保管データベースにOracleを使用する場合は、以下の手順で保管データベースの環境設定を行います。
作業項目 |
---|
(1) ディスクスペースの見積もり |
(2) カーネルパラメタの編集 |
(3) 環境変数の設定 |
(4) リスナーの作成 |
(5) 保管データベースの作成 |
(6) リスナーの設定 |
(7) ユーザの作成 |
(8) サービス・ネーミングの設定 |
(9) 保管データベースの動作確認とテーブル作成 |
(10) データベースの自動起動の設定 |
(11) クライアントの接続設定 |
保管データベースをList Worksサーバとは別のサーバ(データベースサーバ)に用意する場合は、クラスタシステムを使用して保管データベースをクラスタ運用することを推奨します。
Oracleデータベースのクラスタ運用を行う場合の環境設定の詳細は、“Oracle Databaseのマニュアル”を参照してください。
保管データベースの環境設定は、Oracleアカウントで行います。Oracleアカウントについては、“Oracle Databaseのマニュアル”を参照してください。
注意
Oracleデータベースのインストールおよびセットアップが完了した状態で実施してください。
ここではOracle 12c R1を基本に説明しています。Oracle 11g R2の保管データベースを構築する場合は“Oracle Databaseのマニュアル”を参照して手順を確認してください。
Oracleデータベースの各種ユーティリティの使用方法については、“Oracle Databaseのマニュアル”を参照してください。
Oracleデータベースの設定項目名は、使用しているバージョンなどにより若干異なる場合があります。
リカバリ構成、プロセス数、キャラクタ・セット、ユーザ名以外の項目については、運用によって変更しても問題ありません。
原則として、保管データベースはノーアーカイブログモードで運用します。Oracleデータベースのアーカイブログモード/ノーアーカイブログモードについては、“Oracle Databaseのマニュアル”を参照してください。
リスト管理サーバでは、データの件数や分布に応じて効率的にデータを参照するための索引を複数用意していますが、データベースの統計情報を固定化したまま運用を続けると、統計情報のデータ分布と実態がかい離してしまい、非効率な実行計画のままSQLを実行してしまうことがあります。
そのため、統計情報を固定化したまま運用せず、運用中は適宜見直しを行ってください。見直しは、Oracleの自動メンテナンスタスクによる自動収集、または定期的に手動での収集を行ってください。統計情報の採取方法の詳細は、“Oracle Databaseのマニュアル”を参照してください。
また、保管データベースがList Worksサーバとは別のサーバ(データベースサーバ)に存在する場合は、作業手順と作業するサーバが以下のように異なります。点付き数字の順番に従って環境設定を行ってください。
作業項目 | 作業するサーバ | |
---|---|---|
データベース | List Worksサーバ | |
(1) ディスクスペースの見積もり | 1. | - |
(2) カーネルパラメタの編集 | 2. | - |
(3) 環境変数の設定 | 3. | - |
(4) リスナーの作成 | 4. | - |
(5) 保管データベースの作成 | 5. | - |
(6) リスナーの設定 | 6. | - |
(7) ユーザの作成 | 7. | - |
(8) サービス・ネーミングの設定 | 8. | - |
(9) 保管データベースの動作確認とテーブル作成 | 9. | - |
(10) データベースの自動起動の設定 | 10. | - |
(11) クライアントの接続設定 | - | 11. |
ここでは、手順の概略を説明しています。Oracleデータベースの環境設定の詳細は、“Oracle Databaseのマニュアル”を参照してください。
(1) ディスクスペースの見積もり
保管データベースの運用に必要なディスク容量の見積もりは、Database見積もりツールを使用して行います。見積もりによって求めた値は、“(5) 保管データベースの作成”でUSERS表領域のサイズとして使用します。
Database見積もりツール(dbmitsumori.xls)は、List Worksのインストールメディアに格納されています。
(2) カーネルパラメタの編集
データベースを使用するには、Linuxのカーネルパラメタを編集する必要があります。
カーネルパラメタの編集については、“Oracle Databaseのマニュアル”を参照してください。
(3) 環境変数の設定
Oracleデータベースのコマンドを使用するために必要な、以下の環境変数を設定します。この環境変数は、保管データベースの作成に必要です。
環境変数 | 設定値 |
---|---|
ORACLE_HOME | Oracleのインストール先ディレクトリ |
PATH | $ORACLE_HOME/bin |
LD_LIBRARY_PATH | $ORACLE_HOME/lib |
NLS_LANG | Japanese_Japan.AL32UTF8 |
(4) リスナーの作成
