SNMPトラップXML定義ファイルを用いて、障害監視方法をカスタマイズできます。このファイルは、マネージャー側とエージェント側で定義します。
障害管理する各装置(サーバノードを含む)からSNMPトラップを受信した時のイベントログのメッセージ、Systemwalker Centric Manager連携、Shell/Bat連携、外部スクリプト連携の動作を定義できます。ストレージシステムの運用環境に応じて、マネージャー側でのこれらの処理をデフォルトから変更したい場合にカスタマイズしてください。
このファイルを作成することで、サポートレベルIの装置も、サポートレベルAおよびBと同等の障害監視を実現できます。
エージェントのサーバノードに対する障害監視方法を定義します。エージェントの障害監視方法をデフォルトから変更したい場合にカスタマイズしてください。
設定ファイルの反映方法
マネージャー側の設定ファイルは動的に本製品に読み込まれるため、特別な反映方法はありません。
エージェント側の設定ファイルは静的に本製品に読み込まれるため、反映するにはエージェントの再起動が必要です。
カスタマイズ
注意
XML定義ファイルに誤りがある場合は、イベントログに下記の形式でメッセージが出力されます。このとき、障害レベルはInformationレベルで通知されます。また、Systemwalker Centric Manager連携・Shell/Bat連携も動作しません。
メッセージ形式:"XML parse error (detected trap: (SNMPトラップデータ文字列))"
Systemwalker Centric Managerに通知されるときのswsagコードは、一部の装置を除き、すべて4821となります。
SNMPトラップ処理をカスタマイズする場合は、カスタマイズディレクトリ内の定義ファイルを編集するようにし、インストールディレクトリ内の定義ファイルを編集しないでください。
SNMPトラップXML定義ファイルは、装置ごとに作成され、マネージャーのインストール時、アップグレード時に以下のディレクトリに格納されます。
マネージャーのOS種別 | 絶対パス名 |
---|---|
Windows | $INS_DIR\ESC\Manager\opt\FJSVssmgr\lib\snmpth |
Solaris OS、 | /opt/FJSVssmgr/lib/snmpth |
カスタマイズする際は、上記ディレクトリのSNMPトラップXML定義ファイルを以下のカスタマイズ用ディレクトリにコピーし、コピーしたファイルを編集してください。
マネージャーのOS種別 | 絶対パス名(カスタマイズ用) |
---|---|
Windows | $ENV_DIR\ESC\Manager\etc\opt\FJSVssmgr\current\snmpth |
Solaris OS、 | /etc/opt/FJSVssmgr/current/snmpth |
マネージャーの動作は、以下のようになります。
カスタマイズ用ディレクトリにSNMPトラップXML定義ファイルがある場合
カスタマイズ用ディレクトリのファイル内容に従います。
カスタマイズ用ディレクトリにSNMPトラップXML定義ファイルがない場合
インストールディレクトリ内のファイル内容(デフォルト)に従います。
ファイル名は、装置のトラップに含まれるエンタープライズコードの"."を"_"に置き換えたものです。
装置種 | ファイル名 |
---|---|
ETERNUS DX60 S4/DX100 S4/DX200 S4 | 1_3_6_1_4_1_211_4_1_1_126_1_150.xml |
ETERNUS DX8000 S4 series | 1_3_6_1_4_1_211_4_1_1_126_1_153.xml |
ETERNUS DX8000 S3 series | 1_3_6_1_4_1_211_4_1_1_126_1_152.xml |
ETERNUS DX60 S2 | 1_3_6_1_4_1_211_4_1_1_126_1_101.xml |
ETERNUS DX80 S2/DX90 S2 | 1_3_6_1_4_1_211_4_1_1_126_1_100.xml |
ETERNUS DX8000 S2 series | 1_3_6_1_4_1_211_4_1_1_126_1_102.xml |
ETERNUS DX60 | 1_3_6_1_4_1_211_4_1_1_126_1_60.xml |
ETERNUS DX400 series | 1_3_6_1_4_1_211_4_1_1_126_1_50.xml |
SN200、Brocade、 | 1_3_6_1_4_1_1588_2_1_1_1.xml |
CFX2000 series、 | 1_3_6_1_4_1_211_1_127_118_2.xml |
ETERNUS LT20(SCSI) | 1_3_6_1_4_1_11_2_36_1.xml |
ETERNUS LT200 | 1_3_6_1_4_1_119_1_83_1_21.xml |
ETERNUS LT210/LT220/LT230 | 1_3_6_1_4_1_119_1_83_1_1.xml |
ETERNUS LT250 | 1_3_6_1_4_1_211_4_1_1_126_3_5.xml |
ETERNUS LT140/LT260 | 1_3_6_1_4_1_20884_3.xml |
ETERNUS LT270 | 1_3_6_1_4_1_211_4_1_1_126_3_2.xml |
ETERNUS LT270 S2 | 1_3_6_1_4_1_211_4_1_1_126_3_6.xml |
