翻訳前ソース変換機能は、他社のCOBOL文法に従い記述されたソース(以降、変更元ソースプログラムといいます)をNetCOBOLで翻訳可能なソースに変換することで、他社からNetCOBOLへの移行を支援する機能です。本機能を使用することにより、他社COBOLで実績のあるソースプログラムを手作業で修正する手間が省け、効率的な移行作業ができます。
ただし、すべての非互換仕様について変換できるわけではなく、手修正が必要になる場合があります。また、入力となるソースプログラムは他社のCOBOLコンパイラにおいて、翻訳エラーのないことが前提になります。
本製品では、以下の他社COBOL文法によって記述されたソースの変換をサポートしています。
翻訳前ソース変換機能を使用した移行作業には、2つの移行形態があります。
変換と翻訳を同時に行うNetCOBOLコンパイラ(以降、翻訳コマンドといいます)を使用する
変換だけを行う変換コマンドを使用する
以降の説明では、翻訳コマンドを使用する形態を[翻訳コマンド]、変換コマンドを使用する形態を[変換コマンド]と表記します。
移行対象となるプログラム資産や移行後の開発形態に応じた使用形態を選択できます。
使用形態 | 概要 | 開発・運用・保守対象ソースプログラム | 使用方法 |
---|---|---|---|
[翻訳コマンド] | 翻訳コマンドは、変換元ソースプログラムをNetCOBOLで翻訳可能なソースプログラムに変換した後、変換後のソースプログラムを翻訳します。 翻訳エラーメッセージは変換元ソースプログラムの行番号を表示します。また、ビルダのエラージャンプ機能やデバッグ作業についても、変換元ソースプログラムに対して行います。 | 変換元ソースプログラム | または |
[変換コマンド] | COBPRECONVコマンドは、変換元ソースプログラムをNetCOBOLで翻訳可能なソースプログラムに変換します。 | 変換後ソースプログラム |
ここでは、それぞれの使用方法に適したプログラム資産や開発形態、移行・開発作業の流れについて説明します。
各使用形態に適したプログラム資産および開発形態について、説明します。
移行時にロジック修正が不要なプログラム資産
他社COBOLとNetCOBOLとの非互換には、ロジック修正が必要となるものがあります。このような非互換が記述されていないプログラム資産を移行する場合、翻訳コマンドを使用して変換と翻訳を同時に行うことで、効率的に移行できます。
条件付き翻訳を記述しているプログラム資産
展開前のソースプログラムを管理対象にできるため、保守性を損なうことなく移行できます。
DBなどの関連製品が提供しているソースや登録集を取り込んでいるプログラム資産
外部提供物をそのまま翻訳対象にできるため、保守性を損なうことなく移行できます。
プリコンパイラを利用したDBアクセスプログラム資産
プリコンパイラ展開前のソースプログラムは、DB独自の文法を含むため、正しく変換できない場合があります。また、プリコンパイラ展開部分に他社COBOLとNetCOBOLの非互換仕様が含まれる場合もあります。
このようなプログラム資産は、[翻訳コマンド]による移行を推奨します。
移行時にロジック修正が必要なプログラム資産
ロジック修正を必要とする非互換を記述している場合、変換コマンドを使用して機械的に変換した後、変換後ソースプログラムに対し、ロジックを検証・修正します。
移行後にソースプログラムの改修をするプログラム資産
翻訳の度に変換する必要がないため、翻訳時間が短縮できます。
また、翻訳前ソース変換機能では、他社COBOL文法とNetCOBOL独自の文法が混在したソースプログラムは正しく変換できない場合があります。大きな改修をする予定がある場合は、[変換コマンド]による移行を推奨します。
翻訳前ソース変換機能を使った移行・開発作業の流れを以下に示します。
[翻訳コマンド]
[翻訳コマンド]を使った移行・開発作業の流れを以下に示します。
-CVオプションを指定して、変換元ソースプログラムを翻訳します。
翻訳前ソース変換機能を使用した翻訳が行われます。
変換結果が翻訳リストに出力されます。このとき、ソースプログラムリストには変換後ソースが表示されます。
翻訳エラーが発生した場合、診断メッセージが出力されます。
診断メッセージの行番号には、変換元ソースプログラムの行番号が表示されます。
診断メッセージを確認しながら、変換元ソースプログラムを修正します。
変換元ソースプログラムの修正には、ビルダのエラージャンプ機能を使用できます。
実行可能プログラムの動作を確認します。
動作異常が発生した場合、変換元ソースプログラムを表示しながらデバッグします。
原因究明後、変換元ソースプログラムを修正します。
実行可能プログラムが正常に動作することを確認します。
移行が完了します。
[変換コマンド]
[変換コマンド]を使った移行・開発作業の流れを以下に示します。
翻訳前ソース変換機能による変換を実施した後の作業は、通常の開発作業と変わりありません。
COBPRECONVコマンドを使用して、変換元ソースプログラムを変換します。
変換後ソースプログラムと変換結果出力ファイルが出力されます。
変換結果は、変換結果出力ファイルや変換前後のソース比較により確認できます。
ロジック修正が必要な場合、変換後ソースプログラムを修正します。
翻訳エラーが発生したとき、診断メッセージが出力されます。
診断メッセージの行番号には、変換後ソースプログラムの行番号が表示されます。
診断メッセージを確認しながら、変換後ソースプログラムを修正します。
変換後ソースプログラムの修正には、ビルダのエラージャンプ機能を使用できます。
実行可能プログラムの動作を確認します。
動作異常が発生した場合、変換後ソースを表示しながらデバッグします。
原因究明後、変換後ソースプログラムを修正します。
実行可能プログラムが正常に動作することを確認します。
移行が完了します。