クラスタシステム上で運用管理サーバを運用する場合、プライマリノードでトラブル発生時には、自動切り替えが行われ、継続して運用できます。しかし、セカンダリノードでトラブルが発生していた場合、トラブル発生時にノードやサービスの自動切り替えが正しく行われず、重要な業務の監視や管理が途切れる可能性があります。そこで、本機能ではクラスタ構成にある運用管理サーバで、プライマリノードからセカンダリノードの監視(syslogを監視)を実現し、継続された管理システムの運用を可能にします。
待機系を監視するには、以下の手順を実施します。
監視対象待機系の定義
クラスタ待機系監視環境の定義
syslog連携の再起動
Systemwalker Centric Managerの再起動
監視対象待機系の定義
監視対象待機系の定義では、監視対象とする待機系のホスト名の情報を定義します。プライマリノード、セカンダリノードの両方で、クラスタ関係にある互いのノードを定義してください。
クラスタノード定義ファイルに、待機系のホスト名の情報を定義する手順を以下に示します。
以下のクラスタノード定義ファイルをエディタで開きます。
/etc/opt/FJSVsagt/opaclshosts |
クラスタノード定義ファイルに以下の定義を追加します。
NodeName SwHostName
NodeName
監視するセカンダリノードの物理IPアドレスに対応したホスト名を128バイト以内で指定します。
SwHostName
監視するセカンダリノードの通信環境定義で指定した自ホスト名を128バイト以内で指定します。
“DNS”を選択している場合
ドメインに登録してある場合は、ドメイン名も記述します。
“ホスト名”を選択している場合
ホスト名を記述します。
“ユーザ指定”を選択している場合
ここに指定してある名前をそのまま記述します。
ポイント
自ホスト名
自ホスト名については、“通信環境定義の「自ホスト名」の定義を変更する”を参照してください。
注意
定義できる待機系は、1台です。
NodeNameとSwHostNameの間に、半角で空白またはタブを入力します。
定義は1行で記述します。SwHostNameの後ろは、「改行」を設定します。
行の先頭に“#”記号がある場合は、“#”記号から「改行」までがコメントになります。
1行の定義は512バイト以内で記述します。
本定義ファイルに設定がない場合は、待機系監視機能は動作しません。
本定義ファイルにはデフォルト値の設定はありません。
本定義ファイルは、同一システムへのリストアの場合だけバックアップ・リストアの対象です。
定義例
以下のクラスタシステムの定義方法を示します。
ノードのホスト名:NodeA、NodeB
通信環境定義の自ホスト名:“ホスト名”(NodeA、NodeB)
NodeAのクラスタノード定義ファイル
NodeB NodeB |
これによって、NodeAが運用系で動作中の場合、待機中のNodeBから転送されてくるメッセージを監視できます。
NodeBのクラスタノード定義ファイル
NodeA NodeA |
これによって、NodeBが運用系で動作中の場合、待機中のNodeAから転送されてくるメッセージを監視できます。
クラスタ待機系監視環境の定義
ここでは、待機系監視機能の動作環境を定義します。プライマリノード、セカンダリノードの両方で、動作環境を定義してください。
クラスタ待機系監視環境定義ファイルに、待機系監視の動作環境を定義する手順を以下に示します。
以下のクラスタ待機系監視環境定義ファイルをエディタで開きます。
/etc/opt/FJSVsagt/opaclsconf |
以下の形式で定義してください。
SAVMSGNUM 100 CONRTRYTM 30 SCRFLG on SCRTIME 30 SCRNUM 3 SERVICENAME uxpopagt
SAVMSGNUM
運用系と待機系が通信不可状態のときに、待機系で監視対象メッセージが発生した場合、待機系はそのメッセージを一時ファイルに保存します。ここでは、一時ファイルに保存するメッセージ数を100~500で指定します。デフォルトは100です。一時ファイルに保存されたメッセージは、Systemwalker同士の通信が可能となったときに、運用系に転送されます。
CONRTRYTM
待機系が運用系への接続に失敗した場合に行う接続リトライ処理の間隔(秒)を、10~3600で指定します。デフォルトは30です。
SCRFLG
