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ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 16.0 運用ガイド
FUJITSU Storage

7.9.2 ディスクグループを構成する物理ディスク単位のバックアップ運用

VxVMボリュームの構成が、論理ボリュームが存在する物理スライス単位での運用条件を満たしていない場合は、VxVMボリュームを構成する物理ディスク単位で操作することでレプリケーション運用できます。

物理ディスク単位に運用する場合は、ディスクグループとしての整合性を保つ必要があるため、ディスクグループ内のすべての物理ディスクで同期をとって操作する必要があります。

ポイント

同期を取る必要がある物理ボリュームは、Webコンソールおよび「9.3.9 stgxfwcmdispdev(デバイス情報表示コマンド)」で確認できます。

注意

  • noprivタイプのVMディスクだけ、物理スライスが管理単位となります。

  • 通常ボリュームの基本的運用を理解したうえで利用してください。

  • 物理ディスク単位の運用では、スナップショット型での運用を推奨します。同期型での運用の場合、全面コピー中および差分コピー中は、複写先に対してアクセスするVxVMのコマンドなどを実行できません。

  • クラスタ構成で運用する場合、クラスタを構成するすべてのサーバにおいて、ディスクグループを構成する物理ディスクのデバイス名(/dev/(r)dsk/c#t#d#)が同じであり、デバイス名が指すETERNUS ディスクアレイのディスクも同じである必要があります。

    なお、SunCluster環境下で運用する場合、クラスタを構成するすべてのサーバにおいて、VxVMのエンクロージャ名が同じであり、エンクロージャ名が指すETERNUS ディスクアレイのディスクも同じである必要があります。

7.9.2.1 運用設計

以下の点に注意して、複製元/複製先のディスクグループを設計します。

7.9.2.2 事前準備

7.9.2.2.1 ディスクグループ構成情報ファイルの確認

レプリケーションの後処理では、ディスクグループを再構成する必要があります。ディスクグループの再構成に必要な構成情報ファイルが退避されていることを確認してください。

/etc/vx/cbr/bk/<ディスクグループ名>.<ディスクグループID>
7.9.2.2.2 複製元/複製先ボリュームの設定

複製元/複製先ボリュームを設定する際は、ディスクグループ内のすべての物理ディスクを設定します。

[複製元/複製先ボリュームの設定例]

# /opt/FJSVswsrp/bin/swsrpsetvol /dev/vx/dmp/c1t0d10s2 /dev/vx/dmp/c1t0d20s2
swsrpsetvol completed
# /opt/FJSVswsrp/bin/swsrpsetvol /dev/vx/dmp/c1t0d11s2 /dev/vx/dmp/c1t0d21s2
swsrpsetvol completed
#

7.9.2.3 レプリケーションの実行

ディスクグループ内のすべての物理ディスクで、同期をとって操作します。

必要な前後処理は、レプリケーションの操作を行う前後にディスクグループ単位で実施し、各物理ディスクを操作する際は、前後処理が動作しないようにします。

[スナップショット型レプリケーションの例]

(複写元/複写先に対する前処理を行う)

# /opt/FJSVswsrp/bin/swsrpmake -f -t /dev/vx/dmp/c1t0d10s2 /dev/vx/dmp/c1t0d20s2
FROM=/dev/vx/dmp/c1t0d10s2@SV1, TO=/dev/vx/dmp/c1t0d20s2@SV1 swsrpmake completed
# /opt/FJSVswsrp/bin/swsrpmake -f -t /dev/vx/dmp/c1t0d11s2 /dev/vx/dmp/c1t0d21s2
FROM=/dev/vx/dmp/c1t0d11s2@SV1, TO=/dev/vx/dmp/c1t0d21s2@SV1 swsrpmake completed
#

(複写元/複写先に対する後処理を行う)

[同期型レプリケーションの例]

(複写先に対する前処理を行う)

# /opt/FJSVswsrp/bin/swsrpstartsync -t /dev/vx/dmp/c1t0d10s2 /dev/vx/dmp/c1t0d20s2
FROM=/dev/vx/dmp/c1t0d10s2@SV1, TO=/dev/vx/dmp/c1t0d20s2@SV1 swsrpstartsync completed
# /opt/FJSVswsrp/bin/swsrpstartsync -t /dev/vx/dmp/c1t0d11s2 /dev/vx/dmp/c1t0d21s2
FROM=/dev/vx/dmp/c1t0d11s2@SV1, TO=/dev/vx/dmp/c1t0d21s2@SV1 swsrpstartsync completed

