【名前】
hanetpoll - HUB監視機能の監視先情報の設定・変更・削除・表示
【形式】
/opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetpoll command [args]
【機能説明】
hanetpoll コマンドは、HUB監視機能に必要な監視先情報の設定、および設定内容の変更/削除/表示/有効化/無効化を行います。
command | 処理概要 | 実行権限 |
---|---|---|
create | 監視先情報の作成 | スーパユーザ |
copy | 監視先情報の複製/同期切替え | スーパユーザ |
監視先情報の表示 | 一般ユーザ | |
modify | 監視先情報の変更 | スーパユーザ |
delete | 監視先情報の削除 | スーパユーザ |
on | HUB監視機能の有効化 | スーパユーザ |
off | HUB監視機能の無効化 | スーパユーザ |
(1) create コマンド
HUB監視機能を使用するには、監視先情報を作成しなければなりません。本情報は、create コマンドによって作成します。createコマンドの実行形式は以下の通りです。
/opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetpoll create -n devicename -p polladdress1[,polladdress2] [-b {on | off}] |
監視対象となる仮想インタフェース名を指定します。hanetconfig createコマンドまたは、hanetconfig copyコマンドで作成した仮想インタフェース名を指定します。なお、論理仮想インタフェース名を指定する事はできません。
監視先のホスト名またはIPアドレスを指定します。“polladdress1”には、primaryインタフェース活性化時に監視するホスト名またはIPアドレスを指定します。“polladdress2”には、secondaryインタフェース活性化時に監視するホスト名またはIPアドレスを指定します。primaryインタフェースとsecondaryインタフェースで監視先が同じ場合や、secondaryインタフェースを定義していない場合(一重化の場合)は、“polladdress2”は省略します。
接続しているHUBのホスト名またはIPアドレスを指定します。アドレス形式として、IPv4アドレスまたはIPv6アドレスを設定することができます。IPv6アドレスを設定する場合、prefix値は指定しないでください。
また、ホスト名で指定する場合、IPv4とIPv6で同一名が存在するホスト名は使用しないでください。同一名が存在する場合、IPv6ホストとして処理されます。
なお、IPv6ルータによるアドレス自動構成を行わない環境でIPv6アドレスを設定する場合はリンクローカルアドレスを設定してください。
NIC切替方式において監視先HUBを2つ設定した場合には、カスケード接続しているHUBとHUB間の伝送路の状態を監視する事ができます。
on :HUB-HUB間の監視を行います。
off:HUB-HUB間の監視を行いません。
(2) copy コマンド
NIC切替方式の仮想インタフェースに対する監視先情報を複製、または仮想インタフェースの切替えを同期させる場合に使用します。これにより、監視先情報、HUB-HUB間監視モードを指定することなく自動的にコピー元の情報を流用して監視先情報を新規に作成することができ、hanetpoll createを直接実行する場合より操作が簡単になります。copyコマンドの実行形式は以下の通りです。
/opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetpoll copy -n devicename1,devicename2 |
ポイント
NIC切替方式において、タグVLANインタフェースを使用してネットワークアドレスの異なる複数の仮想インタフェースを作成した場合、VLAN運用を行っているスイッチ/HUBには監視先として複数のIPアドレスを設定できないことを考慮し、同一の物理インタフェースを使用している仮想インタフェース間で切替えを同期させることができます。これにより、監視先となるIPアドレスが存在しない仮想インタフェースでも、監視先の存在する仮想インタフェースと同期して伝送路異常時に切替えを行うことができます。仮想インタフェースの同期切替えを行う場合は、copyコマンドを使用して設定します。(仮想インタフェースのネットワークアドレスと異なるネットワークアドレスの監視先が指定可能です。)
監視先情報の複製元および複製先の仮想インタフェース名を指定します。
コピー元となる監視情報に設定されている仮想インタフェース名を指定します。
新たに監視を行う仮想インタフェース名を指定します。hanetconfig createコマンドまたは、hanetconfig copyコマンドで作成した仮想インタフェース名を指定してください。論理仮想インタフェース名を指定する事はできません。
(3) print コマンド
現在の監視先情報をprintコマンドによって表示することができます。現在の監視先情報を参照したい場合に使用します。printコマンドの実行形式は以下の通りです。
/opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetpoll print [-n devicename1[,devicename2,...]] |
監視先情報を表示する仮想インタフェース名を指定します。このオプションが指定されていない場合は、現在設定されている監視先情報をすべて表示します。
以下に オプション指定なし表示形式を示します。
# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetpoll print [ Standard Polling Parameter ] interval(idle) = 5( 60) sec times = 5 times max_retry = 5 retry repair_time = 5 sec link detection = NO failover mode = YES [ Polling Parameter of each interface ] Name Hostname/Polling Parameter +-------+---------------------------------------------------------------+ sha0 swhub1,swhub2 hub-hub poll = OFF interval(idle) = 5( 60) sec times = 5 times max_retry = 5 retry repair_time = 5 sec link detection = NO failover mode = YES Name Hostname/Polling Parameter +-------+---------------------------------------------------------------+ sha1 swhub3,swhub4 hub-hub poll = OFF interval(idle) = 5( 60) sec times = 5 times max_retry = 5 retry repair_time = 5 sec link detection = NO failover mode = YES |
表示 | 内容 | |
---|---|---|
Standard Polling Parameter | 共通の監視情報 | |
Polling Parameter of each interface | 個別の監視情報 | |
Name | 監視対象の仮想インタフェース名 | |
Hostname | 監視対象のホスト名またはIPアドレスを、プライマリ監視先、セカンダリ監視先の順で表示します。 | |
hub-hub poll | HUB-HUB間監視の状態 | |
hub-hub poll | ON | 監視機能が有効です。 |
OFF | 監視機能が無効です。 | |
--- | 監視機能を使用しません。 | |
interval(idle) | interval | 定常状態での監視間隔を秒単位で表示します。 |
idle | 監視開始後のHUBがリンクアップするまでの待ち時間を秒単位で表示します。 | |
times | 監視回数 | |
max_retry | 異常通知までの連続異常発生回数 | |
repair_time | 復旧監視間隔を秒単位で表示します。 | |
link detection | YES | リンクベースの障害検出を行います。 |
NO | リンクベースの障害検出を行いません。 | |
failover mode | 全伝送路異常発生時のクラスタ切替え有無 | |
failover mode | YES | クラスタリソースに登録されていた場合にノード間切替えを行います。 |
NO | ノード間切替を行いません。 |
(4) modify コマンド
監視先情報の設定内容を変更したい場合は、modifyコマンドを使用します。modifyコマンドの実行形式は以下の通りです。
/opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetpoll modify -n devicename {[-p polladdress1[,polladdress2]] [-b {on | off}]} |
変更する監視先情報の仮想インタフェース名を指定します。
変更する監視先のホスト名またはIPアドレスを指定します。設定方法の詳細は、(1) create コマンドの -pオプションを参照してください。
HUB-HUB間の監視有無を設定します。設定方法の詳細は、(1) create コマンドの -bオプションを参照してください。
注意
監視先を2つから1つに変更する場合は、HUB-HUB間監視の有無を確認し、監視有り(on)の場合には監視無し(off)に変更してください。
(5) delete コマンド
監視先情報を削除したい場合は、deleteコマンドを使用します。deleteコマンドの形式は以下の通りです。
/opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetpoll delete -n {devicename1[,devicename2,...] | all} |
監視先情報を削除する仮想インタフェース名(sha0、sha1など)を指定します。
定義されている監視先情報をすべて削除します。
(6) on コマンド
作成したHUB監視機能を有効化する場合、および、HUB監視機能、GS/SURE連携方式の通信相手監視機能の監視間隔変更を行う場合はonコマンドを使用します。onコマンドの形式は以下の通りです。
NIC切替方式、またはGS/SURE連携方式の場合: /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetpoll on [-s sec] [-c times] [-r retry] [-b sec] [-f {yes | no}] [-p sec] [-l {yes | no}] NIC切替方式の仮想インタフェースを個別指定する場合: /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetpoll on -n devicename [-d] | [[-s sec] [-c times] [-b sec] [-f {yes | no}] [-p sec] [-l {yes | no}]] |
