退避簡易化ツールを使用したバッチサーバ環境資源の一括退避について説明します。
以降の説明は、提供した退避簡易化ツールをそのまま使用した場合を前提に記載しています。
使用する退避簡易化ツール
以下の退避簡易化ツールを使用します。
バッチサーバ環境資源の容量見積もり用サンプル:
バッチサーバ環境資源を退避するために必要なディスク容量を見積もります。
バッチサーバ環境資源の退避用サンプル:
バッチサーバ環境資源を指定した退避ディレクトリに退避します。
退避簡易化ツールを使用した退避手順
退避簡易化ツールを使用したバッチサーバ環境資源の一括退避の手順を以下に示します。
注意
退避簡易化ツールはバッチサーバ環境に作成されているバッチワークユニットのすべてに、バッチアプリケーションが配備されていることを前提としています。
バッチサーバ環境資源の容量見積もり用サンプルでは、Interstageのサービス資源を退避するために必要なディスク容量の見積もりは行いません。
Interstageのサービス資源を退避するために必要なディスク容量は、“Interstage Application Server 運用ガイド(基本編)”の“概要と対象ファイル”に示すバックアップ対象資源の合計量となります。
バッチサーバ環境資源の容量見積もり用サンプルでは、世代ファイルの管理情報の見積もりは行いません。また、バッチサーバ環境資源の退避用サンプルでは、世代ファイルの管理情報の退避は行いません。
退避対象の資源の退避先
バッチサーバ環境資源の退避用サンプルを使用して退避した各資源の退避先(ディレクトリ名)を以下に示します。
退避対象の資源 | 退避先 (ディレクトリ名) |
---|---|
バッチサービス資源 | 退避ディレクトリ/btfw |
バッチジョブ定義格納ディレクトリ | 退避ディレクトリ/jobdef |
バッチワークユニット資源 | 退避ディレクトリ/ibsetcおよび |
バッチワークユニットの配備元資源 | バッチワークユニットごとに以下のディレクトリに退避します。 退避ディレクトリ/wu/バッチワークユニット名 |
配置したコマンドやスクリプト | 退避簡易化ツール実行時に指定したユーザ資源のリストを以下に退避します。 ユーザ資源のリストに記述された順番に、以下のような構成で対象のユーザ資源をディレクトリに退避します。 |
rcプロシジャ | 退避ディレクトリ/rc |
Interstageのサービス資源 | Interstageサービス資源の一括退避シェルに記述した退避先に退避されます。 |
注意
退避先 (ディレクトリ名)に示す“退避ディレクトリ”は、バッチサーバ環境資源の退避用サンプルの実行時に指定する“退避ディレクトリ”です。
復元時に復元簡易化ツールを使用しない場合には、バッチサーバ環境資源の各資源の退避先(ディレクトリ名)を把握しておく必要があります。
退避簡易化ツール使用時の注意事項
退避簡易化ツール(バッチサーバ環境資源の容量見積もり用サンプル、およびバッチサーバ環境資源の退避用サンプル)を使用して、バッチサーバ環境資源を一括退避する場合、退避簡易化ツールごとに注意事項がありますので、各サンプルの説明を必ず読んでから作業を行ってください。
退避簡易化ツールを使用して退避した資源を、復元する場合には以下の注意事項があります。退避するときから注意して作業してください。
セキュリティ権限グループのグループID
退避簡易化ツールで退避したバッチサービス資源を復元する場合、退避簡易化ツールで退避する時のバッチシステム利用グループおよびInterstage運用グループのグループIDと、復元時のグループIDが同じでなければ復元できません。
したがって、退避した時のバッチシステム利用グループおよびInterstage運用グループのグループIDを変更しないでください。
また、退避完了後、バッチシステム利用グループおよびInterstage運用グループのグループIDを控えてください。
バッチサーバ環境の整合性を保証するために、退避簡易化ツール実行時に以下のオプションを指定することを推奨します。
バッチサーバ環境資源の容量見積もり用サンプルを使用する場合
ユーザ資源のリスト (配備したコマンドやスクリプトの退避)
バッチサーバ環境資源の退避用サンプルを使用する場合
ユーザ資源のリスト (配備したコマンドやスクリプトの退避)
Interstageサービス資源の一括退避シェル
ファイルの世代管理機能を使用している場合には、バッチサーバ環境の整合性を保証するために、退避簡易化ツール実行時に以下の資源を同時に退避することを推奨します。
