リストアを行う前に以下の作業を行う必要があります。
環境設定の確認
ストレージグループのディスマウント(同期型リストアを行う場合またはExchange Server 2007の場合)
物理ディスクに対するリソース監視の停止
EC/RECセッションの停止(同期型バックアップの場合だけ)
QuickOPCセッションの停止(差分スナップショット型バックアップの場合だけ)
リストア同期処理の開始および等価性維持状態の待合せ(同期型リストアを行う場合だけ)
Exchange Server 2003、Exchange Server 2007で必要となるリストア前の作業は以下のとおりです。
作業 | リストア方式 | |
---|---|---|
OPC | EC/REC | |
「8.1.5.1.3 ストレージグループのディスマウント(同期型リストアを行う場合またはExchange Server 2007の場合)」 | 不要 | 必要 |
必要 | 必要 | |
同期型バックアップの場合だけ必要 | 同期型バックアップの場合だけ必要 | |
差分スナップショット型バックアップの場合だけ必要 | 差分スナップショット型バックアップの場合だけ必要 | |
不要 | 必要 |
作業 | リストア方式 | |
---|---|---|
OPC | EC/REC | |
「8.1.5.1.3 ストレージグループのディスマウント(同期型リストアを行う場合またはExchange Server 2007の場合)」 | 必要 | 未サポート |
必要 | 未サポート | |
同期型バックアップの場合だけ必要 | 未サポート | |
差分スナップショット型バックアップの場合だけ必要 | 未サポート | |
不要 | 未サポート |
「8.1.3 事前準備」を参照して、バックアップ時と同じ構成で環境が設定されていることを確認してください。
Exchange Server 2007の場合は、Exchange 管理コンソールを使用して、リストア対象ストレージグループ内のすべてのストアに対して、[復元時はこのデータベースを上書きする]オプションを指定します。
同期型リストアを行う場合またはExchange Server 2007の場合は、Exchange システムマネージャまたはExchange 管理コンソールを使用して、リストア対象ストレージグループ内のすべてのストアをディスマウントします。ディスマウント後は、Exchange システムマネージャまたはExchange 管理コンソールを閉じてください。
ExchangeサーバをMSCS運用している場合、リストア先となる業務ボリュームはMSCSの共用ボリュームであるため、リストアを行う前に対象物理ディスクに対するリソース監視を停止する必要があります。
リソース監視を停止せずにリストアを行った場合、クラスタグループがフェイルオーバします。
注意
リソース監視の停止対象ディスクはリストア方式によって異なります。詳細は、「8.1.5.2 リストアの実行」を参照してください。
Point-in-Timeリストアの場合は、ストレージグループ(*.edb、*.stm、*.log、*.chk)が配置されているすべての物理ディスクリソースが対象となります。
ロールフォワードリストアの場合は、データベースファイル(*.edb、*.stm)が配置されている物理ディスクリソースだけが対象となります。この場合、ストレージグループが配置されているすべての物理ディスクリソースに対してリソース監視の停止を行っても問題はありません。
リソース監視の停止は、clusterコマンドでリソースを保守モードに変更することにより行います。
[実行例(物理ディスクリソース「Disk J:」を保守モードに変更する場合)]
C:\>cluster ExampleCluster res "Disk J:" /maint:on リソース 'Disk J:' のために保守モードを設定しています。 リソース グループ ノード 状態 -------------------- -------------------- --------------- ------ Disk J: GRP1 NODE1 オンライン(保守) C:\> |
同期型バックアップの場合、リストアを行う前に業務ディスクに設定されているすべてのEC/RECセッションをswsrpvsssync_exchangeコマンドで解除する必要があります。業務ディスクに設定されているEC/RECセッションは、swsrpshadowadm_exchangeコマンドで確認できます。
注意
業務ディスクに、EC/RECによるコピー中、等価性維持状態およびサスペンド中のどれかのバックアップディスクが存在する場合は、リストアを実行できません。
差分スナップショット型バックアップの場合、リストアを行う前に業務ディスクに設定されているすべてのQuickOPCセッションを、swsrpshadowadm_exchangeコマンドで解除する必要があります。業務ディスクに設定されているQuickOPCセッションは、swsrpshadowadm_exchangeコマンドで確認できます。
注意
