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ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 16.6 運用ガイド
FUJITSU Storage

6.9.1 ディスクグループを構成する物理ディスク単位のレプリケーション運用

VxVMボリュームをレプリケーション対象とする場合、VxVMボリュームを構成する物理ディスク単位にレプリケーションします。

物理ディスク単位に運用する場合は、ディスクグループとしての整合性を保つ必要があるため、ディスクグループ内のすべての物理ディスクで同期をとって操作する必要があります。

ポイント

同期を取る必要がある物理ボリュームは、Webコンソールおよびstgxfwcmdispdevコマンドで確認できます。

注意

  • 通常ボリュームの基本的運用を理解したうえで利用してください。

  • 物理ディスク単位の運用では、スナップショット型での運用を推奨します。同期型での運用の場合、全面コピー中および差分コピー中は、複写先に対してアクセスするVxVMのコマンドなどを実行できません。

  • クラスタ構成で運用する場合、クラスタを構成するすべてのサーバにおいて、ディスクグループを構成する物理ディスクのデバイス名(/dev/(r)dsk/c#t#d#)が同じであり、デバイス名が指すETERNUS ディスクアレイのディスクも同じである必要があります。

  • AdvancedCopy Managerは、新形式と従来形式の2つのデバイス名をサポートしています。詳細は、「1.4.1 通常デバイス」を参照してください。VxVMを構成する物理ディスクは、従来形式のデバイス(/dev/(r)dsk/c#t#d#)だけを使用でき、新形式のデバイス(/dev/(r)disk/disk#)は使用できません。そのため、VxVMを使用する場合、AdvancedCopy Managerの情報取得モードは、従来形式のデバイスに設定する必要があります。情報取得モードの詳細は、stgxfwcmsetmodeコマンドを参照してください。

  • 通常デバイス、LVMを構成する物理ディスク、VxVMを構成する物理ディスクは、AdvancedCopy Managerの情報取得モードと同じ形式のデバイスで設定する必要があります。

    [例]
    AdvancedCopy Managerの情報取得モードが“従来形式のデバイス”の場合、通常デバイス、LVMを構成する物理ディスク、VxVMを構成する物理ディスクは、すべて従来形式のデバイスである必要があります。

6.9.1.1 運用設計

以下の点に注意して、複製元/複製先のディスクグループを設計します。

図6.54 複製元ボリュームと複製先ボリューム

6.9.1.2 事前準備

6.9.1.2.1 ディスクグループ構成情報ファイルの確認

レプリケーションの後処理では、ディスクグループの再構成が必要です。ディスクグループの再構成に必要な構成情報ファイルが退避されていることを確認してください。

# /usr/sbin/vxprint -hvmps -g srcdg > /tmp/aaa
#
6.9.1.2.2 複製元/複製先ボリュームの設定

複製元/複製先ボリュームを設定する際は、ディスクグループ内のすべての物理ディスクを設定します。

[複製元/複製先ボリュームの設定例]

# /opt/FJSVswsrp/bin/swsrpsetvol /dev/vx/dmp/c1t0d10@SV1 /dev/vx/dmp/c1t0d20@SV2
swsrpsetvol completed
# /opt/FJSVswsrp/bin/swsrpsetvol /dev/vx/dmp/c1t0d11@SV1 /dev/vx/dmp/c1t0d21@SV2
swsrpsetvol completed
#

6.9.1.3 レプリケーションの実行

ディスクグループ内のすべての物理ディスクで、同期をとって操作します。

必要な前後処理は、レプリケーションの操作を行う前後にディスクグループ単位で実施し、各物理ディスクを操作する際は、前後処理が動作しないようにします。

[スナップショット型レプリケーションの例]

(複写元/複写先に対する前処理を行う)

# /opt/FJSVswsrp/bin/swsrpmake -f -t /dev/vx/dmp/c1t0d10@SV1 /dev/vx/dmp/c1t0d20@SV2
FROM=/dev/vx/dmp/c1t0d10@SV1, TO=/dev/vx/dmp/c1t0d20@SV2 swsrpmake completed
# /opt/FJSVswsrp/bin/swsrpmake -f -t /dev/vx/dmp/c1t0d11@SV1 /dev/vx/dmp/c1t0d21@SV2
FROM=/dev/vx/dmp/c1t0d11@SV1, TO=/dev/vx/dmp/c1t0d21@SV2 swsrpmake completed
#

(複写元/複写先に対する後処理を行う)

[同期型レプリケーションの例]

(複写先に対する前処理を行う)