テープ暗号化装置 | 1_3_6_1_4_1_2021_250_10.xml |
Fibre Alliance MIBサポート装置 | 1_3_6_1_3_94.xml |
ETERNUS NR1000 series | 1_3_6_1_4_1_789.xml |
ETERNUS VS850 | 1_3_6_1_4_1_2_6_190.xml |
ETERNUS LT20/LT20 S2/LT40/LT40 S2/LT60 S2 (SAS/FC) | 1_3_6_1_4_1_20884_10893_2_101_3.xml |
ETERNUS CS2000 | 1_3_6_1_4_1_231_2_48_2_0.xml |
ETERNUS VX700 series | 1_3_6_1_4_1_211_1_21_4_1_50.xml |
ETERNUS TR series | 1_3_6_1_4_1_41456_1_1.xml |
ETERNUS DA700 | 1_3_6_1_4_1_258_120_102_3.xml |
性能管理からのイベント | 1_3_6_1_4_1_211_4_1_3_21_3.xml |
Solaris OS版またはWindows版エージェントからのイベントでマルチパス関係 | 1_3_6_1_4_1_211_4_1_3_21_2.xml (注1) |
Solaris OS版エージェントからのSafe/PRIMECLUSTER GD、PRIMECLUSTER GFSシリーズのイベント | 1_3_6_1_4_1_211_4_1_3_21_2_2.xml (注1)(注2) |
Solaris OS版エージェントからのマルチパス関係のイベント | 1_3_6_1_4_1_211_4_1_3_21_2_21.xml (注1)(注2) |
Windows版エージェントからのマルチパス関係のイベント | 1_3_6_1_4_1_211_4_1_3_21_2_5.xml (注1)(注2) |
Windows版エージェントからのMPIOのイベント | 1_3_6_1_4_1_211_4_1_3_21_2_51.xml (注1)(注2) |
Linux版エージェントからのETERNUS Multipath Driverのイベント | 1_3_6_1_4_1_211_4_1_3_21_2_3.xml (注1)(注2) |
Linux版エージェントからのPRIMECLUSTER GD、PRIMECLUSTER GFSシリーズのイベント | 1_3_6_1_4_1_211_4_1_3_21_2_31.xml (注1)(注2) |
Linux版エージェントからのDevice-Mapper Multipathのイベント | 1_3_6_1_4_1_211_4_1_3_21_2_32.xml (注1)(注2) |
HP-UX版エージェントからのLVM(PV-Links)のイベント | 1_3_6_1_4_1_211_4_1_3_21_2_4.xml (注1)(注2) |
HP-UX版エージェントからのHBAドライバのイベント | 1_3_6_1_4_1_211_4_1_3_21_2_41.xml (注1)(注2) |
AIX版エージェントからのイベントでマルチパス関係 | 1_3_6_1_4_1_211_4_1_3_21_2_6.xml (注1)(注2) |
エージェントからのSNMPトラップ設定確認テスト | 1_3_6_1_4_1_211_4_1_3_21_2_2.xml (注3) |
注1: このファイルは「定義ファイルの形式」の「定義内容」のうち、動作定義(flag属性)のSystemwalker Centric Manager連携(ただし、Shell/Bat連携の制御だけでSystemwalker Centric Manager連携はできません)、および外部スクリプト連携1、外部スクリプト連携2のon/off設定だけ変更可能です。障害レベルおよびメッセージは変更できません。
注2: このファイルを更新する場合は、エージェントの同名ファイルと同じ内容に更新する必要があります。
注3: テスト用SNMPトラップでは、Specific Trap Type番号として1番を利用します。
上記以外の装置に対しても、装置のエンタープライズコードを基にXMLファイルを作成することにより、装置に対するSNMPトラップ 処理が可能です。
SNMPトラップXML定義ファイルの格納場所は、以下のとおりです。
エージェントのOS種別 | 絶対パス名 |
---|---|
Windows | $ENV_DIR\ESC\Agent\etc\snmpth |
Solaris OS、 | /etc/opt/FJSVssage/snmpth |
エージェントは、起動時にこのファイルを読み込んで動作します。このため、変更した内容をエージェントに反映するには、エージェントの再起動が必要です。
ファイル名は、エージェントがマネージャーに発行するトラップのエンタープライズコードの"."を"_"に置き換えたものです。
サーバノード | ファイル名(注) | 監視対象 |
---|---|---|
Solaris OS | 1_3_6_1_4_1_211_4_1_3_21_2_2.xml | Safe/PRIMECLUSTER GD、PRIMECLUSTER GFSシリーズ |
1_3_6_1_4_1_211_4_1_3_21_2_21.xml | ETERNUS Multipath Driver | |
1_3_6_1_4_1_211_4_1_3_21_2_22.xml | EMC PowerPath | |
1_3_6_1_4_1_211_4_1_3_21_2_23.xml | HITACHI JP1/HiCommand Dynamic Link Manager | |
