VxVMボリュームをバックアップ対象とする場合に、VxVMの論理ボリュームが存在する物理スライス単位にバックアップを行います。
注意
通常ボリュームの基本的運用を理解した上でご利用ください。
サポート可能なVxVMのボリューム構成は、「1.4 AdvancedCopy Managerにおけるサポートデバイスについて」を参照してください。
VxVMの論理ボリュームのバックアップボリュームとして、以下の2種類のボリュームを利用可能です。
VxVMの論理ボリューム
通常デバイス(スライス)
しかし、バックアップボリュームをマウントする場合やほかのアプリケーションから使用する場合を考えて、バックアップボリュームは、業務ボリュームと同一のボリューム構成をもつVxVMの論理ボリュームにしてください。
ボリューム構成が同一とは、以下の条件が満たされていることを指します。
物理ディスク(LU)のサイズが同一である。
専有領域のサイズが同一である。
共有領域のサイズが同一である。
共有領域内の各サブディスクの開始オフセット、サイズが一致する。
論理ボリュームとサブディスクの対応関係が一致する。
図3.13 業務ボリュームとバックアップボリュームの対応例(1)
図3.14 業務ボリュームとバックアップボリュームの対応例(2)
注意
バックアップボリュームのサイズが共有領域のサイズと同一であれば、VxVMボリュームのバックアップボリュームを通常デバイス(スライス)にすることが可能です。しかし、バックアップボリュームをマウントすること、および、他アプリケーションから使用することは一般的にできません。
同様に、通常デバイス(スライス)のバックアップボリュームをVxVMボリュームにすることも可能ですが、バックアップボリュームをマウントすること、および、他アプリケーションから使用することは一般的にできません。
論理ボリューム:VMディスク=N:1(N>1)の関係を満たすVxVMの論理ボリュームの場合、業務ボリュームまたはバックアップボリュームを登録するときは、それぞれのVMディスクに含まれる論理ボリューム名の1つを使用して登録します。
例として、以下のボリューム構成をもつ業務ボリューム、バックアップボリュームを考えます。
図3.15 ボリュームの構成例
VMディスクdisk01(業務ボリューム)にはtranvol01、tranvol02、tranvol03の論理ボリュームが、VMディスクdisk02(バックアップボリューム)にはbackvol01、backvol02、backvol03までの論理ボリュームがあります。
VMディスクdisk01とdisk02のスライスサイズは同一です。また、VMディスクdisk01とdisk02のサブディスク構成は同一です。サブディスク構成は"vxprint -AGts"で確認できます。
この場合、論理ボリューム名tranvol01、backvol01を使用してデバイス情報を設定します。
# /opt/FJSVswsts/bin/swstdevinfoset -t /dev/vx/dsk/AGT01/tranvol01 swstdevinfoset completed # /opt/FJSVswsts/bin/swstdevinfoset -b /dev/vx/dsk/AGT01/backvol01 swstdevinfoset completed |
デバイス情報設定コマンドに指定する論理ボリューム名は、バックアップ処理の対象となるVMディスク(スライス)を指定するために用いられます。したがって、上の例において、tranvol01の代わりにtranvol02、tranvol03を指定できます。backvol01についても同様です。
しかし、tranvol01、backvol01が登録済みの場合は、ほかのボリューム(tranvol02、tranvol03、backvol02、backvo03)を登録できません。
論理ボリューム:VMディスク=N:1(N>1)の関係を満たすVxVMの論理ボリュームの場合、かつ、運用上の理由により、ファイルシステムが構築された業務ボリュームのアンマウント/マウント処理を回避したい場合は、業務ボリュームのアンマウント処理が行われないように、バックアップ前処理スクリプト(OpcBackup.pre)をカスタマイズしてください。
バックアップ前処理スクリプト(OpcBackup.pre)のアンマウント処理(umount)を実施する前に、以下に示すようなVxVM論理ボリュームのマウントポイント変数をクリアする処理を追加してください。
例
カスタマイズ例
79: exit 0 80: fi 81: post_file="/etc/opt/FJSVswsts"$swstg_node"/data/DEFAULT/"$dev".pre" 82: fstype_file="/etc/opt/FJSVswsts"$swstg_node"/data/DEFAULT/"$dev".fstype" 83: bd_file="/etc/opt/FJSVswsts"$swstg_node"/data/DEFAULT/"$dev".bd" 84: if [ "$device" = "/dev/vx/dsk/AGT01/tranvol01" ] then mount_point="" fi 85: if [ "$mount_point" != "" ] 86: then 87: 88: # When device cannot be unmounted 89: # 90: # if [ "$device" = "/dev/dsk/c*t*d*s*" ] |
VxVMボリュームのバックアップ運用では、業務ボリュームと同一のボリューム構成をもつバックアップボリュームを指定する必要があるため、デバイスマップファイルの作成が必要です。
[デバイスマップファイルの例]
# 業務ボリューム名 出力先バックアップボリューム名 /dev/vx/dsk/AGT01/tranvol01 /dev/vx/dsk/AGT01/backvol01 |
デバイスマップファイルの詳細は、「3.4.9 デバイスマップファイルの準備」を参照してください。
論理ボリューム:VMディスク=N:1(N>1)の関係を満たすVxVMの論理ボリュームの場合、前後処理スクリプトで業務ボリュームのアンマウント/マウントを実施できません。このような構成の場合は、バックアップの前に、あらかじめファイルシステムをアンマウントし、バックアップ後にファイルシステムをマウントしてください。
なお、論理ボリューム:VMディスク=1:1の関係を満たすVxVMの論理ボリュームの場合は、通常のスライスと同様に業務ボリュームがアンマウント/マウントされるため、以下に示す手順は不要です。
[スナップショット型バックアップの手順]
