PRIMECLUSTER環境のプロシジャリソースを使ったクラスタアプリケーションにおいて、保守モードを使って保守作業を行うために、Interstageを停止、起動する方法を説明します。保守モードを使用することの利点、リスク、注意事項、およびPRIMECLUSTERでの操作方法については「PRIMECLUSTER 導入運用手引書」、および「RMS導入運用手引書」を参照してください。
なお、保守モードを使った保守作業とは、以下の手順による作業を想定しています。
クラスタアプリケーションの保守モードを開始する
Interstageを停止する
Interstageの保守作業を行う
Interstageを起動する
クラスタアプリケーションの保守モードを終了する
3の保守作業では、Interstage統合コマンド、各サービスのコマンド、およびInterstage管理コンソールを使って、サービスやワークユニットを操作することができます。ただし、以下の点に注意して作業してください。
共用ディスクはOnline状態のクラスタアプリケーションがあるノードからしか参照できません。
引継ぎIPアドレスを使ってアクセスするとOnline状態のクラスタアプリケーションがあるノードにつながります。
保守作業が終わったら、すべてのサービスとワークユニットを停止し、2の直後の状態にしてください。
保守モードを終了したとき、各プロシジャリソースの状態は、保守モードを開始する直前と同じ状態でなくてはなりません。このため、上の2、4では、"4.7.2.2 Interstageの停止・起動方法"で説明する方法で、Interstageを停止・起動してください。また、操作はすべて管理者権限で行ってください。
注意
本節の説明は、製品で提供している以下の状態遷移プロシジャのサンプルを"4.2.5.1.1 状態遷移プロシジャの修正"で説明した範囲で修正して使用している場合のみ有効です。
IS_INTERSTAGE
ES_INTERSTAGE
IREP_INTERSTAGE
SSO_INTERSTAGE
OTS_RMP_INTERSTAGE
IJSERVER_INTERSTAGE
ODWU_INTERSTAGE
UTYWU_INTERSTAGE
TDWU_INTERSTAGE
保守モード中にInterstageを停止、および起動するためには、事前に以下の準備が必要です。
状態遷移プロシジャを用意する
プロシジャリソースとして登録しているすべての状態遷移プロシジャをclgetprocコマンドで任意のディレクトリに取り出してください。また取り出した状態遷移プロシジャには、管理者に対して実行権限を与えてください。
プロシジャリソースの"リソースクラス内の起動優先度"と"リソースID"を確認する
cldspprocコマンドを使用して、プロシジャリソースの"リソースクラス内の起動優先度"を確認してください。
リソースIDはノードごとに異なるので、必ず運用ノード・待機ノードの両ノードの情報を確認してください。
注意
状態遷移プロシジャを誤って実行すると、業務停止につながる恐れがあります。保守作業が終わったら取り出した状態遷移プロシジャは削除する、または保守作業を行う人以外がアクセスできないようにアクセス権を設定するなどして、不用意に実行されないように管理してください。
保守モード開始直後にInterstageを停止する、または保守モード終了直前にInterstageを起動する場合には、本節に従って停止・起動を行ってください。なお、以降の説明では、以下のように表記してます。
"*_INTERSTAGE"は、clgetprocコマンドで取り出した状態遷移プロシジャのファイル名です。
太字の文字列は状態遷移プロシジャに渡すパラメタです。<>でくくられた文字列以外は、すべて大文字で、例の通りに指定してください。
<>でくくられた文字列は、実行環境によって変わる値です。<リソースID>、および<ridn>(n=1~9)は、cldspprocコマンドで確認したプロシジャリソースのリソースIDを表します。
Online状態のクラスタアプリケーションがあるノードを運用ノード、Standby状態のクラスタアプリケーションがあるノードを待機ノードと呼びます。
待機ノードでの停止
Applicationクラスに登録した状態遷移プロシジャを起動優度の低い順に実行してから、BasicApplicationクラスに登録した状態遷移プロシジャを起動優先度の低い順に実行してください。同一リソースクラスの起動優先度の同じ状態遷移プロシジャについては、実行順序は任意です。
状態遷移プロシジャのパラメタには、以下を指定してください。
STOP WAIT BEFORE <リソースID> STOPDOWN SERVICE
実行した状態遷移プロシジャの終了状態が0であることを確認してから、次の状態プロシジャを実行してください。
例
