注意
CCBRは、PRIMECLUSTER関連の構成情報のみをバックアップします。
CCBRを使用すると、あるクラスタノードごとに現状のPRIMECLUSTER構成情報を簡単にバックアップすることができます。 また、ノードのアップデートにより重大な問題や障害が発生し、アップデート されたノードを元に戻す必要がある場合に、いつでも元に戻すことができます。 CCBRは、バックアップおよびリストアをノード単位で行います。 複数のクラスタノードは、それぞれのノードでバックアップおよびリストアを行う必要があります。
CCBRには、以下のコマンドが用意されています。
すべての情報を1つのディレクトリに保存し、tar形式の圧縮アーカイブファイルに変換します。
cfbackup(1M) で圧縮された tar 形式のアーカイブから保存された構成情報を抽出し、インストールします。
cfrestore(1M) の実行後に、RMSを起動するには、RMS構成定義ファイルを再配布する必要があります。RMS構成定義の再配布が完了した時点で、以下の処理が完了しています。
RMS構成の整合性チェック
RMSでリソース監視するためのディテクタのリンク設定
クラスタノード間の正常な通信の確保
RMS Wizard Toolsで使用するシェルコマンドに必要なエイリアスの作成。 これは、RMS構成定義の配布処理中に自動的に行われます。
RMS構成の配布の詳細については、“PRIMECLUSTER RMS導入運用手引書”の“4.4 RMS構成定義ファイルの作成と配布”を参照してください。
注意
cfrestore(1M) コマンドでPRIMECLUSTERの構成を正しくリストアできるようにするには、バックアップ作成時以降にハードウェアまたはオペレーティングシステムの変更がないこと、および、インストールされているPRIMECLUSTER製品のバージョンが同じであることを確認してください。
一部のPRIMECLUSTER製品では、インストールまたは再インストールによりカーネルドライバが追加されるため、デバイスの再構成が行われる場合があります。 通常これで問題が生じることはありません。 しかしながら、ネットワークインタフェースカード (NIC) の装着、取り外し、交換、移動が行われていると、デバイスのインスタンス番号 (/dev/hme2の2番など) が変更される可能性があります。 この種の変更が発生すると、リストアされたPRIMECLUSTERの構成が無効になる可能性があります。
cfbackup(1M) およびcfrestore(1M) は、フレームワークとプラグインで構成されています。 フレームワークとプラグインには以下のような機能があります。
フレームワークは、SMAWcfパッケージのプラグインを呼び出します。
このプラグインは、あらかじめ定義されたリスト、ログファイル、およびエラーログファイルの作成および更新を行います。
インストール済みのPRIMECLUSTER製品の全プラグインが、名前順に呼び出されます。
すべてのプラグインの処理が完了すると、バックアップディレクトリのアーカイブ (tar形式) が作成され、圧縮されます。
バックアップの完了が記録され、ログファイルのファイルロックが開放されます。
cfbackup(1M) コマンドは、PRIMECLUSTERを構成する各ノード単位で実行され、そのノードに存在するすべてのクラスタの構成情報をバックアップします。 このコマンドを正しく運用するには、すべてのクラスタノードで同時に実行し、関連するすべてのPRIMECLUSTER構成情報をバックアップする必要があります。 cfbackup(1M) コマンドは必ずrootで実行します。 バックアップ処理が中止された場合、CCBRアーカイブは作成されません。 いずれかのプラグインでバックアップ処理が失敗すると、コマンドの処理は次のプラグインには進まずにそこで中止します。cfbackup(1M) は成功すると0 (ゼロ)、失敗すると0以外の値で復帰します。
cfrestore(1M) コマンドは、PRIMECLUSTERを構成する各ノード単位で実行され、それまでにバックアップされたPRIMECLUSTER構成情報のすべてをCCBRアーカイブからリストアします。 ノードは、シングルユーザモードで、かつCFがロードされていない状態であることが必要です。 クラスタ構成で運用中のノードでは実行できません。 cfrestore(1M) コマンドは必ずrootで実行します。 cfrestore(1M) は成功すると0 (ゼロ)、失敗すると0以外の値で復帰します。
cfrestore(1M) が成功した後で、必ず再起動してください。cfrestore(1M) が途中で終了した場合は、構成の更新が完了していない可能性があるため、失敗の原因を詳しく検討する必要があります。