(等価性維持状態後)

(複写元に対する前処理を行う)

# /opt/FJSVswsrp/bin/swsrpmake -f -t /dev/vx/dmp/c1t0d10s2 /dev/vx/dmp/c1t0d20s2
FROM=/dev/vx/dmp/c1t0d10s2@SV1, TO=/dev/vx/dmp/c1t0d20s2@SV1 swsrpmake completed
# /opt/FJSVswsrp/bin/swsrpmake -f -t /dev/vx/dmp/c1t0d11s2 /dev/vx/dmp/c1t0d21s2
FROM=/dev/vx/dmp/c1t0d11s2@SV1, TO=/dev/vx/dmp/c1t0d21s2@SV1 swsrpmake completed
#

(複写元/複写先に対する後処理を行う)

レプリケーションの前後で実施する前後処理は、以下のとおりです。

レプリケーションの前後処理

表7.7 通常(非クラスタ)運用の場合

種別

前処理

後処理

複写元

  1. ディスクグループ内のすべての論理ボリュームへのアクセスを停止し、データの整合性を確保します。

  2. ファイルシステムが含まれる場合、ディスクグループ内のすべてのファイルシステムをアンマウントします。

  3. サーバ内レプリケーションで、ディスクグループがimportされていない場合、ディスクグループをimportします。

ファイルシステムが含まれる場合、前処理でアンマウントしたボリュームをマウントします。

複写先

  1. ディスクグループ内のすべての論理ボリュームへのアクセスを停止します。

  2. ファイルシステムが含まれる場合、ディスクグループ内のすべてのファイルシステムをアンマウントします。

  3. ディスクグループをdeportします。

  4. ディスクグループ配下の物理ディスクをofflineにします。

  1. 前処理でofflineにした物理ディスクをonlineにします。

  2. ディスクグループを再構成します。

  3. ファイルシステムが含まれる場合、前処理でアンマウントしたボリュームをマウントします。

表7.8 クラスタ運用の場合

種別

前処理

後処理

複写元

  1. ディスクグループ内のすべての論理ボリュームへのアクセスを停止し、データの整合性を確保します。

  2. ファイルシステムが含まれる場合、ディスクグループ内のすべてのファイルシステムをアンマウントします。

  3. クラスタシステムのリソースとしてのディスクグループの登録状態によって、以下の作業を実施します。

    • 登録していない場合
      サーバ内レプリケーションで、ディスクグループがimportされていないときは、ディスクグループをimportします。

    • 登録している場合
      サーバ内レプリケーションで、ディスクグループリソースがonlineになっていないときは、ディスクグループリソースをonlineにします。

ファイルシステムが含まれる場合、前処理でアンマウントしたボリュームをマウントします。

複写先

  • VERITAS Cluster Server以外、またはVERITAS Cluster Server 6.0より前のバージョンを使用している場合

  1. ディスクグループ内のすべての論理ボリュームへのアクセスを停止します。

  2. ファイルシステムが含まれる場合、ディスクグループ内のすべてのファイルシステムをアンマウントします。

  3. クラスタシステムのリソースとしてのディスクグループの登録状態によって、以下の作業を実施します。

    • 登録していない場合
      ディスクグループをdeportします。

    • 登録している場合
      ディスクグループリソースをofflineにします。

  4. ディスクグループ配下の物理ディスクをofflineにします。

  • VERITAS Cluster Server以外、またはVERITAS Cluster Server 6.0より前のバージョンを使用している場合

  1. 前処理でofflineにした物理ディスクをonlineにします。

  2. ディスクグループを再構成します。

  3. ファイルシステムが含まれる場合、前処理でアンマウントしたボリュームをマウントします。

  • VERITAS Cluster Server 6.0以降を使用している場合

  1. ディスクグループ内のすべての論理ボリュームへのアクセスを停止します。

  2. クラスタシステムのリソースとしてのマウントポイントの登録状態によって、ディスクグループ内のすべてのファイルシステムに対して、以下の作業を実施します。

    • 登録していない場合
      ファイルシステムをアンマウントします。

    • 登録している場合
      ファイルシステムをアンマウントする代わりに、マウントリソースをofflineにしたあと、マウントリソースのEnabled属性をoffに設定します。

