PRIMECLUSTER Wizard for Oracle の留意事項について説明します。
要件・前提条件
本製品を使用するための要件、前提条件に関する留意事項です。
同一ノード上に、バージョン・リリースの異なる複数の Oracle Database をインストールすることができます。ただし、運用・待機ノードでバージョン・リリースを一致させる必要があります。
サポートする Oracle Database 製品名称等は、“ソフトウェア説明書” や “ハンドブック” 等を参照してください。
Oracle Database をインストールする際に使用するユーザー名、ユーザーID、グループ名、グループIDは、全ノードで同一にする必要があります。
1台のサーバに複数の $ORACLE_HOME を作成する場合は、それぞれ異なるユーザー名で作成してください。
Oracle データベースは、共用ディスク上に配置する必要があります。
マルチテナント機能を使用したデータベースを作成する場合も、CDBとPDBのデータベースを共用ディスク上に配置する必要があります。
Oracle データベースのログ出力先を共用ディスク装置に設定することは推奨しません。ディスク装置の障害発生時にログが出力されず、調査ができなくなる場合があります。
Oracle データベースのアーカイブログファイルについては、ローカルディスク、共用ディスクに配置した場合、それぞれ以下の点に注意してください。
ローカルディスク
Oracle データベースのリカバリーが必要な場合には、両系のノードにある Oracle アーカイブログファイルを集結してリカバリー作業を実施してください。
共用ディスク
共用ディスクの容量の枯渇に注意してください。アーカイブログ領域不足に陥ると、監視用 SQL によるデータ更新処理がハングアップし、リソース異常となる場合があります。
その後 userApplication がフェイルオーバしてもフェイルオーバ先の待機ノードでも共用ディスク上の領域不足により Oracle データベースの起動に失敗するため、最終的に両系停止となり業務が停止する場合があります。
マルチテナント機能を使用したデータベースの場合、Oracle RACスケーラブル運用はサポート対象外です。
マルチテナント機能を使用したデータベースの場合、AUDIT_FILE_DESTに指定されるディレクトリのディスクの容量の枯渇に注意してください。PDBを監視する際に、Oracleインスタンスリソースの監視間隔(デフォルト30秒)毎にAUDIT_FILE_DESTのディレクトリの容量が約1KBずつ増加します。ログファイルの容量や作成の頻度は環境によって異なります。定期的にAUDIT_FILE_DESTのディレクトリの容量を確認して、バックアップや削除を行ってください。
Oracle データベースの TWO_TASK 環境変数は使用できません。詳細は、“2.2.6 データベースの作成・設定” を参照してください。
Oracle ユーザーの login.sql に、Oracle データベースに接続するような処理を記述しないでください。詳細は、“2.2.6 データベースの作成・設定” を参照してください。
本製品は、Oracle インスタンスの起動/停止を行なう際に SYSDBA システム権限で接続しますが、このときオペレーティング・システム認証 (OS認証) を使ったローカル接続を行います。そのため、次の条件を満たしている必要があります。 (満たしていない場合、userApplication による Oracle インスタンスの操作に失敗します。)
“2.2.7.2 Oracle リソースの作成” および “2.3.5 Oracle RAC インスタンス、リスナーリソースを含む userApplication の作成” で Oracle インスタンスリソースに設定した OS ユーザー (Oracle ユーザー) が、OSDBA グループに所属していること。
sqlnet.ora ファイルに SQLNET.AUTHENTICATION_SERVICES パラメーターが設定されていないこと。
本製品の接続は OS 認証を使用しますが、それ以外の接続 (例えば、システム管理者がメンテナンスのために手動で SYSDBA または SYSOPER システム権限で接続する場合) では、パスワード・ファイル認証を使用することができます。
Oracle ユーザーのプロファイルにおいて、対話型のコマンド (例 script) を実行しないでください。プロファイルは、/etc/profile, .bash_profile, .cshrc, .profile などを指します。
Oracle ユーザーのプロファイルに対話型のコマンドを記述した場合、以下の現象が発生します。
userApplicationの起動・停止、Oracle リソースの監視が正常に動作しない
clgetoralogコマンド、clorainfoコマンドがハングアップしコマンドラインに復帰しない
Oracle ユーザーのホームディレクトリ、プロファイルを共用ディスクに配置した環境は、サポート対象外です。Oracle ユーザーのホームディレクトリ、プロファイルは各ノードのローカルディスクに配置してください。
リスナーのオペレーティング・システム認証 (OS認証) を有効にしてください。詳細は、“2.2.6 データベースの作成・設定”を参照してください。
/tmp ディレクトリに Oracle ユーザーの書き込み権限を付与してください。
本製品では、Oracle ユーザー権限で動作するプログラムが /tmp ディレクトリを使用します。書き込み権限がない場合、Oracle データベースの起動や停止に失敗します。
Oracle Database 11g R2/12c R1 で Oracle ASMを使用する場合はOracle Grid Infrastructureをインストールする必要があります。
スタンバイ運用またはシングルノードクラスタ運用では、Oracle DatabaseのインストールユーザーとOracle Grid Infrastructureのインストールユーザーを分割する構成をサポートします。単一インストールユーザーの構成はサポート対象外です。
