、スケジュール情報を置き換えてマスタ定義を反映することが可能です。
再スケジュールは、[マスタスケジュール管理状況監視[全体状況]]ウィンドウ、または[マスタスケジュール管理状況監視[詳細状況]]ウィンドウから[再スケジュール]を指定するか、stemManager スケジュール管理コマンドを実行します。
再スケジュールは、すでにスケジュールされている運用日に対してのみ有効となります。対象となる運用日は当日と未来で、過去は対象外です。
また、エラーが発生したなどの原因でスケジュール情報の分散が未完了となっている運用日は、再スケジュールできません。再スケジュールが可能なスケジュールの状況は、以下のとおりです。
運用日が当日の場合:“なし”
運用日が未来の場合:“適用待機”および“なし”
注意
再スケジュールを行ったときに、マスタ情報から対象運用日のスケジュール情報が抽出されなかった場合、すでに登録されている対象運用日のスケジュール情報は削除されます。
すでに登録されたスケジュール情報を取り消したい場合、スケジュールを行ったという状態を取り消し、スケジュール未実行の状態に戻すことができます。また、スケジュールの抽出/配付/登録で異常が発生した状態のスケジュール情報や異常対処待ちのスケジュール情報がある場合にもそれらの情報を削除し、スケジュール未実行の状態にします。
スケジュール情報の取り消しは、スケジュール状況を監視/操作するウィンドウ([マスタスケジュール管理状況監視[全体状況]]ウィンドウ/[マスタスケジュール管理状況監視[詳細状況]]ウィンドウ)、またはstemManager スケジュール管理コマンドによって行います。
適用で異常が発生している場合は、スケジュール情報の取り消しはできません。
手動でスケジュールを実行します。スケジュール実行は、スケジュールの状況が異常、異常対処待ち、持ち越し対処待ち、過去/当日の適用待機、または未実行のときに有効となります。
スケジュール実行すると、状況により以下のように動作します。
異常のときにスケジュール実行すると、異常が発生した時点からスケジュール情報の分散を再開します。
異常対処待ちのときにスケジュール実行すると、前日までの異常スケジュールに関係なくスケジュールを適用します。
持ち越し対処待ちのときにスケジュール実行すると前日までの持ち越しジョブネットの状態に関係なくスケジュールを適用します。
適用待機のときにスケジュール実行するとスケジュールを適用します。
スケジュールが未実行で、本日または未来の場合は、新規にスケジュールを作成します。
過去の未実行の運用日に対してスケジュールを新規作成します。
スケジュール実行は、スケジュール状況を監視/操作するウィンドウ([マスタスケジュール管理状況監視[全体状況]]ウィンドウ/[マスタスケジュール管理状況監視[詳細状況]]ウィンドウ)、またはstemManager スケジュール管理コマンドによって行います。ただし、適用に関する操作は、スケジュール状況を監視/操作するウィンドウでのみ、過去の未実行の運用日に関する操作は、stemManager スケジュール管理コマンドでのみ実行可能です。
注意
スケジュールの実行が行える過去の日付は、スケジュール状況管理日数までです。
過去のスケジュールで登録されたジョブネットは、以下のことに注意してください。
ジョブネットの状態にかかわらずプロジェクト数の上限値(1000)を超えた場合は、退避対象となります。退避後は、Systemwalker Operation Managerクライアントでジョブネットを操作することができません。登録されたジョブネットは、速やかに実行、終了させてください。
持ち越し制御の対象外になります。
時刻によるスケジュールが行われないため、時刻による起動条件が設定されている場合は、手動で起動する必要があります。
メッセージ事象による連携は可能ですが、jobschmsgeventexコマンドの-d、-dx、-sまたは-nオプションを使用して運用日を意識したメッセージ事象の発生を行う必要があります。
(運用日を意識しないメッセージ事象発生では意図しないメッセージにより、ジョブネットが起動する場合があります。)
未実行のままでも完了済として扱われ、[マスタスケジュール管理環境設定]ダイアログで[ジョブネットが未完了の場合は削除しない]に設定されていても、保管する世代数を超えて管理対象外となった時点で削除されます。
参考
プロジェクトの退避については、“3.1.2.4 スケジュール情報の保管”を参照してください。
マスタ情報を変更せずに、運用日ごとのスケジュール情報の変更(ジョブネットの追加、削除や定義情報の変更)が可能となります。
変更対象の運用日のみのスケジュール情報を変更するには、[Systemwalker Operation Manager]ウィンドウの業務選択ツリーで、“プロジェクト名+変更したい運用日(mmdd)”のプロジェクトを選択し、プロジェクト内のジョブネット情報を編集します。
運用日管理プロジェクトに[ジョブネットの新規作成]ウィンドウ、マスタプロジェクトからのジョブネットの複写またはjobschsetnetコマンドで追加したジョブネットは、その運用日のみのジョブネットとして扱われるため、運用指示による持ち越し制御は行われません。