世代ファイルの管理情報の退避
世代ファイルの管理情報の退避については、“4.3.9 世代ファイルの管理情報の退避”を参照してください。
バッチサーバ環境資源の容量見積もり用サンプルの使用方法について以下に示します。
/opt/FJSVibsbc/sample/bk-rs-tool/btfwestbtsv [-u ユーザ資源のリスト]
以下のバッチサーバ環境資源で使用しているディスク容量を見積もり、表示します。
バッチサービス資源
バッチジョブ定義格納ディレクトリ
バッチワークユニット資源
バッチワークユニットの配備元資源
配備したコマンドやスクリプト
rcプロシジャ
配備したコマンドやスクリプトのパスを記述したリストの格納パスを指定します。
リストの格納パスの指定形式は、絶対パス、または相対パスで指定します。
相対パスで指定した場合は、カレントディレクトリからの相対パスになります。
リストの記述形式は、1行1ファイル、または1ディレクトリです。絶対パスで指定します。
ユーザ資源のリストの記述例
/home/user/exec/dir /home/user/tmp/file /home/user/cmd : |
本オプションは、省略可能です。
省略時は、配備したコマンドやスクリプトを含めない容量見積もりを行います。
指定した場合、配備したコマンドやスクリプトを含めた容量見積もりを行います。
システム管理者(スーパーユーザ)
バッチサーバ環境資源の容量を見積もります。
# /opt/FJSVibsbc/sample/bk-rs-tool/btfwestbtsv size(kbyte) path -------------------------------------------------------------------------------- 23088 /etc/opt/FJSVibsb* 23084 /opt/FJSVibs/etc/* 40916 /opt/FJSVibs/var/* 23084 /home/user/jobdefdir/* 23084 /home/user/wu/* 2300 /home/user/cmd_dir/tmp 1200 /home/user/cmd_dir/shell_dir/exec_dir/execute.sh 4 /etc/rc2.d/S95isjmxstart 4 /etc/rc2.d/S99startis -------------------------------------------------------------------------------- 113680 |
最後に合計サイズを表示します。
0:正常終了
上記以外:異常終了
本サンプルを実行する前に、“2.1.2 バッチシステムの運用停止”の手順に従ってバッチシステムを停止してください。
本サンプル実行中、または同時に、Interstageの操作、およびバッチ実行基盤が提供するコマンドを実行しないでください。
本サンプルの表示結果には、Interstageのサービス資源を退避するために必要なディスク容量は含まれていません。
Interstageのサービス資源を退避するために必要なディスク容量は、“Interstage Application Server運用ガイド(基本編)”の“概要と対象ファイル”に示すバックアップ対象資源の合計量となります。
バッチサーバ環境資源の退避用サンプルの使用方法について以下に示します。
/opt/FJSVibsbc/sample/bk-rs-tool/btfwbkpbtsv [-u ユーザ資源のリスト] [-i "Interstageサービス資源の一括退避シェルスクリプトの実行文字列"] 退避ディレクトリ
/opt/FJSVibsbc/sample/bk-rs-tool/btfwbkpbtsv [-u ユーザ資源のリスト] [-i Interstageサービス資源の一括退避シェル] 退避ディレクトリ
以下のバッチサーバ環境資源を指定されたディレクトリに退避します。
バッチサービス資源
バッチジョブ定義格納ディレクトリ
バッチワークユニット資源
バッチワークユニットの配備元資源
配備したコマンドやスクリプト
rcプロシジャ
Interstageのサービス資源
配備したコマンドやスクリプトのパスを記述したリストの格納パスを指定します。
リストの格納パスの指定形式は、絶対パス、または相対パスで指定します。
相対パスで指定した場合は、カレントディレクトリからの相対パスになります。
