ここでは、サーバ仮想化ソフトウェアを管理対象サーバとした場合、管理対象とした製品により異なる機能について説明します。
VMゲスト名について
サーバ仮想化ソフトウェアごとのVMゲスト名の表示について説明します。
【VMware】
RORコンソールで表示するVMゲスト名は、VMwareのVM名またはゲストOSのホスト名になります。
ゲストOSのホスト名は、以下のようにVMware Toolsをインストールし、VMゲストを一度起動したあと表示されます。
VMware Tools未導入: VM名
VMware Tools導入済み(一度も起動していない): VM名
VMware Tools導入済み(一度は起動済み): ゲストOSのホスト名
なお、VM名に記号を設定した場合、パーセント("%")と2桁16進数の文字コード(例: "%5c")で表示される場合があります。また、VMwareの管理画面上でも、ツリーを除く一部の画面では同様に表示されます。
【Hyper-V】
RORコンソールで表示するVMゲスト名は、Hyper-VのVM名またはゲストOSのホスト名になります。
ゲストOSのホスト名は、VMゲストを一度起動したあと表示されます。
【Xen】【Citrix Xen】
RORコンソールで表示するVMゲスト名は、VMホスト登録時のXenのVM名になります。
VMゲストが登録されたあと、Xenの管理クライアントからVM名を変更しても、RORコンソール上のVMゲスト名は変更されません。
【KVM】
RORコンソールで表示するVMゲスト名は、VM作成時に指定したVM名になります。
【Solarisゾーン】
RORコンソールで表示するVMゲスト名は、Solarisゾーン作成時に設定する名前になります。
【OVM for SPARC】
RORコンソールで表示するVMゲスト名は、ゲストドメイン名になります。
【OVM for x86 3.x】
RORコンソールで表示するVMゲスト名は、Oracle VMのVM名になります。
VMゲストの電源操作について
【Xen】【Citrix Xen】【KVM】
Citrix XenServerで、高可用性機能が設定されており、かつ、VMゲストが自動的に再起動する設定の場合、その設定を有効にしたままVMゲストの電源OFFはできません。
詳細は、サーバ仮想化ソフトウェアのマニュアルを参照してください。
Red Hat Enterprise Linux 5 Linux仮想マシン機能で、一時停止(pause)中のVMゲストに対する電源操作はサポートしていません。VMホストのコンソール上でVMゲストの一時停止状態を解除してから操作してください。
【OVM for SPARC】
VMゲストの起動時にOSを自動で起動する場合は、ゲストドメインのauto-boot?変数に"true"を指定してください。
OVM for SPARCが機能をサポートしていない場合、VMゲストを停止、リブートすることができません。
仮想マシンの状態に応じて、仮想マシンを直接操作するか、強制停止、強制リブートを使用してください。
本製品からVMゲストの電源操作を実行した場合、リソースの結合(bind)/結合解除(unbind)も併せて実行されます。
VMゲストの起動時
リソースを結合(bind)します。
VMゲストの停止/強制停止時
リソースを結合解除(unbind)します。
VMゲストのリブート/強制リブート時
リソースの結合(bind)/結合解除(unbind)は実行しません。
VMゲストの表示について【Solarisゾーン】
OSインストール前のSolarisゾーンは、VMゲストとして表示されません。
サーバ仮想化ソフトウェアの高可用性機能について
サーバ仮想化ソフトウェアの製品ごとに高可用性機能が異なります。各機能については、各サーバ仮想化ソフトウェアまたはOSのマニュアルを参照してください。
サーバ仮想化ソフトウェア | 高可用性機能 |
---|---|
VMware | VMware HA |
Hyper-V | フェールオーバー クラスタ |
Xen/KVM | HA |
Solarisゾーン/OVM for SPARC | なし |
OVM for x86 3.x | サーバプールのHA機能 |
物理サーバとVMゲスト(サーバ仮想化ソフトウェアの高可用性機能)での、予備サーバ共有可否について
本製品では、以下の環境の場合、物理サーバとVMゲスト(サーバ仮想化ソフトウェアの高可用性機能)での予備サーバ共有ができます。
VMゲストに対する高可用性機能の予備サーバとして、VMゲストが動作していないVMホストを指定する
物理OSのサーバ切替えの設定で、予備サーバとしてa.で指定したVMホストが動作している物理サーバを指定する
また、サーバ仮想化ソフトウェアの製品ごとに、予備サーバとして利用できるかは、「11.1 サーバ仮想化ソフトウェアの決定」を参照してください。
VMホストの起動ディスク上にVMゲストが存在する場合のVMホストのバックアップ・リストアについて
サーバ仮想化ソフトウェアの製品によって、VMホストの起動ディスク上にVMゲストが存在する場合の動作が異なります。
【VMware】
VMゲストはバックアップ・リストアされません。
【Hyper-V】
VMゲストも合わせてバックアップ・リストアされます。ただし、VMホストの起動ディスク上に存在するデータだけバックアップ・リストア対象になります。
【Xen】【Citrix Xen】【KVM】
VMゲストも合わせてバックアップ・リストアされます。ただし、VMホストの起動ディスク上に存在するデータだけバックアップ・リストア対象になります。
【Solarisゾーン】【OVM for SPARC】