業務ディスクに、QuickOPC中のバックアップディスクが存在する場合は、リストアを実行できません。
物理コピー実行中のQuickOPCを解除する場合は、事前にシャドウコピーを削除しておく必要があります。
リストア対象ボリュームに対してリストア同期処理を開始した場合、同期処理が等価性維持状態になるまで待ち合わせます。
swsrpstartsyncコマンドでリストア同期処理を開始します。
swsrpstat_exchangeコマンドまたはswsrpstatコマンドで、同期処理が等価性維持状態になるまで待ち合わせます。
注意
リストア方式によってリストア同期処理の対象ボリュームが異なります。
リストアは、Exchangeサーバ上でswsrpvssrestore_exchangeコマンドを実行して、ストレージグループ単位で行います。このとき、ストレージグループ内のすべてのデータベース(ストア)はディスマウントされます。リストアはアドバンスト・コピーを使用して実施されますが、swsrpvssrestore_exchangeコマンド実行時のコピー実行状況によって処理内容が異なります。
リストア同期処理が行われていない場合は、OPC論理コピーを起動してリストアを行います。
リストア同期処理が行われていて等価性維持状態になっている場合は、EC/RECをサスペンドしてリストアを行います。
リストアには以下の方法があります。
Point-in-timeリストア(バックアップ時点へのリストア)
ロールフォワードリストア(最新時点へのリストア)
Point-in-Timeリストアは、ストレージグループ内のすべてのデータベースをバックアップ時点の状態へリストアします。Point-in-Timeリストアは、swsrpvssrestore_exchangeコマンドに-pointオプションを指定して実行します。-pointオプションが指定された場合、本コマンドはバックアップボリュームからストレージグループを構成する全ファイル(*.edb、*.stm、*.log、*.chk)をリストアすることで、ストレージグループをバックアップ時点へリストアします。
図8.26 Point-in-Timeリストア
[実行例]
C:\>set SWSTGNODE=nodeAGT C:\>C:\Win32App\AdvancedCopyManager\bin\swsrpvssrestore_exchange -evs VSVR -point -sgname FirstStorageGroup -copygrp BK1 swsrpvssrestore_exchange successfully completed C:\> |
ロールフォワードリストアは、ストレージグループ内のすべてのデータベースを最新時点へリストアします。
ロールフォワードリストアは、swsrpvssrestore_exchangeコマンドに-rollオプションを指定して実行します。-rollオプションが指定された場合、本コマンドは以下の動作を行います。
データベースファイル(*.edb、*.stm)だけをリストアします。
業務ボリューム上に存在するログファイルを使用してログ適用を行います。
データベースを最新時点へリストアします。
図8.27 ロールフォワードリストア
[実行例]
C:\>set SWSTGNODE=nodeAGT C:\>C:\Win32App\AdvancedCopyManager\bin\swsrpvssrestore_exchange -evs VSVR -roll -sgname FirstStorageGroup -copygrp BK1 swsrpvssrestore_exchange successfully completed C:\> |
注意
ロールフォワードリストアを実行するには、以下の条件を満たしている必要があります。
最新の完全バックアップが実行された時間より後に作成されたすべてのトランザクションログがある
現存しているログファイルについて、その世代番号(Exchange Server 2007の場合はEnnXXXXXXXX.logの"XXXXXXXX"部分、Exchange Server 2003の場合はE0nXXXXX.logの"XXXXX"部分)が連続している
データベースのパスを変更した直後に新しいバックアップが作成されている
ESEUTIL /p(破損または損傷しているデータベースの修復)、ESEUTIL /d(データベースのデフラグ/圧縮)を実行した直後に新しいバックアップが作成されている
ストレージグループにデータベースを追加または削除した直後に、ストレージグループに存在するすべてのデータベースのバックアップが作成されている
リストアを行ったあとは、以下の作業が必要です。
リストア同期処理の停止(同期型リストアを行う場合だけ)
物理ディスクに対するリソース監視の再開
ストレージグループのマウント
Exchange Server 2003、Exchange Server 2007で必要となるリストア後の作業は以下のとおりです。
作業 | リストア方式 | |
---|---|---|
OPC | EC/REC | |