注意
cfbackup(1M) コマンドおよびcfrestore(1M) コマンドは、多重実行はできません。1ノード上では、1つだけ実行してください。マルチユーザモードではcfbackup(1M) コマンドが実行可能で、シングルユーザモードではcfrestore(1M) コマンドのみ実行可能です。
一部のPRIMECLUSTER情報は、ノードがクラスタに参入した時点で渡されます。 リストアされた情報は使用されません。 このPRIMECLUSTER情報をリストアし、使用するためには、クラスタ全体をダウンさせ、クラスタを生成する最初のノードにリストアされたデータを保持させる必要があります。
cfbackup(1M) およびcfrestore(1M) コマンドが動作するためには、不可欠なファイルやディレクトリがあります。 それらを以下に説明します。
/opt/SMAW/ccbr/plugins ディレクトリには実行可能形式のCCBRプラグインが格納されています。PRIMECLUSTERモジュールをインストールすることにより、この場所に保存されます。
/opt/SMAW/ccbr/ccbr.confファイルはCCBRHOMEの値を指定するために必要です。
CCBRHOMEは、CCBRアーカイブを保存するディレクトリのパス名です。
デフォルトのccbr.conf ファイルは、SMAWccbrパッケージの一部として提供され、CCBRHOMEは/var/spool/SMAW/SMAWccbrに指定されています。 CCBRHOMEパス名は、システム管理者によりいつでも変更可能です。 CCBRHOMEを設定するシステム管理者は、アーカイブの保存に十分なディスク容量があることを事前に確認しておくことを推奨します。 システム管理者は場合により、CCBRHOMEパス名を十分な空きディスク容量のあるファイルシステムに変更する必要があります。
注意
SMAWccbrパッケージを再インストールすると、/opt/SMAW/ccbr/ccbr.confファイルの内容がリセットされ、パッケージのデフォルト設定に戻るため注意が必要です。
ccbr.confの例を以下に示します。
#!/bin/ksh - #ident "@(#)ccbr.conf Revision: 12.1 02/05/08 14:45:57" # # CCBR CONFIGURATION FILE # # set CCBR home directory # CCBRHOME=/var/spool/SMAW/SMAWccbr export CCBRHOME
/opt/SMAW/ccbr/ccbr.gen (世代番号) ファイルは、CCBRアーカイブの名前を決定するために使用されます。CCBRアーカイブは、CCBRHOMEディレクトリ内に置かれます。
/opt/SMAW/ccbr/ccbr.genファイルには、次回バックアップ時の世代番号が記載されます。 CCBRアーカイブファイル名には世代番号がつきます。
このファイルを削除すると、cfbackup(1M) またはcfrestore(1M) を実行後、世代番号1 で新しいファイルが生成されます。どちらのコマンドもコマンド引数として指定された世代番号を使用し、コマンド引数が指定されていない場合は、ファイルの値を使用します。 cfbackup(1M) コマンドは、さらにコマンド引数が/opt/SMAW/ccbr/ccbr.genファイルの値より小さくないかどうかを確認します。 コマンド引数が、/opt/SMAW/ccbr/ccbr.genファイルの値より小さい場合、cfbackup(1M)コマンドは、代わりにファイルの値を使用します。
実行が完了すると、cfbackup(1M) コマンドは、このファイルの世代番号の値を1つ増やします。 システム管理者は、いつでもこのファイルを編集できます。
cfbackup(1M) バックアップが正常終了すると、次の名前のCCBRアーカイブ(圧縮されたtar形式のアーカイブ)がバックアップファイルとしてCCBRHOMEディレクトリに生成されます。
hostname_ccbrN.tar.Z
hostnameはノード名、Nは世代番号を表します。
たとえば、クラスタノードfuji2で世代番号が5の場合、アーカイブファイル名は以下のようになります。
fuji2_ccbr5.tar.Z
cfbackup(1M) コマンドが実行されるごとにバックアップツリーディレクトリが作成されます。
作成されるディレクトリは以下のとおりです。
このディレクトリは、コマンドの実行が完了した後で削除されます。
CCBRHOME/nodename_ccbrN.
