IJServerとWebサーバをそれぞれ別のサーバマシンに分離して運用することができます。
この機能により、以下のシステム構築が可能です。
セキュリティの向上
IJServerをDMZ(DeMilitarized Zone:非武装地帯)で運用させたくない場合、WebサーバをDMZのマシンで運用して、IJServerはFirewallを越えたイントラネット上のマシンで運用します。
負荷分散
マシンのCPU負荷が大きい場合、IJServerとWebサーバを分離したシステムを構築し、負荷を分散します。
なお、IPCOMを使用することでIJServerが稼動するマシンの稼動状態やCPU負荷状態を監視した負荷分散が行えるようになります。IPCOMを使用する場合には、IPCOMの分散ポートの設定で、常設コネクション数を確保(Webアクセラレーション機能)してください。常設コネクション数は、Servletコンテナの同時処理数と同じにしてください。
IPCOMの設定の詳細については、IPCOMのマニュアルを参照してください。
IJServerとWebサーバ間はhttpまたはhttpsで接続します。
IJServerとWebサーバを別のサーバマシンに分離する場合の運用手順について、同一のサーバマシン上に運用する場合との違いを説明します。
ポイント
IJServerとWebサーバでは、同一バージョン・レベルのInterstageを使用してください。
IJServerとWebサーバを別のサーバマシンに分離して運用する場合には、最初に以下を設定する必要があります。この設定をしないと、Webサーバコネクタを操作することができません。
IJServer用マシンとWebサーバ用マシンそれぞれのInterstage管理コンソールで、[システム] > [環境設定]タブ > [Servletサービス詳細設定] > [Webサーバとワークユニットを同一のマシンで運用する]で[運用しない]を選択します。
なお、isj2eeadminコマンドを使用して設定することもできます。詳細は、“リファレンスマニュアル(コマンド編)”を参照してください。
Servletコンテナに接続するWebサーバのIPアドレスを制限する場合、かつ、Webサーバに複数のIPアドレスが設定されている場合、Interstage管理コンソールで[ワークユニット] > “ワークユニット名” > [環境定義]タブ > [詳細設定]で、[Webサーバコネクタ(コネクタ)設定]の[要求を受け付けるWebサーバのIPアドレス]にWebサーバに設定されているすべてのIPアドレスを指定してください。
なお、isj2eeadminコマンドを使用して設定することもできます。詳細は、“リファレンスマニュアル(コマンド編)”を参照してください。
IJServerとWebサーバを同一のサーバマシン上で運用している場合でも、別のサーバマシン上のIJServerやWebサーバとも連携を行う場合にはIJServerとWebサーバを別のサーバマシンに分離する場合の運用手順に従ってIJServer用とWebサーバ用の設定をそれぞれ行う必要があります。
設定方法
IJServer用のマシンとWebサーバ用のマシンで以下の設定を行うことで、IJServerとWebサーバを分離して運用することができます。
IJServerの作成
IJServer用マシンのInterstage管理コンソール、またはisj2eeadminコマンドを使用して、IJServerを作成します。
接続先IJServerの設定
Webサーバ用マシンのInterstage管理コンソール、またはisj2eeadminコマンドを使用して、「IJServerの作成」で指定した情報をもとにWebサーバコネクタの接続先情報を設定します。
Webアプリケーションの配備
IJServer用マシンのInterstage管理コンソールから、「IJServerの作成」で作成したIJServerにWebアプリケーションを配備します。
接続先Webアプリケーションの設定
Webサーバ用マシンのInterstage管理コンソール、またはisj2eeadminコマンドを使用して、「接続先IJServerの設定」で作成した接続先IJServerの情報に「Webアプリケーションの配備」で配備したWebアプリケーション名を設定します。
IJServer用マシンで以下の操作を行った場合には、上記操作と同じようにWebサーバ用マシンにIJServer用マシンで行った操作内容を反映する必要があります。
以下では、Interstage管理コンソールを使用する場合について説明していますが、isj2eeadminコマンドを使用する場合も同様の操作が必要です。
[ワークユニット] > “ワークユニット名” > [環境定義]タブ > [詳細設定]で、[Webサーバコネクタ(コネクタ)設定]または[Servletコンテナ設定]の以下の項目を変更した場合
[Webサーバコネクタ(コネクタ)設定]
コネクタとServletコンテナ間のSSLの使用
コネクタとServletコンテナ間のSSL定義
[Servletコンテナ設定]
ServletコンテナのIPアドレス
