ここでは、Disaster Recoveryで被災した際の切替え運用について説明します。
被災した運用サイトが復旧して、バックアップサイトから切り替える場合も、同じ運用手順で切り替えられます。
以下の手順で、Disaster Recoveryの切替え運用をします。
リソース構成情報・ユーザー定義情報(XMLファイル)の編集
リソース構成情報・ユーザー定義情報(XMLファイル)は、インポートする単位への分割や、バックアップサイトの環境に合わせたリソース情報の変更など、コマンドを使用して編集する必要があります。
以下の手順で編集してください。
構築済みの物理サーバと関連付けたL-Serverの分離
構築済みの物理サーバと関連付けたL-Serverは、Disaster Recoveryで復旧できません。
以下の操作を実行したあと、L-Serverと関連付けるコマンドを実行してください。復旧作業が完了したあと、再度L-Serverと関連付けてください。
>rcxadm config filter -convert -indir indir -outdir outdir <RETURN> |
outdirにconvert.txtというファイル名で以下の情報が出力されます。
復旧手順が完了したあと、以下の内容でL-Serverの関連付け、およびscopeの再設定を行ってください。
[command] |
ストレージのマッピング
「15.1 導入」の手順7.で作成したストレージのレプリケーション情報からバックアップサイトのストレージ情報にマッピングするためのファイルを作成します。
マッピングファイルの作成は、rcxstorageコマンドの-recoveryオプションと-modeオプションを指定して実行します。-modeオプションには、mappingを指定してください。
rcxstorageコマンドについては、「リファレンスガイド (リソース管理) CE」の「1.7.13 rcxstorage」を参照してください。
作成したマッピングファイルでインポートする本製品のリソース構成情報・ユーザー定義情報(XMLファイル)のストレージ情報を変更します。ストレージ情報の変更は、rcxadm config mapコマンドを実行します。
rcxadm config mapコマンドについては、「リファレンスガイド (リソース管理) CE」の「1.7.11 rcxadm config」を参照してください。
注意
ETERNUSのダイナミックLUNミラーリングを使用したストレージは、被災時の切替え運用を実施するとバックアップサイト側では事前に作成されたLUNに切り替わります。L-Platformを削除してもストレージが解放されないなど運用が変更になります。
テナント単位の分離
被災時の切替えをテナントごとに行う場合、インポートする本製品のリソース構成情報・ユーザー定義情報(XMLファイル)をテナント間で共通する情報とテナントごとの情報に分離する必要があります。テナントに関する本製品のリソース構成情報・ユーザー定義情報(XMLファイル)の分離は、rcxadm config filterコマンドを実行します。
rcxadm config filterコマンドについては、「リファレンスガイド (リソース管理) CE」の「1.7.11 rcxadm config」を参照してください。
テナントごとに被災時の切替えを行う場合
テナント間で共通のリソース
-globalオプションを指定して、1回コマンドを実行します。
テナントごとの個別のリソース
-tenantオプションを指定して、テナント数分コマンドを実行します。テナントごとにリソース構成情報は分割されます。
管理対象サーバ全体で被災時の切替えを行う場合
分割は不要のため、rcxadm config filterコマンドを実行する必要はありません。
仮想L-Serverと物理L-Serverの分離
仮想L-Serverを使用して運用を行っている場合、VM管理製品を搭載する物理L-Serverを復旧してから仮想L-Serverを復旧する必要があります。そのため、仮想L-Server関連のリソースとそれ以外のリソースに分離します。この仮想L-Serverに関する分離は、以下の環境で行ってください。
管理対象サーバ全体(テナント単位の分離を行わなかった場合)
手順c.で分割したテナント間で共通の環境
各テナントの環境
この操作は、rcxadm config filterコマンドを実行します。
rcxadm config filterコマンドについては、「リファレンスガイド (リソース管理) CE」の「1.7.11 rcxadm config」を参照してください。
バックアップサイトの運用の停止
バックアップサイトでほかの業務を運用していた場合、L-Platformの業務を停止し、L-Platformの情報、およびそれぞれのL-Platformが使用している以下のリソースを削除します。
L-Platformテンプレート
L-Platform構成情報
各種リソース情報
課金情報
メータリングログ
各種情報の削除手順は、以下のとおりです。
リソース管理の構成情報を削除します。
リソース管理の構成情報の削除は、L-Platformの業務を停止し、L-Platform削除、および、それぞれのL-Platformで使用している以下のリソース管理の管理対象リソースを削除します。
L-Server
L-Serverテンプレート
テナントフォルダー
リソースフォルダー
リソースプール
イメージリソース
ユーザー
ユーザーグループ
ネットワークリソース
アドレスセットリソース
注意
バックアップサイトのリソースプールは、すべて削除できません。運用サイトとリソースプール名が重複しない、バックアップサイト専用のリソースプールをリソースごとに1つ以上残してください。
このリソースプールは、インポート後は必要ありません。被災後の切替え運用が完了した時点で削除してください。
インポートの運用を行うインフラ管理者または兼任管理者などのユーザーを、1つ以上残してください。残されたユーザーと名前が一致するユーザーを運用サイトでも使用している場合、インポートしたあともバックアップサイト側の設定が有効です。たとえば、パスワードが運用サイトで使用したものに変更されず、バックアップサイトで使用していたものがそのまま使用できます。
メータリングログ情報を削除します。
メータリングログ情報の削除は、以下の手順でctchg_deletemeterlogコマンドを実行します。
以下のメータリングログの動作設定ファイルを変更します。
ファイル | Windows | インストールフォルダー\RCXCTMG\Charging\conf\metering_log.properties |
Linux | /opt/FJSVctchg/conf/metering_log.properties | |
変更内容 | retention_period=0000-00-00 |