# /opt/FJSVswsrp/bin/swsrpstartsync -t /dev/vx/dmp/c1t0d10@SV1 /dev/vx/dmp/c1t0d20@SV2
FROM=/dev/vx/dmp/c1t0d10@SV1, TO=/dev/vx/dmp/c1t0d20@SV2 swsrpstartsync completed
# /opt/FJSVswsrp/bin/swsrpstartsync -t /dev/vx/dmp/c1t0d11@SV1 /dev/vx/dmp/c1t0d21@SV2
FROM=/dev/vx/dmp/c1t0d11@SV1, TO=/dev/vx/dmp/c1t0d21@SV2 swsrpstartsync completed

(等価性維持状態後)

(複写元に対する前処理を行う)

# /opt/FJSVswsrp/bin/swsrpmake -f -t /dev/vx/dmp/c1t0d10@SV1 /dev/vx/dmp/c1t0d20@SV2
FROM=/dev/vx/dmp/c1t0d10@SV1, TO=/dev/vx/dmp/c1t0d20@SV2 swsrpmake completed
# /opt/FJSVswsrp/bin/swsrpmake -f -t /dev/vx/dmp/c1t0d11@SV1 /dev/vx/dmp/c1t0d21@SV2
FROM=/dev/vx/dmp/c1t0d11@SV1, TO=/dev/vx/dmp/c1t0d21@SV2 swsrpmake completed
#

(複写元/複写先に対する後処理を行う)

レプリケーションの前後で実施する前後処理は、以下のとおりです。

表6.7 レプリケーションの前後処理

種別

前処理

後処理

複写元

  1. ディスクグループ内のすべての論理ボリュームへのアクセスを停止し、データの整合性を確保します。

  2. ファイルシステムが含まれる場合、ディスクグループ内のすべてのファイルシステムをアンマウントします。

ファイルシステムが含まれる場合、前処理でアンマウントしたボリュームをマウントします。

複写先

  1. ディスクグループ内のすべての論理ボリュームへのアクセスを停止します。

  2. ファイルシステムが含まれる場合、ディスクグループ内のすべてのファイルシステムをアンマウントします。

  3. ディスクグループをdeportします。

  4. ディスクグループ配下の物理ディスクをofflineにします。

  1. 前処理でofflineにした物理ディスクをonlineにします。

  2. ディスクグループを再構成します。

  3. ファイルシステムが含まれる場合、前処理でアンマウントしたボリュームをマウントします。

ディスクグループの再構成(サーバ内レプリケーションの場合)

ディスクグループを再構成する手順は、以下のとおりです。

  1. リストアのプリコミット分析

    # /etc/vx/bin/vxconfigrestore -p dstdg
    Diskgroup dstdg configuration restoration started ......
    
    Installing volume manager disk header for c1t0d20 ...
    Installing volume manager disk header for c1t0d21 ...
    -
    dstdg's diskgroup configuration is restored (in precommit state).
    Diskgroup can be accessed in read only and can be examined using
    vxprint in this state.
    
    Run:
      vxconfigrestore -c dstdg ==> to commit the restoration.
      vxconfigrestore -d dstdg ==> to abort the restoration.
    #
  2. コピー先のディスクグループ構成のリストアに必要な変更をコミットする。

    # /etc/vx/bin/vxconfigrestore -c dstdg
    Committing configuration restoration for diskgroup dstdg ....
    
    dstdg's diskgroup configuration restoration is committed.
    #

ディスクグループの再構成(サーバ間レプリケーションの場合)

  1. 複製元サーバのディスクグループsrcdgを、複製先サーバのディスクグループdstdgとしてインポートします。

    # /usr/sbin/vxdg -C -n dstdg import srcdg
    #

    注意

    複写元サーバのディスクグループ名と複写先サーバのディスクグループ名が同じ場合、-nオプションは指定しません。

  2. 複製先サーバのディスクグループdstdg内のボリュームに対し、リカバリー処理を実施します。

    # vxrecover -g dstdg -sb
    #
  3. VxVM5.0以降の場合、複写先ディスクのudidが不整合となっているため、これを復旧します。

    # vxdisk updateudid c1t0d20 c1t0d21
    #

注意

  • ディスクグループをクラスタシステムのリソースとして登録している場合は、ディスクグループのimport/deport処理の代わりに、ディスクグループリソースのonline/offline処理を行ってください。
    マウントポイントをクラスタシステムのリソースとして登録している場合は、ファイルシステムのmount/umount処理の代わりに、マウントリソースのonline/offline処理を行ってください。

  • システムでディスク交換などが行われている場合、1つのディスクグループについて競合する構成情報バックアップが複数存在することがあります。
    そのときは、ディスクグループの代わりに、上記コマンド実行後に表示されるディスクグループIDを指定して実行してください。

  • この操作のあと、ディスクグループ内のボリュームがバックグラウンドで同期されるため、ボリュームの構成によっては同期処理に時間がかかることがあります。なお、その場合でもボリュームを使用できます。