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ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 16.0 運用ガイド
FUJITSU Storage

3.9.1 論理ボリュームが存在する物理スライス単位のバックアップ運用

VxVMボリュームをバックアップ対象とする場合に、VxVMの論理ボリュームが存在する物理スライス単位にバックアップを行います。

注意

通常ボリュームの基本的運用を理解した上でご利用ください。

3.9.1.1 運用設計

3.9.1.1.1 サポート可能なVxVMのボリューム構成

サポート可能なVxVMのボリューム構成は、「1.4 AdvancedCopy Managerにおけるサポートデバイスについて」を参照してください。

3.9.1.1.2 バックアップボリュームの準備

VxVMの論理ボリュームのバックアップボリュームとして、以下の2種類のボリュームを利用可能です。

しかし、バックアップボリュームをマウントする場合やほかのアプリケーションから使用する場合を考えて、バックアップボリュームは、業務ボリュームと同一のボリューム構成をもつVxVMの論理ボリュームにしてください。

ボリューム構成が同一とは、以下の条件が満たされていることを指します。

注意

バックアップボリュームのサイズが共有領域のサイズと同一であれば、VxVMボリュームのバックアップボリュームを通常デバイス(スライス)にすることが可能です。しかし、バックアップボリュームをマウントすること、および、他アプリケーションから使用することは一般的にできません。

同様に、通常デバイス(スライス)のバックアップボリュームをVxVMボリュームにすることも可能ですが、バックアップボリュームをマウントすること、および、他アプリケーションから使用することは一般的にできません。

3.9.1.2 事前準備

3.9.1.2.1 デバイスの運用種別設定

論理ボリューム:VMディスク=N:1(N>1)の関係を満たすVxVMの論理ボリュームの場合、業務ボリュームまたはバックアップボリュームを登録するときは、それぞれのVMディスクに含まれる論理ボリューム名の1つを使用して登録します。

例として、以下のボリューム構成をもつ業務ボリューム、バックアップボリュームを考えます。

図3.15 ボリュームの構成例

この場合、論理ボリューム名tranvol01、backvol01を使用してデバイス情報を設定します。

# /opt/FJSVswsts/bin/swstdevinfoset -t /dev/vx/dsk/AGT01/tranvol01
swstdevinfoset completed
# /opt/FJSVswsts/bin/swstdevinfoset -b /dev/vx/dsk/AGT01/backvol01
swstdevinfoset completed

デバイス情報設定コマンドに指定する論理ボリューム名は、バックアップ処理の対象となるVMディスク(スライス)を指定するために用いられます。したがって、上の例において、tranvol01の代わりにtranvol02、tranvol03を指定できます。backvol01についても同様です。
しかし、tranvol01、backvol01が登録済みの場合は、ほかのボリューム(tranvol02、tranvol03、backvol02、backvo03)を登録できません。

3.9.1.2.2 前後処理スクリプトのカスタマイズ

論理ボリューム:VMディスク=N:1(N>1)の関係を満たすVxVMの論理ボリュームの場合、かつ、運用上の理由により、ファイルシステムが構築された業務ボリュームのアンマウント/マウント処理を回避したい場合は、業務ボリュームのアンマウント処理が行われないように、バックアップ前処理スクリプト(OpcBackup.pre)をカスタマイズしてください。

バックアップ前処理スクリプト(OpcBackup.pre)のアンマウント処理(umount)を実施する前に、以下に示すようなVxVM論理ボリュームのマウントポイント変数をクリアする処理を追加してください。

カスタマイズ例

79:   exit 0
80:  fi
81:  post_file="/etc/opt/FJSVswsts"$swstg_node"/data/DEFAULT/"$dev".pre"
82:  fstype_file="/etc/opt/FJSVswsts"$swstg_node"/data/DEFAULT/"$dev".fstype"
83:  bd_file="/etc/opt/FJSVswsts"$swstg_node"/data/DEFAULT/"$dev".bd"
84:  
      if [ "$device" = "/dev/vx/dsk/AGT01/tranvol01" ]
      then
          mount_point=""
      fi
85:  if [ "$mount_point" != "" ]
86:  then
87:  
88:  # When device cannot be unmounted
89:  #
90:  # if [ "$device" = "/dev/dsk/c*t*d*s*" ]
3.9.1.2.3 デバイスマップファイルの準備

VxVMボリュームのバックアップ運用では、業務ボリュームと同一のボリューム構成をもつバックアップボリュームを指定する必要があるため、デバイスマップファイルの作成が必要です。

[デバイスマップファイルの例]

# 業務ボリューム名             出力先バックアップボリューム名
/dev/vx/dsk/AGT01/tranvol01    /dev/vx/dsk/AGT01/backvol01

デバイスマップファイルの詳細は、「3.4.9 デバイスマップファイルの準備」を参照してください。

3.9.1.3 運用

3.9.1.3.1 バックアップの実行

論理ボリューム:VMディスク=N:1(N>1)の関係を満たすVxVMの論理ボリュームの場合、前後処理スクリプトで業務ボリュームのアンマウント/マウントを実施できません。このような構成の場合は、バックアップの前に、あらかじめファイルシステムをアンマウントし、バックアップ後にファイルシステムをマウントしてください。

なお、論理ボリューム:VMディスク=1:1の関係を満たすVxVMの論理ボリュームの場合は、通常のスライスと同様に業務ボリュームがアンマウント/マウントされるため、以下に示す手順は不要です。

[スナップショット型バックアップの手順]