Oracleデータベースのユーティリティ(Oracle Net Configuration Assistantなど)を使用して、以下のリスナーを作成します。作成中にエラーが発生した場合は、“Oracle Databaseのマニュアル”を参照してください。
リスナー名
LISTENER
プロトコル
TCP
ポート番号
使用されていない任意のポート番号(標準ポート番号1521を使用する場合は、「標準ポート番号の1521を使用」を選択)
(5) 保管データベースの作成
Oracleデータベースのユーティリティを使用して、以下の保管データベースを作成します。
ここでは、Oracle Database Configuration Assistantdを使用した設定をベースにして説明します。
作成中にエラーが発生した場合は、“Oracle Databaseのマニュアル”を参照してください。
作成モード
「拡張モード」を選択します。
データベース・テンプレート
「カスタム・データベース」を選択します。
データベース識別情報
グローバル・データベース名
LWDB
SID
LWDB
「グローバル・データベース名」および「SID」(LWDB)は、原則固定です。すでにOracleデータベースを構築しており、マルチRDB運用を行う場合に、重複しないSIDを設定してください。
管理オプション
Oracle Enterprise Manager Database Expressを使用する場合は、「Enterprise Manager (EM) Database Express の構成」を選択します。
データベース資格証明
管理パスワードの指定方法を選択し、任意のパスワードを指定します。
ネットワーク構成
リスナーの選択
“(4) リスナーの作成”で作成したリスナーを選択します。
記憶域の場所
運用に応じて作成するデータベース・ファイルの位置を指定します。運用管理の点から「すべてのデータベース・ファイルに対して共通の位置を使用」の選択を推奨します。
また、リカバリ関連ファイルについては、「高速リカバリ領域の指定」および「アーカイブ有効化」は選択しません。
データベース・オプション
設定項目の指定はありません。
初期化パラメータ
メモリー
メモリ使用量を指定します。メモリ使用量は大きい方が保管データベースのパフォーマンスが向上します。スワップを使用しない状態で使用可能な物理メモリのサイズを指定します。
「通常設定」を選択した場合は、「自動メモリー管理の使用」を選択してください。「カスタム設定」を選択した場合は、「メモリー管理」は必ず「自動共有メモリー管理」を選択してください。
サイズ指定
「ブロック・サイズ」が8192バイトであることを確認します。保管データベースのデータファイルのサイズが32GB以上になる場合は16384バイトを設定する必要があります。
「プロセス数」に「256」を設定します。
設定後、すべての初期化パラメータ一覧の「sessions」が、以下の値であることを確認します。
異なる場合は、以下の計算式の算出結果に修正します。
sessions = (1.1 × process(注)) + 5
注:すべての初期化パラメータ一覧に表示される項目です。
キャラクタ・セット
「キャラクタ・セット」には「Unicode(AL32UTF8)」を選択します。
接続モード
「専用サーバー・モード」を選択します。
作成オプション
「データベースの作成」、「データベース作成スクリプトの生成」を選択します。
記憶域のカスタマイズ
各表領域のサイズを下表の値に変更します。すでに設定されている値の方が大きい場合は、変更しないでください。
表領域 | タイプ | サイズ(MB) | 増分値(MB) |
---|---|---|---|
SYSAUX | PERMANENT (永続) | 500 | 50 |
SYSTEM | PERMANENT (永続) | 500 | 50 |
TEMP | TEMPORARY (一時) | 1000 | 100 |
UNDOTBS1 | UNDO | 1000 | 100 |
USERS | PERMANENT (永続) | (注) | 200 |
注:Database見積りツールで計算した見積もり結果のサイズを指定してください。
表領域に2GB以上のファイルを使用する場合は「ビッグファイル表領域の使用」を選択します。ビッグファイルの使用については、“Oracle Databaseのマニュアル”を参照してください。
エクステント管理は「ローカル管理表領域の使用」を選択し、割当てに「自動」を指定します。
セグメント領域の管理は「自動セグメント領域管理の使用」を選択します。
(6) リスナーの設定
Oracleデータベースのユーティリティ(Oracle Net Managerなど)を使用して、“(4) リスナーの作成”で作成したリスナー「LISTENER」を以下のように設定します。作成中にエラーが発生した場合は、“Oracle Databaseのマニュアル”を参照してください。
ネットワーク・アドレスの設定
プロトコル
TCP/IP
ホスト
データベースサーバのホスト名、またはIPアドレス
ポート
“(4) リスナーの作成”で設定したポート番号(標準ポートの場合は1521)
データベースの設定
グローバル・データベース名
LWDB
Oracleホーム・ディレクトリ
環境変数「ORACLE_HOME」で指定したディレクトリ
SID
LWDB
(7) ユーザの作成
