異常時に備えたAdvanced Backup Controllerによるデータベースのバックアップについて説明します。
注意
データベースとRDBディクショナリは、同じタイミングでバックアップしてください。
バックアップ周期の考え方は、ストレージ管理製品と連携する場合と同じです。
“15.4.1.1 バックアップ周期”を参照してください。
注意
以下に示す機能では、データベースの更新ログを取得しません。そのため、以下の各機能が正常終了すると、運用方法に関わらず、それ以前に取得した退避データを用いたリカバリが実行できなくなります。異常時に備えて、データベーススペースの退避データを取得しなおしてください。同時に、RDBディクショナリの退避データも取得しなおしてください。
分類 | 機能名 |
---|---|
SQLの文/要素 | バックアップ対象のロググループに属するデータベーススペースに対してのデータベース操作文(DROP DBSPACE文)およびデータベース定義文(CREATE DBSPACE文) |
データベーススペースのリカバリ | swstrestoreコマンド(バックアップ時点へのリカバリまたはrdbsetrpコマンドで設定したリカバリポイントまでのリカバリ) |
DSIの再作成 | rdbfmtコマンド、rdbgcdsiコマンド、rdbrcvコマンド、rdbsaloaderコマンド、rdbsloaderコマンド、rdbsuloaderコマンド |
リカバリ機能の抑止および解除 | rdbrtrコマンド(nオプションかつiオプション)およびrdbrlsコマンド(nオプションかつiオプション) |
システムファイルのリカバリ | アーカイブログファイルのリカバリ(スケーラブルログ運用を行っている場合は、バックアップ対象のデータベーススペースの属するロググループのアーカイブログのリカバリを行った場合) |
アーカイブログファイルのリカバリについては、“11.6 アーカイブログファイルのリカバリ”を参照してください。
参照
SQLの文/要素については、“SQLリファレンス”を参照してください。
swstrestoreコマンドについては、“ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 運用手引書”または“ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 運用ガイド”を参照してください。
RDBコマンドについては、“コマンドリファレンス”を参照してください。
バックアップ運用単位の、バックアップ操作の流れを示します。
アーカイブログファイルの操作およびRDBディクショナリのバックアップの詳細については、“4.4 異常時に備えたデータのバックアップ”を参照してください。
データベースの創成が完了すると、データベースの運用を開始することができます。データベースの運用にあたっては、データ破壊などの異常時のリカバリに備えて、バックアップを行っておく必要があります。
rdbmrdmpコマンドにより取得した退避データは、データベーススペース単位に作成されます。したがって、データベーススペースごとにリカバリすることができます。
参照
rdbmrdmpコマンドの指定方法の詳細については、“コマンドリファレンス”を参照してください。
退避データ取得時には、以下の条件を満足していなければなりません。
rdbmrdmpコマンドを使用するため、Symfoware/RDBが起動状態でなければなりません。
対象データベーススペースとそれに含まれるすべてのDSIが正常状態でなければなりません。rdbinfコマンドでアクセス禁止状態でないことを確認してください。
PRIMECLUSTER GDSのミラーボリュームを利用したデータベースの退避データを作成する場合、データベースに割り当てたミラーボリューム内に切離し可能なスライスが必要です。そのためには、PRIMECLUSTER GDSのインタフェースを利用しデータベースに割り当てたミラーボリュームの状態を把握しておくことが必要です。
PRIMECLUSTER GDSと連携したAdvanced Backup Controllerのrdbmrdmpコマンドを利用する場合、GDSオブジェクト操作を実施するため、スーパユーザ権限が必要です。
バックアップシェルスクリプトを利用したデータベースの退避データを作成する場合、バックアップシェルスクリプトによりデータベースに割り当てたボリュームのバックアップが採取可能な状態でなければなりません。
Advanced Backup Controllerの退避データとして、ミラーボリュームから切り離されたスライスである退避データベーススペースまたはバックアップシェルスクリプトにより採取されたバックアップと、リカバリ時に必要な情報が格納されたリカバリ制御ファイルの2つが、データベーススペース単位に作成されます。このとき、退避データの取得点を表すためのリカバリポイントが、アーカイブログファイルに設定されます。処理メッセージは、標準出力されます。
PRIMECLUSTER GDSと連携したAdvanced Backup Controllerでは、データベーススペースに割り当てられたミラーボリューム内のactive状態のミラースライスを切り離して、temp状態のスライスにします。これにより、退避データベーススペースが作成されます。temp状態となったスライスはアクセスパスが作成され、これにより参照アクセスが可能となります。
バックアップシェルスクリプトと連携したAdvanced Backup Controllerでは、退避データベーススペースの作成はバックアップシェルスクリプトによって実施します。
リカバリ制御ファイルは、リカバリ時に必要な情報として、上記退避データベーススペースのアクセスパスや、アーカイブログの適用開始位置などが格納され、一般ファイルとして指定されたディレクトリ配下にデータベーススペース単位に作成されます。
PRIMECLUSTER GDSと連携したAdvanced Backup Controllerのrdbmrdmpコマンドを使用して、データベーススペースをバックアップする場合の入出力構成を以下に示します。
DBSP: データベーススペース
$ rdbmrdmp -p 在庫管理DB.DBSP_1 -f /back rdb: INFO: qdg02654i:rdbmrdmpコマンドの処理を開始します (システム名=rdbsys1) rdb: INFO: qdg02655i:rdbmrdmpコマンドの処理が正常終了しました (システム名=rdbsys1)
