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PRIMECLUSTER Global Disk Services  説明書 4.3
FUJITSU Software

7.5.6 バックアップ手順

4) プロキシグループの分離

等価性コピーが完了すると、マスタグループとプロキシグループは等価性維持状態になります。等価性維持状態のマスタグループとプロキシグループを分離することにより、プロキシグループにマスタグループのスナップショットを採取します。

4-1) ファイルシステムの整合性を確保します。

スナップショットのファイルシステムの整合性を確保するには、ファイルシステムの更新を抑止する必要があります。しかし、/、/usr、/var などのファイルシステムは、システムが動作するのに必要であるため、システム運用中にはマウント解除できません。以下の方法で、システムディスクへの書込みや、システムディスクに未反映の書込みが少ない状態にしてください。

  1. システムをシングルユーザモードで起動します。(省略可能)

  2. システムディスクに書込みを行っているアプリケーションプログラムを停止します。(省略可能)

  3. sync(1) コマンドを実行することにより、メモリ上で更新されてディスクにまだ書き込まれていないファイルシステムのデータをディスクに書き込みます。

a.、b.、c. をすべて実施しても、ファイルシステムの更新を完全には抑止できません。そのため、スナップショットのファイルシステムには、システムパニック発生後と同様な不整合が生じる場合があります。

a.、b.、c. をすべて実施した場合、スナップショットのファイルシステムは、シングルユーザモードでパニックが発生した後のファイルシステムと同様な状態になります。

a.、b. を省略して c. のみ実施した場合、スナップショットのファイルシステムは、システム運用中にパニックが発生した後のファイルシステムと同様な状態になります。

どちらの場合も、ファイルシステムに不整合が生じる場合があるため、手順 5-2) で整合性のチェックと修復を行う必要があります。

4-2) 手順 4-1) の a. でシングルユーザモードで起動した場合は、GDS のサービスを起動します。

4-3) プロキシグループを分離します。

# sdxproxy Part -c System -p Proxy1,Proxy2

参照

GDS 運用管理ビューを使用する場合は、「7.8.1.2 操作手順」の「プロキシ分離」を参照してください。

4-4) 手順 4-1) の a. でシングルユーザモードで起動した場合は、マルチユーザモードで再起動します。

4-5) 手順 4-1) の b. でアプリケーションプログラムを停止した場合は、アプリケーションプログラムを起動します。


5) 代替ブート環境の作成

システムディスクの故障やデータ破損に備えて、プロキシボリュームからブートできるように設定を行います。

5-1) プロキシボリュームのアクセスモード属性を rw (読書き用) に変更します。

プロキシグループに作成されたプロキシボリュームのアクセスモード属性が ro (読取り専用) の場合は、rw (読書き用) に変更します。アクセスモード属性は、sdxinfo -V -e long コマンドの出力の MODE フィールドで確認できます。アクセスモード属性がすでに rw (読書き用) に設定されている場合は、下記のコマンドを実行する必要はありません。

# sdxvolume -F -c System -v Proot,Pboot,Pefi,Pswap,Pvar,Pusr
# sdxattr -V -c System -v Proot -a mode=rw
# sdxattr -V -c System -v Pboot -a mode=rw
# sdxattr -V -c System -v Pefi -a mode=rw
# sdxattr -V -c System -v Pswap -a mode=rw
# sdxattr -V -c System -v Pvar -a mode=rw
# sdxattr -V -c System -v Pusr -a mode=rw

5-2) プロキシボリューム上のファイルシステムのチェックと修復を行います。

プロキシボリューム上のファイルシステムには不整合が生じている場合があるため、fsck(8) コマンドを使ってチェックと修復を行います。ファイルシステムタイプが xfs の場合は、fsck(8) ではなく xfs_repair(8) を使用します。

# sdxvolume -N -c System -v Proot,Pboot,Pefi,Pswap,Pvar,Pusr
# fsck /dev/sfdsk/System/dsk/Proot
# fsck /dev/sfdsk/System/dsk/Pboot
# fsck /dev/sfdsk/System/dsk/Pefi
# fsck /dev/sfdsk/System/dsk/Pvar
# fsck /dev/sfdsk/System/dsk/Pusr

5-3) 代替ブート環境の設定を行います。

# sdxproxy Root -c System -p Proxy1,Proxy2

代替ブート環境の設定が完了すると、以下のようなメッセージが出力されます。

SDX:sdxproxy: INFO: completed definitions of alternative boot environment: 
current-boot-device=Root1 Root2
alternative-boot-device=Proot1 Proot2

出力された現用ブート環境のブートデバイス名 (current-boot-device の値) と代替ブート環境のブートデバイス名 (alternative-boot-device の値) を控えておいてください。

5-4) プロキシボリュームを停止します。

代替ブート環境のデータを不当な書込みから保護するために、プロキシボリュームを停止します。

	# sdxvolume -F -c System -v Proot,Pboot,Pefi,Pswap,Pvar,Pusr

参考

GDS 運用管理ビューを使用する場合は、メイン画面でプロキシボリュームを選択し、[操作]:[ボリューム停止] を実行します。


6) 代替ブート環境の確認 (省略可能)

代替ブート環境でブートできることを確認します。

6-1) 代替ブート環境からシステムをブートします。

EFI ブートマネージャのブートオプション選択画面に表示されるブートデバイスの中から、手順 5-3) のメッセージで出力された代替ブート環境のブートデバイスのうちの 1 つを選択します。

EFI Boot Manager ver 1.10

Please select a boot option

  Root1
  Root2
  Proot1 選択
  Proot2
  ...