ポート番号
Webサーバ用のマシンのInterstage管理コンソールで、[Webサーバ] > “Webサーバ名” > [Webサーバコネクタ]を指定します。次に右フレームからIJServer用マシンで変更を行ったワークユニット名をクリックして、IJServer用マシンで変更を行った値を反映します。
IJServerの削除をした場合
Webサーバ用のマシンのInterstage管理コンソールで、[Webサーバ] > “Webサーバ名” > [Webサーバコネクタ] > [一覧タブ]から削除したワークユニット名をチェックして削除します。
Webアプリケーションを配備解除した場合
Webサーバ用のマシンのInterstage管理コンソールで、[Webサーバ] > “Webサーバ名” > [Webサーバコネクタ]を指定します。次に右フレームからIJServer用マシンで配備解除を行ったワークユニット名をクリックして配備解除したWebアプリケーション名を削除します。
ServletおよびJSPでセションを使用する場合のリクエストの振り分けについて
ServletおよびJSPでセションを使用する場合、クライアントからのリクエストはWebサーバコネクタの振り分け制御によってセションを作成したServletコンテナにリクエストが振り分けられます。
WebサーバコネクタはServletコンテナ識別子によりセションを作成したServletコンテナを識別し、セションを作成したServletコンテナへリクエストを振り分けます。
Servletコンテナ識別子はWebサーバとワークユニットを同一マシンで運用しない場合には、Interstage管理コンソールから定義を行うことができます。
[サービス] > [Webサーバ] > “Webサーバ名” > [Webサーバコネクタ] > [新規作成]
[サービス] > [Webサーバ] > “Webサーバ名” > [Webサーバコネクタ] > “ワークユニット名” > [環境設定]
定義方法の詳細についてはInterstage管理コンソールのヘルプを参照してください。
なお、isj2eeadminコマンドを使用して設定することもできます。詳細は、“リファレンスマニュアル(コマンド編)”を参照してください。
Webサーバとワークユニットを同一マシンで運用する場合には、Servletコンテナ識別子は自動的に採番され内部的に管理されますので、Servletコンテナ識別子を意識する必要はありません。
運用準備の具体例
以下のマシン構成の場合について、具体的な運用手順例を説明します。
IJServer用マシンを3台以上で構成する場合は、“2台のIJServer用マシンと1台のWebサーバ用マシン(サーバマシン3台構成)”の手順1.2.3.を参考にして、IJServer用マシンにワークユニットを作成しWebサーバ用マシンに接続先情報を設定してください。
Webサーバ用マシンを3台以上で構成する場合は、“1台のIJServer用マシンと2台のWebサーバ用マシン(サーバマシン3台構成)”の手順2.3.を参考にして、Webサーバ用マシンに接続先情報を設定してください。
以下では、Interstage管理コンソールを使用する場合の手順を説明していますが、isj2eeadminコマンドを使用して設定することもできます。詳細は、“リファレンスマニュアル(コマンド編)”を参照してください。
1台のIJServer用マシンと1台のWebサーバ用マシン(サーバマシン2台構成)
条件
サーバマシンA(IPアドレス:192.0.2.1) | Webサーバを運用 |
サーバマシンB(IPアドレス:192.0.2.2) | IJServerを運用 |
設定手順
IJServer用のサーバマシンBの設定
サーバマシンBのInterstage管理コンソールで、[ワークユニット] > [新規作成]タブを選択し、以下の設定内容のワークユニットを作成します。
項目名 | 設定値例 |
---|---|
ワークユニット名 | MyIJServer |
要求を受け付けるWebサーバのIPアドレス | 192.0.2.1 |
ServletコンテナのIPアドレス | 192.0.2.2 |
ポート番号 | 9000 |
Webサーバ用のサーバマシンAの設定
サーバマシンAのInterstage管理コンソールで、[Webサーバ] > “Webサーバ名” > [Webサーバコネクタ] > [新規作成]タブを選択し、以下の設定内容の接続先情報を作成します。
項目名 | 設定値例 |
---|---|
ワークユニット名 | MyIJServer |
ServletコンテナのIPアドレス:ポート番号 | 192.0.2.2:9000 |
IJServer用のサーバマシンBへWebアプリケーションを配備
サーバマシンBのInterstage管理コンソールで、[ワークユニット] > “ワークユニット名(例:MyIJServer)” > [配備]タブを選択し、Webアプリケーションを配備します。
Webサーバ用のサーバマシンAへWebアプリケーション名を追加
