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PRIMECLUSTER Wizard for NAS 4.5 導入運用手引書
FUJITSU Software

付録B NR1000F クラスタの自動 takeover 機能のチューニング方法

PRIMECLUSTER Wizard for NAS では、ping コマンドにより NR1000F 装置へアクセス可能かどうか監視しています。そして、ping の応答がない (アクセス不能) 場合に自動 takeover 処理を行います。以下では、NR1000F クラスタ自動 takeover 実行開始時間、および環境設定 Wizard で設定可能な ping コマンドに対するパラメーターのチューニング方法について説明します。

自動 takeover 実行開始時間のチューニング

自動 takeover 処理の実行開始時間は、クラスタノード - HUB 間監視とクラスタノード -NR1000F 装置間監視を考慮する必要があります。

  1. クラスタノード - HUB 間では GLS リソースが監視を行っています。GLS 監視により、NIC 切替えが完了するまでは自動 takeover が実行しないように設定しなければいけません。
    つまり、
    GLS 監視開始時間 (a) + NIC 切替え時間 (b) < 自動 takeover 実行開始時間 (X)
    を満たす必要があります。
    よって、次式のようになります。

    (a) + (b) = 10 (秒)+ 約30 or 約60(秒) < X(秒)

    NIC切替えの所要時間

    HUB-HUB監視なしの場合

    約30秒

    HUB-HUB監視ありの場合

    約60秒

    参照

    GLS 監視については、「PRIMECLUSTER Global Link Services 説明書 (伝送路二重化機能編)」 を参照してください。

  2. クラスタノード -NR1000F 装置間を監視している RemoteFileSystems リソースは、障害を検知すると300秒 (推奨値) 経過後にリソース異常となります。
    よって、PRIMECLUSTER Wizard for NAS の自動 takeover 実行開始までの時間と takeover に要する時間の和が、300秒以内である必要があります。
    つまり、次式のようになります。

    自動 takeover の実行開始時間 (X) ≦
    RemoteFileSystems リソースタイムアウト時間 (300秒) - takeover に要する時間

1. と 2. より、以下の条件式 (1) が考えられます。(X = 自動 takeover 実行開始時間)

約40秒 or 約70秒 < X < 300(秒) - takeoverに要する時間  ・・・・・・(1)

次に、自動 takeover 処理の実行開始までの流れを以下の図に示します。

図より、(1) 式を満たす自動 takeover 処理実行開始時間は (m) の範囲となります。

環境設定ウィザードで設定可能な ping コマンドのパラメのチューニング

以上のことから、ping 処理は (m) の範囲内で完了することが必要です。
デフォルト値は以下のようになります。

A

NR1000F 装置への ping コマンドの発行回数

10回

B

NR1000F 装置への ping コマンドのタイムアウト時間

5秒

C

NR1000F 装置への ping コマンドの実行間隔

5秒

Netapp リソースで異常検知してから、自動 takeover を実行するまでに要する ping 処理時間は以下の式により算出できます。

( B. + C. ) × ( A. - 1 ) + B. = (5+5)×9 + 5 = 95秒

よって、デフォルト値での自動 takeover 実行開始時間は PRIMECLUSTER Wizard for NAS の監視開始から95秒後となります。

注意

takeover に要する時間は環境により変化します。