Use ↑ and ↓ to change option(s). Use Enter to select an option

6-2) シングルユーザモードで起動された場合、マルチユーザモードで再起動します。

手順 4-1) の a. でシングルユーザモードで起動した場合、代替ブート環境はシングルユーザモードで起動されます。この場合、マルチユーザモードで起動されるように設定を変更してからシステムを停止し、再度手順 6-1) を実行します。マルチユーザモードで起動されるように設定する方法については、「A.10 システムのランレベルの変更」 を参照してください。

6-3) 正常にブートできていることを確認します。

mount(8) コマンドや sdxinfo コマンドを使って、代替ブート環境で正しくブートされていることと、GDS のオブジェクトの状態に異常がないことを確認してください。また、必要に応じて、代替ブート環境のファイルシステムの内容に問題がないこと、アプリケーションが正常に動作できることなどを確認してください。

6-4) 元のブート環境に戻します。

EFI ブートマネージャのブートオプション選択画面に表示されるブートデバイスの中から、手順 5-3) のメッセージで出力された現用ブート環境のブートデバイスのうちの 1 つを選択します。

EFI Boot Manager ver 1.10

Please select a boot option

  Root1 選択
  Root2
  Proot1
  Proot2
  ...

Use ↑ and ↓ to change option(s). Use Enter to select an option

6-5) プロキシボリュームを停止します。

代替ブート環境のデータを不当な書込みから保護するために、プロキシボリュームを停止します。

# sdxvolume -F -c System -v Proot,Pboot,Pefi,Pswap,Pvar,Pusr

参考

GDS 運用管理ビューを使用する場合は、メイン画面でプロキシボリュームを選択し、[操作]:[ボリューム停止] を実行します。


7) プロキシグループの再結合

システムディスクのバックアップを再度行う場合、システムディスクのグループ (マスタグループ) に、バックアップ用のディスクのグループ (プロキシグループ) を再結合することにより、システムディスクの内容をバックアップ用のディスクに再度コピーします。

注意

再結合では、高速等価性回復機構 (JRM) によりマスタおよびプロキシの更新ブロックのみがコピーされるため、コピーは短時間で完了します。ただし、プロキシを分離した後にシステムを再起動した場合は、JRM が無効となり、再結合の際にはボリューム全体がコピーされます。したがって、手順 4-4) や手順 6) でシステムを再起動した場合は、手順 7-1) の再結合では高速等価性回復コピーではなくボリューム全体のコピーが行われます。

7-1) プロキシグループを再結合します。

# sdxproxy Rejoin -c System -p Proxy1,Proxy2

参照

GDS 運用管理ビューを使用する場合は、「7.8.1.2 操作手順」の「プロキシ再結合」を参照してください。

7-2) 等価性コピーの完了を確認します。

# sdxinfo -S -c System
OBJ CLASS GROUP DISK VOLUME STATUS ------ ------- ------- ------- ------- -------- slice System Group1 Root1 root ACTIVE slice System Group1 Root2 root ACTIVE slice System Group1 Root1 boot ACTIVE slice System Group1 Root2 boot ACTIVE slice System Group1 Root1 efi ACTIVE slice System Group1 Root2 efi ACTIVE slice System Group2 Var1 swap ACTIVE slice System Group2 Var2 swap ACTIVE slice System Group2 Var1 var ACTIVE slice System Group2 Var2 var ACTIVE slice System Group2 Var1 usr ACTIVE slice System Group2 Var2 usr ACTIVE slice System Proxy1 Proot1 Proot STOP slice System Proxy1 Proot2 Proot STOP slice System Proxy1 Proot1 Pboot STOP slice System Proxy1 Proot2 Pboot STOP slice System Proxy1 Proot1 Pefi COPY slice System Proxy1 Proot2 Pefi COPY slice System Proxy2 Pvar1 Pswap STOP slice System Proxy2 Pvar2 Pswap STOP slice System Proxy2 Pvar1 Pvar COPY slice System Proxy2 Pvar2 Pvar COPY slice System Proxy2 Pvar1 Pusr COPY slice System Proxy2 Pvar2 Pusr COPY

等価性コピー中は、コピー先プロキシグループのスライスの STATUS フィールドに COPY と表示されます。プロキシグループのスライスの STATUS がすべて STOP になっていれば、等価性コピーは完了しています。

参考

GDS 運用管理ビューのメイン画面では、プロキシボリュームを構成するスライスの表示は以下のようになります。

  • 等価性コピー中は、copy 状態になり、青色のアイコンが表示される。

  • 等価性コピーが完了すると、stop 状態になり、黒いアイコンが表示される。

7-3) 手順 4) ~ 6) に従って、プロキシグループの分離、代替ブート環境の設定、代替ブート環境の確認を行います。