1_3_6_1_4_1_211_4_1_3_21_2_24.xml | Sun MPxIO | |
Windows | 1_3_6_1_4_1_211_4_1_3_21_2_5.xml | ETERNUS Multipath Driver |
Linux | 1_3_6_1_4_1_211_4_1_3_21_2_3.xml | ETERNUS Multipath Driver |
1_3_6_1_4_1_211_4_1_3_21_2_31.xml | PRIMECLUSTER GD、PRIMECLUSTER GFSシリーズ | |
1_3_6_1_4_1_211_4_1_3_21_2_32.xml | Device-Mapper Multipath | |
HP-UX | 1_3_6_1_4_1_211_4_1_3_21_2_4.xml | PV-LINK(LVMの機能) |
1_3_6_1_4_1_211_4_1_3_21_2_41.xml | HBAドライバ | |
AIX | 1_3_6_1_4_1_211_4_1_3_21_2_6.xml | MPIO |
注: このファイルを更新する場合は、マネージャーの同名ファイルと同じ内容に更新する必要があります。
定義ファイルには、トラップのSpecific Trap Typeごとに、以下の項目について動作を定義します。
項目 | 内容 |
---|---|
動作定義 | 画面に状態変化の通知を表示する/しない イベントログを出力する/しない Systemwalker Centric Manager連携、Shell/Bat連携を行う/行わない 外部スクリプト連携1を行う/行わない 外部スクリプト連携2を行う/行わない |
障害レベル | 各イベント、Systemwalker Centric Manager連携通知のレベル |
メッセージ | イベントおよびSystemwalker Centric Manager連携に出力するメッセージ |
タグのノード階層は以下のようになります。
属性名 | 内容 |
---|---|
name | 装置名 |
ver | この定義ファイルのVersion |
外部スクリプト連携を利用するときにスクリプト名を定義します。ExternalScript1タグが外部スクリプト連携1、ExternalScript2タグが外部スクリプト連携2になります。
ここで定義したスクリプトは、TrapTypeタグやConvertタグのflag属性で該当する連携bitをonにすることで実行されます。
ExternalScript1タグ、ExternalScript2タグは、TrapTypeタグ定義よりも前行に定義する必要があります。
属性名 | 内容 |
---|---|
name | 実行するスクリプト名(フルパス指定) |
Specific Trap Type単位にそのトラップの解析動作を定義します。このタグで定義しないTypeのトラップは、解析処理を行わず破棄されます。
属性名 | 内容 |
---|---|
type | "ST" + Specific Trap Type番号(10進数) |
flag | イベント、Systemwalker Centric Manager連携、スクリプト連携、およびメール通知の動作を、2進数9bitで定義します。 0はoff、1はonと解釈されます。 bit8 … (変更不可) 例えば、Systemwalker Centric Manager連携だけをonにするには、flag="000001000"と記述します。 なお、4bit分しか記述していない場合、bit4~bit8は0と解釈されます。 |
level | イベントおよびSystemwalker Centric Managerへの通知レベルを定義します。 I … Information |
msg | イベント、Systemwalker Centric Manager連携および外部スクリプト連携で表示するメッセージを定義します。メッセージには、以下のパラメーターを含めることができます。 %d … 10進数 パラメーターを含めた分、ARGタグを定義する必要があります。 %に続く文字がd、x、s以外の場合、その%はそのまま表示されます。 |
注1: Informationイベントのメール通知を有効にする場合、または、WarningイベントおよびErrorイベントのメール通知を無効にする場合に、onに設定します。
注2: エージェントのイベントはSystemwalker Centric Managerに通知されないため、エージェントの定義ファイルではShell/Bat連携の制御だけとなります。
ARGタグは、TrapTypeタグのmsg属性内で指定したパラメーターとトラップデータ内のVariable Bindingのインデックスの対応を定義します。このARGタグは、msg属性内で指定したパラメーターと同じ数分定義する必要があります。
属性名 | 内容 |
---|---|
index | TrapTypeタグのmsg属性値に含まれるパラメーターのインデックス番号(0~) |
VBIndex | トラップデータ内のVariable Bindingのインデックス番号(0~) |
Convertタグは、トラップのINTEGERタイプのデータ値に対する文字列表現を定義します。このタグの定義は必須ではありません。例えば、トラップデータ値0がステータスOKを示す場合、<Convert val="0" name="OK"/>と定義することで、イベントメッセージに"0"ではなく"OK"という文字列を表示できます。
