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Symfoware Server V12.1.x RDB運用ガイド(データベース定義編)
FUJITSU Software

6.11 各格納構造のスペース量の見積り

例1

SEQUENTIAL構造のスペース量の見積り

次のような構造の発注表(総レコード数:30000件)の所要スペース量を計算します。

CREATE TABLE STOCKS.発注表 (
                              取引先     SMALLINT   NOT NULL,
                              取引製品   SMALLINT   NOT NULL,
                              仕入価格   INTEGER,
                              発注数量   SMALLINT
                            )

格納構造:SEQUENTIAL構造

ページ長:32 Kバイト

CPUコア数:2

安全率:1.3

レコード長         = ( 取引先 + 取引製品 + 仕入価格 + 発注数量 )
                     + ( 可変長列の数 × 4 + 2 ) + 可変長列の長さ + NULLタグ数 + 26
                   ≒ ( 2 + 2 + 4 + 2 ) + 0 + 0 + 2 + 26                   (注1)
                   = 38

ページ内レコード数 = ( ページ長 - 94 ) / レコード長
                   = ( 32768 - 94 ) / 38
                   = 859.8421053… 
                   ≒ 859                                                         (注2)

スペース量         = ( 総レコード数 / ページ内レコード数 + CPUコア数 + 1 ) × ページ長 × 安全率
                   = ( 30000 / 859 + 2 + 1 ) × 32768 × 1.3
                   = ( 35 + 2 + 1 ) × 32768 × 1.3                             (注3)
                   = 1618739.2 (バイト)
                   ≒ 1581 (K バイト)
                   → 1600 (K バイト)                                             (注4)

注1) 可変長列がないため、可変長に関する項はすべて0で計算

注2) 小数点切捨て

注3) 35は(30000/859)を小数点切上げで計算

注4) スペース量をページ長の整数倍に補正


例2

RANDOM構造のスペース量の見積り

次のような構造の発注表(総レコード数:30000件)の所要スペース量を計算します。

CREATE TABLE STOCKS.発注表 (
                              取引先     SMALLINT   NOT NULL,
                              取引製品   SMALLINT   NOT NULL,
                              仕入価格   INTEGER,
                              発注数量   SMALLINT,
                              PRIMARY KEY ( 取引先, 取引製品 )
                            )

格納構造は、次のように設計します。また、クラスタキーはPRIMARY KEY(一意性制約が設定されている)であるため、計算式は、RANDOM構造(クラスタキーに一意性制約が設定されている場合)を使用します。

格納構造:取引先と取引製品をクラスタキーとしたRANDOM構造

ページ長:プライム部、オーバフロー部ともに4Kバイト

プライム部の使用率:0.5

オーバフロー部の使用率:0.2

オーバフロー率:0.2

安全率:1.3

レコード長          = ( 仕入価格 + 発注数量 ) + ( 可変長列の数 × 4 + 6 )
                      + ( 取引先 + 取引製品 + 12 ) + NULLタグ数 + 26
                    = ( 4 + 2 ) + ( 0 × 4 + 6 ) + ( 2 + 2 + 12 ) + 2 + 26
                    = 56

ページ内レコード数  = ( ページ長 - 94 ) / レコード長                           (注1)
                    = ( 4096 - 94 ) / 56
                    = 71.46428571…
                    ≒ 71                                                         (注2)

プライム部スペース量 
                  = (( 総レコード数 / ページ内レコード数 ) / プライム部の使用率 + 1 )
                    × プライム部のページ長
                  = (( 30000 / 71 ) / 0.5 + 1 ) × 4096
                  = ( 423 / 0.5 + 1 ) × 4096                                  (注3)
                  = 3469312 (バイト)
                  = 3388 (K バイト)
                     [ページ数 = 3388 / 4 = 847
                     2n ≧ 847 → n = 10 
                     目安ページ数 = 210 + 1 = 1025]                             (注4)
                  = 1025×4k
                  → 4100 (K バイト)

オーバフロー部スペース量
     = (( 総レコード数 × オーバフロー率 / ページ内レコード数 ) / オーバフロー部の使用率 + 1 )
       × オーバフロー部のページ長 × 安全率
     = (( 30000 × 0.2 / 71 ) / 0.2 + 1 ) × 4096 × 1.3 
     = ( 85 / 0.2 + 1 ) × 4096 × 1.3                                         (注5)
     = 2268364.8 (バイト)
     → 2216 (K バイト)                                                            (注6)

注1) プライム部オーバフロー部ともにページ長が等しいためページ内レコード数も同じ

注2) 小数点切捨て

注3) 423は(30000/71)を小数点切上げで計算

注4) ページ数を2の巾乗化

注5) 85は(30000×0.2/71)を小数点切上げで計算

注6) スペース量をページ長の整数倍に補正


例3

OBJECT構造のスペース量の見積り

次のような構造の製品写真(総レコード数:3000件)の所要スペース量を計算します。

CREATE TABLE STOCKS.製品写真 (
            製品番号   SMALLINT     PRIMARY KEY  NOT NULL ,
            製品写真   BLOB( 500K ) NOT NULL)