# umount /global/AGT01/tranvol01 ←tranvol01のアンマウント # umount /global/AGT01/tranvol02 ←tranvol02のアンマウント # umount /global/AGT01/tranvol03 ←tranvol03のアンマウント # /opt/FJSVswsts/bin/swstbackup /dev/vx/dsk/AGT01/tranvol01 -Xdevmap /acm/devmap.txt /dev/vx/dsk/AGT01/tranvol01 swstbackup completed # mount -F ufs /dev/vx/dsk/AGT01/tranvol01 /global/AGT01/tranvol01 ←tranvol01のマウント # mount -F ufs /dev/vx/dsk/AGT01/tranvol02 /global/AGT01/tranvol02 ←tranvol02のマウント # mount -F ufs /dev/vx/dsk/AGT01/tranvol03 /global/AGT01/tranvol03 ←tranvol03のマウント |
また、運用上の理由により、業務ボリュームのアンマウント/マウント処理を回避したい場合は、事前に「3.9.1.2.2 前後処理スクリプトのカスタマイズ」を行ったうえで、以下の手順でバックアップする必要があります。
[スナップショット型バックアップの手順(業務ボリュームのアンマウント/マウント処理を回避する場合)]
# lockfs -w /global/AGT01/tranvol01 ←tranvol01のファイルシステムロック # lockfs -w /global/AGT01/tranvol02 ←tranvol02のファイルシステムロック # lockfs -w /global/AGT01/tranvol03 ←tranvol03のファイルシステムロック # /opt/FJSVswsts/bin/swstbackup /dev/vx/dsk/AGT01/tranvol01 -Xdevmap /acm/devmap.txt /dev/vx/dsk/AGT01/tranvol01 swstbackup completed # lockfs -u /global/AGT01/tranvol01 ←tranvol01のファイルシステムロック解除 # lockfs -u /global/AGT01/tranvol02 ←tranvol02のファイルシステムロック解除 # lockfs -u /global/AGT01/tranvol03 ←tranvol03のファイルシステムロック解除 # fsck -n -F ufs /dev/vx/dsk/AGT01/backvol01 ←backvol01のfsck処理 # fsck -n -F ufs /dev/vx/dsk/AGT01/backvol02 ←backvol02のfsck処理 # fsck -n -F ufs /dev/vx/dsk/AGT01/backvol03 ←backvol03のfsck処理 |
注意
lockfs -wを使用してファイルシステムのキャッシュのフラッシュと、そのあとの更新抑止を行った場合でも、Write Open中のファイル(オンラインバックアップをサポートしているOracleのデータベーススペースを除きます)は、ファイル内容の保証はされません。
また、メタデータ更新中のプロセスがある場合は、lockfsの仕様上、ファイルシステム自体のデータ整合性も保証されません。
そこで、バックアップ後にfsck処理を行い、バックアップデータの整合性を確認することが必要です。
なお、fsck処理において以下のメッセージを出力されることがありますが、ファイルシステムの整合性に問題はないため、fsck -yを実行して修復してください。
FILE SYSTEM STATE IN SUPERBLOCK IS WRONG; FIX? |
論理ボリューム:VMディスク=N:1(N>1)の関係を満たすVxVMの論理ボリュームの場合、前後処理スクリプトで業務ボリュームのアンマウント/マウントを実施できません。このような構成の場合は、リストアの前にあらかじめファイルシステムをアンマウントし、リストア後にファイルシステムをマウントしてください。
なお、論理ボリューム:VMディスク=1:1の関係を満たすVxVMの論理ボリュームの場合は、通常のスライスと同様に業務ボリュームがアンマウント/マウントされるため、以下に示す手順は不要です。
[リストアの手順]
# umount /global/AGT01/tranvol01 ←tranvol01のアンマウント # umount /global/AGT01/tranvol02 ←tranvol02のアンマウント # umount /global/AGT01/tranvol03 ←tranvol03のアンマウント # /opt/FJSVswsts/bin/swstrestore /dev/vx/dsk/AGT01/tranvol01 /dev/vx/dsk/AGT01/tranvol01 swstrestore completed # mount -F ufs /dev/vx/dsk/AGT01/tranvol01 /global/AGT01/tranvol01 ←tranvol01のマウント # mount -F ufs /dev/vx/dsk/AGT01/tranvol01 /global/AGT01/tranvol02 ←tranvol02のマウント # mount -F ufs /dev/vx/dsk/AGT01/tranvol01 /global/AGT01/tranvol03 ←tranvol03のマウント |
バックアップ運用中にボリューム構成を変更する場合は、以下の手順でボリューム構成変更を実施してください。
「9.2.2.7 swsthistdel(履歴情報削除コマンド)」の-zオプションを指定して、すべての履歴情報を削除してください。
「9.2.1.7 swstbkpoldel(バックアップポリシー削除コマンド)」でバックアップポリシーを削除してください。
「9.2.1.3 swstdevinfoset(デバイス情報設定コマンド)」の-oオプションを指定して、業務ボリュームを登録から削除してください。バックアップボリュームもVxVMのボリュームの場合は、「9.2.1.3 swstdevinfoset(デバイス情報設定コマンド)」の-oオプションを指定して、バックアップボリュームも登録から削除してください。
業務ボリュームのボリューム構成を変更します。バックアップボリュームもVxVMのボリュームの場合は、バックアップボリュームのボリューム構成も業務ボリュームと同一になるように変更します。
Webコンソールで、「全デバイスの情報取得/反映」を行います。
「9.2.1.3 swstdevinfoset(デバイス情報設定コマンド)」で、業務ボリューム、バックアップボリュームを再登録します。
「9.2.1.5 swstbkpolset(バックアップポリシー設定コマンド)」でバックアップポリシーを設定します。
バックアップ運用を再開します。