サーバマシンAのInterstage管理コンソールで、[Webサーバ] > “Webサーバ名” > [Webサーバコネクタ]を指定します。次に右フレームで3.の操作で配備を行ったワークユニット名をクリックして配備したWebアプリケーション名を追加します。
1台のIJServer用マシンと2台のWebサーバ用マシン(サーバマシン3台構成)
条件
サーバマシンA(IPアドレス:192.0.2.1) | Webサーバを運用 |
サーバマシンB(IPアドレス:192.0.2.2) | Webサーバを運用 |
サーバマシンC(IPアドレス:192.0.2.3) | IJServerを運用 |
設定手順
IJServer用のサーバマシンCの設定
サーバマシンCのInterstage管理コンソールで、[ワークユニット] > [新規作成]タブを選択し、以下の設定内容のワークユニットを作成します。
項目名 | 設定値例 |
---|---|
ワークユニット名 | MyIJServer |
要求を受け付けるWebサーバのIPアドレス | 192.0.2.1 |
ServletコンテナのIPアドレス | 192.0.2.3 |
ポート番号 | 9000 |
Webサーバ用のサーバマシンAの設定
サーバマシンAのInterstage管理コンソールで、[Webサーバ] > “Webサーバ名” > [Webサーバコネクタ] > [新規作成]タブを選択し、以下の設定内容の接続先情報を作成します。
項目名 | 設定値例 |
---|---|
ワークユニット名 | MyIJServer |
ServletコンテナのIPアドレス:ポート番号 | 192.0.2.3:9000 |
Webサーバ用のサーバマシンBの設定
サーバマシンBのInterstage管理コンソールで2.と同じ操作を行います。
IJServer用のサーバマシンCへWebアプリケーションを配備
サーバマシンCのInterstage管理コンソールで、[ワークユニット] > “ワークユニット名(例:MyIJServer)” > [配備]タブを選択し、Webアプリケーションを配備します。
Webサーバ用のサーバマシンAへWebアプリケーション名を追加
サーバマシンAのInterstage管理コンソールで、[Webサーバ] > “Webサーバ名” > [Webサーバコネクタ]を指定します。次に右フレームで4.の操作で配備を行ったワークユニット名をクリックして配備したWebアプリケーション名を追加します。
Webサーバ用のサーバマシンBへWebアプリケーション名を追加
サーバマシンBのInterstage管理コンソールで5.と同じ操作を行います。
2台のIJServer用マシンと1台のWebサーバ用マシン(サーバマシン3台構成)
条件
サーバマシンA(IPアドレス:192.0.2.1) | Webサーバを運用 |
サーバマシンB(IPアドレス:192.0.2.2) | IJServerを運用 |
サーバマシンC(IPアドレス:192.0.2.3) | IJServerを運用 |
設定手順
IJServer用のサーバマシンBの設定
サーバマシンBのInterstage管理コンソールで、[ワークユニット] > [新規作成]タブを選択し、以下の設定内容のワークユニットを作成します。
項目名 | 設定値例 |
---|---|
ワークユニット名 | MyIJServer |
要求を受け付けるWebサーバのIPアドレス | 192.0.2.1 |
ServletコンテナのIPアドレス | 192.0.2.2 |
ポート番号 | 9000 |
IJServer用のサーバマシンCの設定
サーバマシンCのInterstage管理コンソールで1.と同じ操作を行います。ただし、ServletコンテナのIPアドレスには192.0.2.3を指定します。
サーバマシンBとCに同じWebアプリケーションを配備する場合
ワークユニット名は、サーバマシンBと同じ名前を設定してください。ワークユニットの環境設定も同じにする必要があります。
項目名 | 設定値例 |
---|---|
ワークユニット名 | MyIJServer |
要求を受け付けるWebサーバのIPアドレス | 192.0.2.1 |
ServletコンテナのIPアドレス | 192.0.2.3 |
ポート番号 | 9000 |
サーバマシンBとCに異なるWebアプリケーションを配備する場合
ワークユニット名は、サーバマシンBとは異なる名前を設定してください。
項目名 | 設定値例 |
---|---|
ワークユニット名 | MyIJServer_2 |
要求を受け付けるWebサーバのIPアドレス | 192.0.2.1 |
ServletコンテナのIPアドレス | 192.0.2.3 |
ポート番号 | 9000 |
Webサーバ用のサーバマシンAの設定
サーバマシンAのInterstage管理コンソールで、[Webサーバ] > “Webサーバ名” > [Webサーバコネクタ] > [新規作成]タブを選択し、接続先情報を作成します。
サーバマシンBとCに同じWebアプリケーションを配備する場合
サーバマシンBとCに設定したワークユニット名の接続先情報を設定します。
