伝送路二重化機能は、複数のNIC(Network Interface Card)を使用して、自システムが接続されるネットワークの伝送路を冗長化し、通信全体の高信頼化を実現するソフトウェアです。
以下の4つの方式による伝送路制御機能を提供しています。仮想NIC方式については、“PRIMECLUSTER Global Link Services 説明書 4.3 (伝送路二重化機能 仮想NIC方式編)”を参照してください。
高速切替方式は、同一ネットワーク上のSolarisまたはLinuxサーバ間の伝送路を冗長化し、伝送路障害発生時の通信継続、および伝送路同時使用によるトータルスループットの向上を実現します。本方式では、冗長化した伝送路を同時に使用し、障害発生時は該当の伝送路を切り離して縮退運用します。Global Link Services(以降、GLS)自身が制御するため、障害を早期に検出することが可能です。通信可能な相手装置は、SPARC M10、SPARC Enterprise、PRIMEPOWER、GP7000F、富士通S series、GP-S、PRIMERGY、およびPRIMEQUESTです。なお、ルータを超えた別ネットワーク上のホストとの通信には利用できません。
図1.1 高速切替方式
NIC切替方式は、二重化したNIC(LANカード)を同一ネットワーク上に接続し、排他使用して伝送路の切替えを制御します。通信相手が限定されず、またルータを経由した別ネットワーク上のホストとの通信も可能です。
図1.2 NIC切替方式
仮想NIC方式は、同一ネットワーク上の複数のネットワークインタフェースを、仮想的な1つのインタフェースとしてグループ化することで通信の高信頼化を実現します。通信相手が限定されず、ルータを経由した別ネットワーク上のホストとの通信も可能です。同一ネットワーク上のネットワークインタフェースを冗長化するNIC切替方式と比較した場合、以下の特長があります。
障害監視機能で監視先IPアドレスの指定が不要
Solarisゾーン環境の場合、グローバルゾーンだけでなく、ノングローバルゾーンからも仮想NICを利用可能
Oracle VM環境の場合、仮想インタフェースを仮想ブリッジに接続する構成が利用可能
図1.3 仮想NIC方式
GS/SURE連携方式は、グローバルサーバまたはSURE SYSTEMとの間で高信頼通信を行うための富士通方式に従って伝送路を制御します。本方式では二重化した伝送路を同時に使用し、正常時はTCPコネクションごとに伝送路を自動的に振り分けて通信を行い、異常発生時には、該当の伝送路を切り離してTCPコネクションを正常な伝送路へ移動し、縮退運用を行います。本方式では、以下に示す2通りの接続機能があります。(以降、グローバルサーバをGS、SURE SYSTEMをSUREと呼びます。)
同一LAN上で、GSおよびSUREと直接接続することができます。
図1.4 GS/SURE連携方式(GS/SURE接続機能)
SUREでTCPコネクションを中継することにより、任意のシステムと接続することができます。
なお、本機能は中継装置がSUREの場合のみ使用できます。
図1.5 GS/SURE連携方式(TCP中継機能)