Symfowareのバックアップ運用について説明します。
バックアップ運用の前に、「4.1.4 事前準備」を参照して、バックアップ運用に必要な環境を設定してください。
AdvancedCopy Managerのバックアップの運用には、以下の2種類があります。
スナップショット型高速バックアップ運用
同期型高速バックアップ運用
Symfowareのスナップショット型高速バックアップは、業務ボリュームまたはロググループを指定して、「10.2.2.1 swstbackup(バックアップ実行コマンド)」を用いて行います。ロググループ指定でのバックアップでは、そのロググループに含まれるすべての業務ボリュームを一度にバックアップします。
以下に示す方法でバックアップできます。
バックアップ方法 | 説明 |
---|---|
通常ダンプ | アーカイブログ運用中(通常運用中)のデータベースをバックアップします。 |
参照ダンプ | 長期保存などの目的のためにアーカイブログ運用から切り離されたデータベースをバックアップします。 |
注意
業務ボリューム指定でバックアップする場合、マルチデータベーススペース(1つの実表やインデックスを、複数のデータベーススペースに割り付けた物理構造)を含む業務ボリュームの参照ダンプは指定できません。
参照ダンプでバックアップする場合、Symfowareのrdbrtrコマンドを用いて、バックアップする業務ボリューム内の全DSI(実表に対してその格納構造を表現するもの)に更新抑止を設定(データ書込み不可状態)する必要があります。
Webコンソールでは、業務ボリュームを個別に指定したバックアップができません。
Symfowareの同期型高速バックアップは、以下の手順で行います。
「10.2.2.8 swststartsync(バックアップ同期処理開始コマンド)」を用いて、業務ボリュームまたはロググループを指定し、バックアップ同期処理を開始します。ロググループを指定した場合、そのロググループに含まれる業務ボリュームすべてに対してバックアップ同期処理を実行します。
開始したバックアップ同期処理のキャンセルは、「10.2.2.9 swstcancelsync(バックアップ同期処理キャンセルコマンド)」で行います。
「10.2.2.10 swstsyncstat(バックアップ同期処理実行状況表示コマンド)」で、バックアップ同期処理中のバックアップボリュームが等価性維持状態にあることを確認します。ロググループを指定してバックアップ同期処理を行っている場合は、ロググループに含まれるすべての業務ボリュームのバックアップボリュームが等価性維持状態にあることを確認します。
業務ボリュームまたはロググループを指定し、「10.2.2.1 swstbackup(バックアップ実行コマンド)」を実行してバックアップを採取します。「10.2.2.1 swstbackup(バックアップ実行コマンド)」では、次に挙げる方法でバックアップできます。「10.2.2.1 swstbackup(バックアップ実行コマンド)」を実行すると、その時点の状態がバックアップ履歴情報に登録され、バックアップ同期処理は停止されます。
バックアップ方法 | 説明 |
---|---|
通常ダンプ | アーカイブログ運用中(通常運用中)のデータベースをバックアップします。 |
参照ダンプ | 長期保存などの目的のためにアーカイブログ運用から切り離されたデータベースをバックアップします。 |
注意
業務ボリューム指定でバックアップする場合は、マルチデータベーススペース(1つの実表やインデックスを、複数のデータベーススペースに割り付けた物理構造)を含む業務ボリュームの参照ダンプは指定できません。
参照ダンプでバックアップする場合、Symfowareのrdbrtrコマンドを用いて、バックアップする業務ボリューム内の全DSI(実表に対してその格納構造を表現するもの)に更新抑止を設定(データ書込み不可状態)する必要があります。
業務ボリュームとバックアップボリュームが等価状態になる前は、「10.2.2.1 swstbackup(バックアップ実行コマンド)」を実行してもエラーになります。
Webコンソールでは、業務ボリュームを個別に指定したバックアップができません。
ポイント
同期型高速バックアップでは、同期処理を停止または一時停止(サスペンド)することでバックアップが作成されます。「10.2.2.1 swstbackup(バックアップ実行コマンド)」をサスペンド指定で実行すると、Suspend/Resume機能により、同期処理を一時停止(サスペンド)してバックアップを行います。Suspend/Resume機能の詳細は、「第5章 Suspend/Resume機能によるバックアップ運用」を参照してください。
