プロセス管理サーバは、以下の機能で構成されています。
プロセス制御機能
構成管理機能
アプリケーションリリース管理機能
ITリソース情報収集機能
プロセス制御機能
プロセス制御は、業務運用スケジュールの登録手順、アプリケーションの修正適用手順などの運用プロセス(システムを運用する手順)をサーバで一元管理する機能です。
Systemwalker IT Change Managerのユーザーは、運用フロー管理者(管理者)および運用フロー使用者(利用者)に分類され、管理者はテンプレートとして提供された運用ノウハウをカスタマイズし、システムに適用します。利用者には、その定義に準拠した運用プロセスで、Webブラウザから作業を行わせることができます。
これにより、管理者は運用プロセスの進行状況、申請書や付随する任意の資産、および運用プロセスの作業履歴をサーバで一元管理できるため、いつ、誰が、何を行ったのかを追跡することが可能になり、運用プロセスを統制する効果を得ることができます。
さらに、二重チェックのために承認者を追加するなどの任意のプロセス変更が容易に行えるため、運用プロセスを見直して、徐々にプロセスを成長させていくことが可能です。
プロセス制御の管理者は、以下の操作が可能です。
基本機能の管理
運用管理に伴う人間系プロセスをフロー化
運用フローの実行
運用フローの管理
プロセス制御の管理
ユーザー、グループ
伝票
メニュー系
定義情報(ユーザー、機能)
メール送信
プロセス制御のカスタマイズ
電子フォーム
回覧ルート
自動実行アプリケーション
プロセス制御の運用管理
運用
保守
構成管理機能
構成管理機能は、稼働環境に導入されているITリソースの構成情報を収集し、構成管理データベース(CMDB)で一元管理する機能です。構成管理データベースに格納された情報は、構成アイテム(CI)という単位で管理します。また、稼動環境に導入されているITリソースの構成情報を、“実態情報”と呼びます。
構成情報として収集する情報には、ハードウェア情報、論理ノード情報、アプリケーション情報などの多くの種別が存在します。これらの情報の中には専用のミドルウェアが管理している情報もあり、Systemwalker IT Change Managerでは仮想統合(Federation)という仕組みにより、情報を効率良く構成管理データベースに管理します。
なお、構成収集するためには別途ミドルウェアを導入しなければいけないものもあります。
また、構成管理データベースには、ドキュメントを管理することもできます。
構成アイテム同士は関係情報(リレーション)を持つことができます。これにより、下記の管理が可能となります。
論理ノードとアプリケーションの構成アイテムを結ぶことで、論理ノードに導入されているアプリケーションを管理する。
アプリケーションと開発ドキュメント(仕様書やテスト報告書)の構成アイテムを結ぶことで、アプリケーションに関連するドキュメントを管理する。
構成管理データベースには、稼働環境の未来の構成を設計(計画)して、格納することができます。この情報のことを、“設計情報”と呼びます。
設計情報と実態情報を構成管理データベースに持つことで、下記の運用が可能となります。
稼働環境への変更を実施後に、設計情報と実態情報を比較することで、変更作業の正当性を確認する。
設計情報と実態情報を定期的に比較することで、稼働環境が不正に変更されていないかを確認する。
設計情報と実態情報の関係について、下図に示します。
構成情報データベースに管理された情報は、構成アイテム操作画面を使用して参照することができます。構成情報GUIでは以下の参照が可能です。
構成アイテムの表示
構成アイテムの更新/削除
構成アイテムの検索
構成アイテムの詳細情報を表示
構成アイテム同士の比較
構成ベースラインの作成と表示/検索
アプリケーションリリース管理機能
アプリケーションリリース管理機能は、稼働環境で動作するアプリケーションの構成(名前、VL、ファイル構成など)を管理し、アプリケーションの変更作業、およびリリース展開作業を、プロセス制御を使用して管理する機能です。また、リリースについては、稼働環境への配付、および配備する機能も提供します。
管理対象のアプリケーションの種別を以下に示します。
J2EEアプリケーション:Interstagae Application Serverを実行環境として動作するアプリケーション
Microsoft .NETアプリケーション:Microsoft社の.NETフレームワークを実行環境として動作するアプリケーション
レガシーアプリケーション:COBOL言語やC言語などで開発した、特別な実行環境を必要としないアプリケーション
Systemwalker IT Change Managerは、アプリケーションの変更管理とリリース管理の運用を可能とするテンプレート(プロセス、電子帳票と部品プログラム)を提供します。このテンプレートを導入するだけで、利用者はすぐにアプリケーションの変更管理とリリース管理の運用を開始することができます。また、テンプレートをカスタマイズして、利用者の運用に合ったプロセスを容易に作成することが可能です。
Systemwalker IT Change Managerでは、開発部門で開発したアプリケーションと関連するドキュメント、稼働環境へリリースするための情報などを、開発部門から受け取り、アプリケーションは確定版メディアライブラリ(DML)、関連する情報は構成管理情報データベースで管理します。
さらに、Interstager Application Development Cycle Managerと連携し、開発プロセスと運用プロセスを連動させて管理することができます。これにより、以下の運用が可能になります。
開発部門と運用部門間での情報の受け渡しミスがなくなります。
アプリケーションの変更作業に関する作業履歴を、開発から運用まで通して参照できます。
稼働環境に導入されたアプリケーションの正当性を、モジュール、プログラムソースまで遡って証明できます。
ITリソース情報収集機能
インフラストラクチャの資産を管理するための基本機能として、ネットワークに接続されているマシンのIPアドレスを自動で検出し、サーバ/OS/ソフトウェア情報などのITリソース情報を採取して、CMDBに格納する機能です。
収集するITリソース情報は以下の情報です。
種別 | 収集する情報 |
ノード情報 | IPアドレス、ホスト名、OS名 |
論理サーバ情報 | OS詳細、論理CPU、論理メモリ、論理ディスク、レジストリ、LAN情報、など |
ハードウェア情報 | 製品名、型名、シリアル番号、物理CPU、物理メモリ、物理ディスク、など |
インストールソフトウェア情報 | 製品名、パッケージ情報、バージョン、など |
ハードウェア情報は、以下のサーバ管理ツールと連携して情報を収集します。
PRIMERGY: ServerView エージェント(サーバ監視ソフトウェア)
SPARC Enterprise: Enhanced Support Facility(サーバ監視機能)
収集可能なOSは以下の通りです。
Windows Server 2003
Windows Server 2008
Windows Server 2012
Red Hat Enterprise Linux 5
Red Hat Enterprise Linux 6
Solaris 9
Solaris 10
Solaris 11
なお、Solarisのノングローバルゾーン上のノードからはITリソース情報の収集はできません。
また、Solarisでは、ESF(Enhanced Support Facility)がインストールされていない場合は、ITリソース情報の収集はできません。
管理対象のサーバが少ない小規模なシステムの場合は、プロセス管理サーバによる自動収集でも問題ありませんが、大規模なシステム(目安としては300台以上)の場合、ITリソース情報収集の負荷を分散するためにプロセス管理サーバの下に中継サーバを配置することを推奨します。