インストール前に、システムパラメーターのチューニングを行う必要があります。チューニングが必要なシステムパラメーターとその値については、以下の表を参照してください。パラメーターの“種別”により、以下のように設定してください。
すでに設定されている値(初期値または、以前の設定値)が表の値以上の場合は変更不要です。表の値より小さい場合は、表の値に変更してください。
すでに設定されている値(初期値または、以前の設定値)に表の値を加算してください。加算する前に、システム上限値を確認し、加算した値がシステム上限値を超える場合は、システム上限値を設定してください。
詳細についてはLinuxおよびSolarisのマニュアル等を参照してください。
Linuxの設定手順
システムパラメーターのチューニング値(管理サーバ)
共有メモリ
パラメーター | 説明 | 値 | 種別 |
---|---|---|---|
shmmax | 共有メモリの最大セグメントサイズ | 2684354560 | 最大 |
shmall | 使用可能な共有メモリの総量 | 655360 | 最大 |
shmmni | 共有メモリセグメントの最大数 | 75 | 加算 |
セマフォ
セマフォの設定値は、各パラメーター値を以下の形式で指定します。
kernel.sem = para1 para2 para3 para4 |
パラメーター | 説明 | 値 | 種別 |
---|---|---|---|
para1 | セマフォ識別子あたりの最大セマフォ数 | 512 | 最大 |
para2 | システム全体のセマフォ数 | 7998 | 加算 |
para3 | セマフォコールあたりの最大演算子数 | 50 | 最大 |
para4 | システム全体のセマフォ識別子数 | 1364 | 加算 |
メッセージキュー
パラメーター | 説明 | 値 | 種別 |
---|---|---|---|
msgmax | メッセージの最大サイズ | 16384 | 最大 |
msgmnb | 1つのメッセージキューに保持できるメッセージの最大値 | 114432 | 最大 |
msgmni | メッセージキューIDの最大値 | 1053 | 加算 |
システムパラメーターのチューニング値(連携サーバ/中継サーバ/業務サーバ)
セマフォ
セマフォの設定値は、各パラメーター値を以下の形式で指定します。
kernel.sem = para1 para2 para3 para4 |
パラメーター | 説明 | 値 | 種別 |
---|---|---|---|
para1 | セマフォ識別子あたりの最大セマフォ数 | 1 | 最大 |
para2 | システム全体のセマフォ数 | 2 | 加算 |
para3 | セマフォコールあたりの最大演算子数 | 1 | 最大 |
para4 | システム全体のセマフォ識別子数 | 2 | 加算 |
メッセージキュー
パラメーター | 説明 | 値 | 種別 |
---|---|---|---|
msgmnb | 1つのメッセージキューに保持できるメッセージの最大値 | 106496 | 最大 |
msgmni | メッセージキューIDの最大値 | 512 | 加算 |
チューニング作業手順
以下のコマンドを使用して、現在システムに設定されている上記表に該当するパラメーターの設定値を確認します。
#/sbin/sysctl -a |
(例)
#/sbin/sysctl -a kernel.sem = 250 32000 32 128 |
上記の“システムパラメーターのチューニング値”を参照し、現在の設定値と比較を行い、パラメーターごとに最大、加算の種別を考慮して、適切な設定値を算出します。
/etc/sysctl.confを編集します。
システムパラメーターをチューニングするために、/etc/sysctl.confファイルにチューニングのためのレコードを、以下の例のように編集します。
(例)
kernel.shmmax=2684354560 kernel.sem=512 39998 50 1492 kernel.msgmax=16384 |
/etc/sysctl.confへの編集内容が反映されていることを、以下のコマンドで確認します。
#/bin/cat /etc/sysctl.conf |
上記設定を有効にするために、下記のどちらかの方法を実行します。
方法1 : システムをリブートして設定を反映
# cd / |
方法2 : /sbin/sysctl -p を使用して設定を反映
# /sbin/sysctl -p /etc/sysctl.conf |
※このコマンドを使用した場合リブートの必要がありません。
設定したシステムパラメーターが反映されていることを、以下のコマンドの出力から確認します。
# /sbin/sysctl -a |
確認コマンドの実行例
# /sbin/sysctl -a ・ (省略) ・ kernel.sem=512 39998 50 1492 kernel.msgmnb=114432 kernel.msgmni=1069 kernel.msgmax=16384 kernel.shmmni=4171 kernel.shmall=655360 kernel.shmmax=2684354560 ・ (省略) ・
注意
本作業は、システム管理者(スーパーユーザー)の権限で実施してください。
Solarisの設定手順
Systemwalker Runbook Automationは、以下のプロジェクト配下で動作します。
systemプロジェクト
OS初期設定状態で存在するデーモンなどが動作するプロジェクト
user.rootプロジェクト
OS初期設定状態でroot権限で動作するプロセスが所属するプロジェクト
システムパラメーターのチューニング値(業務サーバ)
セマフォ
パラメーター | 説明 | 値 | 種別 | 特権 |
---|---|---|---|---|
project.max-sem-ids | セマフォ識別子の数 | 512 | 加算 | 特権レベル |
メッセージキュー
パラメーター | 説明 | 値 | 種別 | 特権 |
---|---|---|---|---|
