サイレントインストールとは、インストール時に作業者の入力を求めずに必要な情報をあらかじめ作成した「Responseファイル」から情報を読み込んで自動的にインストールする方法です。
サイレントインストールは、Systemwalker for Oracleをインストールするサーバ種別が以下の場合に実行できます。
運用管理サーバ
全体監視サーバ
業務サーバ
部門管理サーバ
「Responseファイル」には、インストール種別やインストール先ディレクトリなどのインストール時に必要な情報が格納されています。
Systemwalker for Oracleではデフォルトの「Responseファイル」を製品CD-ROMの以下の場所に用意しています。
運用管理サーバおよび全体監視サーバの場合
/(CD-ROMマウントディレクトリ)/manager/Product1/FJSVmpor.resp |
業務サーバおよび部門管理サーバの場合
/(CD-ROMマウントディレクトリ)/agent/Product1/FJSVmpor.resp |
サイレントインストールを利用することにより、以下のメリットがあります。
同一環境のコンピュータをグループ化して、あらかじめResponseファイルを作成しておくことにより、インストール時の作業の負担を軽減することができます。
注意
サイレントインストール時の注意事項
サイレントインストール作業中は、対象のサーバに対して、Systemwalker Centric Managerからイベント監視の条件定義の変更操作は行わないでください。
イベント監視の条件定義の詳細については“Systemwalker Centric Manager 使用手引書 監視機能編”を参照してください。
Systemwalker for Oracleが用意しているデフォルトのResponseファイルを使用すると、以下のデフォルトのインストール環境にサイレントインストールを実施することができます。
<デフォルトのインストール環境>
インストール先のディレクトリ :/opt
作業用ディレクトリ :/opt/FJSVmpor/var/tmp
以下にデフォルトのインストール環境にサイレントインストールを実施する手順について示します。
Systemwalker for OracleをSolaris 9またはSolaris 10以降のGlobal Zone環境にインストールする手順を以下に説明します。
スーパーユーザでログインします
Systemwalker for Oracleをインストールするマシンにて、スーパーユーザでログインします。
または、スーパーユーザ以外のユーザでマシンにログイン後、suコマンドを実行し、スーパーユーザに変更します。suコマンドを入力後、rootのパスワードを入力します。
# su <ENTER> |
CD-ROMをCD-ROM装置にセットします
以下のコマンドを実行してCD-ROMをマウントする必要があります。
# mkdir -p /cdrom/swfo <ENTER> (注) |
注) /cdrom/swfoがない場合のみ必要です。
swfoinst-siコマンドを実行します
以下のコマンドを実行します。
# ./swfoinst-si -d 製品パッケージ格納ディレクトリ -r Responseファイルパス -a adminファイルパス <ENTER> |
インストールする製品のパッケージイメージが格納されているディレクトリを指定します。
使用するResponseファイルのパスを指定します。(固定)
使用するadminファイルのパスを指定します。(固定)
運用管理サーバおよび全体監視サーバの場合
# cd /cdrom/swfo/manager/setup <ENTER> # ./swfoinst-si -d /cdrom/swfo/manager \ <ENTER> |
業務サーバおよび部門管理サーバの場合
# cd /cdrom/swfo/agent/setup <ENTER> # ./swfoinst-si -d /cdrom/swfo/agent \ <ENTER> |
注意
swfoinst-siコマンドを使用する場合の注意事項
swfoinst-siコマンドはインストールするパッケージごとに存在します。 運用管理サーバ用のswfoinst-siコマンドを使用して、業務サーバ用のパッケージのインストール、また、業務サーバ用のswfoinst-siコマンドを使用して、運用管理サーバ用のパッケージをインストールすることはできません。
インストールする製品パッケージディレクトリの指定に誤りがある場合、以下のメッセージを出力してインストール処理を中断しますので、製品パッケージディレクトリパスを確認後、インストールコマンドを再度実行してください。
The specified directory 'ディレクトリパス' is not the directory of this product.
Check package directory of this product.
