ASM を PRIMECLUSTER 上で使用する場合は、スタンバイ運用での使用が可能です。
スタンバイ運用
ASM インスタンスを PRIMECLUSTER RMS にリソース登録してください。
リソース登録された ASM インスタンスは、起動・停止制御のみが行われ監視は行われません。ASM インスタンスに異常が発生した場合でも、Oracle インスタンスリソースで異常を検出しますので、userApplication の切替えが発生し、業務を継続できます。
環境構築時の注意事項については、Oracle 11g R1 の場合は “2.3.2.1 環境構築時の注意(Oracle 11g R1の場合)”、Oracle 11g R2 の場合は “2.3.2.2 環境構築時の注意(Oracle 11g R2の場合)” を参照してください。
Oracle 11g R1のASMを使用する場合の注意事項は以下の通りです。
ASM インスタンスとデータベースの作成/設定
運用ノード
ASM インスタンスとデータベースの作成は運用ノード上からのみ行い、待機ノードでは、運用ノードから作成した共用ディスク上のデータベースを動作させる設定のみ行います。
注意
ASMインスタンス作成時、ASMインスタンス名の先頭に「+」がつくように設定してください。(デフォルトでは“+ASM”となります)
複数のASMインスタンスを作成する場合、ASMインスタンス名には異なるASMインスタンス名を設定してください。
1台のサーバーに複数のORACLE_HOMEを作成している場合(複数のOracleソフトウェアをインストールしている場合)、Oracleインスタンス名には異なるOracleインスタンス名を設定してください。
1つのuserApplication内でASMインスタンスとデータベースの関係が1:1もしくは、1:nになるように、ASMインスタンスとデータベースを作成してください。
ASMインスタンス:データベース = 1:1
ASMインスタンス:データベース = 1:n
下図は、ASMインスタンス:データベース = 1:2の例です。
相互待機やN:1運用待機で使用する場合、userApplicationごとにASMインスタンスとデータベースの関係が1:1もしくは、1:nになるよう、ASMインスタンスとデータベースを作成してください。
相互待機
下図は、ASMインスタンス:データベース = 1:1のuserApplicationを2つ作成した例です。
N:1運用待機
下図は、ASMインスタンス:データベース = 1:2のuserApplicationを2つ作成した例です。
参照
ASM インスタンス、データベースの作成は、Oracle のマニュアルを参照してください。
待機ノード
ASM インスタンス、データベースを作成した運用側と同一の構成になるように、ディレクトリの作成やファイルのコピー、リンクの設定を行ってください。
$ORACLE_HOME/dbs 配下
$ORACLE_BASE/admin/$ORACLE_SID 配下
$ORACLE_BASE/admin/<ASMインスタンス名> 配下
$ORACLE_BASE/diag/asm
上記で作成したディレクトリとファイルのアクセス権限を運用ノードと同一にしてください。
アーカイブ REDO ログ出力先などの設定を運用ノードで行った場合は、待機ノードでも同一の設定を行ってください。
CSS(Cluster Services Synchronization)デーモンの設定・起動を行ってください。運用側はデータベース作成時に設定・起動されますが、待機側は手動で設定・起動させておく必要があります。
注意
cloracpy コマンド(「4.4 cloracpy - Oracle 設定ツール(待機ノード用)」参照)を使って運用ノードの必要なファイルを tar 形式にバックアップする場合、ASM インスタンスの定義情報はバックアップされません。以下のファイルは tar などを用いて手動でコピーしてください。
$ORACLE_BASE/admin/<ASMインスタンス名> 配下
ASM 初期化パラメータの確認
ASM インスタンスの初期化パラメータ "ASM_DISKGROUPS" に、Oracle データベースを作成したディスクグループ名が設定されていることを確認してください。
参照
ASM インスタンスの初期化パラメータについては、Oracle のマニュアルを参照してください。
userApplicationの作成
userApplication作成時は、Oracleインスタンスリソースと同様にASMインスタンスリソースを作成してください。ASMインスタンスリソースと、そのASMインスタンスリソースに関連するOracleインスタンスリソースは、同じOracleリソースに登録してください。
参考
ASM インスタンスをリソース登録する場合の手順については、「2.2.7.1 Oracle リソースの作成と userApplication への登録」の手順“5”を参照してください。
ASM インスタンスリソースのフラグ設定値には、NullDetector 属性のみが自動設定されます。この値を変更することはできません。
Oracle 11g R2のASMを使用する場合の注意事項は以下のとおりです。
サポートする構成