送達確認機能(運用系からデータ受信完了を通知させる機能)を使用する場合は“on”、使用しない場合は“off”を指定します。デフォルトは“on”です。
SCRTIME
待機系から運用系に送信したデータに対して、送達確認が送信されない場合に行うデータ送信リトライ処理の時間間隔(秒)を、10~180で指定します。デフォルトは30です。
SCRNUM
待機系から運用系に送信したデータに対して、送達確認が送信されない場合に行うデータ送信リトライ処理の回数を、0~10で指定します。デフォルトは3です。
SERVICENAME
待機系から運用系に接続する場合に使用するサービス名を指定します。デフォルトは“uxpopagt”です。
クラスタ待機系監視環境定義ファイルの詳細については、“Systemwalker Centric Managerリファレンスマニュアル”を参照してください。
ポイント
サービス名
サービス名は、以下の手順で設定した値です。
[スタート]メニューから[プログラム]-[Systemwalker Centric Manager]-[環境設定]-[システム監視設定]、または[アプリ画面から[Systemwalker Centric Manager]-[システム監視設定]を選択します。
→[システム監視設定]ダイアログボックスが表示されます。
[通信環境定義]ボタンをクリックします。
→[通信環境定義]ダイアログボックスが表示されます。
[詳細設定]ボタンをクリックします。
→[通信環境定義詳細]ダイアログボックスが表示されます。
[動作設定]タブを選択し、[その他の設定]ボタンをクリックします。
→[動作設定詳細]ダイアログボックスが表示されます。
注意
各定義項目名と値の間には、半角で空白またはタブを入力します。
行の先頭に“#”記号がある場合は、“#”記号から「改行」までがコメントになります。
1行の定義は512バイト以内で記述します。
本定義内に不当な設定がある場合は、デフォルトの値で動作します。
本定義ファイルは、同一システムへのリストアの場合だけバックアップ・リストアの対象です。
定義例
以下のクラスタシステムの定義方法を示します。
ノードのホスト名:NodeA、NodeB
自ホスト名:通信環境定義の“ホスト名”(NodeA、NodeB)
クラスタノード定義ファイルの定義と、通信環境定義の「自ホスト名」の定義は以下のようになります。
NodeAの定義ファイル
クラスタノード定義ファイル
NodeB NodeB |
通信環境定義の「自ホスト名」の定義
『ホスト名』を選択 |
NodeBの定義ファイル
クラスタノード定義ファイル
NodeA NodeA |
通信環境定義の「自ホスト名」の定義
『ホスト名』を選択 |
syslog連携の再起動
プライマリノードとセカンダリノードで、syslog連携機能を再起動します。
syslog連携機能の再起動は、以下の手順を実施してください。
syslog連携機能の再起動
syslogd(rsyslogd)への通知、またはsyslogd(rsyslogd)の再起動
以下にそれぞれの手順について説明します。
syslog連携機能の再起動
syslog連携機能を再起動します。
以下に手順を示します。
以下のコマンドを実行し、syslog連携機能を停止します。
/opt/systemwalker/bin/stpopasyslog
以下のコマンドを実行し、syslog連携機能を起動します。
/opt/systemwalker/bin/stropasyslog
syslogd(rsyslogd)への通知、またはsyslogd(rsyslogd)の再起動
監視を行うため、以下のどちらかの作業を行います。
syslogd(rsyslogd)にsyslog連携機能が起動したことを通知する
syslogd(rsyslogd)を再起動する
以下に手順を示します。
syslogd(rsyslogd)にsyslog連携機能が起動したことを通知する場合
【Red Hat Enterprise Linux 6.3 以降】
HUPシグナルの送信ではなく、rsyslogdを再起動してください。
【Red Hat Enterprise Linux 6.0/Red Hat Enterprise Linux 6.1/Red Hat Enterprise Linux 6.2】
以下のコマンドを実行し、rsyslogdのプロセスIDを確認します。
ps -ef | grep rsyslogd
以下のコマンドを実行し、rsyslogdにHUPシグナルを送信します。
kill -HUP <1-で求めたプロセスID>