バックアップシェルスクリプトと連携したAdvanced Backup Controllerのrdbmrdmpコマンドを使用して、データベーススペースをバックアップする場合の入出力構成を以下に示します。
$ rdbmrdmp -p 在庫管理.DBSP_1 -f /back -b /backup_script/backup_DBSP_1.sh rdb: INFO: qdg02654i:rdbmrdmpコマンドの処理を開始します(システム名=rdbsys1) rdb: INFO: qdg02655i:rdbmrdmpコマンドの処理が正常終了しました(システム名=rdbsys1)
注意
以下のいずれかの場合は、バックアップ対象データベーススペースに含まれるすべてのDSIに対して更新抑止の設定を行ってから、rdbmrdmpコマンドでデータベーススペースをバックアップしてください。また、rdbmrdmpコマンド実行時にはRオプションを指定してください。
バッチ業務中などでリカバリを適用しない運用の場合
バックアップ対象データベースにOBJECT構造のDSIが含まれている場合
バックアップ対象のデータベーススペースに割り付けたDSIに対するデータ更新処理中にrdbmrdmpコマンドを実行する場合、コマンド開始時点で動作中のトランザクションが完了してから、実際のバックアップ処理を開始します。コマンド開始以降に動作したトランザクションは、実際のバックアップと並行して実行されます。
Advanced Backup Controllerで作成した退避データが不要になった場合、退避データを破棄してください。退避データを破棄することにより、次回のバックアップに備えることができます。
PRIMECLUSTER GDSと連携したAdvanced Backup Controllerでは、rdbmrdmpコマンドのDオプションでリカバリ制御ファイルの破棄とミラーボリュームから切り離されていたtemp状態のスライスである退避データベーススペースの再組込みが行われます。再組込みされたスライスは等価性コピー処理が実施され、これが完了したあとにそのミラースライスを利用した次回のAdvanced Backup Controllerの利用が可能になります。
バックアップシェルスクリプトと連携したAdvanced Backup Controllerでは、rdbmrdmpコマンドのDオプションでリカバリ制御ファイルおよび退避データスペースの破棄は実施できません。リカバリ制御ファイルおよび退避データベーススペースの破棄については利用者で行ってください。
参照
rdbmrdmpコマンドの指定方法の詳細については、“コマンドリファレンス”を参照してください。
PRIMECLUSTER GDSと連携したrdbmrdmpコマンドを使用して、データベーススペースを破棄する場合の入出力構成を以下に示します。
DBSP: データベーススペース
$ rdbmrdmp -D -p 在庫管理DB.DBSP_1 -f /back rdb: INFO: qdg02654i:rdbmrdmpコマンドの処理を開始します (システム名=rdbsys1) rdb: INFO: qdg02655i:rdbmrdmpコマンドの処理が正常終了しました (システム名=rdbsys1)
Advanced Backup Controllerにより作成された退避データを、磁気テープなどの外部媒体に出力する場合は、OSのコマンドを使用します。
以下の退避データをバックアップしてください。
退避データベーススペース
PRIMECLUSTER GDSと連携した場合、temp状態となったスライスはアクセスパスが作成されています。このアクセスパスを利用して外部媒体へバックアップします。
バックアップシェルスクリプトと連携した場合、利用者シェルによって採取した退避データベーススペースを外部媒体へバックアップします。
リカバリ制御ファイル
指定されたディレクトリ配下にデータベーススペース単位に作成されています。このファイルを外部媒体へバックアップします。
PRIMECLUSTER GDSと連携したAdvanced Backup Controllerのrdbmrdmpコマンドを使用して、データベーススペースを取得し、OSのコマンドを使用して外部媒体へバックアップする場合の入出力構成を以下に示します。
DBSP: データベーススペース
オペレータ操作 … /dev/st0にリカバリ制御ファイルのバックアップ用磁気テープ01を装着する。 $ cd /back $ tar cvf /dev/st0 * オペレータ操作 … /dev/st0からリカバリ制御ファイルのバックアップ用磁気テープ01を離脱する。 オペレータ操作 … /dev/st0に退避データベーススペースのバックアップ用磁気テープ02を装着する。 $ rdbcpraw -i /dev/sfdsk/class0001/rdsk/disk010001.volume0001 -o /dev/st0 オペレータ操作 … /dev/st0から退避データベーススペースのバックアップ用磁気テープ02を離脱する。
退避データを外部媒体にバックアップすることにより、退避データの破棄を行って、次回のバックアップに備えることが可能になります。
PRIMECLUSTER GDSと連携している場合は、PRIMECLUSTER GDSインタフェースを利用することで、退避データとなっているSDXディスクを、現在のデータベースが存在しているミラーディスクグループから切断し、他のデータベースが存在するミラーディスクグループに接続して、別のデータベースのバックアップに利用することも可能です。
参照
PRIMECLUSTER GDSインタフェースの利用方法やSDXディスクについての詳細は、“PRIMECLUSTER Global Disk Services 説明書”を参照してください。
ただし、外部媒体に出力された退避データからのリカバリ時には、退避データベーススペースであるスライスの状態を、その退避データを取得した時と同一のアクセスパスで利用可能な状態に戻してからリカバリ処理を行う必要があります。
外部媒体の退避データからのリカバリについての詳細は“15.5.2.4 外部媒体の退避データからのリカバリ”を参照してください。