nodenameはノード名、Nは世代番号を表します。
CCBROOTはこのディレクトリを指す環境変数として設定されます。
たとえば、ノードfuji2では次のようになります。
fuji2# cfbackup 5
CCBRHOMEのデフォルトの設定を使用して、以下のディレクトリが作成されます。
/var/spool/SMAW/SMAWccbr/fuji2_ccbr5
このバックアップディレクトリツリーの名前は、環境変数として各プラグインに渡されます。
CCBRHOME/ccbr.log
起動メッセージ、完了メッセージ、エラーメッセージが記録されるログファイルです。 すべてのメッセージには、時刻が記録されます。
CCBROOT/errlog
プラグインの実行が失敗した場合にエラーの詳細情報が記録されるログファイルです。 すべてのメッセージには、時刻が記録されます。
CCBROOT/plugin.blogまたはCCBROOT/plugin.rlog
それぞれのプラグインのバックアップ、リストア処理ごとの起動メッセージ、完了メッセージ、エラーメッセージが記録されるログファイルです。 これらのメッセージには、時刻が記録されます。
参照
cfbackup(1M) および cfrestore(1M) の詳細については、“PRIMECLUSTER 活用ガイド<コマンドリファレンス編>”の cfbackup(1M) および cfrestore(1M) を参照してください。
例
例1: バックアップ
fuji2# cfbackup
このコマンドは、システムfuji2に存在するすべてのCCBRプラグインの構成定義ファイルをバックアップし、検証します。
cfbackup(1M) コマンドは以下のような出力を行います。
# cfbackup 01/16/03 17:21:39 cfbackup 11 started 01/16/03 17:21:40 active cluster nodes: Node Number State Os Cpu fuji2 1 UP Solaris Sparc fuji3 2 UP Solaris Sparc 01/16/03 17:21:40 installed ccbr plugins: FJSVwvbs.pi SMAWcf.pi SMAWdtcp.pi _rmswizvalidate _sample.pi rmswizbackup rscmgr.pi sfbackup sfvalidate 01/16/03 17:21:40 validate started 01/16/03 17:21:40 validate ended 01/16/03 17:21:40 validate started 01/16/03 17:21:40 validate ended 01/16/03 17:21:40 FJSVwvbs: validate started 01/16/03 17:21:40 FJSVwvbs: validate ended 01/16/03 17:21:40 SMAWcf: validate started for /var/spool/SMAW/SMAWccbr/fuji2_ccbr11 01/16/03 17:21:40 SMAWcf: validate ended 01/16/03 17:21:41 SMAWdtcp: validate started Checking for file /etc/dtcp.ap Checking for file /etc/inittab 01/16/03 17:21:41 SMAWdtcp: validate ended 01/16/03 17:21:41 validation failed in /opt/SMAW/ccbr/plugins/rmswizbackup 01/16/03 17:21:41 rscmgr.pi: validate started 01/16/03 17:21:41 rscmgr.pi: validate normal ended SMAWsf validation begins ..... Validation done. No problems found ..... Please read the validation report /var/spool/SMAW/SMAWccbr/fuji2_ccbr11/sf/backupvalidatelog 01/16/03 17:21:41 cfbackup 11 ended unsuccessfully.