また、flag属性、level属性(オプション)の指定によって、TrapTypeタグのlevel属性で指定した障害レベルを変更して通知できます(msg属性に複数のARGがあり、それぞれのConvertタグにflag属性またはlevel属性がある場合は、最後のARGのConvertタグの指定が採用されます)。
属性名 | 内容 |
---|---|
val | トラップ内のINTEGERタイプのデータ数値(10進数) |
flag (オプション) | イベント、Systemwalker Centric Manager連携、スクリプト連携、メール通知制御(2進数7bit) 値は「TrapTypeタグ」を参照 |
level (オプション) | 障害レベル'I' or 'W' or 'E' TrapTypeタグよりも優先される |
name | valに対応する文字列 |
定義に存在しない値を受信した場合は、そのまま数値表現で表示されます。
MSGタグは、サーバノードエージェントが監視する監視キーワードを定義します。このMSGタグは、サーバノードエージェントだけに有効です。
Windows版エージェントの場合: id属性、src属性、type属性で監視します(key属性は無視されます)。
Windows版以外のエージェントの場合: key属性で監視します(id属性、src属性、type属性は無視されます)。
属性名 | 内容 |
---|---|
key | 監視する監視キーワード(Windows版以外のエージェントの場合必須) |
id | 監視するイベントのイベントID(Windows版エージェントの場合必須) |
src | 監視するイベントのソース名(Windows版エージェントの場合必須) |
line | VALタグを使用(監視イベントの部分文字列を通知情報に追加)する場合、監視イベントの行数をline属性に指定する。1行の場合またはWindowsの場合は、line属性を省略できる。 |
type | 監視するイベントログの種類を指定する。(Windows版エージェントの場合だけ有効)
|
監視キーワードを変更したい場合は、このキーワードを変更します。
監視キーワードには、正規表現を指定することもできます。
新たに監視する監視キーワードを追加したい場合は、TrapTypeタグ以降を追加します。この時、Specific Trap Type番号が重複しないように指定してください。
VALタグは、監視イベントから文字列を抽出して通知情報に追加する方法を定義します。このVALタグは、サーバノードエージェントだけに有効です。
属性名 | 内容 |
---|---|
ref | 通知する情報に追加する値を( )で指定する。()内は正規表現で指定。 |
SNMPトラップ制御ではTrapTypeタグのtype属性をID属性として検索するため、XML定義ファイルに以下のDTDの記述が必要です。
<!DOCTYPE SNMPTrapControl[ <!ATTLIST TrapType type ID #REQUIRED> ]>
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?> <!DOCTYPE SNMPTrapControl[ <!ATTLIST TrapType type ID #REQUIRED> ]> <SNMPTrapControl name="SW3800" ver=1.0"> <TrapType type="ST1" flag="111111" level="E" msg="Faulty reason: %d"> <ARG index="0" VBIndex="0"> <Convert val="0" flag="000110" level="I" name="sw-ok"/> <Convert val="1" name="sw-faulty"/> </ARG> </TrapType> <TrapType type="ST2" flag="000111" level="E" msg="%s: is currently in state %d"> <ARG index="0" VBIndex="4"/> <ARG index="1" VBIndex="0"> <Convert val="1" name="unknown"/> <Convert val="2" name="faulty"/> <Convert val="3" name="below-min"/> <Convert val="4" flag="000110" level="I" name="nominal"/> <Convert val="5" name="above-max"/> <Convert val="6" name="absent"/> </ARG> </TrapType> </SNMPTrapControl>
例
ETERNUS SN200 series、Brocade seriesのFCポートOnline/Offlineトラップの抑止方法
ETERNUS SN200 series、Brocade seriesのFCポートOnline/Offlineトラップを抑止したい場合は、該当XML定義ファイルについて下記の箇所を変更してください。
type属性が"ST3"の<ARG index="1" VBIndex="0">内の Convertタグの val="1"およびval="2"について、flag属性を"000000"に変更。
<Convert val="1" flag="000000" level="I" swsag="4203" name="Online"/> <Convert val="2" flag="000000" level="I" swsag="4203" name="Offline"/>