項目名 | 設定値例 |
---|---|
ワークユニット名 | MyIJServer |
ServletコンテナのIPアドレス:ポート番号 | 192.0.2.2:9000 |
サーバマシンBとCに異なるWebアプリケーションを配備する場合
サーバマシンBとCの接続先情報を個々に作成します。ワークユニット名は、接続先のサーバマシンと同じ名前を設定してください。
<サーバマシンBの接続先情報>
項目名 | 設定値例 |
---|---|
ワークユニット名 | MyIJServer |
ServletコンテナのIPアドレス:ポート番号 | 192.0.2.2:9000 |
<サーバマシンCの接続先情報>
項目名 | 設定値例 |
---|---|
ワークユニット名 | MyIJServer_2 |
ServletコンテナのIPアドレス:ポート番号 | 192.0.2.3:9000 |
IJServer用のサーバマシンBにWebアプリケーションを配備
サーバマシンBのInterstage管理コンソールで、[ワークユニット] > “ワークユニット名(例:MyIJServer)” > [配備]タブを選択し、Webアプリケーションを配備します。
IJServer用のサーバマシンCにWebアプリケーションを配備
サーバマシンCのInterstage管理コンソールで4.と同じ操作を行います。
Webサーバ用のサーバマシンAにWebアプリケーション名を追加
サーバマシンAのInterstage管理コンソールで、[Webサーバ] > “Webサーバ名” > [Webサーバコネクタ]を指定します。次に右フレームで4.の操作で配備を行ったワークユニット名をクリックして配備したWebアプリケーション名を追加します。
2台のIJServer用マシン、2台のWebサーバ用マシン、1台の負荷分散マシン(サーバマシン5台構成)
条件
サーバマシンA(IPアドレス:192.0.2.1) | 負荷分散装置を運用 |
サーバマシンB(IPアドレス:192.0.2.2) | Webサーバを運用 |
サーバマシンC(IPアドレス:192.0.2.3) | Webサーバを運用 |
サーバマシンD(IPアドレス:192.0.2.4) | IJServerを運用 |
サーバマシンE(IPアドレス:192.0.2.5) | IJServerを運用 |
設定手順
IJServer用のサーバマシンDの設定
サーバマシンDのInterstage管理コンソールで、[ワークユニット] > [新規作成]タブを選択し、以下の設定内容のワークユニットを作成します。
項目名 | 設定値例 |
---|---|
ワークユニット名 | MyIJServer |
要求を受け付けるWebサーバのIPアドレス | 192.0.2.2 |
ServletコンテナのIPアドレス | 192.0.2.4 |
ポート番号 | 9000 |
IJServer用のサーバマシンEの設定
サーバマシンEのInterstage管理コンソールで1.と同じ操作を行います。ただし、ServletコンテナのIPアドレスには192.0.2.5を指定します。
Webサーバ用のサーバマシンBの設定
サーバマシンBのInterstage管理コンソールで、[Webサーバ] > “Webサーバ名” > [Webサーバコネクタ] > [新規作成]タブを選択し、以下の設定内容の接続先情報を作成します。
項目名 | 設定値例 |
---|---|
ワークユニット名 | MyIJServer |
ServletコンテナのIPアドレス:ポート番号 | 192.0.2.4:9000 |
Webサーバ用のサーバマシンCの設定
サーバマシンCのInterstage管理コンソールで3.と同じ操作を行います。
ServletコンテナのIPアドレス:ポート番号はサーバマシンBで設定した値と同じ順番で定義してください。順番を変更した場合はセションが正常に引き継がれない可能性があります。
負荷分散装置用のサーバマシンAの設定
サーバマシンAの負荷分散装置の設定を行います。
負荷分散装置の設定方法については負荷分散装置のマニュアルを参照してください。
IJServer用のサーバマシンDにWebアプリケーションを配備
サーバマシンDのInterstage管理コンソールで、[ワークユニット] > “ワークユニット名(例:MyIJServer)” > [配備]タブを選択し、Webアプリケーションを配備します。
IJServer用のサーバマシンEにWebアプリケーションを配備
サーバマシンEのInterstage管理コンソールで6.と同じ操作を行います。
Webサーバ用のサーバマシンBにWebアプリケーション名を追加
サーバマシンBのInterstage管理コンソールで、[Webサーバ] > “Webサーバ名” > [Webサーバコネクタ]を指定します。次に右フレームで6.の操作で配備を行ったワークユニット名をクリックして配備したWebアプリケーション名を追加します。
Webサーバ用のサーバマシンCにWebアプリケーション名を追加
サーバマシンCのInterstage管理コンソールで8.と同じ操作を行います。