# umount /global/AGT01/tranvol01 ←tranvol01のアンマウント
# umount /global/AGT01/tranvol02 ←tranvol02のアンマウント
# umount /global/AGT01/tranvol03 ←tranvol03のアンマウント
# /opt/FJSVswsts/bin/swstbackup /dev/vx/dsk/AGT01/tranvol01 -Xdevmap /acm/devmap.txt
/dev/vx/dsk/AGT01/tranvol01 swstbackup completed
# mount -F ufs /dev/vx/dsk/AGT01/tranvol01 /global/AGT01/tranvol01 ←tranvol01のマウント
# mount -F ufs /dev/vx/dsk/AGT01/tranvol02 /global/AGT01/tranvol02 ←tranvol02のマウント
# mount -F ufs /dev/vx/dsk/AGT01/tranvol03 /global/AGT01/tranvol03 ←tranvol03のマウント

また、運用上の理由により、業務ボリュームのアンマウント/マウント処理を回避したい場合は、事前に「3.9.1.2.2 前後処理スクリプトのカスタマイズ」を行ったうえで、以下の手順でバックアップする必要があります。

[スナップショット型バックアップの手順(業務ボリュームのアンマウント/マウント処理を回避する場合)]

# lockfs -w /global/AGT01/tranvol01 ←tranvol01のファイルシステムロック
# lockfs -w /global/AGT01/tranvol02 ←tranvol02のファイルシステムロック
# lockfs -w /global/AGT01/tranvol03 ←tranvol03のファイルシステムロック
# /opt/FJSVswsts/bin/swstbackup /dev/vx/dsk/AGT01/tranvol01 -Xdevmap /acm/devmap.txt
/dev/vx/dsk/AGT01/tranvol01 swstbackup completed
# lockfs -u /global/AGT01/tranvol01 ←tranvol01のファイルシステムロック解除
# lockfs -u /global/AGT01/tranvol02 ←tranvol02のファイルシステムロック解除
# lockfs -u /global/AGT01/tranvol03 ←tranvol03のファイルシステムロック解除
# fsck -n -F ufs /dev/vx/dsk/AGT01/backvol01 ←backvol01のfsck処理
# fsck -n -F ufs /dev/vx/dsk/AGT01/backvol02 ←backvol02のfsck処理
# fsck -n -F ufs /dev/vx/dsk/AGT01/backvol03 ←backvol03のfsck処理

注意

lockfs -wを使用してファイルシステムのキャッシュのフラッシュと、そのあとの更新抑止を行った場合でも、Write Open中のファイル(オンラインバックアップをサポートしているOracleのデータベーススペースを除きます)は、ファイル内容の保証はされません。
また、メタデータ更新中のプロセスがある場合は、lockfsの仕様上、ファイルシステム自体のデータ整合性も保証されません。
そこで、バックアップ後にfsck処理を行い、バックアップデータの整合性を確認することが必要です。
なお、fsck処理において以下のメッセージを出力されることがありますが、ファイルシステムの整合性に問題はないため、fsck -yを実行して修復してください。

FILE SYSTEM STATE IN SUPERBLOCK IS WRONG; FIX?
3.9.1.3.2 リストアの実行

論理ボリューム:VMディスク=N:1(N>1)の関係を満たすVxVMの論理ボリュームの場合、前後処理スクリプトで業務ボリュームのアンマウント/マウントを実施できません。このような構成の場合は、リストアの前にあらかじめファイルシステムをアンマウントし、リストア後にファイルシステムをマウントしてください。

なお、論理ボリューム:VMディスク=1:1の関係を満たすVxVMの論理ボリュームの場合は、通常のスライスと同様に業務ボリュームがアンマウント/マウントされるため、以下に示す手順は不要です。

[リストアの手順]

# umount /global/AGT01/tranvol01 ←tranvol01のアンマウント
# umount /global/AGT01/tranvol02 ←tranvol02のアンマウント
# umount /global/AGT01/tranvol03 ←tranvol03のアンマウント
# /opt/FJSVswsts/bin/swstrestore /dev/vx/dsk/AGT01/tranvol01
/dev/vx/dsk/AGT01/tranvol01 swstrestore completed
# mount -F ufs /dev/vx/dsk/AGT01/tranvol01 /global/AGT01/tranvol01 ←tranvol01のマウント
# mount -F ufs /dev/vx/dsk/AGT01/tranvol01 /global/AGT01/tranvol02 ←tranvol02のマウント
# mount -F ufs /dev/vx/dsk/AGT01/tranvol01 /global/AGT01/tranvol03 ←tranvol03のマウント

3.9.1.4 設定情報の変更

バックアップ運用中にボリューム構成を変更する場合は、以下の手順でボリューム構成変更を実施してください。

  1. 9.2.2.7 swsthistdel(履歴情報削除コマンド)」の-zオプションを指定して、すべての履歴情報を削除してください。

  2. 9.2.1.7 swstbkpoldel(バックアップポリシー削除コマンド)」でバックアップポリシーを削除してください。

  3. 9.2.1.3 swstdevinfoset(デバイス情報設定コマンド)」の-oオプションを指定して、業務ボリュームを登録から削除してください。バックアップボリュームもVxVMのボリュームの場合は、「9.2.1.3 swstdevinfoset(デバイス情報設定コマンド)」の-oオプションを指定して、バックアップボリュームも登録から削除してください。

  4. 業務ボリュームのボリューム構成を変更します。バックアップボリュームもVxVMのボリュームの場合は、バックアップボリュームのボリューム構成も業務ボリュームと同一になるように変更します。

  5. Webコンソールで、「全デバイスの情報取得/反映」を行います。

  6. 9.2.1.3 swstdevinfoset(デバイス情報設定コマンド)」で、業務ボリューム、バックアップボリュームを再登録します。

  7. 9.2.1.5 swstbkpolset(バックアップポリシー設定コマンド)」でバックアップポリシーを設定します。

  8. バックアップ運用を再開します。