環境設定に関する留意事項
定義可能な仮想インタフェース数および論理仮想インタフェース数の範囲は、その合計数が1~64までです。
1つの仮想インタフェースが冗長化できる物理インタフェース数の範囲は、高速切替方式、RIP方式、GS/SURE連携方式の場合は1~8まで、NIC切替方式の場合は1~2までです。
1つの仮想インタフェースに定義可能な論理仮想インタフェース数は1~63までです。
自システムの/etc/inet/hostsファイルおよび/etc/inet/ipnodesファイルには、伝送路二重化機能で使用するすべてのホスト名とIPアドレスが定義されていなければいけません。
使用するインタフェースのMTU長はシステムにより自動設定されますが、NIC切替方式の場合には、ユーザコマンド実行機能によりMTU長を変更することができます。変更方法については、本マニュアルの“3.6.11 ユーザコマンド実行機能の設定”を参照してください。なお、その他の二重化方式では、MTU長を変更することはできません。
運用に関する留意事項
伝送路二重化機能では、マルチキャストIPアドレスを使用することはできません。
DR連携機能はクラスタ運用を実施しているマシンでは実行しないでください。
可変長サブネット環境下で伝送路二重化機能を使用することはできません。
Solaris 8のin.routedではRIP Version2をサポートしていないため、可変長サブネット環境下で動的に経路情報を取得することはできません。可変長サブネット環境下ではデフォルトゲートウェイおよび静的経路を設定し、in.routedを起動しないようにしてください。また、RIP方式およびGS/SURE連携方式では in.routedを使用するため、可変長サブネット環境下での運用はできません。
仮想インタフェースが束ねている物理インタフェースをifconfigコマンドで操作しないでください。
上位アプリケーションに関する留意事項
動作するアプリケーションがTCPを使用している場合、伝送路障害発生時にロストしたデータはTCPの再送により保証され、最終的に相手システムに届きます。このため、TCPコネクションは切断されず、通信エラーは発生しません。ただし、アプリケーションがタイマ制御等による応答監視を行っている場合には、伝送路の切離し/切替えが完了する時間よりも長くタイマ値を設定する必要があります。タイマ値を変更できない等の理由でTCPコネクションが切断される場合には、TCPコネクションを再確立して通信を復旧してください。
動作するアプリケーションがUDPを使用している場合には、伝送路障害発生時にロストしたデータは保証されません。アプリケーション自身で再送する等の復旧処理が必要です。
伝送路二重化機能では、上位アプリケーションとしてDHCP(サーバ機能およびクライアント機能)は使用できません。
上位アプリケーションとしてNTPを使用する場合は、NTPデーモン起動前に、伝送路二重化機能が制御するIPアドレスを活性化しておく必要があります。システム起動時は、NTPデーモンよりも先に伝送路二重化機能が起動されるため、特別な操作は必要ありませんが、システム起動後、運用コマンドにより手動でIPアドレスを活性化した場合や、クラスタ運用の場合は、IPアドレスが活性化された後、NTPデーモンを再起動してください。
Solarisコンテナのゾーンに関する留意事項
ゾーンで使用する仮想インタフェースは、対象となるゾーンが起動されている場合に非活性化することはできません。伝送路二重化機能の設定を変更または削除する場合には、先に対象となるゾーンを停止させてください。
ゾーン起動時、ゾーンで使用する仮想インタフェースが存在しない場合は、対象となるゾーンが起動できません。ゾーンを起動するより前に、仮想インタフェースを活性化してください。
NIC切替方式において、プライマリインタフェースからセカンダリインタフェースにNICが切り替わった状態でゾーンを起動した場合、起動したゾーンで通信が可能となるまでに、およそ20秒程度の時間がかかる場合があります。
ゾーンがNIC切替方式のセカンダリインタフェースを使用するように設定されている場合、NIC切替方式の仮想インタフェースを活性化した際、ゾーンが使用しているネットワークインタフェースを自動的にNIC切替方式のプライマリインタフェースへ引継ぎます。
ゾーンに指定するIPアドレスと伝送路二重化機能の仮想インタフェースに指定するIPアドレスは、重複しないように設定してください。IPアドレスが重複している場合、ゾーンの起動または仮想インタフェースの活性化に失敗します。