指定したパッケージディレクトリはインストール製品のパッケージディレクトリではありません。指定したパッケージディレクトリパスを確認してください。
その他、インストール時に異常を検出した場合のメッセージについては、“G.2 インストールコマンドのメッセージについて【Solaris版】”を参照してください。
Systemwalker for OracleをSolaris 10以降のNon-global Zone環境にインストールする場合の手順について説明します。
Global Zoneへログインします
Global Zoneへログインし、スーパーユーザになります。
インストールCD-ROMをCD-ROM装置にセットします
以下のコマンドを実行してCD-ROMをマウントする必要があります。
# mkdir -p /cdrom/swfo <ENTER> (注) |
注) /cdrom/swfoがない場合のみ必要です。
CD-ROMの内容をGlobal Zoneのディスク上にコピーします
以降の例では、コピー先は"/PKG"とします。
# mkdir -p /PKG <ENTER> |
インストール対象のNon-global Zoneを以下のコマンドで停止します
以降の例では、インストール対象のNon-global Zoneの名称は"SWZONE"とします。
# /usr/sbin/zoneadm -z SWZONE halt <ENTER> |
CD-ROM複製場所をNon-global Zoneから参照する設定をします
「3.CD-ROMの内容をGlobal Zoneのディスク上にコピーします」で作成したインストールCD-ROMの複製場所をNon-global Zoneからも参照できるようにZoneの設定を行います。
以下のコマンドにより、Non-global Zoneからも「3.CD-ROMの内容をGlobal Zoneのディスク上にコピーします」で作成したインストールCD-ROMの複製を参照できるようにします。
# zonecfg -z SWZONE <ENTER> |
以上の設定により、次回Non-global Zoneの起動時から、Global Zoneで作成したCD-ROMの複製が、Non-global Zoneの/SWPKGディレクトリから、読み込み専用ファイルシステムとして参照することが可能になります。
インストール対象のNon-global Zoneを以下のコマンドで起動します
# /usr/sbin/zoneadm -z SWZONE boot <ENTER> |
Systemwalker for Oracleをインストールします
Non-global Zoneへログインし、Systemwalker for Oracleをインストールします。
以下のコマンドを実行します。
# ./swfoinst-si -d 製品パッケージ格納ディレクトリ -r Responseファイルパス -a adminファイルパス <ENTER> |
インストールする製品のパッケージイメージが格納されているディレクトリを指定します。
使用するResponseファイルのパスを指定します。
使用するadminファイルのパスを指定します。
製品パッケージ格納ディレクトリには、「5.CD-ROM複製場所をNon-global Zoneから参照する設定をします」で設定したNon-global Zoneからも参照できるディレクトリを指定し、インストールを行います。
運用管理サーバおよび全体監視サーバの場合
# cd /SWPKG/manager/setup <ENTER> |
業務サーバおよび部門管理サーバの場合
# cd /SWPKG/agent/setup <ENTER> |
CD-ROM複製場所をNon-global Zoneから参照する設定を解除します
インストール完了後、以下のコマンドにより、Non-global Zoneからディレクトリの参照設定を解除します。
Global Zoneへログインし、Non-global Zoneを停止した後に作業を行ってください。
# zonecfg -z SWZONE <ENTER> |
不要になったCD-ROMの複製場所を削除します
「3.CD-ROMの内容をGlobal Zoneのディスク上にコピーします」で作成したCD-ROMの複製場所を、以下のコマンドにより削除します。
# rm -rf /PKG <ENTER> |
以下に示すデフォルトのインストール環境以外の場所に、「インストール先」または「作業用ディレクトリ」を指定してサイレントインストールを実施することができます。
<デフォルトのインストール環境>
インストール先のディレクトリ :/opt
作業用ディレクトリ :/opt/FJSVmpor/var/tmp
サイレントインストールを行うにあたり、製品のインストールディレクトリおよびSystemwalker for Oracleの作業用ディレクトリを変更する場合はResponseファイルを修正してください。
以下にResponseファイルのカスタマイズ手順を示します。
スーパーユーザでログインします
Systemwalker for Oracleをインストールするサーバに、スーパーユーザでログインします。
CD-ROMをCD-ROM装置にセットします
以下のコマンドを実行してCD-ROMをマウントする必要があります。
# mkdir -p /cdrom/swfo <ENTER> (注) |
注) /cdrom/swfoがない場合のみ必要です。
CD-ROMからResponseファイルを作業領域にコピーします
/tmp/swfoを作業領域とした場合(運用管理サーバおよび全体監視サーバの場合)
# mkdir -p /tmp/swfo <ENTER> (注) |
注) /tmp/swfoがない場合のみ必要です。
業務サーバ/部門管理サーバの場合は、「/cdrom/swfo/agent/Product1/FJSVmpor.resp」からコピーします。
Responseファイルをカスタマイズします
<Systemwalker for Oracleのインストール先ディレクトリを変更する場合>
「BASEDIR_OPT」パラメタと「BASEDIR」パラメタの値をインストール先のディレクトリパスに修正します。必ず同じパスを指定してください。
