sdxrootck は、UFS ブート環境において、システムディスクのミラーリングの設定、および、ルートクラスの設定が完全に解除されているか確認するコマンドです。
設定が完全に解除されていないと、再設定を行った際にエラーが発生し、再設定に失敗することがあります。そのような場合に、本コマンドを使用して、設定が解除されていない箇所と解除する方法を調べることができます。
以下のような操作を行った場合、設定が完全に解除されていない状態になることがあります。
システムディスクおよびルートクラスの設定を、運用管理ビューまたはコマンドを使用せずに、OS のコマンドなどを使用して解除した。
システムディスクおよびルートクラスの設定を解除せずに、OS を再インストールした。
PRIMECLUSTER を使用しているシステムで、システムディスクおよびルートクラスの設定をシングルユーザモードで解除した。
sdxrootck は、システムディスクおよびルートクラスの設定情報が格納されている、以下のファイルおよび物理ディスクの状態を確認します。
/etc/system ファイル
/etc/vfstab ファイル
/kernel/drv/sfdsk.conf ファイル
物理ディスクの占有スライス
物理ディスクのジオメトリ情報
PRIMECLUSTER のリソースデータベースのクラスリソース
PRIMECLUSTER のリソースデータベースのディスクリソース
本コマンドは、システムディスクおよび指定された物理ディスクにアクセスしますが、書込みは行いません。
本コマンドは、スーパユーザ権限を持つユーザだけが、実行できます。
注意
sdxrootck コマンドは、ZFS ブート環境では使用できません。
1) PRIMECLUSTER を使用している場合は、システムをマルチユーザモードにして、PRIMECLUSTER を起動します。
2) 操作の履歴をファイルに記録しておくために、script コマンドを実行します。
# script
Script started, file is typescript
以降の端末への出力は、カレントディレクトリの typescript という名前のファイルに記録されます。この手順は必須ではありませんが、操作の履歴を記録しておくと、トラブルの調査の際に役立ちます。
3) sdxrootck コマンドを実行します。
形式:sdxrootck -R -c クラス名 -d 物理ディスク名[:タイプ][,物理ディスク名[:タイプ],...]
クラス名には、削除したルートクラスの名前を指定します。
物理ディスク名には、削除したルートクラスに登録されていた物理ディスクの名前を、すべて指定します。
格納されているデータを保持したままクラスに登録する物理ディスク(キープディスク)の場合、タイプに keep を指定します。
例 1)1 組のディスク、スペアディスクおよび未定義ディスクが登録されたルートクラス(クラス名:System)
# /etc/opt/FJSVsdx/bin/sdxrootck -R -c System -d c0t0d0:keep,c1t0d0,c0t1d0,c1t1d0
例 2)2 組のディスクが登録されたルートクラス(クラス名:System)
# /etc/opt/FJSVsdx/bin/sdxrootck -R -c System -d c0t0d0:keep,c1t0d0,c0t1d0:keep,c1t1d0
例 3)ミラーリングされていない 2 本のディスクが登録されたルートクラス(クラス名:System)
# /etc/opt/FJSVsdx/bin/sdxrootck -R -c System -d c0t0d0:keep,c0t1d0:keep
4) 本コマンドの出力を確認し、対処を行います。
エラーまたは警告メッセージが出力された場合、「F.3.2.3 sdxrootck コマンドのメッセージ」を参照して対処を行ってください。対処後、本コマンドを再実行し、エラーまたは警告メッセージが出力されないことを確認します。
情報メッセージ 80001 番が出力された場合、システムディスクおよびルートクラスの設定は完全に解除されています。引き続き、システムディスクおよびルートクラスの再設定を行うことができます。
5) script コマンドを終了します。
# exit
Script done, file is typescript
typescript ファイルは、必要なければ削除してください。
レベルと出力先
sdxrootck コマンドには、以下の 4 種類のレベルのメッセージがあります。
レベル | 説明 | 出力先 |
---|---|---|
TO FIX | コマンドの使用方法を示すメッセージです。 | 標準エラー出力 |