スナップショット型高速バックアップおよび同期型高速バックアップで退避したデータの復元は、「10.2.2.3 swstrestore(リストア実行コマンド)」で行います。
Symfowareのリカバリーは、業務ボリュームまたはロググループを指定して、「10.2.2.1 swstbackup(バックアップ実行コマンド)」でバックアップされた履歴管理されているバックアップボリュームから、「10.2.2.3 swstrestore(リストア実行コマンド)」を用いて行います。
注意
ロググループを指定してリカバリーする場合、ロググループに含まれる業務ボリュームを一度にリカバリーします。
-bundleオプションを使用して同一ロググループの複数の業務ボリュームを一括してリカバリーすることも可能です。これを、バンドル・リカバリーと呼びます。
RAIDグループ内に複数のデータベーススペースが配置されている場合、これらのデータベーススペースを一括してリカバリーすることにより、ログ適用にかかる時間が短縮され、リカバリー時間が短縮されます。
リカバリーは、以下の方法で実行できます。
最新状態への復旧
リカバリ終了点を指定した特定時点への復旧 (「10.2.2.3 swstrestore(リストア実行コマンド)」に-eオプションを指定して実行)
バックアップ時点への復旧 (「10.2.2.3 swstrestore(リストア実行コマンド)」に-aオプションを指定して実行)
リカバリーするデータのバックアップ方法(通常ダンプ/参照ダンプ)によって、指定できるリカバリー方法が異なります。以下の組合せで指定できます。
バックアップ方法 | リカバリー単位 | リカバリー方法 | ||
---|---|---|---|---|
最新状態への復旧 | リカバリ終了点を指定した特定時点への復旧(注) | バックアップ時点への復旧 | ||
通常ダンプ | ロググループ | ○ | ○ | ○ |
同一ロググループの複数の業務ボリューム | ○ | ○ | ○ | |
業務ボリューム | ○ | × | × | |
参照ダンプ | ロググループ | ○ | × | ○ |
同一ロググループの複数の業務ボリューム | ○ | × | ○ | |
業務ボリューム | ○ | × | × |
○: 可能、×: 不可能
注: リカバリポイントの詳細は、Symfoware Serverのマニュアルを参照してください。リカバリポイントはデータベースのリカバリー時まで覚えておく必要があります。
注意
すべての方法において、リカバリー対象となるデータベーススペースがアクセス禁止状態になっている必要があります。アクセス禁止状態にするには、Symfowareが提供するrdbinhコマンドまたはrdbexspcコマンドで行います。コマンドの詳細は、『Symfoware Server RDB運用ガイド』を参照してください。
ロググループに含まれる業務ボリュームを個別にリカバリーする場合は、最新状態へ復旧するリカバリー方法だけ利用できます。この場合、ロググループ内の表間のリレーションはデータベース管理者の責任で整合させる必要があります。
“最新状態への復旧”または“特定時点への復旧”を行う場合、アーカイブログファイルが外部媒体に保管されていれば、リカバリー時に必要なアーカイブログ退避ファイル名を列挙したファイルを、リカバリーを行う業務ボリュームが存在する管理対象サーバ(Storageサーバ)に作成しておき、リカバリー時に指定する必要があります。このファイルの記述方法は、『Symfoware Server RDB運用ガイド』を参照してください。
「10.2.2.3 swstrestore(リストア実行コマンド)」で実行したリカバリーが、作業ディレクトリの空き容量不足で失敗した場合、-wオプションを使用して、一時的に別のディレクトリを作業ディレクトリとして再実行することでリカバリーが可能です。-wオプションの詳細は、「10.2.2.3 swstrestore(リストア実行コマンド)」を参照してください。
“リカバリ終了点を指定した特定時点への復旧”または“バックアップ時点への復旧”を行う場合、Symfowareの管理情報を復旧する処理が行われます。この処理はリカバリーの実行処理の一部として実施されるため、コマンドの処理に時間がかかります。
リカバリーしたデータのバックアップ方法(通常ダンプまたは参照ダンプ)がロググループ内に混在する場合は、ロググループ単位ではリカバリーできません。「10.2.2.3 swstrestore(リストア実行コマンド)」に-bundleオプションを指定して、同一ロググループの複数の業務ボリュームを一括でリカバリーしてください。