HUB監視機能を有効化するNIC切替方式の仮想インタフェース名(sha0、sha1など)を指定します。本オプションを省略した場合は、監視先を設定しているすべての仮想インタフェースが対象となります。
本オプションで仮想インタフェースを指定した場合は、共通の監視情報の変更有無にかかわらず、その仮想インタフェースは個別の監視情報の設定値になります。共通の監視情報と同じ設定値で運用する場合は、本オプションと-dオプションを使用して共通の監視情報に変更してください。
なお、指定した仮想インタフェースが他の仮想インタフェースとNIC共有を行っている場合、NIC共有しているすべての仮想インタフェースは同期してHUB監視機能を有効化します。
指定した仮想インタフェースに対して個別に設定されている監視間隔や監視回数などの監視情報を、共通の監視情報に設定されている設定値に変更します。なお、本オプションは’-n’オプションでNIC切替方式の仮想インタフェースを個別に指定した場合にのみ有効です。(共通の監視情報については、(3) print コマンドの表示形式を参照してください。)
監視間隔を秒で指定します。設定可能な範囲は1~300です(但し、secとtimesの積が300以内でなければなりません)。HUB-HUB間監視が有効の場合は、2秒以上に設定してください。このオプションを指定しなかった場合は、前回の設定値が有効になります。初期設定値は5(秒)が設定されています。
監視回数を指定します。設定可能な範囲は1~300です(但し、secとtimesの積が300以内でなければなりません)。このオプションを指定しなかった場合は、前回の設定値が有効になります。初期設定値は5(回)が設定されています。
GS/SURE連携方式の通信相手ホスト監視で、異常を検出した場合の復旧監視間隔を指定します。設定可能な範囲は0~300です。このオプションを指定しなかった場合は、前回の設定値が有効になります。初期設定値は5(秒)が設定されています。
クラスタ運用中に伝送路異常によりノード間切替が発生する場合の動作について設定します。このオプションを指定しなかった場合は、前回の設定値が有効になります。初期設定値は“yes”が設定されます。なお、本パラメタはクラスタ運用時のみ有効です
yes:伝送路監視異常発生時にノード間切替を行います。
no :伝送路監視異常発生時にノード間切替を行いません。
HUB監視機能およびGS/SURE連携方式の通信相手監視機能において、監視開始後にHUBがリンクアップするまでの待ち時間を秒単位で指定します。
設定可能な範囲は1~300です。このオプションを指定しなかった場合は、前回の設定値が有効になります。初期設定値は60(秒)が設定されます。また、監視間隔×監視回数よりも値が小さい場合にはリンクアップ時間に設定された時間は無視され、監視間隔×監視回数で設定されている時間を採用します。
NIC切替方式で物理NICのリンクベースの障害検出を行うかどうかを指定します。このオプションを指定しなかった場合は、前回の設定値が有効になります。初期設定値は“no”が設定されます。
yes:リンクベースの障害検出を有効にする。
no :リンクベースの障害検出を無効にする。
本オプションを “yes” に設定した場合には、物理NICのリンク状態を基に監視や切替えの制御を以下のように行います。
strhanetコマンドでNICを活性化する際に、プライマリNICのリンクダウンにより片系故障の状態となっていた場合は、プライマリNICの使用を取りやめてセカンダリNICを活性化します。
物理NICのリンクダウンにより監視が失敗した場合は、監視のリトライを行わず、即座に伝送路異常とみなします。
監視の失敗によりNICの切替えを行う場合は、事前に切替え先のNICの状態を確認し、リンクダウン状態となっており、かつ、5秒以上(待機パトロールを設定している場合:2.5秒以上)継続している場合は、NICの切替えを抑止します。
注意
以下の環境では、リンク状態監視機能によるNICのリンクダウンが検出できません。
Oracle VM環境(仮想スイッチ(vswX)または仮想ネットワークデバイス(vnetX)を束ねており、かつ、物理リンクステータスを反映していない場合)
Solaris 11の仮想NIC(VNIC)を使用した環境
これは、物理NICでリンクダウンが検出されても、OSが、GLSが束ねるインタフェースにまでリンクダウンの通知を行わないためです。伝送路の切替えは、リンク状態監視機能ではなく、HUB監視機能による異常が検出された後、実施されます。
物理リンクステータスの反映は、ldm(1M)コマンドを使用します。ldm(1M)コマンドについては、Solarisのマニュアルを参照してください。
(7) off コマンド
HUB監視機能を無効化したい場合はoffコマンドを使用します。offコマンドの形式は以下の通りです。
/opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetpoll off [-n devicename] |
HUB監視機能を無効化するNIC切替方式の仮想インタフェース名(sha0、sha1など)を指定します。本オプションを省略した場合は、監視動作中のすべての仮想インタフェースが対象となります。
なお、指定した仮想インタフェースが他の仮想インタフェースとNIC共有を行っている場合、NIC共有しているすべての仮想インタフェースは同期してHUB監視機能を無効化します。
