データベースのバックアップ運用設計を行います。『SQL Server Books Online』の「バックアップと復元の計画の立案」を参考にして設計を行ってください。
さらに、以下のデータベースファイルの配置に関する制限事項を守って設計を行ってください。
AdvancedCopy Managerはローパーティション上に構築されたデータベースはサポートしません。データベースはファイルシステム上に構築してください。
AdvancedCopy Managerは、ボリューム単位(パーティション単位)でコピー処理を実施します。そのため、データベースファイルの配置ボリュームには、対象となるデータベースファイル以外のファイルは置かないでください。
注意
バックアップ対象のデータベースファイルとは無関係なファイルを置いた場合、そのファイルのデータだけでなく、ファイルシステム全体を破壊する恐れがあります。
特に、データベースファイルをシステムドライブに配置することや、SQL ServerとAdvancedCopy Managerの実行ファイル・管理ファイルが存在するボリュームにデータベースを配置しないでください。
ポイント
1個のボリューム上にN(>2)個のデータベースのファイルを配置すること、および、M(>2)個のボリューム上にN(>2)個のデータベースのファイルを混在配置することは可能ですが、これらN個のデータベースは同一インスタンス配下のデータベースである必要があります。
このような構成のデータベースのバックアップを行う場合、ボリューム上に存在するすべてのデータベースを指定して実行してください。SQL Serverが指定されたすべてのデータベースを凍結させることによりデータ整合性を確保したあと、AdvancedCopy Managerが、ファイルが配置されているすべてのボリュームに対してコピー処理を実施します。すべてのデータベースを指定せずにバックアップを実施した場合は、データベースバックアップを正常に採取できません(バックアップボリュームのファイルシステムが損傷する恐れがあります)。
上記のデータベース構成は、ドライブ文字が不足しているシステムや小規模なデータベースが多数存在しているシステムにおいて、見受けられますが、バックアップ運用上、以下のような問題があります。
複数のデータベースを同時にバックアップすると、処理が完了するまで、指定したすべてのデータベースがSQL Serverによって凍結されます。データベースの凍結時間が長くなると、バックアップを正常に完了にできない場合があります。なるべくバックアップ対象となるデータベース数が少なくなるようにデータベース設計を行ってください。
特定のデータベースだけをリストアする場合、アドバンスト・コピーを使用したファイル復元処理は実施できません。COPYコマンド、FTPなどの手段でリストア対象のデータベースファイルだけを復元する必要があります。アドバンスト・コピーはすべてのデータベースをリストアする場合のファイル復元にしか利用できません。
ポイント
以下の図に示すように、データベースファイルを複数のボリュームに分散配置することは可能です。AdvancedCopy Managerはデータベースファイルが配置されたすべてのボリュームに対して、処理を行います。
SQL Server 2005以降でフルテキストカタログを使用する場合は、どれかのデータベースボリュームにフルテキストカタログを作成してください。これにより、フルテキストカタログも含めてデータベースのバックアップ/リストアが行われます。
フルテキストカタログをデータベースボリューム以外のボリュームに作成した場合、フルテキストカタログはバックアップされないため、リストア後にフルテキストカタログの再構築が必要です。
バックアップ運用を行うサーバを決定します。
バックアップ運用を行うサーバには、次のものがあります。
運用管理サーバ
複数の管理対象サーバ(Storageサーバ)を一元管理、集中操作します。AdvancedCopy Managerマネージャー機能をインストールする必要があります。運用管理サーバ(Storage管理サーバ)は、管理対象サーバを兼ねることができます。
管理対象サーバ(業務サーバ)
SQL Serverの運用を行うサーバです。AdvancedCopy Managerエージェント機能をインストールする必要があります。データベースのバックアップ/リストアはこのサーバより実行します。
管理対象サーバ(バックアップサーバ:レプリケーション管理機能だけ)
バックアップサーバ運用を行うサーバです。AdvancedCopy Managerエージェント機能をインストールする必要があります。データベースボリュームのバックアップ先となるボリューム(バックアップボリューム)が接続されています。バックアップサーバ運用はレプリケーション管理機能を使用する場合だけ実施可能です。バックアップ管理機能では実施できません。
バックアップ対象となるデータベース、および、データベースファイルが配置されているボリューム(データベースボリューム)を決定します。
すべてのデータベースボリュームは、ETERNUS ディスクアレイ上に配置されている必要があります。
バックアップ方式を決定します。
バックアップ方式としては以下の2つが選択可能です。
スナップショット型バックアップ
ETERNUS ディスクアレイのOPC機能を用いたバックアップ方式です。バックアップはOPCを起動することにより採取されます。
ポイント
QuickOPC機能に対応したETERNUS ディスクアレイの場合は、差分スナップショット型バックアップを行うことができます。差分スナップショット型バックアップは、「第6章 QuickOPC機能によるバックアップ運用」を参照してください。
同期型バックアップ
ETERNUS ディスクアレイのEC/REC機能を用いたバックアップ方式です。バックアップは、等価維持状態のEC/RECを停止またはサスペンド(バックアップ管理機能使用時)、およびサスペンド(レプリケーション管理機能使用時)することにより採取されます。
ポイント
バックアップ管理機能使用時は、等価維持状態のEC/RECを停止またはサスペンドすることによりバックアップが作成されます。「12.6.1.1 swstbackup_sqlsvr(SQL Serverバックアップ実行コマンド)」をサスペンド指定で実施すると、Suspend/Resume機能により、等価維持状態を一時停止(サスペンド)してバックアップを行います。Suspend/Resume機能は、「第5章 Suspend/Resume機能によるバックアップ運用」を参照してください。
バックアップボリュームを準備します。
データベースボリュームのバックアップ先となるボリュームをバックアップボリュームと呼びます。バックアップボリュームは、ETERNUS ディスクアレイ上に配置されている必要があります。