データベーススペース単位にバックアップを実施した場合、ロググループ単位リカバリーまたはバンドル・リカバリーでは、世代指定に相対世代番号を指定してください。これは、以下の例のようにデータベーススペース単位にバックアップを実施した場合、特定の業務ボリューム(データベーススペース)の履歴が更新され、相対世代番号に対する絶対世代番号がそろわない状態が発生するためです。
(例)ロググループ(LOG1/RDB1)にデータベーススペース1(DB1.DBSP1)とデータベーススペース2(DB1.DBSP2)が存在する場合
1日目:データベーススペース1(DB1.DBSP1)をバックアップ
# /opt/FJSVswsts/bin/swstbackup /dev/sdd1 /dev/sdd1 swstbackup completed |
2日目:データベーススペース1(DB1.DBSP1)とデータベーススペース2(DB1.DBSP2)を個別にバックアップ
# /opt/FJSVswsts/bin/swstbackup /dev/sdd1 /dev/sdd1 swstbackup completed # /opt/FJSVswsts/bin/swstbackup /dev/sdd2 /dev/sdd2 swstbackup completed |
履歴情報の表示
# /opt/FJSVswsts/bin/swsthistdisp -n LOG1/RDB1 Server=SV01 Device=/dev/sdd1 Mount-Point=DB1.DBSP1/LOG1/RDB1 (SymfoWARE) Generation Version Backup-Date Backup-Disk Status Execute ArcSerial 1 2 2003/12/12 22:00 /dev/sdz1 succeeded ---- 5 2 1 2003/12/11 22:00 /dev/sdy1 succeeded ---- 5 Server=SV01 Device=/dev/sdd2 Mount-Point=DB1.DBSP2/LOG1/RDB1 (SymfoWARE) Generation Version Backup-Date Backup-Disk Status Execute ArcSerial 1 1 2003/12/12 23:00 /dev/sdz2 succeeded ---- 5 |
以上のような履歴を使用したロググループ単位リカバリーまたはバンドル・リカバリーでは、指定するオプションによって使用されるバックアップデータが異なります。上記の場合、相対世代番号を指定した方が両データベーススペースとも2日目のバックアップデータが使用されるため、リカバリー後のデータベースの整合性を保つことができます。
世代番号の種類 | 指定オプション | リカバリーに使用されるバックアップデータ | |
---|---|---|---|
DB1.DBSP1 | DB1.DBSP2 | ||
相対世代番号 | -g 1 | 2日目のバックアップデータ | 2日目のバックアップデータ |
絶対世代番号 | -v 1 | 1日目のバックアップデータ |
注意
ロググループ単位にバックアップした場合、データベーススペース単位バックアップや履歴の削除で絶対世代番号がそろっていない状態でも、ロググループ単位バックアップの絶対世代番号はそろいます。これは、以下の例のように絶対世代番号が小さい業務ボリューム(データベーススペース)の番号が、絶対世代番号が大きい業務ボリューム(データベーススペース)の番号に合わせられるためです。よって、絶対世代番号が小さい業務ボリューム(データベーススペース)では、途中の絶対世代番号が抜けた状態になります。
(例)ロググループ(LOG1/RDB1)にデータベーススペース1(DB1.DBSP1)とデータベーススペース2(DB1.DBSP2)が存在する場合
1日目:データベーススペース1(DB1.DBSP1)をバックアップ
# /opt/FJSVswsts/bin/swstbackup /dev/sdd1 /dev/sdd1 swstbackup completed |
2日目:データベーススペース1(DB1.DBSP1)とデータベーススペース2(DB1.DBSP2)をロググループ単位でバックアップ
# /opt/FJSVswsts/bin/swstbackup -n LOG1/RDB1 LOG1/RDB1 swstbackup completed |
履歴情報の表示
