Converged Fabricには、一つのイーサネット・ファブリックを、複数の仮想的なイーサネット・ファブリックに分割して管理する機能があります。分割された仮想的なイーサネット・ファブリックを仮想ファブリック(VFAB)と言います。
本製品では、この仮想ファブリックをテナントと関連づけて扱うことができます。
仮想ファブリックでは、それぞれの仮想ファブリックで独立してVLAN IDが管理されます。すなわち、異なる仮想ファブリックにおいては、重複したVLAN IDを利用することができます。これにより、これらの異なる仮想ファブリックそれぞれと関連したテナントにおいては、重複したVLAN IDを利用することができます。
注) VLAN IDは、VFABの範囲内で一意性を保証しています。
テナントと仮想ファブリックの関係
テナントと仮想ファブリックの対応関係は、以下の二つのパターンをサポートします。
1つの仮想ファブリックに、複数のテナントが対応する
1つの仮想ファブリックに、1つだけのテナントが対応する
どちらのパターンであっても、テナントに対してどの仮想ファブリックが対応するのかを指定する必要があります。仮想ファブリックとの対応を指定されていないテナントについては、デフォルトVFABが指定されたものとして扱います。デフォルトVFABは、上記aのパターンとなります。
テナントと仮想ファブリックの関係は、Converged Fabricのネットワークデバイス登録時にネットワーク構成情報(XML定義)に指定します。
指定方法については、「リファレンスガイド (コマンド/XML編) CE」の「15.6.1 作成」を参照してください。
プールと仮想ファブリックの関係
グローバルプールに属するネットワークリソースは、複数のテナントから共用して利用することができ、特定のテナント専用ではありません。このため、グローバルプールに属するネットワークリソースについては、デフォルトVFABに対応しているものとして扱います。
以下に、デフォルトVFABに対応しているとして扱うネットワークリソースを示します。
グローバルプールのネットワークプールに属するネットワークリソース
VFABとの対応が設定されていないテナント配下のネットワークプールに属するネットワークリソース
グローバルプール配下のネットワークリソースは、デフォルトVFABに対応している複数のテナントから共有することができます。デフォルトVFAB以外のVFABに対応しているテナントについては、グローバルプール配下のネットワークリソースは利用できません。
注) VLAN IDは、VFABの範囲内で一意性を保証しています。
仮想ファブリックの自動設定
本製品では、Converged Fabricに対して仮想ファブリックを自動設定することができます。
仮想ファブリックの自動設定は、以下の条件を満たす仮想ファブリックに対して実施します。
Converged Fabricのネットワーク構成情報(XML定義)において、以下の二つの設定がされている。
AutoConfigurationタグが省略されている。
または、AutoConfigurationタグに"true"が設定されている。
Vfabタグのvfabauto属性に"true"が設定されている。
また、以下の場合には、Converged Fabric内の設定情報の変更が必要となりますが、この変更操作についても、本製品で自動設定することができます。
仮想ファブリックの自動設定にともないテナントが仮想ファブリック間を移動する場合
ネットワークリソースやネットワークプールの操作により、リソースが仮想ファブリック間を移動する場合
この変更操作の自動設定は、以下の条件が満たされた場合に実施します。
Converged Fabricのネットワーク構成情報(XML定義)において、移動先の仮想ファブリックに対して、以下の二つの設定がされている。
AutoConfigurationタグが省略されている。
または、AutoConfigurationタグに"true"が設定されている。
Vfabタグのvfabauto属性に"true"が設定されている。
さらに、上記条件に加えて、以下の条件が満たされると、本製品が設定したポートプロファイルに関する仮想ファブリック情報の設定変更が、自動化されます。
ネットワーク構成情報(XML定義)でNetdeviceタグのportprofile属性が省略されている。
または、portprofile属性に"enable"が設定されている。
ただし、デフォルトVFABについては、Converged Fabric導入時点で装置内に既に設定されている仮想ファブリックのため、自動設定の対象とはしません。したがって、デフォルトVFABについては、ネットワーク構成情報(XML定義)のVfabタグのvfabauto属性の指定値は、意味を持ちません。"false"が指定されているものとして扱います。
仮想ファブリックの自動設定は、最初の自動設定のタイミングにおいて、"対象Converged Fabric内に対象仮想ファブリックに関する事前設定がされていない"ことを条件として実行します。この条件は、以下のことが満たされている状態と定義します。
該当仮想ファブリックに対して、vfab useコマンドが実行されていない。かつ
該当仮想ファブリックに対して、vfab modeコマンドが実行されていない。かつ
該当仮想ファブリックに対して、vfab cir-portsコマンドが実行されていない。かつ
該当仮想ファブリックで使用するdot1adモードのポートが、以下のいずれかの状態になっている。
Converged Fabricのインターフェースグループに属していない。
そのdot1adモードのポートだけで構成されたConverged Fabricのインターフェースグループにだけ属している。かつ、そのインターフェースグループにVLANが設定されていない。
上記条件が満たされないために、自動設定が実行できない場合、以下のような動作となります。
Converged Fabricのネットワークデバイス登録時または変更時
登録または変更する自動設定対象の仮想ファブリックのうち、一つでも自動設定ができない場合、Converged Fabricのネットワークデバイス登録または変更が失敗します。
登録または変更が失敗した場合、以下のどちらかの対処を実施後、再度Converged Fabricのネットワークデバイス登録または変更を実施してください。
自動設定ができなかった仮想ファブリックを、ネットワーク構成情報(XML定義)から削除する。
Converged Fabricのハードウェア設定を上記の条件を満たすように変更する。
Converged Fabricのネットワークデバイス一括登録時、または一括変更時
複数のConverged Fabricの登録または変更時、自動設定できない仮想ファブリックが一つでもあるConverged Fabricについては、登録または変更は失敗します。その他のConverged Fabricは、以下のように処理されます
失敗したConverged Fabricより前に定義されているConverged Fabricの登録または変更は正常に実施されます。
失敗したConverged Fabricより後に定義されているConverged Fabricは登録または変更されません。
登録または変更が失敗した場合、以下のどちらかの対処を実施後、失敗したConverged Fabric以降のネットワークデバイスの一括登録または一括変更を再実行してください。
自動設定ができなかった仮想ファブリックをネットワーク構成情報(XML定義)から削除する。
Converged Fabricのハードウェア設定を上記の条件を満たすように変更する。