【上記以外のLinux】
以下のコマンドを実行し、syslogdのプロセスIDを確認します。
ps -ef | grep syslogd
以下のコマンドを実行し、syslogdにHUPシグナルを送信します。
kill -HUP <1-で求めたプロセスID>
注意
Solaris 10以降でZoneを作成している場合、syslog連携機能を起動したZoneのsyslogdをZone名で特定し、HUPシグナルを送ります。なお、ログインしているZoneのZone名は/usr/bin/zonenameコマンドで確認できます。
以下のコマンドを実行し、syslogdのプロセスIDを確認します。
ps -Zef | grep syslogd | grep `/usr/bin/zonename`
以下のコマンドを実行し、syslogdにHUPシグナルを送信します。
kill -HUP <上記で求めたプロセスID>
syslogd(rsyslogd)を再起動する場合
【Solaris 9】
以下のコマンドを実行し、syslogdを停止します。
sh /etc/rc2.d/S74syslog stop
以下のコマンドを実行し、syslogdを起動します。
sh /etc/rc2.d/S74syslog start
【Solaris 10以降】
再起動の実施ではなくHUPシグナルの通知を実施してください。
【Red Hat Enterprise Linux 6.3 以降】
以下のコマンドを実行し、rsyslogdを再起動します。
Red Hat Enterprise Linux 6の場合
service rsyslog restart
Red Hat Enterprise Linux 7以降の場合
systemctl restart rsyslog.service
【Red Hat Enterprise Linux 6.0/Red Hat Enterprise Linux 6.1/Red Hat Enterprise Linux 6.2】
以下のコマンドを実行し、rsyslogdを停止します。
sh /etc/rc.d/init.d/rsyslog stop
以下のコマンドを実行し、rsyslogdを起動します。
sh /etc/rc.d/init.d/rsyslog start
【上記以外のLinux版】
以下のコマンドを実行し、syslogdを停止します。
sh /etc/rc.d/init.d/syslog stop
以下のコマンドを実行し、syslogdを起動します。
sh /etc/rc.d/init.d/syslog start
Systemwalker Centric Managerの再起動
Systemwalker Centric Managerを再起動します。
再起動の手順については、“クラスタシステム上の運用管理サーバを起動する”および“クラスタシステム上の運用管理サーバを停止する”を参照してください。
注意事項
待機系から転送されるメッセージは運用系で設定されたイベント監視の条件定義に従って監視されます。ホスト名で条件を特定する場合は クラスタノード定義ファイルのSwHostNameとして定義したホスト名を使用します。クラスタノード定義ファイルの詳細については、“監視対象待機系の定義”を参照してください。
運用系-待機系間のLANが切断中に、発生したメッセージの転送は、リカバリ後、一時ファイルに格納されているクラスタ待機系環境定義のSAVMSGNUMに従った数の最新メッセージだけが転送できます。
クラスタ待機系監視環境定義ファイルの詳細については、“クラスタ待機系監視環境の定義”を参照してください。
ポイント
運用系-待機系間の通信状態は、インテリジェントサービスのホストモニタスクリプトを使用することにより監視ができます。
運用系の電源が切断されている間、待機系からメッセージの転送は、リカバリ後、一時ファイルに格納されているクラスタ待機系環境定義のSAVMSGNUMに従った数の最新メッセージだけが転送可能です。クラスタ待機系監視環境定義ファイルの詳細については、“クラスタ待機系監視環境の定義”を参照してください。
待機系でブート時に発生するメッセージは、syslogd、またはrsyslogdに通知される範囲で監視ができます。
待機系は、運用系に常時接続する被監視サーバの一つとしてカウントされます。最大128台監視できる中の1台となります。
opfmt(メッセージ作成/出力)は待機系監視環境の接続確認には使用できません。