Oracle ASM を PRIMECLUSTER 上で使用する場合は、スタンバイ運用での使用が可能です。
スタンバイ運用
Oracle ASM インスタンスを PRIMECLUSTER RMS にリソース登録してください。
リソース登録された Oracle ASM インスタンスは、起動・停止制御のみが行われ監視は行われません。Oracle ASM インスタンスに異常が発生した場合でも、Oracle インスタンスリソースで異常を検出しますので、userApplication の切替えが発生し、業務を継続できます。
環境構築時の注意事項については「2.3.2.1 環境構築時の注意 を参照してください。
Oracle ASMを使用する場合の注意事項は以下のとおりです。
サポートする構成
Oracle ASMを使用する場合はOracle Grid Infrastructureをインストールする必要があります。Oracle Grid Infrastructureをインストールする場合はOracle DatabaseのインストールユーザーとOracle Grid Infrastructureのインストールユーザーを分割する構成をサポートします。単一インストールユーザーの構成はサポート対象外です。
また、Oracle Database のインストールユーザーの ORACLE_BASE 環境変数と Oracle Grid Infrastructure のインストールユーザーの ORACLE_BASE 環境変数は、異なるディレクトリを指定してください。
Oracle Grid InfrastructureのインストールとOracle ASMインスタンス、データベースの作成
「付録C Oracle Grid InfrastructureのインストールとOracle ASMインスタンス、データベースの作成」を参照してOracle Grid InfrastructureのインストールとOracle ASMインスタンス、データベースの作成をしてください。
注意
Oracle ASMインスタンス作成時、Oracle ASMインスタンス名の先頭に「+」がつくように設定してください。(デフォルトでは“+ASM”となります)
1台のサーバに複数のORACLE_HOMEを作成している場合(複数のOracle Databaseソフトウェアをインストールしている場合)、Oracleインスタンス名には異なるOracleインスタンス名を設定してください。
1つのuserApplication内でOracle ASMインスタンスとデータベースの関係が1:1または、1:nになるように、Oracle ASMインスタンスとデータベースを作成してください。
Oracle ASMインスタンス:データベース = 1:1
Oracle ASMインスタンス:データベース = 1:n
下図は、Oracle ASMインスタンス:データベース = 1:2の例です。
Oracle ASMをスタンバイ運用で使用する場合は、以下の運用形態のみサポートします。
1:1運用待機
Oracle ASMをスタンバイ運用で使用する場合は、以下の運用形態は未サポートです。
カスケード
相互待機
N:1運用待機
移動待機
N:M運用待機
参照
Oracle ASM インスタンス、データベースの作成は、Oracle Databaseのマニュアルを参照してください。
Oracle Restartの設定変更
PRIMECLUSTER Wizard for OracleからOracle ASMを制御するために、Oracle Restartの設定を変更してください。
Oracle Database 11g R2/12c R1(12.1.0.1)の場合
各ノードで、以下のコマンドをGrid ユーザーで実行し、OS起動時にOracle RestartおよびCSS(Cluster Synchronization Services)デーモンが起動するように設定してください。また、Oracle RestartによるOracleインスタンス、リスナー、Oracle ASMの自動起動を無効にしてください。
コンポーネント | コマンド |
---|---|
Oracle Restart | crsctl enable has |
CSS | crsctl modify resource ora.cssd -attr "AUTO_START=always" |
Oracle ASM | srvctl disable asm |
Oracle リスナー | srvctl disable listener [-l <listener_name>] |
Oracle インスタンス | srvctl disable database -d <db_unique_name> |
Oracle Database 12c R1(PSR12.1.0.2以降)/12c R2の場合
各ノードで、以下のコマンドを Grid ユーザーで実行し、OS 起動時に Oracle Restartが起動するように設定してください。また、Oracle Restart による Oracle インスタンス、リスナー、Oracle ASM の自動起動を無効にしてください。
コンポーネント | コマンド |
---|---|
Oracle Restart | crsctl enable has |
Oracle ASM | srvctl disable asm |
Oracle リスナー | srvctl disable listener [-l <listener_name>] |
Oracle インスタンス | srvctl disable database -d <db_unique_name> |
userApplicationの作成
userApplication作成時は、Oracleインスタンスリソースと同様にOracle ASMインスタンスリソースを作成してください。Oracle ASMインスタンスリソースと、そのOracle ASMインスタンスリソースに関連するOracleインスタンスリソースは、同じOracleリソースに登録してください。
参考
Oracle ASM インスタンスをリソース登録する場合の手順については、「2.2.7.1 Oracle リソースの作成と userApplication への登録」の手順 5 を参照してください。
Oracle ASM インスタンスリソースのフラグ設定値には、NullDetector 属性のみが自動設定されます。この値を変更することはできません。
注意
Oracle ASM インスタンスリソースとOracle リスナーリソースの"OracleUser"にはGrid ユーザーを、Oracle インスタンスリソースの"OracleUser"にはOracle ユーザーを設定してください。
Oracle Database 11g R2/12c R1(12.1.0.1)の場合は、Oracle ASMの起動前にCSSの待ち合わせをするため、Oracle ASM インスタンスリソースのPreOnlineScript に以下のスクリプトを設定してください。Oracle Database 12c R1(PSR12.1.0.2以降)/12c R2 の場合は、以下のスクリプトを設定しないでください。
/opt/FJSVclora/sbin/cloracsswait <Grid ユーザー名>
Oracleデータベース・サービスを使用する場合
Oracleデータベースの作成時にデフォルトで作成されるサービス以外のOracleデータベース・サービスを使用する場合は以下のスクリプトを設定してください。
Cmdlineリソースを作成して、Startスクリプトに以下のスクリプトを設定してください。Stopスクリプト、Checkスクリプトは設定しません。NULLDETECTORを"Yes"に設定してください。TIMEOUTはデフォルト値300秒を設定してください。
/opt/FJSVclora/sbin/clorasrvstart <Grid ユーザー名> <db_unique_name>[,<db_unique_name>,…]
Oracleデータベース・サービスを使用するdb_unique_nameが複数の場合はカンマで区切って指定してください。
Oracle インスタンスの起動後に、指定したdb_unique_nameに登録されているOracleデータベース・サービスがすべて起動します。
参照
Oracleデータベース・サービスについては、Oracle Databaseのマニュアルを参照してください。
Oracle ASM インスタンスで使用するディスクグループは、手動でマウント操作 (mount/umount) をしないでください。ディスクグループがマウントされている場合は、Oracle ASM リソース活性化時に以下のメッセージがコンソールに出力される場合がありますが、特に対処する必要はありません。
ORA-15032: not all alterations performed
ORA-15017: diskgroup "ディスクグループ名" cannot be mounted
ORA-15030: diskgroup name "ディスクグループ名" is in use by another diskgroup