RORは、ICTリソースの有効活用と運用・管理の効率化を実現する、プライベートクラウドの基盤ソフトウェアです。RORのインフラ管理者はサービス利用部門のニーズに合わせて論理プラットフォーム(L-Platform)および論理サーバ(仮想サーバ)の構成設定とチューニングを行ないます。L-Platformを利用すると、任意の仮想サーバとオペレーティングシステム、ファイアーウォール、サーバロードバランサー、ソフトウェアやデータベースの事前インストールなどを、サービス利用者からの要求に合わせて提供できるようになります。要求に応じて、仮想サーバを動的に追加・削除することも可能です。
典型的な利用シナリオに合わせてRORインフラ管理者が作成したL-Platformの構成情報をL-Platformテンプレートと呼びます。例えば1つのL-Platformテンプレートには、ファイアーウォールを備えた1台の仮想サーバ、2台のアプリケーション用仮想サーバ、1台のサーバロードバランサー、1台のデータベースシステムといったリソースを含めることができます。小規模、中規模、そして大規模なL-Platformテンプレートという具合に、サービス利用者の運用規模に合わせて異なるL-Platformテンプレートを用意しておくことも可能です。サービス利用者は、これらのL-Platformテンプレートをニーズに合わせて構成変更したL-Platformを配備できます。
サービスコントローラー「RORIntegration」は、RORとCT-MGとの連携機能を提供します。APPにサービスコントローラーを配備して構成を設定し、CT-MGに技術サービス定義やサービス利用者用のサービスを定義すると、以下のシナリオを利用できるようになります。
L-Platformの配備: ROR上に事前に作成したL-Platformテンプレートを用いて、サービス利用部門用のL-Platformを作成するシナリオです。RORテナント管理者がROR上にL-Platformテンプレートを事前に作成し、作成したL-Platformテンプレートを基にL-Platformを作成するための技術サービス定義およびサービスを技術サービス開発部門およびサービス提供部門が作成し、CT-MG上に公開します。利用部門管理者が公開したサービスを購入する際に、サービスのパラメーターとしてL-Platform名を指定できます。公開したサービスを利用部門管理者が購入すると、RORはサービスコントローラーを通じてL-Platformを作成します。L-Platformの作成処理が完了すると、新しいL-Platformをサービス利用部門が利用できる状態になります。
水平スケーリングによる拡張と縮小(構成変更による仮想サーバの追加・削除): サービス利用部門が購入したL-Platformに、仮想サーバを追加するシナリオです。サービス利用部門管理者が利用中の購入済サービスのパラメーターを変更すると、RORはサービスコントローラーを通じてL-Platform上に仮想サーバを追加/削除します。仮想サーバ数の追加/削除処理が完了すると、変更したパラメーターに基づいて用意された仮想サーバをサービス利用部門が利用可能な状態になります。
垂直スケーリングによる拡張(構成変更による仮想サーバのCPU数の追加): サービス利用部門が購入したL-Platform上の全ての仮想サーバに、CPU数を追加するシナリオです。サービス利用部門管理者が利用中の購入済サービスのパラメーターを変更すると、RORはサービスコントローラーを通じてL-Platform上の仮想サーバのCPU数を追加します。CPU数の追加処理が完了すると、変更したパラメーターに基づいてCPU数が追加された仮想サーバをサービス利用部門が利用できる状態になります。
利用中のL-Platformに対する仮想サーバの追加: ROR上に事前に作成したL-Platformに、サービス利用部門用の仮想サーバを追加するシナリオです。RORテナント管理者がROR上にL-Platformを事前に作成し、作成したL-Platformにサービス利用部門用の仮想サーバを追加するための技術サービス定義およびサービスを技術サービス開発部門およびサービス提供部門が作成し、CT-MG上に公開します。利用部門管理者が公開したサービスを購入する際に、サービスのパラメーターとして仮想サーバ名を指定できます。公開したサービスを利用部門管理者が購入すると、RORはサービスコントローラーを通じてL-Platformに仮想サーバを追加します。仮想サーバの追加処理が完了すると、新しい仮想サーバをサービス利用部門が利用できる状態になります。
L-Platformまたは仮想サーバの削除: サービス利用部門が購入したL-Platformまたは仮想サーバのサービスを解約するシナリオです。サービス利用部門管理者がL-Platformまたは仮想サーバの購入済サービスの解約を行なうと、RORはサービスコントローラーを通じてL-Platformを解約または仮想サーバを削除します。この解約または削除処理の成否にかかわらず、購入済サービスは解約されます。
ROR側の処理が正常終了しなかった場合、CT-MG上の購入済サービスの処理は保留されます(ただし、購入済サービスの解約処理を除く)。配備や解約などの操作でROR側に問題が発生した場合、サービスコントローラーは担当の技術サービス開発部門にメールで通知します。
RORは、CT-MGのサービス購入時の情報に基づいて作成したL-Platformと仮想サーバを、それ以外のL-Platformや仮想サーバと同様に管理します。したがって、これらの環境の表示や監視にはRORの標準ツールを利用できます。
注意
本章で説明した利用シナリオの内、以下のシナリオは利用できません。
水平スケーリングによる拡張と縮小(構成変更による仮想サーバの追加・削除)
垂直スケーリングによる拡張(構成変更による仮想サーバのCPU数の追加)
サービス利用部門がCPU数および仮想サーバの数を変更できなくなるよう、サービス提供部門がサービスの登録もしくは更新画面で、CPU数およびクラスターの規模パラメーターの、利用者による設定チェックボックスのチェックを外してください。