INFO | 情報レベルのメッセージです。システムディスクおよびルートクラスの設定が完全に解除されている場合、80001 番の情報メッセージが出力されます。 | 標準出力 |
WARNING | 警告レベルのメッセージです。システムディスクおよびルートクラスの設定の解除が不完全である場合、80020 ~ 80059 番の警告メッセージが出力されます。 | 標準エラー出力 |
ERROR | エラーレベルのメッセージです。本コマンドの処理が正常に行われなかった場合に出力されます。 | 標準エラー出力 |
変数の意味
メッセージ中の斜体字は、変数を表しており、実際に出力される内容は状況によって異なります。メッセージの説明で使用される変数の意味を以下に示します。
表記 | 意味 |
---|---|
class | クラス名 |
device | 物理ディスク名 |
pslice | 物理スライス名 |
special | デバイス特殊ファイル名 |
rootdev | ルートデバイス名 |
rootdisk | ルートクラスのディスク定義 |
file | ファイル名 |
errno | エラー番号 |
module | モジュール名 |
details | 詳細情報 |
usage | コマンドの使用方法 |
修正メッセージ
説明
コマンドの使用方法に誤りがあります。
対処
usage に従って使用してください。
情報メッセージ
説明
システムディスクおよびルートクラスの設定は完全に解除されています。
対処
必要ありません。
警告メッセージ
説明
ルートクラス class は削除されていません。本コマンドは処理を中止します。
対処
運用管理ビューまたはコマンドを使用して、システムディスクおよびルートクラスの設定を解除してください。
説明
/etc/system ファイルにルートデバイス rootdev の設定が残っています。
対処
/etc/system ファイルのルートデバイスの設定を削除し、システムを再起動してください。
例)rootdev が /pseudo/sfdsk@0:2,blk の場合
# vi /etc/system
~
rootdev:/pseudo/sfdsk@0:2,blk ← 削除
~
説明
/etc/vfstab ファイルに論理ボリューム special のマウントの設定が残っています。
対処
/etc/vfstab ファイルのマウントの設定を、マウントポイントに対応する物理スライスを指定するよう修正してください。その後、ファイルシステムを手動でマウントするか、システムを再起動してください。
例)special が /dev/sfdsk/System/dsk/opt の場合
# vi /etc/vfstab
~
修正前
/dev/sfdsk/System/dsk/opt /dev/sfdsk/System/rdsk/opt /opt ufs 2 yes -
↓
修正後
/dev/dsk/c0t0d0s6 /dev/rdsk/c0t0d0s6 /opt ufs 2 yes -
~
説明
/kernel/drv/sfdsk.conf ファイルにルートクラスのディスクの定義が残っています。
対処
/kernel/drv/sfdsk.conf ファイルのルートクラスのディスクの定義を削除し、システムを再起動してください。
例)rootdisk が sysvol-db0 の場合
# vi /kernel/drv/sfdsk.conf
~
sysvol-db0="sd","0"; ← 削除
~
説明
物理ディスクのスライス pslice に GDS が確保した占有スライスが残っています。
対処
物理ディスクの占有スライスを削除してください。
例)pslice が c0t0d0s4 の場合
# /etc/opt/FJSVsdx/bin/sdxsystem Format -d c0t0d0
sdxsystem コマンドの詳細は、「F.3.1 sdxsystem - システムディスクミラーリングの強制解除」を参照してください。
注意
対処後にミラーリングを再設定する場合、以下のエラーメッセージが出力され、ディスクをクラスに登録できないことがあります。その場合は、システムを再起動してから、ミラーリングを再設定してください。
ERROR: device: already exists in class
説明
物理ディスク device のジオメトリ情報に GDS の規定値が設定されたままです。
対処
格納されているデータを保持したままクラスに登録する物理ディスク(キープディスク)の場合、対処は不要です。物理ディスクのタイプに keep を指定して本コマンドを再実行してください。そうすれば、このメッセージは出力されなくなります。
