仮想マシン機能とは、ソフトウェアにより仮想マシン環境を実現するための機能のことです。物理マシンに装着されたCPU、メモリ、ネットワークおよびディスクの各資源を仮想化することで、一つの物理マシン上に独立した複数の仮想マシンを構築することができます。
仮想マシン機能は、1つの管理OSと複数のゲストOSから構成されます。
PRIMECLUSTERは、複数の管理OS上のゲストOS間、または、管理OS間でクラスタシステムを構築することができます。
注意
KVM環境では、管理OSをハイパーバイザーと、VMware環境では、管理OSをESXホストと読み替えてください。
PRIMECLUSTERを導入する仮想マシン環境では、以下の操作を行わないでください。
ゲストOSの一時停止
ゲストOSの一時停止状態から再開
ゲストOSを停止しないハイパーバイザー(KVM環境)、ESXホスト(VMware)の停止、または、再起動
参照
Xen環境での仮想マシン機能の詳細については、“PRIMEQUEST (1000 シリーズ)RHEL5-Xen 仮想マシン機能ユーザーズマニュアル(SupportDesk サービスご契約者様向け)”を参照してください。
KVM環境での仮想マシン機能の詳細については、“Red Hat Enterprise Linux 6 Virtualization Guide”を参照してください。
VMware環境での仮想マシン機能の詳細については、VMware vSphereのソフトウェア説明書を参照してください。
■仮想マシン機能の構成
■仮想マシン機能上でのクラスタシステム
仮想マシン機能上では、クラスタシステムとして以下の方式があります。
1つの管理OS上のゲストOS間でクラスタシステムを構築する場合
管理OS異常切替機能を使用せず、複数の管理OS上のゲストOS間でクラスタシステムを構築する場合
管理OS異常切替機能を使用して、複数の管理OS上のゲストOS間でクラスタシステムを構築する場合
管理OS間でクラスタシステムを構築する場合
各クラスタシステムの用途と注意事項は以下の通りです。
クラスタの方式 | 用途例 | 注意事項 |
---|---|---|
1つの管理OS上のゲストOS間でクラスタシステムを構築する場合 | ・物理サーバ1台の中で、物理環境と同じクラスタアプリケーション構成にしたゲストOS間にクラスタ環境を構築する | ・物理サーバ1台の構成のため、物理サーバ故障時はすべてのクラスタノードが停止し、業務停止となります。そのため、業務の運用には適しません ・以下の操作を行わないでください - ゲストOSの一時停止 - ゲストOSの一時停止状態から再開 - ゲストOSを停止しないハイパーバイザーの停止、または、再起動 |
管理OS異常切替機能を使用せず、複数の管理OS上のゲストOS間でクラスタシステムを構築する場合 | ・物理環境と同じクラスタアプリケーション構成でゲストOS間にクラスタ環境を構築し、クラスタアプリケーションの開発・テスト環境として使用、もしくは業務を運用する | ・管理OSに異常が発生した場合は、ゲストOSの強制停止ができないため、クラスタアプリケーションの手動切替えが必要となります ・以下の操作を行わないでください - ゲストOSの一時停止 - ゲストOSの一時停止状態から再開 - ゲストOSを停止しないハイパーバイザーの停止、または、再起動 |
管理OS異常切替機能を使用して、複数の管理OS上のゲストOS間でクラスタシステムを構築する場合 | ・物理環境と同じクラスタアプリケーション構成でゲストOS間にクラスタ環境を構築し、業務を運用する ・管理OS異常時にも自動でクラスタアプリケーションを切り換える | ・ゲストOSでRMSの優先度(ShutdownPriority)属性が設定できません ・生存優先度の設定によっては、運用ノードが停止させられる場合があります ・管理OS異常を検出するとその管理OSを強制停止するため、異常が発生した管理OS上のゲストOSはすべて停止します ・以下の操作を行わないでください - ゲストOSの一時停止 - ゲストOSの一時停止状態から再開 - ゲストOSを停止しないハイパーバイザーの停止、または、再起動 |
管理OS間でクラスタシステムを構築する場合 | ・以下のようなクラスタ環境を構築し、業務を運用する - ゲストOSおよび管理OSの状態を管理OSで監視し、ゲストOSもしくは管理OSに異常が発生した場合は、他の管理OSでゲストOSを起動する | ・ホットスタンバイ運用およびスケーラブル運用の運用形態は使用できません ・管理OS異常を検出するとその管理OSを強制停止するため、異常が発生した管理OS上のゲストOSはすべて停止します |
本構成では、1つの物理マシンでクラスタシステムを動作させることができます。PRIMECLUSTER上で動作するuserApplicationの動作検証を行う場合に有効です。
本構成では、ハードウェア(ネットワークやディスク)が故障しても、フェイルオーバにより業務を継続動作させることができます。
注意
管理OSが動作できない場合、ノード状態がLEFTCLUSTERとなり、オペレータによる手動での切替えが必要になる場合があります。詳細については、“7.4.2 仮想マシン機能使用時にLEFTCLUSTER状態となった場合の対処方法”および“7.2 PRIMECLUSTERシステムの運用操作”を参照してください。
Xen環境/KVM環境で複数の管理OS上のゲスト間でクラスタシステムを構築する場合には、管理OS異常時に自動的に切替を行える機能(管理OS異常切替機能)を使用することができます。
仮想マシン機能に他筐体ゲスト間クラスタを構築時、管理OSに異常が発生すると、クラスタを構成するノードが、LEFTCLUSTER状態になる場合があります。管理OS異常切替機能とは、Xen環境/KVM環境の他筐体ゲスト間クラスタにおいて、管理OSにPRIMECLUSTERを導入することで、下記の管理OSの動作異常時にゲストOSと連携し、ゲストOS上のクラスタアプリケーションを自動で切替えることを可能とする機能です。
- 管理OSのパニック
- 管理OSのOSハング(スローダウン)
ただし、本機能の利用によりRMSの優先度設定が使用できなくなる等、運用上の注意がありますので、設計時に考慮の上、使用してください。
注意
ゲストOSのクラスタアプリケーションの作成で、RMSの優先度(ShutdownPriority)属性は設定しないでください。
管理OS異常を検出するとその管理OSを強制停止するため、異常が発生した管理OS上のゲストOSはクラスタの有無にかかわらず、すべて停止します。
管理OS上では、クラスタアプリケーションの構築を行わないでください。
図2.1 仮想マシン機能上で管理OS異常切替機能を使用したクラスタシステム
図2.2 管理OS異常時の切替えイメージ
また、PRIMEQUEST上のRHEL5-Xen環境においては、PRIMECLUSTERを導入したゲストOSのライブマイグレーションや仮想マシンイメージのコピーによるクラスタシステムの複製が可能です。
本構成では、ハードウェア(ネットワークやディスク)が故障しても、管理OSのフェイルオーバにより、他の管理OS上のゲストOSを起動させ、業務を継続することができます。