ページの先頭行へ戻る
PRIMECLUSTER Global Link Services 説明書 4.4 (伝送路二重化機能編)
FUJITSU Software

2.1.1 高速切替方式

本方式では、複数のNIC(Network Interface Card)をそれぞれ異なるネットワークに接続し、これらのNICをすべて活性化して同時に使用します。送信パケットは伝送路の状態(異常発生有無)に応じて、適切な伝送路へ送り出されます。
また、複数のNICを論理的に1本に見せるための仮想的なインタフェース(以下、仮想インタフェースと呼びます)を生成します。TCP/IPアプリケーションは、この仮想インタフェースに設定されたIPアドレス(以下、仮想IPアドレスと呼びます)を自システムのIPアドレスとして使用することにより、物理的なネットワークの冗長構成を意識することなく相手システムと通信を行うことが可能となります。

図2.1 高速切替方式による二重化運用例

接続形態

通信するシステムを同一ネットワーク上に接続します。
なお、別ネットワークに接続することはできません。

特徴

伝送路障害発生時、アプリケーションに影響を与えることなく短時間での切替えが可能です。また冗長化した伝送路はすべて活性化して使用しているため、個々の伝送路を別用途で直接使用することも可能であり、資源を有効利用できます。

推奨適用分野

3階層クライアント/サーバシステムにおける、アプリケーションサーバとデータベースサーバ間の通信等に適しています。

システム構成

高速切替方式のシステム構成を、図2.2 高速切替方式のシステム構成に示します。

図2.2 高速切替方式のシステム構成

各構成要素とその意味は以下のとおりです。

物理インタフェース

二重化したNICの物理インタフェース(eth0,eth1等)を表します。

物理IP

物理インタフェースに付与するIPアドレスを表します。このIPアドレスは、常に活性化された状態となっています。指定可能なアドレス形式はIPv4アドレスおよびIPv6アドレスです。

仮想インタフェース

二重化したNICを1つに見せるための仮想インタフェース(sha0等)を表します。

仮想IP

相手装置と通信するために仮想インタフェースに割り当てる自側のIPアドレスを表します。指定可能なアドレス形式はIPv4アドレスおよびIPv6アドレスです。

2.1.1.1 障害監視機能

障害監視

一定間隔(デフォルト5秒。hanetparamコマンドにより変更可能)で相手システムのNICあてに専用の監視フレームを送信し、応答を待ちます。応答があった場合にはその伝送路は正常と判断し、次の監視までの間、通信に使用されます。応答がなかった場合には異常が発生していると判断し、次の監視時に正常と判断されるまでは通信には使用されません。なお監視は、相手装置が実装しているNIC単位に行われます。

図2.3 高速切替方式における監視方法

切替え時間

多重化した伝送路に障害が発生した場合、障害を検出してその伝送路を切り離すまでの時間は約10秒(デフォルト値)です。

検出可能な障害

以下の障害を検出する事ができます。

図2.4 高速切替方式での検出可能障害

(a)~(d)は同一の障害として見えるため、これらのうちのいずれであるかを特定することはできません。障害箇所を特定するには、それぞれの機器の調査が更に必要となります。

障害監視の開始/停止

仮想インタフェースの活性化時に自動的に監視を開始します。また、仮想インタフェースが非活性化された場合に自動的に監視を停止します。またクラスタ運用の場合、それぞれのノード単位に独立して開始、停止が実行されます。

2.1.1.2 切替え機能

切替え動作

障害を検出した伝送路を自動的に回避し、正常な伝送路のみを利用して通信を引き継ぎます。したがって正常な伝送路が少なくとも1つ以上残っているかぎり、システムのリブート等を行うことなく通信を継続することが可能です。また、運用コマンド(hanetnicコマンド)により、手動で特定の伝送路を切り離すことも可能です。

図2.5 高速切替方式における異常発生時の切替え動作概要

切戻し動作

障害が発生した物理インタフェースの伝送路が復旧した場合には、その物理インタフェースは自動的に通信に利用されるようになります。また、手動で切り離しを行った場合には、手動で切戻しを行い、元の状態に戻す必要があります。

2.1.1.3 通信可能な相手ホスト

以下のようなシステムとの通信が可能です。

2.1.1.4 使用可能なアプリケーション

本方式にて動作可能なユーザアプリケーションの条件は以下のとおりです。

2.1.1.5 注意事項