【注意事項】
本コマンドにより監視先情報の設定を行うためには、本コマンド実行以前に、hanetconfig コマンドにより構成情報の設定が行われている必要があります。
本コマンドはNIC切替方式(運用モード”d”または”e”)の仮想インタフェースに対して指定する事ができます。(GS/SURE連携方式については監視機能の有効化および無効化の機能のみ使用できます。)
クラスタシステムで使用する仮想インタフェースを監視する場合には、その仮想インタフェースが属するクラスタアプリケーションが運用中の時のみ監視対象となります。
HUB監視を行う仮想インタフェースの運用モードが高速切替方式を指定している場合には、その旨メッセージを出力し伝送路の監視は行いません。
hanetpoll on コマンドで指定する監視時間および監視回数はそれぞれの積が300以内になる様に指定する必要があります。
hanetpoll on コマンドで指定するリトライ回数の指定可能範囲は0~99999です。0を指定した場合には、無限に監視を行います。
hanetpoll printコマンドは、ユーザが設定した最新の情報(create、delete、modify、on、offの結果)を表示するコマンドであって、HUB監視の現在の状態を表示するコマンドではありません。
有効な監視先情報がある場合には、システム起動時に自動的に監視が開始されます。
監視先情報の設定、変更時に指定する、IPアドレスまたはホスト名は、必ず/etc/inet/hostsファイルおよび/etc/inet/ipnodesファイルに定義してください。
ホスト名として数字列を指定した場合は、10進数として扱われ、その数値に対応したIPアドレスに変換され動作します。(例えば、"123456"を指定した場合、IPアドレス"0.1.226.64"が指定されたものと見なされます。)
複数の仮想インタフェースに同じ監視先を設定する場合、2つ目以降の設定にはcopyコマンドを使用してください。
本コマンドでホスト名またはIPアドレスを設定する箇所にホスト名を指定した場合、/etc/inet/hostsファイルおよび/etc/inet/ipnodesファイル等のホストデータベース上の該当するホスト名を変更することはできません。ホスト名情報を変更する場合は、該当ホスト名を使用する伝送路二重化機能の定義を一旦削除し、再設定する必要があります。
本コマンドで指定するホスト名には、文字列内に英数字、ピリオド、ハイフン以外を使用することはできません。英数字、ピリオド、ハイフン以外を使用している場合、/etc/inet/hostsおよび/etc/inet/ipnodesファイル等のホストデータベース上の該当するホスト名を変更して、英数字、ピリオド、ハイフン以外を使用しないようにしてください。また、ホスト名の先頭と末尾には英数字を指定し、それ以外の文字を指定しないようにしてください。
【使用例】
仮想インタフェースsha2において、監視先ルータrouterA,routerBを監視対象にする場合の例を以下に示します。なお、ホスト名は、/etc/inet/hostsファイルに定義されているものとします。
# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetpoll create -n sha2 -p routerA,routerB |
NIC切替方式の仮想インタフェースsha0に定義されている監視先情報をsha1に複写する場合の例を以下に示します。(sha0で伝送路異常を検出して切替えが行われる場合は、sha1も同時に切替えが行われます。)
# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetpoll copy -n sha0,sha1 |
仮想インタフェースの構成情報一覧を表示する場合の例を以下に示します。
# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetpoll print |
仮想インタフェースsha2において、監視先ルータをrouterA,routerCに変更する場合の例を以下に示します。なお、ホスト名は、/etc/inet/hostsファイルに定義されているものとします。
# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetpoll modify -n sha2 -p routerA,routerC |
仮想インタフェースsha2の監視先情報を削除する場合の例を以下に示します。
# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetpoll delete -n sha2 |
HUB監視機能を開始する場合の例を以下に示します。
# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetpoll on |
NIC切替方式の仮想インタフェースsha0を指定してHUB監視機能を開始する場合の例を以下に示します。
# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetpoll on -n sha0 |
HUB監視機能を停止する場合の例を以下に示します。
# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetpoll off |
NIC切替方式の仮想インタフェースsha0を指定してHUB監視機能を停止する場合の例を以下に示します。
# /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetpoll off -n sha0 |