  3. クラスタシステムのリソースとしてのボリュームの登録状態によって、以下の作業を実施します。

    • 登録していない場合
      ボリュームを停止します。

    • 登録している場合
      ボリュームを停止するときは、ボリュームリソースをofflineにしたあと、ボリュームリソースのEnabled属性をoffに設定します。

  4. クラスタシステムのリソースとしてのディスクグループの登録状態によって、以下の作業を実施します。

    • 登録していない場合
      ディスクグループをdeportします。

    • 登録している場合
      ディスクグループをdeportする代わりに、ディスクグループリソースをofflineにしたあと、ディスクグループリソースのEnabled属性をoffに設定します。

  5. ディスクグループ配下の物理ディスクをofflineにします。

  • VERITAS Cluster Server 6.0以降を使用している場合

  1. 前処理でofflineにした物理ディスクをonlineにします。

  2. ディスクグループを再構成します。

  3. ディスクグループをdeportします。

  4. クラスタシステムのリソースとしてのディスクグループの登録状態によって、以下の作業を実施します。

    • 登録していない場合
      ディスクグループをimportします。

    • 登録している場合
      ディスクグループをimportする代わりに、ディスクグループリソースのEnabled属性をonに設定後、ディスクグループリソースをonlineにします。

  5. クラスタシステムのリソースとしてのボリュームの登録状態によって、以下の作業を実施します。

    • 登録していない場合
      ボリュームを起動します。

    • 登録している場合
      ボリュームを起動するときは、ボリュームリソースのEnabled属性をonに設定後、ボリュームリソースをonlineにします。

  6. クラスタシステムのリソースとしてのマウントポイントの登録状態によって、以下の作業を実施します。

    • 登録していない場合
      ファイルシステムが含まれるときは、前処理でアンマウントしたボリュームをマウントします。

    • 登録している場合
      ファイルシステムをマウントする代わりに、マウントリソースのEnabled属性をonに設定後、マウントリソースをonlineにします。

ディスクグループの再構成(サーバ内レプリケーションの場合)

ディスクグループを再構成する手順は、以下のとおりです。

  1. リストアのプリコミット分析

    # /etc/vx/bin/vxconfigrestore -p dstdg
    Diskgroup dstdg configuration restoration started ......
    
    Installing volume manager disk header for c1t0d20s2 ...
    Installing volume manager disk header for c1t0d21s2 ...
    -
    dstdg's diskgroup configuration is restored (in precommit state).
    Diskgroup can be accessed in read only and can be examined using
    vxprint in this state.
    
    Run:
      vxconfigrestore -c dstdg ==> to commit the restoration.
      vxconfigrestore -d dstdg ==> to abort the restoration.
    #
  2. コピー先のディスクグループ構成のリストアに必要な変更をコミットする。

    # /etc/vx/bin/vxconfigrestore -c dstdg
    Committing configuration restoration for diskgroup dstdg ....
    
    dstdg's diskgroup configuration restoration is committed.
    #

ディスクグループの再構成(サーバ間レプリケーションの場合)

  1. 複製元サーバのディスクグループsrcdgを、複製先サーバのディスクグループdstdgとしてインポートします。

    # /usr/sbin/vxdg -C -n dstdg import srcdg
    #

    注意

    複写元サーバのディスクグループ名と複写先サーバのディスクグループ名が同じである場合には、-nオプションは指定しません。

  2. 複製先サーバのディスクグループdstdg内のボリュームに対し、リカバリー処理を実施します。

    # vxrecover -g dstdg -sb
    #
  3. VxVM5.0以降の場合、複写先ディスクのudidが不整合となっているため、これを復旧します。

    # vxdisk updateudid c1t0d20s2 c1t0d21s2
    #

注意

  • システムでディスク交換などが行われている場合、1つのディスクグループについて競合する構成情報バックアップが複数存在する場合があります。
    その際は、ディスクグループの代わりに、上記コマンド実行後に表示されるディスクグループIDを指定して実行してください。

  • この操作のあと、ディスクグループ内のボリュームがバックグラウンドで同期されるため、ボリュームの構成によっては同期処理に時間がかかる場合があります。なお、その場合でもボリュームを使用できます。