Java EE実行環境のISIは、以下のサービス連携のための接続方式に対応しています。
ISIではSOAPなどの標準技術を使用したサービス連携の他に、MQやIII連携を使用したサービス連携が可能です。
次の図は標準技術を利用したサービス連携のイメージです。
図2.5 標準技術を利用したサービス連携
SOAP
SOAPのメッセージング機能は、SOAPアダプタを使用してSOAPメッセージの送受信を行う機能です。
サービス利用側アプリケーションからのメッセージをISIが受信する場合と、ISIからサービス提供側(Webサービス)を呼び出す場合に利用します。
SOAPのメッセージング機能(SOAPアダプタ)の主な特長は、以下のとおりです。
RequestResponse型の通信が可能
ISIがWebサービスとして、サービス利用側アプリケーションからのSOAPメッセージを受信
SOAPメッセージの受信にはSOAPアダプタを使用
サービス利用側アプリケーションは、一般的なWebサービスクライアントでSOAPメッセージを作成してISIに送信することで、ISIが接続しているサービスを利用可能
サービス利用側アプリケーションから受信したSOAPメッセージの要素内容をもとに、ISIでの処理内容、およびサービスのあて先を動的に変更可能
プロトコルにはHTTP/Sを使用
添付ファイルの送受信が可能
SOAPメッセージの文字コードは“UTF-8”を利用可能
アダプタ出口機能を利用してユーザアプリケーションを呼出し可能
RequestResponse型の通信が可能
ISIは、サービス提供側(Webサービス)を呼出し、SOAPメッセージを送信(SOAPクライアントとして動作)
SOAPメッセージはISIで加工せず、サービス利用側アプリケーションから受信したメッセージをそのままサービス提供側へ送信することが可能(SOAP中継)
送信するSOAPメッセージの要素内容をもとに、ISIから呼び出すWebサービスのあて先を動的に変更可能
プロトコルにはHTTP/Sを使用
添付ファイルの送受信が可能
SOAPメッセージの文字コードは“UTF-8”を利用可能
サービス提供側(Webサービス)からSOAP Faultを受信した時に、<Fault>タグ以下の内容をシステムのログおよびトレースログに出力することが可能
アダプタ出口機能を利用してユーザアプリケーションを呼出し可能
注意
以下は未サポートです。
SMIME形式(SOAP電子署名とは異なるMIME形式の電子署名)のSOAPメッセージ
Interstage Application Server以外のSOAPエンジン
送達保証
文字コードが“UTF-8”以外のSOAPメッセージ
以下に日本語は使用できません。
接続先URL
Basic認証のユーザ名
Proxyを使用する場合のホスト名やユーザ名
ポイント
SOAPのメッセージング機能を利用した場合、SOAPメッセージ(ルート要素 soap:Envelope)全体が共通メッセージのペイロードに格納されます。
共通メッセージのペイロードに格納されたXMLデータを操作したい場合、SOAPメッセージを意識したXPathの指定が必要です。
例:/soap:Envelope/soap:Body/ResponseData/name/text()
また、SOAP Operation機能を使用して共通メッセージのペイロードに格納されているSOAPメッセージからSOAPボディ(soap:Body)の子要素(例:ResponseData)を取得することで、SOAPメッセージを意識せずにXMLデータの操作が可能になります。
CORBA
CORBAのメッセージング機能は、CORBAアダプタを使用してCORBAアプリケーションとのメッセージ送受信を行う機能です。
サービス利用側アプリケーション(CORBAクライアントアプリケーション)からのメッセージをISIが受信する場合と、ISIからCORBAで作成されたサービス提供側アプリケーション(CORBAサーバアプリケーション)を呼び出す場合に利用します。
CORBAのメッセージング機能(CORBAアダプタ)の主な特長は、以下のとおりです。
RequestResponse方式の通信が可能
ISIがCORBAサーバとして、サービス利用側アプリケーションからのメッセージの受信が可能
メッセージの受信にはCORBAアダプタを使用