作業用ディレクトリにデフォルトの領域を使用する場合は、「SWFOTMP」パラメタの値を「/<Systemwalker for Oracleインストール先ディレクトリ>/FJSVmpor/var/tmp」に指定してください。
(「SWFOTMP」パラメタの値が「/(「BASEDIR」パラメタの値)/FJSVmpor/var/tmp」である場合、「MKLINK」の値を変更する必要はありません。)
例
インストール先を「/work」に変更する場合の修正方法
修正前のResponseファイル
BASEDIR_OPT='/opt' |
修正後のResponseファイル
BASEDIR_OPT='/work' |
<Systemwalker for Oracleの作業用ディレクトリを変更する場合>
Systemwalker for Oracleの作業用ディレクトリパスを「SWFOTMP」パラメタに指定します。
「SWFOTMP」の値には、作成済のディレクトリパスの最後に「/swfo_tmp」を追加記述して指定してください。ただし、「swfo_tmp」ディレクトリの作成は必要ありません。
「MKLINK」パラメタを「0」に指定してください。
例
Systemwalker for Oracleの作業用ディレクトリを「/work/swfo_tmp」に変更する場合の修正方法
(「/work」ディレクトリは作成済である必要があります。「/work/swfo_tmp」ディレクトリは作成する必要はありません。)
修正前のResponseファイル
BASEDIR_OPT='/opt' |
修正後のResponseファイル
BASEDIR_OPT='/opt' |
インストールを行います
インストール操作を実行します。
運用管理サーバおよび全体監視サーバの場合
swfoinst-siコマンドを使用した場合
# cd /cdrom/swfo/manager/setup <ENTER> # ./swfoinst-si -d /cdrom/swfo/manager \ <ENTER> |
pkgaddコマンドを使用した場合(Solaris 9)
# pkgadd -n -d /cdrom/swfo/manager \ <ENTER> |
pkgaddコマンドを使用した場合(Solaris 10以降)
# pkgadd -G -n -d /cdrom/swfo/manager \ <ENTER> |
業務サーバおよび部門管理サーバの場合
swfoinst-siコマンドを使用した場合
# cd /cdrom/swfo/agent/setup <ENTER> # ./swfoinst-si -d /cdrom/swfo/agent \ <ENTER> |
pkgaddコマンドを使用した場合(Solaris 9)
# pkgadd -n -d /cdrom/swfo/agent \ <ENTER> |
pkgaddコマンドを使用した場合(Solaris 10以降)
# pkgadd -G -n -d /cdrom/swfo/agent \ <ENTER> |
作業ディレクトリが正常に作成されているかを確認します
「5. インストールを行います」でswfoinst-siまたはpkgaddコマンドを実行し、「<FJSVmpor> のインストールに成功しました。」と出力された場合でも、「4.Responseファイルをカスタマイズします」でカスタマイズしたResponseファイルに誤りがある場合には、インストールが正常に実施されていない(作業ディレクトリが作成されない)ことがあります。
以下のコマンドを実行し、作業ディレクトリが作成されているかを必ず確認してください。
# ls -ld /opt/FJSVmpor/var/tmp <ENTER> |
デフォルトの作業ディレクトリを指定した場合
以下のように、指定した作業ディレクトリが存在することを確認してください。
# ls -ld /opt/FJSVmpor/var/tmp <ENTER>
drwxrwxrwx 2 root sys 512 4月 5日 15:53 /opt/FJSVmpor/var/tmp |
作業ディレクトリを任意の場所に指定した場合
以下のように、指定した作業ディレクトリに対してシンボリックリンクが存在することを確認してください。(以下は、「SWFOTMP」パラメタに「/work/swfo/swfo_tmp」を指定した場合の例です。)
# ls -ld /opt/FJSVmpor/var/tmp <ENTER>
lrwxrwxrwx 1 root other 19 4月 5日 15:34 /opt/FJSVmpor/var/tmp -> /work/swfo/swfo_tmp |
上記以外の結果が表示された場合
以下のように表示された場合は、作業ディレクトリが正常に作成されていません。
# ls -ld /opt/FJSVmpor/var/tmp <ENTER> /opt/FJSVmpor/var/tmp: ファイルもディレクトリもありません。 |
作業ディレクトリの作成が正常に実施されていない場合は、Responseファイル内のパラメタに誤りがあります。
以下に示す項目を確認してください。
・「MKLINK」パラメタに「1」が設定されていることを確認してください。
・「SWFOTMP」パラメタに作業ディレクトリのデフォルト以外の場所が指定されていないか確認してください。
・「MKLINK」パラメタに「0」が設定されていることを確認してください。
・「SWFOTMP」パラメタには存在する任意のディレクトリに「swfo_tmp」を加えたパスが設定されていることを確認してください。(ただし、「swfo_tmp」ディレクトリの作成は必要ありません。)
上記を確認し、Responseファイルに誤りがある場合は、製品をアンインストールした後にResponseファイルの修正を行い、再度インストールを実施してください。
不要になった作業領域およびResponseファイルを削除します
「3.CD-ROMからResponseファイルを作業領域にコピーします」で「/tmp/swfo」を作業領域とした場合は以下を実行します。
# rm -rf /tmp/swfo <ENTER> |