リストの記述形式は、1行1ファイル、または1ディレクトリです。絶対パスで指定します。
ユーザ資源のリストの記述例
/home/user/exec/dir /home/user/tmp/file /home/user/cmd : |
本オプションは、省略可能です。
省略時は、配備したコマンドやスクリプトの退避は行いません。
指定した場合、配備したコマンドやスクリプトを含めた退避を行います。
Interstageのサービス資源を一括退避するシェルスクリプトの実行文字列を以下のように指定します。
"Interstageのサービス資源を一括退避するシェルスクリプト格納パス バックアップ・リストア対象定義ファイル格納パス" |
一括退避するシェルスクリプトの格納パスの指定形式は、絶対パス、または相対パスで指定します。
相対パスで指定した場合は、カレントディレクトリからの相対パスになります。
本オプションは、省略可能です。
省略時は、Interstageサービス資源の退避は行いません。
指定した場合、Interstageサービス資源の一括退避シェルを実行し退避を行います。
Interstageのサービス資源を一括退避するシェルの格納パスを指定します。
格納パスの指定形式は、絶対パス、または相対パスで指定します。
相対パスで指定した場合は、カレントディレクトリからの相対パスになります。
本オプションは、省略可能です。
省略時は、Interstageサービス資源の退避は行いません。
指定した場合、Interstageサービス資源の一括退避シェルを実行し退避を行います。
バッチサーバ環境資源を退避するディレクトリを、256バイト以内で指定します。
退避ディレクトリの指定形式は、絶対パス、または相対パスで指定します。
相対パスで指定した場合は、カレントディレクトリからの相対パスになります。
指定した退避ディレクトリは、本サンプル実行前に以下のアクセス権で作成しておく必要があります。
所有者 | root |
グループ | root |
権限 | 0700 |
システム管理者(スーパーユーザ)
バッチサーバ環境資源の退避を行います。
# /opt/FJSVibsbc/sample/bk-rs-tool/btfwbkpbtsv /home/backup/btsv : FSP_INTS-JOB_BTFW: INFO: 03200: Completed batch system backup. : INFO: 03294: Completed batch server environmental resource backup. |
0:正常終了
上記以外:異常終了
本サンプルを実行する前に、“2.1.2 バッチシステムの運用停止”の手順に従ってバッチシステムを停止してください。
本サンプル実行中、または同時に、Interstageの操作、およびバッチ実行基盤が提供するコマンドを実行しないでください。
本サンプル実行時、バッチジョブ定義格納ディレクトリは存在している必要があります。バッチジョブ定義格納ディレクトリが存在しない場合、“btfwcrtjobdefdirコマンド”で作成してください。“btfwcrtjobdefdirコマンド”については、“Interstage Job Workload Server リファレンス”を参照してください。
本サンプル実行時、ジョブスプールは存在している必要があります。
バッチ実行基盤の環境(バッチジョブ定義データベース、ジョブスプール、ジョブキュー、イニシエータの定義)を変更した場合は、最新の環境を退避するようにしてください。このとき、変更後の環境でバッチ実行基盤を正常に運用できることを確認してから退避してください。
初めてジョブスプールを作成したあと、1度もバッチ受付サービスを開始していない状態では、退避できません。
退避ディレクトリ配下にファイルやディレクトリが存在してはいけません。
退避ディレクトリ名に以下のディレクトリを指定した場合、退避できません。
“/FSUN”または”/FJSV”という文字列が含まれるディレクトリ
ジョブスプール格納ディレクトリ、およびサブディレクトリ
バッチジョブ定義格納ディレクトリ、およびサブディレクトリ
退避ディレクトリに特殊ファイル(ローデバイスファイル、FIFOファイル、socketファイルなど)は指定した場合、退避できません。
Interstage環境資源の一括退避、およびバックアップ・リストア対象定義ファイルについては、“Interstage Application Server運用ガイド(基本編)”の“メンテナンスの一括実行”を参照してください。