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Enterprise Postgres 9.5 運用ガイド
FUJITSU Software

5.6.4 キーストアのバックアップとリカバリ

キーストアの破損や消失に備え、次のときにはキーストアをバックアップしてください。ただし、データベースとキーストアは別々の記憶媒体に保管してください。両方を同じ記憶媒体に格納した場合、その記憶媒体が盗まれると、暗号化データを解読されるおそれがあります。自動オープン・キーストアのオープンにはパスフレーズが必要ないため、特に安全な場所に保管してください。

  

ポイント

キーストアをバックアップするときには、古いキーストアを上書きしないようにしてください。なぜなら、データベースをリカバリするときには、データベースのバックアップを取得した時点のキーストアをリストアする必要があるためです。データベースのバックアップデータが不要になったら、それに対応するキーストアを削除してください。

  • 2015年5月1日にデータベースとキーストアをバックアップします。

    > pgx_dmpall -D /database/inst1
    > cp -p /key/store/location/keystore.ks /keybackup/keystore_20150501.ks

    pgx_dmpallコマンドには、以下を指定します。

    • -Dオプションは、データ格納先のディレクトリを指定します。-Dオプションを省略した場合、PGDATA環境変数の値が使用されます。

      

  • 2015年5月5日にマスタ暗号化キーを変更し、キーストアをバックアップします。

    > psql -c "SELECT pgx_set_master_key('passphrase')" postgres
    > cp -p /key/store/location/keystore.ks /keybackup/keystore_20150505.ks

    psqlコマンドには、以下を指定します。

    • -cオプションは、マスタ暗号化キーを設定するSQL関数を指定します。

    • 引数は、接続するデータベース名を指定します。

  

キーストアが破損または消失した場合には、最新のマスタ暗号化キーが含まれるキーストアをリストアしてください。もし最新のマスタ暗号化キーを含むキーストアがない場合は、データベースのバックアップを取得した時点のキーストアをリストアし、そのデータベースのバックアップからデータベースをリカバリしてください。これにより、キーストアも最新状態にリカバリされます。

  • 最新のマスタ暗号化キーが含まれる、2015年5月5日時点のキーストアをリストアします。

    > cp -p /keybackup/keystore_20150505.ks /key/store/location/keystore.ks 

      

  • 最新のマスタ暗号化キーが含まれるキーストアのバックアップがない場合、2015年5月1日にデータベースとともにバックアップしたキーストアをリストアしてリカバリします。

    > cp -p /keybackup/keystore_20150501.ks /key/store/location/keystore.ks
    > pgx_rcvall -B /backup/inst1 -D /database/inst1 --keystore-passphrase

    pgx_rcvallコマンドには、以下を指定します。

    • -Dオプションは、データ格納先のディレクトリを指定します。-Dオプションを省略した場合、PGDATA環境変数の値が使用されます。

    • -Bオプションは、バックアップデータ格納先のディレクトリを指定します。

    • --keystore-passphraseオプションは、キーストアをオープンするためのパスフレーズの入力を促します。

  

キーストアをリストアした際には、再度キーストアの自動オープンを有効にしてください。これにより、自動オープン・キーストア(keystore.aks)の内容が、リストアしたキーストアの内容と一致します。

自動オープン・キーストアのファイルkeystore.aksをバックアップしないことをお薦めします。万一、自動オープン・キーストアが格納されたバックアップ媒体とデータベースのバックアップ媒体の両方が盗まれてしまった場合、攻撃者はパスフレーズを知らなくてもデータを読み取れてしまうためです。

自動オープン・キーストアが破損または消失した場合には、再び自動オープンを有効にしてください。これにより、keystore.ksからkeystore.aksが再作成されます。

  

参照

pgx_rcvallコマンド、およびpgx_dmpallコマンドの詳細は、“リファレンス”の“pgx_rcvall”および“pgx_dmpall”を参照してください。

psqlコマンドの詳細は、“PostgreSQL文書”の“リファレンス”の“psql”を参照してください。

pgx_set_master_key関数の詳細は、“B.2 透過的データ暗号化制御関数”を参照してください。

キーストアの自動オープンの有効化については、“5.6.3 キーストアの自動オープンの有効化”を参照してください。