サービス利用側アプリケーションからのメッセージの内容をもとに、ルーティング機能を利用して、ISIでの処理内容、およびサービスのあて先を動的に変更可能
サービス利用側アプリケーションからCORBAのサービスエンドポイント名を指定して、あて先を指定することも可能
受信したメッセージをそのまま共通メッセージのペイロードに格納
言語に依存しないアプリケーションの作成が可能
RequestResponse方式、Oneway方式の通信が可能
ISIからサービス提供側アプリケーションとしてCORBAサーバの呼出しが可能
共通メッセージのヘッダとペイロード、または共通メッセージのペイロードのみをCORBAサーバへ送信
RequestResponse方式の場合は、CORBAサーバからの処理結果を共通メッセージに格納
言語に依存しないアプリケーションの呼出しが可能
ポイント
対応しているCORBA規約のバージョンは以下の通りです。
IIOP:1.0と1.2をサポートします
GIOP:1.1をサポートします。ただし、fragmentについては未対応です。
アウトバウンドのCORBAアダプタは、LOCATION_FORWARDに対応しています。
MQ(MQ連携)
MQ連携は、MQアダプタを利用してIBMのWebSphere MQ のMQシステムと連携するための機能です。
MQアダプタは、ISIサーバの運用環境に設置されたWebSphere MQのキューに対してメッセージを送受信します。
図2.6 MQ連携構成(Oneway方式)
MQ連携の主な特長は、以下のとおりです。
WebSphere MQのキューからメッセージを受信
受信したメッセージの内容をもとに、ルーティング機能を利用して、ISIでの処理内容、およびサービスのあて先を動的に変更可能
MQメッセージのMQMDのフィールドをISIの共通メッセージのヘッダにマッピング可能
ISIのシーケンスから同期サービス呼出しを使用し、WebSphere MQのキューへメッセージ送信(Oneway方式)
ルーティング機能により送信先を動的に変更可能
ISIの共通メッセージのヘッダをMQメッセージのMQMDのフィールドにマッピング可能
ポイント
MQ連携が可能なWebSphere MQのバージョンについては、“ISI Java EE導入ガイド”の“ソフトウェア環境”を参照してください。
ISIがインストール済みのサーバマシンにWebSphere MQをインストールする場合、WebSphere MQのインストール後にISIを再起動してください。
ISIの起動・停止は、“ISI Java EE運用ガイド”の“起動”および“停止”を参照してください。
III連携
IIIと連携し、IIIのデータ収集、データ配付機能を利用する機能です。IIIが持つ多彩なデータ収集、配付機能を利用することで、大量データを一括処理する業務(バッチ業務)と連携したシステムを容易に実現できます。
III連携の主な特長は、以下のとおりです。IIIの機能の詳細についてはIIIのマニュアルを参照してください。
同期通信が可能
IIIの持つデータ収集機能(ファイル転送機能・DB抽出機能など)を利用して収集した大量データの一括受信
同期通信が可能
ISIが処理したデータをIIIのデータボックスに蓄積し、IIIの持つデータ配付機能(ファイル転送機能・DB格納機能など)によって一括して配付
ポイント
III連携を利用したシステムを運用する場合、ISIサーバとIIIサーバを同一マシンにインストールし、セットアップする必要があります。
III連携を利用する定義を作成するには、ISIクライアントとIIIクライアントを同一マシンにインストールする必要があります。
III連携が可能なIIIのバージョンについては、“ISI Java EE導入ガイド”の“ソフトウェア環境”を参照してください。
MQD
MQDのメッセージング機能は、MQDアダプタを使用して、ISIサーバの運用環境に設置されたMQDシステムのキューに対してメッセージを送受信します。
MQDのメッセージング機能(MQDアダプタ)の主な特長は、以下のとおりです。
MQDシステムのキューからメッセージを受信
受信したメッセージの内容をもとに、ルーティング機能を利用して、ISIでの処理内容、およびサービスのあて先を動的に変更可能
ISIのシーケンスから同期サービス呼出しを使用し、MQDシステムのキューへメッセージ送信
ルーティング機能により送信先を動的に変更可能