下図のような複数のルータがあるネットワークにL-Serverを配備する場合には、ServerView Resource Orchestratorのネットワークリソースの設定方法に注意が必要です。
また、クローニングイメージのオペレーティングシステムにあらかじめスタティックルートの設定を行っておく必要があります。
図A.1 複数のルータがあるネットワーク
上図の例のような複数のルータがあるネットワークにL-Serverを配備する場合、ルータを越えた位置にあるクライアントおよび管理サーバの双方と通信を行うためには、以下の複数のルーティング情報をL-Serverに設定する必要があります。
クライアントが存在するセグメント(利用者セグメント)へのルーティング情報
管理サーバが存在するセグメント(管理セグメント2)へのルーティング情報
ソフトウェアパラメーター設定機能では、L-Serverの配備時に、ソフトウェアのパラメーター設定を行うために、L-Serverと通信を行います。このため、L-Serverと管理サーバの間にルータがあり、L-Serverと管理サーバのネットワークセグメントが異なっているネットワーク構成の場合、L-Serverと管理サーバで通信を行うことができるように、クローニングイメージのオペレーティングシステムに事前にルーティング情報の設定を行っておく必要があります。
ServerView Resource Orchestratorのネットワークリソースの設定
ServerView Resource Orchestratorのネットワークリソースの設定において、L-Serverに設定する複数のネットワークリソースのうち、1つだけにデフォルトゲートウェイの設定を行います。
「図A.1 複数のルータがあるネットワーク」の構成の場合、以下のように業務セグメントのネットワークリソースだけにデフォルトゲートウェイの設定を行います。
管理セグメント1のネットワークリソースにはデフォルトゲートウェイの設定は行いません。
業務セグメントのネットワークリソースの設定(ルータ1のIPアドレスが10.0.0.1の場合)
ネットワークリソース名 | Gyoumu |
コメント | 業務セグメント |
VLAN ID | 1 |
サブネットアドレス | 10.0.0.0 |
サブネットマスク | 255.255.255.0 |
デフォルトゲートウェイ | 10.0.0.1 |
対象外とするIPアドレス | 10.0.0.1 - 10.0.0.1 |
管理セグメント1のネットワークリソースの設定(ルータ2のIPアドレスが192.168.0.1の場合)
ネットワークリソース名 | Kanri1 |
コメント | 管理セグメント1 |
VLAN ID | 2 |
サブネットアドレス | 192.168.0.0 |
サブネットマスク | 255.255.255.0 |
デフォルトゲートウェイ | (なし) |
対象外とするIPアドレス | 192.168.0.1 - 192.168.0.1 |
クローニングイメージのスタティックルートの設定
L-Serverが管理サーバと通信を行えるようにするために、クローニングイメージのオペレーティングシステムにあらかじめスタティックルートの設定を行っておきます。
クローニングイメージを採取するL-Serverで、routeコマンドを実行しスタティックルートの設定を行います。
「図A.1 複数のルータがあるネットワーク」の例の場合、以下のように、管理サーバのネットワークへのスタティックルートを設定しておきます。(ルータ2のIPアドレスが192.168.0.1の場合)
route -p add 192.168.1.0 mask 255.255.255.0 192.168.0.1 metric 1 |
クローニングイメージを採取するL-Serverで、/etc/sysconfig/static-routesファイルに設定を行います。
「図A.1 複数のルータがあるネットワーク」の例の場合、以下のように、管理サーバのネットワークへのスタティックルートを設定しておきます。(ルータ2のIPアドレスが192.168.0.1の場合)
any net 192.168.1.0 netmask 255.255.255.0 gw 192.168.0.1 |
注意
L-Serverの配備対象となるネットワーク構成が複数ある場合、配備対象となるネットワークごとに、スタティックルートの設定を行った別々のクローニングイメージを作成しておく必要があります。
テンプレート情報の設定
スタティックルートの設定を行ったクローニングイメージは、その設定を行ったネットワークにだけ配備することができます。
このため、テンプレート情報に、クローニングイメージに対応するデフォルトのネットワークリソースを設定しておきます。
「図A.1 複数のルータがあるネットワーク」の例の場合、以下のようなテンプレート情報を登録します。
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8" ?> <template version="1.1"> <name>TEMPLATE_SAMPLE1</name> <baseTemplateId /> <ownerOrg>cfmgadm</ownerOrg> <ownerUser>cfmgadm</ownerUser> <publicCategory>PUBLIC</publicCategory> <designSheetPath /> <releaseDate>2010/12/30</releaseDate> <numOfMaxVnet>2</numOfMaxVnet> <numOfMaxVm>10</numOfMaxVm> <productId /> <description>Web/AP/DB 1サーバモデル</description> <keyword>Web/AP/DB 1サーバモデル</keyword> <estimate>0</estimate> <license>0</license> <support>0</support> <vnets> <vnet> <id>VNET1</id> <name>Gyoumu</name> <numOfMaxVm>10</numOfMaxVm> <resouceId>M01_1446</resourceId> ※業務セグメントのネットワークリソース </vnet> <vnet> <id>VNET2</id> <name>Kanri1</name> <numOfMaxVm>10</numOfMaxVm> <resouceId>M01_943</resourceId> ※管理セグメント1のネットワークリソース </vnet> </vnets> <servers> <server> <no>0</no> <imageId /> <imageName>IMG001</imageName> ※スタティックルートの設定を行ったクローニングイメージ <name>サーバ1</name> <serverType>sample_small</serverType> <vnics> <management>1</management> <vnic> <no>1</no> <networkId>VNET2</networkId> </vnic> <vnic> <no>2</no> <networkId>VNET1</networkId> </vnic> </vnics> </server> </servers> </template> |
注意
L-Serverの配備対象となるネットワーク構成が複数ある場合、配備対象となるネットワークごとに、テンプレート情報を登録する必要があります。