不要 | 必要 | |
必要 | 必要 | |
Point-in-Timeリストアの場合だけ必要 | Point-in-Timeリストアの場合だけ必要 |
作業 | リストア方式 | |
---|---|---|
OPC | EC/REC | |
不要 | 未サポート | |
必要 | 未サポート | |
必要 | 未サポート |
リストア同期処理の停止は、Exchangeサーバ上でswsrpcancelコマンドを実行して行います。
[実行例]
C:\>set SWSTGNODE=nodeAGT C:\>C:\Win32App\AdvancedCopyManager\bin\swsrpstat_exchange -sgname FirstStorageGroup Server Original-Volume Replica-Volume Direction Status Execute EXCHG-SVR g1d1p1@EXCHG-SVR g1d11p1@BKUP-SVR reverse suspend ---- EXCHG-SVR g1d2p1@EXCHG-SVR g1d12p1@BKUP-SVR reverse suspend ---- EXCHG-SVR g1d1p1@EXCHG-SVR g1d13p1@BKUP-SVR ---- ---- ---- EXCHG-SVR g1d2p1@EXCHG-SVR g1d14p1@BKUP-SVR ---- ---- ---- C:\>C:\Win32App\AdvancedCopyManager\bin\swsrpcancel g1d11p1@BKUP-SVR g1d1p1@EXCHG-SVR FROM=g1d3p1@BKUP-SVR, TO=g1d1p1@EXCHG-SVR swsrpcancel completed C:\>C:\Win32App\AdvancedCopyManager\bin\swsrpcancel g1d12p1@BKUP-SVR g1d2p1@EXCHG-SVR FROM=g1d4p1@BKUP-SVR, TO=g1d2p1@EXCHG-SVR swsrpcancel completed C:\>C:\Win32App\AdvancedCopyManager\bin\swsrpstat_exchange -sgname FirstStorageGroup Server Original-Volume Replica-Volume Direction Status Execute EXCHG-SVR g1d1p1@EXCHG-SVR g1d11p1@BKUP-SVR ---- ---- ---- EXCHG-SVR g1d2p1@EXCHG-SVR g1d12p1@BKUP-SVR ---- ---- ---- EXCHG-SVR g1d1p1@EXCHG-SVR g1d13p1@BKUP-SVR ---- ---- ---- EXCHG-SVR g1d2p1@EXCHG-SVR g1d14p1@BKUP-SVR ---- ---- ---- C:\> |
ExchangeサーバをMSCS運用している場合、リソース監視を停止している物理ディスクに対して、保守モードを解除してリソース監視を再開します。
[実行例(物理ディスクリソース「Disk J:」の保守モードを解除する場合)]
C:\> cluster ExampleCluster res "Disk J:" /maint:off リソース 'Disk J:' のために保守モードをクリアしています。 リソース グループ ノード 状態 -------------------- -------------------- --------------- ------ Disk J: GRP1 NODE1 オンライン C:\> |
Exchange Server 2003かつPoint-in-Timeリストアの場合、Exchange システムマネージャを使用してディスマウント状態となっているすべてのストアをマウントします。ロールフォワードリストアの場合は、すでにマウント済みのため、ストアのマウントは不要です。
Exchange Server 2007の場合は、以下の手順でストアをマウントします。
ロールフォワードリストアの場合は、CHKファイル(EXX.chk)を削除またはリネームします(Point-in-Timeリストアの場合は、本手順を実施しないでください)。
Exchange 管理コンソールからディスマウント状態となっているすべてのストアをマウントします。
テープバックアップからリストアを行う場合は、テープ媒体上のバックアップデータをバックアップサーバにリストアしたあと、swsrpvssrestore_exchangeコマンドを実行する必要があります。
また、バックアップボリュームがシャドウコピーとして使用されている場合は、シャドウコピーを削除したあとにテープバックアップデータをリストアする必要があります。リストア作業の流れを以下に示します。
図8.28 スナップショット型リストア(OPCによるリストア)を行う場合
図8.29 同期型リストア(EC/RECによるリストア)を行う場合