以下に、状態遷移プロシジャの実行例を示します。以下の例では、終了状態の確認を省略して記載しています。
# cd <状態遷移プロシジャを取り出したディレクトリ>
# ./UTYWU_INTERSTAGE STOP WAIT BEFORE <rid1> STOPDOWN SERVICE
# ./IJSERVER_INTERSTAGE STOP WAIT BEFORE <rid2> STOPDOWN SERVICE
# ./ODWU_INTERSTAGE STOP WAIT BEFORE <rid3> STOPDOWN SERVICE
# ./TDWU_INTERSTAGE STOP WAIT BEFORE <rid4> STOPDOWN SERVICE
# ./ES_INTERSTAGE STOP WAIT BEFORE <rid5> STOPDOWN SERVICE
# ./OTS_RMP_INTERSTAGE STOP WAIT BEFORE <rid6> STOPDOWN SERVICE
# ./SSO_INTERSTAGE STOP WAIT BEFORE <rid7> STOPDOWN SERVICE
# ./IS_INTERSTAGE STOP WAIT BEFORE <rid8> STOPDOWN SERVICE
# ./IREP_INTERSTAGE STOP WAIT BEFORE <rid9> STOPDOWN SERVICE
待機ノードでの起動
BasicApplicationクラスに登録した状態遷移プロシジャを起動優度の高い順に実行してから、Applicationクラスに登録した状態遷移プロシジャを起動優先度の高い順に実行してください。同一リソースクラスの起動優先度の同じ状態遷移プロシジャについては、実行順序は任意です。
状態遷移プロシジャのパラメタには、以下を指定してください。
START WAIT AFTER <リソースID> STARTUP SERVICE
実行した状態遷移プロシジャの終了状態が0であることを確認してから、次の状態プロシジャを実行してください。
例
以下に、状態遷移プロシジャの実行例を示します。以下の例では、終了状態の確認を省略して記載しています。
# cd <状態遷移プロシジャを取り出したディレクトリ>
# ./IREP_INTERSTAGE START WAIT AFTER <rid9> STARTUP SERVICE
# ./IS_INTERSTAGE START WAIT AFTER <rid8> STARTUP SERVICE
# ./SSO_INTERSTAGE START WAIT AFTER <rid7> STARTUP SERVICE
# ./OTS_RMP_INTERSTAGE START WAIT AFTER <rid6> STARTUP SERVICE
# ./ES_INTERSTAGE START WAIT AFTER <rid5> STARTUP SERVICE
# ./TDYWU_INTERSTAGE START WAIT AFTER <rid4> STARTUP SERVICE
# ./ODWU_INTERSTAGE START WAIT AFTER <rid3> STARTUP SERVICE
# ./IJSERVER_INTERSTAGE START WAIT AFTER <rid2> STARTUP SERVICE
# ./UTYWU_INTERSTAGE START WAIT AFTER <rid1> STARTUP SERVICE
運用ノードでの停止と起動
運用ノードでInterstage Application Serverを停止・起動するには、"待機ノードでの停止"、および"待機ノードでの起動"で説明した状態遷移プロシジャに渡すパラメタを、以下のように変更してください。
第二パラメタ"WAIT"を、"RUN"に変更してください。
運用ノードでの停止のパラメタ:
STOP RUN BEFORE <リソースID> STOPDOWN SERVICE
運用ノードでの起動のパラメタ:
START RUN AFTER <リソースID> STARTUP SERVICE
第四パラメタの<リソースID>には、状態遷移プロシジャを実行するノードでの値を指定してください。
エラー時の対処
状態遷移プロシジャの終了状態が0でない場合、状態遷移プロシジャの実行に失敗しています。
シスログに出力されているメッセージから、以下のマニュアルを参照して、失敗の原因を取り除いてください。
Interstage Application Server メッセージ集
Interstage Application Server トラブルシューティング集
PRIMECLUSTER 活用ガイド<メッセージ集>
PRIMECLUSTER 活用ガイド<トラブルシューティング集>
なお、マニュアルの名称は、製品のバージョン/レベルによって異なる場合があります。