サポートしていません。
ディスク | パーティション | バックアップ・リストア対象 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
VMware | Hyper-V | Xen | KVM | Solarisゾーン | OVM for SPARC | ||
1台目 | VMホスト | ○ | ○ | ○ | ○ | × | × |
swap | × (注1) | - | × (注1) | × (注1) | × | × | |
VMゲスト | × (注2) | ○ | ○ | ○ | × | × | |
データ | ○ | ○ | ○ | ○ | × | × | |
2台目 | VMゲスト | × | × | × | × | × | × |
データ | × | × | × | × | × | × |
注1) バックアップ時には、swap領域のデータは採取されません。リストア時には、swap領域のパーティション設定が復元されます。
注2) VMFS領域はバックアップ・リストアの対象になりません。
VMゲストのサーバ間の移動(マイグレーション)について
VMware、Hyper-Vに対してVMゲストのサーバ間の移動を利用する場合、移動元と移動先のVMホストを管理するVM管理製品(VMware vCenter Serverなど)の登録が必要です。
また、サーバ仮想化ソフトウェアの製品ごとに、以下の注意事項があります。詳細は、サーバ仮想化ソフトウェアのマニュアルを参照してください。
【VMware】
移動元のVMホストと移動先のVMホストが、VM管理製品上で同一クラスタに登録されている必要があります。
VM管理製品のクラスタについては、サーバ仮想化ソフトウェアのマニュアルを参照してください。
【Hyper-V】
移動元のVMホストと移動先のVMホストがフェールオーバークラスターにより、クラスタ構成になっている必要があります。
フェールオーバークラスターについては、OSのマニュアルを参照してください。
【Citrix Xen】
Citrix XenServerの場合、VMゲストのライブマイグレーションを行ったとき、VMゲストを一時的にサスペンド状態に変更してからサーバ間の移動を行い、そのあとレジュームする場合があります。VMゲストのサーバ間移動動作の詳細や、一時的にサスペンド状態になる条件などについては、サーバ仮想化ソフトウェアのマニュアルを参照してください。
【KVM】
電源ON状態からのマイグレーションにおいて、コールドマイグレーションを指定した場合、マイグレーションが失敗する場合があります。
電源OFF後、マイグレーションを実施し、しばらく待ってから電源ONを行ってください。
本製品でマイグレーション操作を行うために、デバイスのXML設定ファイルでディスクデバイスに"lun"を指定する必要があります。
VMゲストのXML設定ファイルを以下のように指定してください。
<devices> ... <disk type='block' device='lun'> ... </disk> ... </devices> |
XML設定ファイルの編集方法については、サーバ仮想化ソフトウェアのマニュアルを参照してください。
VMゲストのサーバ間移動で利用できる移動方式と用語は、サーバ仮想化ソフトウェアの製品ごとに異なる場合があります。本製品では、異なる製品間での操作を統一するため、以下の用語を使用しています。
本製品の用語 | VMwareの用語 | 意味 |
---|---|---|
ライブマイグレーション | VMotion | 電源ON状態で移動 |
コールドマイグレーション | コールドマイグレーション | 電源OFF状態で移動 |
VMゲストの状態について
VMゲストを管理しているサーバ仮想化ソフトウェアの製品の構成によって、VMゲストの状態に反映される値が異なります。
【VMware】
VMゲストを管理しているVM管理製品を登録していない場合
"normal"、"unknown"、"stop"だけ表示されます。
VMゲストを管理しているVM管理製品を登録している場合
"normal"、"warning"、"error"、"unknown"、"stop"が表示されます。
【Hyper-V】
VMゲストを管理しているVM管理製品を登録していない場合
"normal"、"unknown"、"stop"だけ表示されます。
VMゲストを管理しているVM管理製品を登録している場合
"normal"、"unknown"、"stop"、"error"だけ表示されます。
【Xen】【Citrix Xen】【KVM】
"normal"、"unknown"、"stop"、"error"だけ表示されます。
【Solarisゾーン】
"normal"、"unknown"、"stop"だけ表示されます。
【OVM for SPARC】
"normal"、"unknown"、"stop"、"error"だけ表示されます。
【OVM for x86 3.x】
"normal"、"warning"、"error"、"unknown"、"stop"が表示されます。
VMメンテナンスモードについて
VMメンテナンスモードは、サーバ仮想化ソフトウェアの製品によって用語が異なる場合があります。VMメンテナンスモードの設定が必要になる場合や、設定できる条件、機能の詳細などについては、サーバ仮想化ソフトウェアのマニュアルを参照してください。
サーバ仮想化ソフトウェア | サーバ仮想化ソフトウェアでの用語 |
---|---|
VMware | メンテナンスモード |