この出力は、rmswizbackupに問題があり、cfbackup(1M) が正常に終了しなかったことを示しています。 この場合、サブディレクトリ/var/spool/SMAW/SMAWccbr/fuji2_ccbr11が生成されます。 このディレクトリに、rmswizbackup.blogおよびerrlogが保存されます。
rmswizbackup.blogファイルの出力は以下のとおりです。
01/16/03 17:21:40 rmswizbackup: validate started 01/16/03 17:21:40 rmswizbackup: validate ended
errlogの出力は以下のとおりです。
01/16/03 17:21:40 cfbackup 11 error log started Environment variable $CCBROOT not set ... /opt/SMAW/ccbr/plugins/rmswizbackup[66]: /opt/SMAW/ccbr/plugins/rmswizvalidate: not found
cfrestore(1M) を実行するには、ノードはシングルユーザモードで、かつCF がロードされていない状態であることが必要です。
以下のファイルは、cfrestore(1M) を実行中は別々に扱います。
CCBROOT/rootディレクトリに保存されるファイルです。 CCBROOT/rootファイルツリーからシステムファイルツリーの対応する場所にコピーされます。
アーカイブには保存されますが、リストアはされないオペレーティングシステムファイルです。 システム管理者は、必要な変更を反映するため、場合により新しいOSファイルとリストアOSファイルをマージする必要があります。
その他のファイル
エラーログなどのログファイルです。 その他のファイルはリストアされません。
cfrestore(1M) コマンドは以下のような出力を行います。
例
例2: リストア
fuji2# cfrestore 11
このコマンドは、cfbackup 11の構成設定ファイルをfuji2にリストアおよび検証します。
cfrestore(1M) コマンドは以下のような出力を行います。
01/16/03 17:35:28 cfrestore 11 started 01/16/03 17:35:28 extract files from tar archive x ., 0 bytes, 0 tape blocks x ./root, 0 bytes, 0 tape blocks x ./root/etc, 0 bytes, 0 tape blocks x ./root/etc/opt, 0 bytes, 0 tape blocks x ./root/etc/opt/FJSVwvbs, 0 bytes, 0 tape blocks x ./root/etc/opt/FJSVwvbs/etc, 0 bytes, 0 tape blocks x ./root/etc/opt/FJSVwvbs/etc/webview.cnf, 834 bytes, 2 tape blocks x ./root/etc/opt/FJSVwvbs/etc/wvlocal.cnf, 260 bytes, 1 tape blocks x ./root/etc/default, 0 bytes, 0 tape blocks x ./root/etc/default/cluster, 136 bytes, 1 tape blocks x ./root/etc/default/cluster.config, 144 bytes, 1 tape blocks x ./root/etc/cip.cf, 279 bytes, 1 tape blocks x ./root/var, 0 bytes, 0 tape blocks x ./root/var/adm, 0 bytes, 0 tape blocks x ./root/var/adm/cfreg.data, 216 bytes, 1 tape blocks x ./OS, 0 bytes, 0 tape blocks x ./OS/etc, 0 bytes, 0 tape blocks x ./OS/etc/hosts, 195 bytes, 1 tape blocks x ./errlog, 92 bytes, 1 tape blocks x ./ccbr.cluster.list, 79 bytes, 1 tape blocks x ./ccbr.plugin.list, 33 bytes, 1 tape blocks x ./pirc, 2 bytes, 1 tape blocks x ./FJSVwvbs.blog, 172 bytes, 1 tape blocks x ./SMAWcf.blog, 242 bytes, 1 tape blocks x ./FJSVwvbs.id, 36 bytes, 1 tape blocks x ./saved.files, 160 bytes, 1 tape blocks x ./SMAWcf.id, 20 bytes, 1 tape blocks 01/16/03 17:35:28 this backup (/var/spool/SMAW/SMAWccbr/fuji2_ccbr11) created on 01/16/03 17:26:32 01/16/03 17:35:28 nodes in the cluster were: Node Number State Os Cpu fuji2 1 UP Solaris Sparc fuji3 1 UP Solaris Sparc Are you sure you want to continue (y/n) y 01/16/03 17:36:02 FJSVwvbs: validate started 01/16/03 17:36:02 FJSVwvbs: validate ended 01/16/03 17:36:02 SMAWcf: validate started for /var/spool/SMAW/SMAWccbr/fuji2_ccbr11 01/16/03 17:36:02 SMAWcf: validate ended 01/16/03 17:36:02 cfrestore: The following files will be automatically restored: /etc/opt/FJSVwvbs/etc/webview.cnf /etc/opt/FJSVwvbs/etc/wvlocal.cnf /etc/opt/FJSVwvbs/etc /etc/opt/FJSVwvbs /etc/opt /etc/default/cluster /etc/default/cluster.config /etc/default /etc/cip.cf /etc /var/adm/cfreg.data /var/adm /var /. 112 blocks 01/16/03 17:36:02 FJSVwvbs: restore started 01/16/03 17:36:02 FJSVwvbs: restore ended 01/16/03 17:36:03 SMAWcf: restore started for /var/spool/SMAW/SMAWccbr/fuji2_ccbr11 01/16/03 17:36:03 SMAWcf: restore ended 01/16/03 17:36:03 cfrestore: System Administrator please NOTE: The following system (OS) files were saved but have not been restored: ./etc/hosts 01/16/03 17:36:03 cfrestore 11 ended
例2は、世代番号11のバックアップのリストアが成功したことを示しています。