利用者制御は、データベースにアクセスする利用者を制限するための機能です。利用者の認証識別情報などのユーザ属性に関するチューニングやデータベース利用者の登録を行います。
ユーザ属性は、PRIMEFLEX for HA Databaseのセットアップ時に省略値が設定されています。
利用者制御のユーザパラメタの値をチューニングすることで、ユーザ属性の値を変更することができます。ユーザパラメタのチューニングは、SET SYSTEM PARAMETER文、CREATE USER文またはALTER USER文で行います。
ユーザパラメタの設定値は、次のコネクション接続時に有効になります。
ユーザパラメタの一覧を以下に示します。
ユーザパラメタ名 | 意味 | 指定できる | ユーザパラメタ値 | 省略値 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
SP | CU | AU | ||||
PASSWORD_CHANGE_TIME | 何日前からパスワードの変更を勧めるかの日数 | ○ | ○ | ○ | 最小:0 | 0 |
PASSWORD_LIMIT_TIME | パスワードの期限 | ○ | ○ | ○ | 最小:-1 | 無制限 |
INVALID_PASSWORD _WAIT_TIME | パスワード誤り時の待ち時間 | ○ | ○ | ○ | 最小:0 | 4 |
INVALID_PASSWORD_TIME | パスワード連続失敗の可能回数 | ○ | ○ | ○ | 最小:0 | 5 |
MIN_PASSWORD_SIZE | パスワードに最低限必要なバイト数 | ○ | ○ | ○ | 最小:6 | 6 |
DEFAULT_ROLE | デフォルトロールの指定 | × | × | ○ | ロール名 | なし |
SP :SET SYSTEM PARAMETER文
CU :CREATE USER文
AU :ALTER USER文
○ :指定できます。
× :指定できません。
ユーザパラメタのチューニングには、以下があります。
ユーザパラメタのチューニングは、SET SYSTEM PARAMETER文で行います。1人の利用者に対して個別にチューニングする場合は、CREATE USER文またはALTER USER文で行います。
利用者の認証識別のチューニング指針を以下に示します。
パスワードは、システムのセキュリティ強度に合わせて、適切なパスワード期限を設定する必要があります。
パスワードに使用できる文字種
パスワードに最低限必要なバイト数
パスワードの誤り時の待ち時間
参照
パスワードに使用できる文字種の詳細については、“Symfoware Server SQLリファレンス”の“CREATE USER文(利用者定義文)”を参照してください。
パスワードに最低限必要なバイト数をチューニングするには、MIN_PASSWORD_SIZEを使用します。
パスワードの誤り時の待ち時間をチューニングするには、INVALID_PASSWORD_WAIT_TIMEを使用します。
これらを組み合わせてパスワードが見破られる確率を導き出した上で、パスワードの期限を決めます。パスワードの期限をチューニングするには、PASSWORD_LIMIT_TIMEを使用します。
パスワードを連続して誤った際にパスワードロックされるまでの猶予の回数を設定します。
データベース専用利用者が、この回数を超えてパスワードを誤った場合、そのパスワードは自動的にシステムがロックします。
パスワードのロックは、システムまたは管理者が不当な利用者を発見した場合に、その利用者を制限する目的で行います。
パスワードのロックの対象となる利用者は、データベース専用利用者のみで、以下の場合に行います。
利用者がパスワードの連続失敗回数を超えたため、システムが自動的にパスワードをロックする場合
管理者がALTER USER文を実行して、利用者のパスワードをロックする場合
パスワードがロックされた利用者は、サーバシステムへの接続ができなくなります。
いずれの場合も、管理者がALTER USER文を実行して、利用者のパスワードを再設定することで、パスワードのロックは解除され、利用者名を再利用することができます。
参照
ALTER USER文については、“Symfoware Server SQLリファレンス”を参照してください。
パスワードの連続失敗回数は、システムのセキュリティ強度に合わせて、適切な回数を設定する必要があります。この回数を設定することにより、不正な利用者から攻撃を受けた場合にも、システムを防御することができます。
パスワードを変更してからある程度の時間が過ぎると、パスワードの変更催促期間に入り、利用者にパスワードの変更を促します。変更催促期間とは、パスワードの期限の数日前から期限当日までの間で、パスワード変更の催促する警告メッセージを表示する期間のことです。
パスワードの有効期限までにパスワードが変更されない場合は、利用者のパスワードは無効になります。
無効になったパスワードは、管理者がALTER USER文を実行して、利用者のパスワードを再設定することで、利用者名を再利用することができます。
参照
ALTER USER文については、“Symfoware Server SQLリファレンス”を参照してください。
デフォルトロールとは、アプリケーション中でSET ROLE文を実行せずに有効となるロールを、環境構築時にあらかじめ設定しておくことです。
デフォルトロールは、インストール時にユーザパラメタの省略値が設定されません。環境構築時に、権限情報の定義でロールを作成した場合に有効となります。
デフォルトロールの設定については、“3.3.9 権限情報定義”を参照してください。
ユーザパラメタの省略値をチューニングできます。
ユーザパラメタのチューニングは、rdbddlexコマンドのSET SYSTEM PARAMETER文で行います。
パスワードの期限を30日に、パスワードの連続失敗回数を4回に、変更催促期間を3日にチューニングする例を以下に示します。
$ rdbddlex /disk3/rdb/data/syspara2.dat
/disk3/rdb/data/syspara2.datの内容を以下に示します。
SET SYSTEM PARAMETER PASSWORD_LIMIT_TIME=30, INVALID_PASSWORD_TIME=4, PASSWORD_CHANGE_TIME=3 ;
参照
SET SYSTEM PARAMETER文の詳細については、“Symfoware Server SQLリファレンス”を参照してください。
ユーザパラメタには、利用者ごとにチューニングできるパラメタもあります。利用者ごとのチューニングを行う場合は、CREATE USER文で指定します。
チューニングしたユーザパラメタは、rdbprtコマンドで参照することができます。
参照
rdbprtコマンドの詳細については、“Symfoware Server コマンドリファレンス”を参照してください。
PRIMEFLEX for HA Databaseのデータベースにアクセスできる利用者を登録します。
利用者の登録時に、利用者ごとにユーザパラメタを設定することもできます。利用者の登録は、rdbddlexコマンドのCREATE USER文で行います。
利用者の登録時には、以下の3つの情報を設定します。
利用者の種類
パスワード
ユーザパラメタ
“データベース専用利用者(PRIMEFLEX for HA Databaseの認証機構を使用する利用者)”のみ設定できます。
利用者が自分のパスワードを決めるまでの仮設定のパスワードです。
注意
管理者は、このパスワードを利用者に別途通知します。
パスワード通知時には、内容が他人に漏れないように注意してください。
また、パスワードを受け取った利用者は、SET USER PASSWORD文を利用して、すぐに自分用のパスワードに変更する必要があります。
利用者にどのような認証情報を設定するかといった、基本的なセキュリティ上の動作を決めるための情報です。
利用者“SUZUKI”をデータベース専用利用者とし、このユーザのパスワードの期限を10日にして登録する例を以下に示します。
$ rdbddlex /disk3/rdb/data/cusr.dat
/disk3/rdb/data/cusr.datの内容を以下に示します。
CREATE USER SUZUKI WITH DBMS PASSWORD 'S%X#01' FOR USER PASSWORD_LIMIT_TIME=10 ;
参照
CREATE USER文およびSET USER PASSWORD文の詳細については、“Symfoware Server SQLリファレンス”を参照してください。