Hyper-V | メンテナンスモード (注1) |
Xen | メンテナンスモード (注2) |
Solarisゾーン/OVM for SPARC | なし |
OVM for x86 3.x | メンテナンスモード |
注1) VM管理製品(System Center Virtual Machine Manager)での用語です。VM管理製品と連携することで、VMメンテナンスモードの設定/解除を利用できます。
注2) Citrix XenServerの用語です。Red Hat Enterprise Linux 5 Linux仮想マシン機能では同様の機能は提供されていません。
また、本製品からVMメンテナンスモードを設定する場合、サーバ仮想化ソフトウェアの製品ごとに、以下の注意事項があります。
【VMware】
VMホストをメンテナンスモードに設定した場合、そのVMホスト上のVMゲストはすべて移動します。
VMゲストを移動せずにメンテナンスモードを設定する場合、VMware vCenter Serverから行ってください。
VMゲストの状態により以下の動作をします。
vSphere DRSの設定あり | vSphere DRSの設定なし | |
---|---|---|
電源ONのVMゲストが存在する | VMゲストが移動し、VMメンテナンスモードに設定されます。 | VMゲストは移動せず、VMメンテナンスモードの設定に失敗します。 |
電源ONのVMゲストが存在しない | VMゲストが移動し、VMメンテナンスモードに設定されます。 | VMゲストが移動し、VMメンテナンスモードに設定されます。 |
【Hyper-V】
VMホストが本製品に登録されているVM管理製品に、管理されている必要があります。
【Citrix Xen】
Citrix XenServerの場合、プールマスタとして設定されているVMホストに対してVMメンテナンスモードは設定できません。
VMメンテナンスモードを設定する場合、プールマスタを同じCitrix XenServerのリソースプール内の別のVMホストに変更してください。
本製品以外からの操作でVMゲストが移動した場合について
本製品でVMゲストの操作を行ったときに、本製品以外からの操作でVMゲストが移動した(注)場合、本製品で行った操作が失敗することがあります。このとき、本製品の操作は失敗していますが、連携するサーバ仮想化ソフトウェアの操作は正常に完了している場合があります。サーバ仮想化ソフトウェアの状態は、定期更新処理にて本製品に反映されますので、しばらく待ってから状態を確認し、対処を行ってください。
また、RORコンソールを利用している場合、RORコンソールのメニューで[操作]-[更新]を選択し、画面を更新したあと、VMゲストが移動していないか確認してください。
【Citrix Xen】
Citrix XenServerの場合、Citrix XenServerのリソースプールに登録されたVMホストで起動しているVMゲストにHome serverが設定されていないと、電源OFF後、VMゲストとVMホストの関連付けがなくなるため、本製品から認識できなくなります。画面を更新したあと、VMゲストがいなくなった場合、Home serverが設定されているか確認してください。
注) サーバ仮想化ソフトウェアの持つ、VMゲストを自動的に移動させる機能を利用している場合や、サーバ仮想化ソフトウェアの管理画面からVMゲストの移動を行った場合です。サーバ仮想化ソフトウェアの持つ、VMゲストを自動的に移動させる機能については、サーバ仮想化ソフトウェアのマニュアルを参照してください。
Citrix XenServerのリソースプールを利用する場合【Citrix Xen】
Citrix XenServerの場合、Citrix XenServerのリソースプールを利用中、かつ、プールマスタと通信できない状態になると、Citrix XenServerのリソースプール内のVMホスト、VMゲストの情報更新や操作が行えない状態になります。VMゲストがunknownになった場合や操作に失敗した場合は、プールマスタの状態を確認してください。プールマスタと通信できない場合、通信できるように復旧するか、プールマスタを別のVMホストに変更してください。
Citrix XenServerの高可用性機能を有効にすると、プールマスタと通信できない状態になっても、プールマスタを別のVMホストに自動的に変更します。結果、継続的に情報更新や操作を行えるようになります。
Citrix XenServerのリソースプールや高可用性機能については、サーバ仮想化ソフトウェアのマニュアルを参照してください。
VM管理製品を登録した場合のVMホスト名について
VM管理製品を登録した場合の、サーバ仮想化ソフトウェアごとのVMホスト名の表示について説明します。
VM管理製品を登録した場合、RORコンソールで表示するVMホスト名は、VM管理製品から取得したVMホストのホスト名になります。
【VMware】
vCenter Serverの認識するVMホストのホスト名は、vSphere ClientでvCenter Serverに接続し、[表示 (W)]-[インベントリ (I)]-[ホストおよびクラスタ (H)]を選択した際に表示されるVMホストの名前になります。
【Hyper-V】
SCVMMの認識するVMホストのホスト名は、SCVMM管理者コンソールでホストを表示した際の、ホストの名前になります。
【OVM for x86 3.x】
Oracle VM Managerの認識するVMホストのホスト名は、Oracle VM Managerでホストを表示した際の、ホストの名前になります。