process.max-msg-qbytes | 待ち行列上の最大バイト数 | 106496 | 最大 | 特権レベル |
project.max-msg-ids | メッセージ待ち識別子の数 | 512 | 加算 | 特権レベル |
process.max-msg-messages | メッセージキュー内のメッセージの最大数 | 10650 | 加算 | 特権レベル |
ファイルディスクリプタ
パラメーター | 説明 | 値 | 種別 | 特権 |
---|---|---|---|---|
process.max-file-descriptor | ファイルディスクリプタの最大数 | 2816 | 最大 | 特権レベル |
注意
特権レベルは、/etc/projectに“privileged”を指定します。
チューニング作業手順
システムパラメーターを編集するには、/etc/projectファイルを編集します。
以下の例を参考に、現在システムに設定されている上記表に該当するパラメーターの設定値を確認します。
(例)
# projects -l system projid : 0 comment: "" users : (none) groups : (none) attribs: user.root projid : 1 comment: "" users : root groups : root attribs: noproject projid : 2 comment: "" users : (none) groups : (none) attribs: default projid : 3 comment: "" users : (none) groups : (none) attribs: ←“attribs”にエントリがないプロジェクトを確認 # newtask -p default # prctl $$ process: 1000: sh NAME PRIVILEGE VALUE FLAG ACTION RECIPIENT ・ (省略) ・ process.max-msg-messages privileged 8.19K - deny - system 4.29G max deny - process.max-msg-qbytes privileged 64.0KB - deny - system 16.0EB max deny - process.max-file-descriptor basic 256 - deny 1000 privileged 65.5K - deny - system 2.15G max deny - project.max-msg-ids privileged 128 - deny - system 16.8M max deny - project.max-sem-ids privileged 128 - deny - system 16.8M max deny - ・ (省略) ・ |
上記の“システムパラメーターのチューニング値”を参照し、現在の設定値と比較を行い、パラメーターごとに最大、加算の種別を考慮して、適切な設定値を算出します。
/etc/projectを編集します。
システムパラメーターをチューニングするために、/etc/projectファイルにチューニングのためのレコードを、以下の例のように編集します。
(例)
system:0::::project.max-sem-ids=(privileged,640,deny) ;process.max-msg-qbytes=(privileged,106496,deny) ;project.max-msg-ids=(privileged,640,deny) ;process.max-msg-messages=(privileged,19032,deny) user.root:1:::: project.max-sem-ids=(privileged,640,deny) ;process.max-msg-qbytes=(privileged,106496,deny) ;project.max-msg-ids=(privileged,640,deny) ;process.max-msg-messages=(privileged,19032,deny) |
ポイント
設定値は、プロジェクトごとに1行で記載してください。
パラメーターの設定は、システムとスーパーユーザーに対して行ってください。
上記設定を有効にするために、システムを再起動します。
設定したシステムパラメーターが反映されていることを、以下のコマンドの出力から確認します。
# projects -l |
確認コマンドの実行例
# projects -l system projid : 0 comment: "" users : (none) groups : (none) attribs: project.max-sem-ids=(privileged,640,deny) process.max-msg-qbytes=(privileged,106496,deny) project.max-msg-ids=(privileged,640,deny) process.max-msg-messages=(privileged,19032,deny) user.root projid : 1 comment: "" users : root groups : root attribs: project.max-sem-ids=(privileged,640,deny) process.max-msg-qbytes=(privileged,106496,deny) project.max-msg-ids=(privileged,640,deny) process.max-msg-messages=(privileged,19032,deny) noproject projid : 2 comment: "" users : (none) groups : (none) attribs: default projid : 3 comment: "" users : (none) groups : (none) attribs: