PRIMEQUESTでクラスタシステムを構成するノードの1つに異常が発生した場合、PRIMECLUSTERシャットダウン機構は以下の2つの方法によってその異常を検出します。詳細については“PRIMECLUSTER コンセプトガイド”の“3.3.1.8 PRIMECLUSTER SF”を参照してください。
(1) MMBを通じてのノードの状態変化(非同期監視)
(2) クラスタノード間のハートビート(NSM:ノード状態モニタ)の失敗 (定周期監視)
(1)の非同期監視はノードの異常を即時に検出することができ、(2)の定周期監視で検出するよりもフェイルオーバーが高速となります。
上図に示すように、パニック発生時にクラスタ制御はMMBによりパニック通知を受けます。これにより、ハートビート異常よりも早くノードのパニックを検出します。
参照
PRIMEQUESTでは、ダンプ環境を設定することにより、パニック時にクラッシュダンプを採取することができます。
PRIMEQUESTのダンプ機能、設定方法、および、確認方法については、以下のマニュアルを参照してください。
PRIMEQUEST 500/400シリーズ 導入マニュアル
PRIMEQUEST 500/400シリーズ 運用マニュアル
PRIMEQUEST 500/400シリーズ リファレンスマニュアル:メッセージ/ログ
(1)の非同期監視を利用するためには、MMBを制御するソフトウェアのインストールやドライバの適切な設定が必要です。本節では高速切替を実現するために必要なMMBを制御するソフトウェアのインストールやドライバの設定を説明します。
HBA閉塞機能とPSAのインストール
MMBを通じてのノードの状態変化はHBA閉塞機能とPSAによりシャットダウン機構に通知されます。シャットダウン機構の設定を行う前にHBA閉塞機能とPSAのインストールを行ってください。インストール方法については、本体装置添付の“添付ドライバ説明書”および“導入マニュアル”を参照してください。
PSAおよびMMBの設定
MMBを通じてのノードの状態変化を正しくシャットダウン機構に通知させるためには、PSAおよびMMBの設定が必要です。シャットダウン機構の設定を行う前にPSAの設定を行ってください。設定方法については、本体装置添付の“導入マニュアル”を参照してください。
また、PRIMECLUSTERがMMBと連携するために、RMCPのユーザを作成する必要があります。PRIMECLUSTERを構成する全てのPRIMEQUEST上にRMCPでMMBを制御するためのユーザを必ず作成してください。RMCPでMMBを制御するためのユーザを作成するには、MMB Web-UIにログインし、“Network Configuration”メニューの“Remote Server Management”画面から作成します。その際、以下のようなユーザを作成してください。
[Privilege]は「Admin」とする
[Status]は「Enabled」とする
RMCPでMMBを制御するためのユーザの作成方法について詳しくは、本体装置添付の“リファレンスマニュアル: GUI/コマンド”を参照してください。
ここで作成したユーザ名と設定したパスワードはシャットダウン機構の設定の際に使用します。メモしてください。
注意
MMBには以下の2種類のユーザが存在します。
MMB全体を制御するためのユーザ
RMCPでMMBを制御するためのユーザ
ここで作成するユーザはRMCPでMMBを制御するためのユーザです。誤らないようにしてください。
HBA閉塞機能の設定
注意
共用ディスクを使用する場合は、本設定を必ず行ってください。
パニックが発生した場合に共用ディスクに接続しているHBAを閉塞させ、共用ディスクへのI/O処理を打ち切ります。こうすることで、共用ディスク内のデータの整合性を保ちつつ、高速に切り替えることができます。
全ノードで、共用ディスクのデバイスパス(GDSを使用している場合はGDSのデバイスパス)をHBA閉塞機能用コマンドに指定し、HBAの機能停止を行う対象として共用ディスクを追加してください。本設定は、GDSを使用している場合はGDSの設定完了後に行ってください。設定方法については、本体装置添付の“添付ドライバ説明書”を参照してください。
I/O完了待ち時間の設定
パニックなどのノードダウンが発生しフェイルオーバーする場合、共用ディスクへのI/Oの整合性を保つため、ノードダウンが発生してから新運用ノードが運用を開始するまでに、一定のI/O完了待ち時間が必要な共用ディスク装置があります。
I/O完了待ち時間の初期値として0秒を設定していますが、I/O完了待ち時間が必要な共用ディスク装置を使用している場合、この値を適切な値に設定してください。
参考
ETERNUS ディスクアレイの場合、I/O完了待ち時間は不要ですので、本設定を行う必要はありません。
本設定はCFの設定完了後に行ってください。設定方法については、“5.1.2.3.2 I/O完了待ち時間の設定”を参照してください。
注意
I/O完了待ち時間を設定した場合、パニックなどのノードダウン時の切替え時間がその時間分増加します。