Oracle RAC スケーラブル運用では、Oracle DatabaseのインストールユーザーとOracle Grid Infrastructureのインストールユーザーを分割する構成、単一インストールユーザーの構成いずれもサポートします。単一インストールユーザーで構成している場合、clorainfoコマンドの-eパラメーターで注意事項があります。詳細は、"4.6 clorainfo - 設定情報や監視状態の表示"を参照してください。
Oracle Database 11g R2/12c R1 で Oracle ASM を使用する場合、Oracle Database のインストールユーザーの ORACLE_BASE 環境変数と、 Oracle Grid Infrastructure のインストールユーザーの ORACLE_BASE 環境変数は異なるディレクトリを指定してください。
Oracle Database ソフトウェアがローカルディスク上に配置されている場合、ローカルディスク上にアップグレードしてください。
Oracle Database ソフトウェアが共用ディスク上に配置されている場合、共用ディスク上にアップグレードしてください。
アップグレード前後で Oracle Database ソフトウェアの配置先を変更することはサポート対象外です。
/opt/FJSVclora/usr 配下に格納するユーザースクリプト(prestartup*・nomount*・mount*)内では、"su -"を使用しないでください。
スケーラブル運用の場合、Oracle Grid Infrastructure、Oracle Database は各ノードのローカルディスクにインストールしてください。
仕様・機能
本製品の仕様、機能に関する留意事項です。
本製品は、Oracle インスタンスの監視のため、SYSTEM ユーザーでデータベースに接続します。また、SYSTEM ユーザーのデフォルト表領域上に監視用テーブルを作成して Oracle データベースの動作確認を行います。この監視用テーブルは数バイトの小さなものです。ただしデータの更新を定期的に行っているため、微量の REDO ログの更新が行われ、アーカイブログが出力されます。
Oracle インスタンスの immediate モードによる停止が Online Backup 実施中に行われると、停止に失敗します。この場合本製品は、abort で停止を行います。
Oracle インスタンスの起動時間、停止時間はデータベースの規模によって異なります。本製品のデフォルトでは Oracle インスタンス起動時間のタイムアウトは10分、停止時間のタイムアウトは3分となっています。また、RMS の停止コマンド hvshut は独自のタイムアウト時間が設定されています。hvshut コマンドがタイムアウトしても RMS 停止に伴う userApplication の停止処理は継続されます。
スタンバイ運用およびシングルノードクラスタ運用の場合、本製品はOracle インスタンスの起動時にデータベースのバックアップ・モードまたはメディア障害を検出したとき、バックアップ・モードの解除またはリカバリーを自動的に実行します。
Oracle RAC スケーラブル運用の場合は、修復処理を実行しません。
Oracle RAC スケーラブル運用の場合、RMS 上のリソース名は Oracle RAC の CRS リソース名や OracleSID をもとに生成されます。詳細は、“2.3.2 Oracle Database ソフトウェアのインストール・設定” を参照してください。
MonitorOnly は以下の条件のとき有効にできます。詳細は、“2.2.7.2 Oracle リソースの作成” を参照してください。
“Instance” と “Listener” がそれぞれ1つずつで、かつ「起動優先度(StartPriority)」に “Same” を指定した場合。
“Instance” か “Listener” のどちらかのMonitorOnly を有効にできます。
“Instance” を2つ以上作成した場合。
“Instance” の MonitorOnly を有効にできます。最低1つの“Instance” はMonitorOnly を無効にしなければなりません。
“Listener” を2つ以上作成した場合。
“Listener” の MonitorOnly を有効にできます。最低1つの“Listener” はMonitorOnly を無効にしなければなりません。
Oracle RAC スケーラブル運用において、Oracle データベースの srvctl コマンドや 、Oracle インスタンスに対して shutdown コマンドを直接実行すると、RMS 上のリソース状態との不一致が発生する場合があります。
環境構築
環境構築に関する留意事項です。
PreOnlineScript 等のスクリプトを設定した場合は、exit code と タイムアウト時間に注意してください。詳細は、“2.4.1 Oracle リソース起動・停止時のスクリプトの設定” を参照してください。
PRIMECLUSTER Wizard for NAS と組み合わせる場合は、「PRIMECLUSTER Wizard for NAS 導入運用手引書」を参照してください。
運用
運用に関する留意事項です。
クラスタ運用中に Oracle SYSTEM ユーザーパスワードを変更する場合は、PRIMECLUSTER Wizard for Oracle に変更後の Oracle SYSTEM ユーザーパスワードを登録する必要があります。“3.3 クラスタ運用中の Oracle SYSTEM ユーザーパスワード変更手順” を参照してください。
Oracle ユーザー、Grid ユーザー、Oracle SYS ユーザーのパスワードを変更する場合は、PRIMECLUSTER Wizard for Oracle の設定変更は不要です。
Oracleインスタンスリソースの設定で“PDBを使用”をyesに設定するとPDBの監視を行います。PDBの異常を検出するとsyslogへメッセージを出力します。メッセージの内容は“第6章 メッセージ一覧”を参照してください。PDBの異常を検出しても再起動やフェイルオーバは実施しません。
その他
上記以外の留意事項です。
abort での停止では、次回起動時に Oracle インスタンスの自動リカバリーが実行されます。