格納構造:OBJECT構造

ページ長:32Kバイト

安全率:1.3

論理レコード長    =  製品番号 + 製品写真
                  =     2     +  512000
                  =  512002

格納レコード長    =  ページ長 - 144
                  =  32768 - 144
                  =  32624

1 論理レコード
    必要ページ数  =  論理レコード長 / 格納レコード長
                  =   512002 / 32624
                  =   15.7
                  ≒   16    (注)

スペース量
      = ( 1論理レコード必要ページ数 × 総レコード数 + 1 ) × ページ長 × 安全率
      = ( 16 × 3000 + 1 ) × 32768 × 1.3
      = ( 48001 ) × 32768 × 1.3
      = 1996841.6 (K バイト)
      ≒ 1950 (M バイト)

注) 小数点切上げ


例4

BTREE構造のスペース量の見積り

次のような構造の発注表(SEQUENTIAL構造/総レコード数:30000件)に対して、仕入価格と発注数を2次キーとしてインデックスを付加する場合の所要スペース量を計算します。

CREATE TABLE STOCKS.発注表 (
                              取引先     SMALLINT  NOT NULL,
                              取引製品  SMALLINT  NOT NULL,
                              仕入価格  INTEGER,
                              発注数量  SMALLINT,
                              PRIMARY KEY ( 取引先, 取引製品 )
                            )

格納構造:仕入価格と発注数量を2次キーとしたBTREE構造

ページ長(データ部):16Kバイト

ページ長(インデックス部):2Kバイト

使用率(データ部):0.5

使用率(インデックス部):0.5

圧縮率(データ部):0.3

圧縮率(インデックス部):0.5

【データ部】

エントリ長            = ( 仕入価格 + 発注数量 ) × ( 1 - キー圧縮率 ) + 20
                      = ( 4 + 2 ) × ( 1 - 0.3 ) + 20
                      ≒ 25                                                    (注1)

セクション長          = エントリ長 × 10 + 2
                      = 25 × 10 + 2
                      = 252

ページ内セクション数  = ( データ部のページ長 - 110 ) / セクション長
                      = ( 16384 - 110 ) / 252
                      ≒ 64                                                    (注2)

ページ内エントリ数    = ( セクション長 / エントリ長 ) × ページ内セクション数 ×
                           データ部の使用率
                      = ( 252 / 25 ) × 64 × 0.5
                      ≒ 10 × 64 × 0.5                                       (注3)
                      = 320

データ部のページ数    = 表のレコード数 / ページ内エントリ数
                      = 30000 / 320
                      = 93.75
                      ≒ 94                                                    (注1)

データ部のスペース量  = ( データ部のページ数 + 1 ) × データ部のページ長 × 安全率
                      = ( 94 + 1 ) × 16384 × 1.3
                      = 2023424 (バイト)
                      = 1976 (K バイト)
                      → 1984 (K バイト)                                       (注4)

注1) 小数点切上げ

注2) 小数点切捨て

注3) (252/25)は小数点切捨て

注4) スペース量をページ長の整数倍に補正


【インデックス部】

エントリ長               = ( 仕入価格 + 発注数量 + 12 ) × ( 1 - キー圧縮率 ) + 10
                         = ( 4 + 2 + 12 ) × ( 1 - 0.5 ) + 10
                         = 19

セクション長             = エントリ長 × 10 + 2
                         = 19 × 10 + 2
                         = 192

ページ内セクション数     = ( インデックス部のページ長 - 110 ) / セクション長
                         = ( 2048 - 110 ) / 192
                         ≒ 10                                                    (注1)

ページ内エントリ数       = ( セクション長 / エントリ長 ) × ページ内セクション数 × 
                              インデックス部の使用率
                         = ( 192 / 19 ) × 10 × 0.5
                         ≒ 10 × 10 × 0.5
                         = 50                                                    (注2)

インデックスレベル       = L → 以下の条件を満たす値
                                 ( ページ内エントリ数 ) L ≧ データ部のページ数
                                 50L ≧ 94
                         = 2

                          インデックスレベル
インデックス部のページ数 = Σ ( データ部のページ数 / (ページ内エントリ数i )) i=1
2
= Σ ( 94 /( 50i )) i=1
= ( 94 / 50 ) + ( 94 / 50 / 50 ) ≒ 2 + 1 (注3) = 3 インデックス部のスペース量 = ( インデックス部のページ数 + 1 ) × インデックス部のページ長 × 安全率 = ( 3 + 1 ) × 2048 × 1.3 = 10649.6 (バイト) ≒ 11 (K バイト) → 12 (K バイト) (注4)

注1) 小数点切上げ

注2) (192/19)は小数点切捨て

注3) 小数点切上げ

注4) スペース量をページ長の整数倍に補正