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PRIMECLUSTER 導入運用手引書 4.3

H.2.2 設計項目

Oracle Solaris ゾーン環境でPRIMECLUSTERを使用する場合、以下の各項目について、運用形態や構成を選択します。各項目の選択の基準は、以降の節を参照してください。

表H.1 設計項目

項目

選択肢

運用形態

ウォームスタンバイ運用

コールドスタンバイ運用

シングルノードクラスタ運用

ノングローバルゾーンイメージの配置

非共有

共有

ネットワーク形態

排他的IPゾーン

共有IPゾーン

アプリケーション監視

あり

なし

H.2.2.1 運用形態

PRIMECLUSTERの運用形態には、複数ノード上と1ノード上での運用があります。

特徴は以下のとおりです。

表H.2 複数ノード上と1ノード上の運用の特徴

項目

複数ノード

1ノード

ウォームスタンバイ運用

コールドスタンバイ運用

シングルノードクラスタ運用

ソフト異常での業務回復

サーバのハード異常での業務回復

1ノードでの可用性向上

複数ノード上で運用する場合、運用サーバ故障時に、ノングローバルゾーンで動作するアプリケーションを待機サーバに引き継がせることで業務継続を実現します。以下の2つの運用形態があります。

各運用形態の特徴は以下のとおりです。

表H.3 ウォームスタンバイ運用とコールドスタンバイ運用の特徴

項目

ウォームスタンバイ運用

コールドスタンバイ運用

高速な切替え

待機サーバのCPU、メモリ資源の節約

ノングローバルゾーンイメージ非共有

ノングローバルゾーンイメージ共有

1ノード上で運用する場合、以下のような運用形態があります。

H.2.2.2 ノングローバルゾーンイメージの配置

ノングローバルゾーンイメージは、クラスタノード間で共有すること、またはそれぞれのノードに配置することが可能です。

各構成の特徴は以下のとおりです。

表H.4 ノングローバルゾーンイメージの配置の特徴

項目

非共有

共有

ウォームスタンバイ運用

コールドスタンバイ運用

ローリングアップデート(業務運用中に待機系ノングローバルゾーンの保守)

ノングローバルゾーンイメージ破壊時の切替えによる業務継続

ノングローバルゾーンイメージ引継ぎ用の共用ディスクが不要

保守作業が1ノード分のみ

運用系と待機系でノングローバルゾーンが同一内容

ノングローバルゾーンイメージは、以下のディスク領域に配置します。

H.2.2.3 ネットワーク形態

ノングローバルゾーンのネットワーク形態には、排他的IPゾーンと共有IPゾーンがあります。

図H.9 ネットワーク形態とGLSの設定

各ネットワーク形態の特徴は以下のとおりです。

表H.5 排他的IPゾーンと共有IPゾーンの特徴

項目

排他的IPゾーン

共有IPゾーン

ゾーン間のネットワーク設計の分離

グローバルゾーンと複数のノングローバルゾーンでネットワークインタフェースを共有

参考

GLSの高速切替方式、GS/SURE連携方式でノングローバルゾーンの通信を実施する場合、共有IPゾーンの形態を選択してください。排他的IPゾーンで、これらの方式を使用した通信はできません。なお、NIC切替方式の場合、どちらの形態でも通信できます。

H.2.2.4 アプリケーション監視

Oracle Solaris ゾーン環境では、グローバルゾーンの監視に加え、ノングローバルゾーンに以下の監視機能を提供します。

さらに、ノングローバルゾーン上で動作するアプリケーションを監視対象にすると、以下の監視が可能です。

アプリケーション監視の特徴は以下のとおりです。

表H.6 アプリケーション監視の特徴

項目

アプリケーション監視

あり

なし

ノングローバルゾーンの停止の検出

ノングローバルゾーンのハングアップの検出

ノングローバルゾーンのアプリケーション監視

注意

  • ノングローバルゾーン上で動作するアプリケーションを監視対象とする場合には、ノングローバルゾーンにPRIMECLUSTERをインストールし、シングルノードクラスタ構成を作成する必要があります。

  • アプリケーション監視を行う場合、ノングローバルゾーンで使用できるリソースについては、“H.2.3 リソース構成”を参照してください。

  • ノングローバルゾーンの監視は、Cmdlineリソースにて10秒間隔で行うため、ノングローバルゾーンの状態異常が10秒以上継続しない場合は、故障として検知しないことがあります。例えば、ノングローバルゾーンの停止と起動が10秒以内で完了した場合は、ノングローバルゾーンの停止を状態異常として検知しないことがあります。