Oracleデータベースのユーティリティ(Oracle Enterprise Manager Database Expressなど)を使用して、保管データベースで使用する以下のユーザIDを作成します。作成中にエラーが発生した場合は、“Oracle Databaseのマニュアル”を参照してください。
名前
LW (「LW」以外の名前を入力しないでください)
認証
パスワード
パスワードの入力
任意のパスワード
パスワードの確認
「パスワードの入力」で入力したパスワード
プロファイル
DEFAULT
デフォルト表領域
USERS
一時表領域
TEMP
ロール
CONNECT、DBA
(8) サービス・ネーミングの設定
Oracleデータベースのユーティリティ(Oracle Net Managerなど)を使用して、サービス・ネーミング「LWDB」を以下のように設定します。「LWDB」が存在しない場合は作成します。サービス・ネーミングの設定は、SQL*Plusを動作させるために必要です。
作成中にエラーが発生した場合は、“Oracle Databaseのマニュアル”を参照してください。
ネット・サービス名
LWDB
プロトコルの設定
プロトコル
TCP/IP
ホスト名
データベースサーバのホスト名
ポート番号
“(4) リスナーの作成”で設定したポート番号(標準ポートの場合は1521)
サービスの設定
サービス名
LWDB
接続タイプ
データベースのデフォルト
また、サービス・ネーミングの設定後に接続テストを実施する場合は、データベースの接続ユーザとパスワードに“(7) ユーザの作成”で作成したユーザID「LW」とパスワードを設定してください。
(9) 保管データベースの動作確認とテーブル作成
SQL*Plusを起動して、“(7) ユーザの作成”で作成したユーザID「LW」での動作確認とテーブル作成を行います。
テーブル作成用SQLファイルは以下の場所に格納されています。
/opt/FJSVlw-sv/dbsetup/oracle/create/createLWTable.sql
注意
List~Worksサーバとは別にデータベースサーバを用意する場合は、テーブル作成用SQLファイルをデータベースサーバの任意のディレクトリに複写して使用してください。
動作確認および作成中にエラーが発生した場合は、“Oracle Databaseのマニュアル”を参照してください。
以下に手順を示します。
端末エミュレータより「sqlplus」コマンドを実行して「sqlplus」モードになります。
# sqlplus LW/LWに設定したパスワード@LWDB
→「接続されました。」のメッセージが表示されることを確認します。
スプール出力設定
以下の構文を入力し、スプール出力設定をONにします。
SQL> SPOOL /work/createLWTable.log
(/workはログ出力用の作業ディレクトリ)
テーブル作成
入力プロンプトに、以下のテーブル作成SQLファイルを入力して実行します。
SQL> @/opt/FJSVlw-sv/dbsetup/oracle/create/createLWTable.sql
→テーブル作成で正常終了のメッセージが表示されることを確認します。
テーブルが作成できたことを確認します。以下の構文を入力して実行します。
SQL> DESC LW.LW_USER
以下のような結果が表示されれば、保管データベースは正常に構築されています。
SQL> DESC LW.LW_USER 名前 NULL? 型 ------------------------------------------------------------------------ USERID NOT NULL VARCHAR2(60) USERNM VARCHAR2(120) PASSWD VARCHAR2(64) PWDMOD VARCHAR2(17) PWDEXPD NUMBER(4) AUTH NOT NULL VARCHAR2(35) MAIL VARCHAR2(60) NOTES VARCHAR2(192) CREATED NOT NULL VARCHAR2(17) LASTMOD NOT NULL VARCHAR2(17) ISADMIN NOT NULL VARCHAR2(2) SQL>
以下の構文を入力して実行します。
SQL> quit
→SQL*Plusが終了します。
(10) データベースの自動起動の設定
サーバの起動時および停止時に、Oracleデータベースの起動および停止を自動的に行う設定をします。クラスタ運用の場合は、クラスタシステムにより起動および停止が制御されるため、本作業は不要です。
データベースの自動起動の設定方法については、“Oracle Databaseのマニュアル”を参照してください。
(11) クライアントの接続設定
Oracle Clientの設定をします。
Oracle Clientのコマンドを使用するために、以下の環境変数を設定します。
環境変数 | 設定値 |
---|---|
ORACLE_HOME | Oracle Clientのインストール先ディレクトリ |
PATH | $ORACLE_HOME/bin |
LD_LIBRARY_PATH | $ORACLE_HOME/lib |
NLS_LANG | Japanese_Japan.AL32UTF8 |
“(8) サービス・ネーミングの設定”の手順に従って、クライアントのサービス・ネーミングを設定します。