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PRIMECLUSTER GLS for Windows ユーザーズガイド 4.4
FUJITSU Software

E.2.7 ping監視に失敗する

現象

ping監視に失敗する。

原因

以下の原因が考えられます。

  1. ネットワーク経路の設定に誤りがある

  2. 監視先のネットワーク機器が停止しているか、異常が発生している

  3. タグVLANの設定に誤りがある

  4. ネットワーク機器にタグVLANが設定されていない

  5. その他の問題

対処方法

以下に、原因ごとの対処方法を示します。

  1. ネットワーク経路の設定に誤りがある

    同一システム中で、ネットワークアダプター同士でネットワークアドレスが重複する場合、ping監視が行われない場合があります。

    以下に、GLSの仮想アダプターと、GLSと関係がない物理アダプターで構成されたネットワークの例を示します。
    GLSの仮想アダプターには“192.168.1.1/24”が、物理アダプターには“192.168.1.2/24”のIPアドレスが割り当てられているとします。

    図E.3 ネットワーク経路の設定によるping監視の失敗

    図E.3の例では、同一システム内でGLSの仮想アダプターと物理アダプターのネットワークアドレスが重複しています。そのため、誤った経路からpingが送出され、GLSが束ねている伝送路を監視できなくなっています。

    以下に、OSのルーティングテーブルの例を示します。
    “route PRINT”コマンドは、OSのルーティングテーブルを表示するコマンドです。

    > route PRINT
    (中略)
    Active Routes:
    Network Destination        Netmask          Gateway       Interface  Metric
          192.168.1.0    255.255.255.0      192.168.1.2      192.168.1.2     XX
          192.168.1.0    255.255.255.0      192.168.1.1      192.168.1.1     XX
    (中略)
    ===========================================================================
    >

    pingなどのIPパケットの送信元アダプターは、OSのルーティングテーブルの上部にあるエントリーが優先的に選択されます。このため、上記例では、GLSの監視用に使用するpingパケットが、GLSと関連がない物理アダプターから送信されてしまい、正しいネットワークの監視ができないことになります。

    GLSの仮想アダプターとネットワークアドレスを別にするように設定してください。

    なお、ネットワークアドレスが重複する上記例のような問題は、GLSの有無に関わらず発生する一般的なネットワークの問題です。

  2. 監視先のネットワーク機器が停止しているか、異常が発生している

    監視先通信機器からpingに応答しない場合があります。監視先のネットワーク機器を確認してください。特にネットワークスイッチをGLSのping監視先に選択する場合は、ネットワークスイッチにIPアドレスを設定してください。

  3. タグVLANの設定に誤りがある

    GLSの仮想アダプターにタグVLANを設定した場合、仮想アダプターごとに異なるネットワークアドレスをもつIPアドレスを設定してください。以下のような場合は、正しく通信できないことがあります。

    図E.4 タグVLANの設定の誤りによるping監視の失敗

    [ping監視の設定]

    > hanetpoll print
     Polling Status         =  ON
             interval(idle) =   3( 60) sec
             times          =   5 times
     Adapter                         Fo  Target ip
    +-------------------------------+---+------------------------------------------+
     イーサネット 1                  YES 192.168.2.100
     イーサネット 2                  YES 192.168.2.101
    

    図E.4の場合で以下のルーティングテーブル状態の場合は、GLSのpingパケットがsha1(VLAN=3)から送信されます。しかし、SW1とSW2にはVLAN3のIPアドレスが設定されていないため、ping監視に失敗してしまいます。

    > route PRINT
    (中略)
    Active Routes:
    Network Destination        Netmask          Gateway       Interface  Metric
          192.168.2.0    255.255.255.0      192.168.2.2      192.168.2.2     XX
          192.168.2.0    255.255.255.0      192.168.2.1      192.168.2.1     XX
    (中略)
    ===========================================================================
    >

    sha0とsha1のネットワークアドレスを異なるものに設定してください。図E.5の例では、sha1のIPアドレスを“192.168.3.2/24”と設定し直すことで、sha0のネットワークアドレスを分けています。

    図E.5 正しいタグVLANの設定

  4. ネットワーク機器にタグVLANが設定されていない

    タグVLANを使用した通信が行えない場合、ping監視先のスイッチや通信相手のタグVLANの設定が正しいか確認してください。

  5. その他の問題

    GLSのping監視はGLSの仮想アダプターを使用して行われます。このため、ping監視に失敗する原因は、仮想アダプターで通信できない原因と関連しますので、上記以外の問題に関しては、“E.1.1 仮想アダプターを使用した通信が行えない”を参照してください。