その他の物理ディスクの場合、物理ディスクのジオメトリ情報を、物理ディスクの本来の値に復元してください。
例)device が c0t0d0 の場合
以下の例で、下線付きで示される箇所は、キーボードから入力する箇所を示します。
# format c0t0d0 ~ format> verify ~ ascii name = <sfdsk type1.0; SUN9.0G cyl 4924 alt 2 hd 27 sec 133> ~ format> type ~ AVAILABLE DRIVE TYPES: 0. Auto configure ~ Specify disk type (enter its number)[18]: 0 ~ format> label Ready to label disk, continue? y format> verify ~ ascii name = <SUN9.0G cyl 4924 alt 2 hd 27 sec 133> ~ format> q
説明
クラス class のクラスリソースが PRIMECLUSTER のリソースデータベースに残っています。
対処
クラスリソースを削除してください。
例)class が System の場合
# /etc/opt/FJSVsdx/bin/sdxdcrsc -R -c System
sdxdcrsc: System removed
説明
PRIMECLUSTER のリソースデータベースに格納された物理ディスク device のディスクリソースの管理属性が解除されていません。
対処
ディスクリソースの管理属性を解除してください。
例)device が c0t0d0 の場合
# /etc/opt/FJSVsdx/bin/sdxpdrsc -R -d c0t0d0
sdxpdrsc: c0t0d0:nodeA removed
説明
物理ディスク device のディスクリソースが PRIMECLUSTER のリソースデータベースに登録されていません。
対処
PRIMECLUSTER の自動リソース登録を行い、ディスクリソースを登録してください。
自動リソース登録については「PRIMECLUSTER 導入運用手引書」を参照してください。
エラーメッセージ
説明
本コマンドが一般ユーザ権限で実行されました。
対処
本コマンドはスーパユーザ権限で実行してください。
説明
-c オプションで指定されたクラス名が長すぎます。
対処
正しいクラス名を指定してください。
説明
-d オプションで指定された物理ディスク名が長すぎます。
対処
正しい物理ディスク名を指定してください。
説明
-d オプションで指定された物理ディスクの個数が多すぎます。
対処
正しい物理ディスクを指定してください。
説明
sfdsk ドライバの管理デバイスをオープンできません。
FJSVsdx(GDS 基本部)パッケージが正常にインストールされていない可能性があります。
対処
FJSVsdx パッケージを正しくインストールしてから、本コマンドを実行してください。
説明
ファイル file をオープンできません。
対処
ファイルの状態を確認してください。
説明
指定された物理ディスク device が存在しません。
対処
物理ディスクの指定に誤りがないか確認してください。指定に誤りがない場合は、物理ディスクの状態を確認してください。
説明
指定された物理ディスク device を操作できません。
対処
物理ディスクの指定に誤りがないか確認してください。指定に誤りがない場合は、物理ディスクの状態を確認してください。
説明
指定された物理ディスク device が排他オープンされています。
対処
物理ディスクの指定に誤りがないか確認してください。指定に誤りがなく、この物理ディスクについて警告メッセージ 80027 番が出力されている場合は、80027 番の対処を行った後、システムを再起動してから、本コマンドを実行してください。警告メッセージ 80027 番が出力されていない場合は、物理ディスクの状態を確認してください。
説明
指定された物理ディスク device をオープンできません。
対処
物理ディスクの指定に誤りがないか確認してください。指定に誤りがない場合は、物理ディスクの状態を確認してください。
説明
指定された物理ディスク device の VTOC 情報を獲得できません。
対処
物理ディスクの指定に誤りがないか確認してください。指定に誤りがない場合は、物理ディスクの状態を確認してください。
説明
内部エラーが発生しました。
対処
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