# /opt/FJSVswsts/bin/swsthistdisp -n LOG1/RDB1 Server=SV01 Device=/dev/sdd1 Mount-Point=DB1.DBSP1/LOG1/RDB1 (SymfoWARE) Generation Version Backup-Date Backup-Disk Status Execute ArcSerial 1 2 2003/12/12 22:00 /dev/sdz1 succeeded ---- 5 2 1 2003/12/11 22:00 /dev/sdy1 succeeded ---- 5 Server=SV01 Device=/dev/sdd2 Mount-Point=DB1.DBSP2/LOG1/RDB1 (SymfoWARE) Generation Version Backup-Date Backup-Disk Status Execute ArcSerial 1 2 2003/12/12 22:00 /dev/sdz2 succeeded ---- 5 |
以上のような履歴を使用したロググループ単位リカバリーまたはバンドル・リカバリーでは、相対世代番号に対する絶対世代番号がそろっているため、どちらの世代指定でも使用されるバックアップデータに違いはありません。
世代番号の種類 | 指定オプション | リカバリーに使用されるバックアップデータ | |
---|---|---|---|
DB1.DBSP1 | DB1.DBSP2 | ||
相対世代番号 | -g 1 | 2日目のバックアップデータ | 2日目のバックアップデータ |
絶対世代番号 | -v 2 |
ただし、“-v 1”を指定した場合は、データベーススペース2(DB1.DBSP2)のバックアップデータが存在しないため、リストアコマンドはエラーになります。
ポイント
リカバリーはWebコンソールでも実行可能です。ただし、Webコンソールでは、バンドル・リカバリーできません。
ポイント
バンドル・リカバリーを実行するには、あらかじめ、一括してリカバリーしたい業務ボリュームを列挙した「デバイスリストファイル」を作成しておく必要があります。デバイスリストファイルの詳細は、「4.1.5.3.1 デバイスリストファイルの記述方法」を参照してください。
デバイスリストファイルは、リカバリーを行う管理対象サーバ(Storageサーバ)の任意の場所に作成します。このファイルをリカバリー実行時に指定することで、複数の業務ボリュームを一括でリカバリーできます。
デバイスリストファイルの記述例を以下に示します。
# コメント行は「#」ではじめます。 # LOG01/GRP1 /dev/sdd1 # この部分にもコメントを記述できます。 /dev/sdd2 /dev/sdd3 /dev/sdd4 /dev/sdd5 : : |
デバイスリストファイルの記述規則は、以下のとおりです。
1行に業務ボリューム名を1つ記述します。行頭から業務ボリューム名の間、および、業務ボリューム名のうしろから行末(改行記号)の間には1個以上の「半角空白またはタブ文字」が含まれていても構いません。
空白行(「半角空白またはタブ文字」)がファイルに含まれていても構いません。
記号「#」から行末までは、コメントとみなされます。
注意
リストア実行コマンドで-bundleオプションが指定された場合、デバイスリストファイルに記述されたすべての業務ボリュームがリストアの対象となります。以下の場合、リストア処理はエラーとなります。
業務ボリュームに関する記述が1件もなかったとき。
業務ボリュームに関する記述は存在するが、記述形式に誤りがあったとき。
業務ボリュームがSymfowareのボリュームでなかったとき。
業務ボリュームが複数のロググループにまたがっていたとき。
業務ボリュームに関する記述行以外に不正行が存在したとき。
以下の例のように、1つの業務ボリュームを複数指定したとき。
# 1業務ボリュームが複数ある例 /dev/sdd2 /dev/sdd2 : : |
「10.2.2.1 swstbackup(バックアップ実行コマンド)」で行ったバックアップの履歴情報を、表示・削除できます。
「10.2.2.1 swstbackup(バックアップ実行コマンド)」で行ったバックアップの履歴情報は、Webコンソールおよび「10.2.2.6 swsthistdisp(履歴情報表示コマンド)」で表示できます。
「10.2.2.1 swstbackup(バックアップ実行コマンド)」で行ったバックアップの履歴情報は、Webコンソールおよび「10.2.2.7 swsthistdel(履歴情報削除コマンド)」で削除できます。
ポイント
Webコンソールでは、ロググループに含まれる業務ボリュームのバックアップ履歴情報を個別に指定した削除はできません。