Oracle 11g R2でASMを使用する場合はOracle Grid Infrastructureをインストールする必要があります。Oracle Grid Infrastructureをインストールする場合はOracle DatabaseのインストールユーザーとOracle Grid Infrastructureのインストールユーザーを分割する構成をサポートします。単一インストールユーザーの構成はサポートしません。
また、Oracle Database のインストールユーザーの ORACLE_BASE 環境変数と Oracle Grid Infrastructure のインストールユーザーの ORACLE_BASE 環境変数は、異なるディレクトリを指定してください。
Oracle Grid InfrastructureのインストールとASMインスタンス、データベースの作成
“付録C Oracle Grid InfrastructureのインストールとASMインスタンス、データベースの作成”を参照してOracle Grid InfrastructureのインストールとASMインスタンス、データベースの作成を行ってください。
注意
ASMインスタンス作成時、ASMインスタンス名の先頭に「+」がつくように設定してください。(デフォルトでは“+ASM”となります)
1台のサーバーに複数のORACLE_HOMEを作成している場合(複数のOracleソフトウェアをインストールしている場合)、Oracleインスタンス名には異なるOracleインスタンス名を設定してください。
1つのuserApplication内でASMインスタンスとデータベースの関係が1:1もしくは、1:nになるように、ASMインスタンスとデータベースを作成してください。
ASMインスタンス:データベース = 1:1
ASMインスタンス:データベース = 1:n
下図は、ASMインスタンス:データベース = 1:2の例です。
Oracle 11g R2のASMをスタンバイ運用で使用する場合は、以下の運用形態のみサポートします。
1:1運用待機
Oracle 11g R2のASMをスタンバイ運用で使用する場合は、以下の運用形態は未サポートです。
カスケード
相互待機
N:1運用待機
移動待機
N:M運用待機
PRIMECLUSTER Wizard for Oracleで、Oracle 11g R2のASMをスタンバイ運用で使用する場合、Oracleのサービスリソースは使用できません。
参照
ASM インスタンス、データベースの作成は、Oracle のマニュアルを参照してください。
Oracle Restartの設定変更
各ノードにて、以下のコマンドをGrid ユーザーで実行し、OS起動時にOracle RestartおよびCSS(Cluster Services Synchronization)デーモンが起動するように設定してください。また、Oracle RestartによるOracleインスタンス、リスナー、ASMの自動起動を無効にしてください。
コンポーネント | コマンド |
Oracle Restart | crsctl enable has |
CSS | crsctl modify resource ora.cssd -attr "AUTO_START=always" |
ASM | srvctl disable asm |
Oracle リスナー | srvctl disable listener [-l <listener_name>] |
Oracle インスタンス | srvctl disable database -d <db_unique_name> |
userApplicationの作成
userApplication作成時は、Oracleインスタンスリソースと同様にASMインスタンスリソースを作成してください。ASMインスタンスリソースと、そのASMインスタンスリソースに関連するOracleインスタンスリソースは、同じOracleリソースに登録してください。
参考
ASM インスタンスをリソース登録する場合の手順については、「2.2.7.1 Oracle リソースの作成と userApplication への登録」の手順“5”を参照してください。
ASM インスタンスリソースのフラグ設定値には、NullDetector 属性のみが自動設定されます。この値を変更することはできません。
注意
ASM インスタンスリソースとOracle リスナーリソースの"OracleUser"にはGrid ユーザーを、Oracle インスタンスリソースの"OracleUser"にはOracle ユーザーを設定してください。
ASMの起動前にCSSの待ち合わせをするため、ASM インスタンスリソースのPreOnlineScript に以下のスクリプトを設定してください。
/opt/FJSVclora/sbin/cloracsswait <Grid ユーザー名>
ASM インスタンスで使用するディスクグループは、手動でマウント操作 (mount/umount) をしないでください。ディスクグループがマウントされている場合は、ASM リソース活性化時に以下のメッセージがコンソールに出力される場合がありますが、特に対処する必要はありません。
ORA-15032: not all alterations performed
ORA-15017: diskgroup "ディスクグループ名" cannot be mounted
ORA-15030: diskgroup name "ディスクグループ名" is in use by another diskgroup