ctchg_deletemeterlogコマンドを実行します。
ctchg_deletemeterlogコマンドについては、「リファレンスガイド CE」の「3.2 ctchg_deletemeterlog(メータリングログの削除)」を参照してください。
1.で変更したメータリングログの動作設定ファイルの設定を元に戻します。
デフォルトの値は、retention_period=0000-03-00です。
ストレージの切離し
ストレージのレプリケーション機能を停止し、バックアップサイトを運用サイトから切り離します。
ファイアーウォールのコンフィグコピー
ネットワーク機器の自動設定機能を使用してファイアーウォールの自動設定をしている場合、運用サイトの最新のコンフィグをバックアップサイトのファイアーウォールにコピーしてください。
サンプルスクリプトの実行情報ファイルのコピー
運用サイトでバックアップした情報をバックアップサイトの以下のフォルダー配下へコピーしてください。
インストールフォルダー\SVROR\Manager\etc\scripts
運用サイトでバックアップした情報は、「15.2 通常運用」の「サンプルスクリプトの実行情報のバックアップ」を参照してください。
サーバNIC定義の変更
運用サイトで、サーバNIC定義を変更し、マネージャーに反映した場合、バックアップサイトでも、同様にサーバNIC定義を変更し、マネージャーに反映します。
変更したサーバNIC定義は、rcxadm nicdefctl commitコマンドを実行し、マネージャーに反映します。
サーバNIC定義については、「リファレンスガイド (リソース管理) CE」の「2.11 サーバNIC定義」を参照してください。
rcxadm nicdefctl commitコマンドについては、「リファレンスガイド (リソース管理) CE」の「1.7.16 rcxadm nicdefctl」を参照してください。
各種情報のインポートとL-Serverの起動
各種情報をインポートします。インポートで作成されたL-Platformは停止状態のため、手動で起動します。
注意
本手順をすべて実施したあと、手順2.のa.の注意の記述のとおり、削除していないリソースプールを削除してください。
rcxadm config importコマンドを使用してリソースの構成情報・ユーザー定義情報(XMLファイル)をインポートする場合、すべてのリソース情報を検証してから登録されるわけではないため、一部のリソースだけ登録される場合があります。この場合、失敗した原因に対処したあと、再度インポートしてください。
インポートを実行すると、自動的に以下が行われます。
リソースフォルダー(テナントフォルダー)作成
リソースプール作成
リソースプールへのリソースの登録
L-Serverテンプレート作成
システムイメージ情報作成
スナップショット情報作成
L-Server作成
ファイアーウォール作成
ユーザーグループ作成
ユーザー作成
rcxadm config importコマンドを使用したリソース構成情報・ユーザー定義情報(XMLファイル)のインポートは、L-Serverの作成などの、リソース構成情報・ユーザー定義情報(XMLファイル)が変更される操作と同時に実行しないように運用してください。
Disaster Recoveryでバックアップサイトに切替えを実施した際、VMゲストの切替えが失敗したことによりインポートも失敗することがあります。このような場合、以下の手順でインポートに失敗した管理対象サーバを除いて、再度インポートを実施します。
L-ServerのインポートでVMゲストが復旧できなかった場合の例を以下に説明します。
インポートで異常が発生
>rcxadm config import -dir dir1 <RETURN> FJSVrcx:ERROR:62569:/tenant1/l-platform1/l-server1:lserver:import was interrupted. Message=:67154: VM Guest not found |
エラーの原因を特定するため、当該リソースの状態を表示します。
>rcxadm config show -type lserver -name /tenant1/l-platform1/l-server1 -dir dir1 -format xml<RETURN> |
問題が発生したリソースをエクスポートファイルから削除します。
>rcxadm config filter -exclude lserver -name /tenant1/l-platform1/l-server1 -indir dir1 -outdir dir2 <RETURN> |
再度、インポートを実施します。
>rcxadm config import -dir dir2 <RETURN> |
リソース構成情報・ユーザー定義情報(XMLファイル)のインポート
リソース構成情報・ユーザー定義情報(XMLファイル)のインポートは、rcxadm config importを実行します。
rcxadm config importコマンドについては、「リファレンスガイド (リソース管理) CE」の「1.7.11 rcxadm config」を参照してください。
仮想L-Server以外のリソースのインポートを実行します。
インポートしたL-Serverは定義されただけの状態になります。
インポートしたL-Serverを起動します。
VM管理製品を搭載した物理L-Serverと、VMホストを搭載した物理L-Serverを起動してください。その他のL-Serverは、手順e.を行ったあと起動しても問題ありません。
必要に応じて、VM管理製品をリソースツリーに登録します。
ほかのテナントとVM管理製品を共用し、ほかのテナントですでに登録済みの場合、改めて登録する必要はありません。VM管理製品を登録する場合は、運用サイトと同じ名前で登録してください。
VM管理製品の情報を更新し、VM管理製品の情報を反映します。
VM管理製品の情報の更新は、rcxadm vmmgrコマンドを実行します。
rcxadm vmmgrコマンドについては、「リファレンスガイド (リソース管理) CE」の「1.7.3 rcxadm vmmgr」を参照してください。
仮想L-Serverに関するリソースをインポートします。
インポートしたL-Serverは定義されただけの状態になります。
インポートを実行すると、バックアップサイトに対してリソース構成情報・ユーザー定義情報(XMLファイル)をインポートできるか検証します。インポートができる場合、実際にL-Serverが作成され、リソースが割り当てられたあと、L-Serverが使用できます。
L-PlatformテンプレートおよびL-Platform構成情報を削除します。
L-PlatformテンプレートおよびL-Platform構成情報の削除は、cfmg_deleteconfigコマンドを実行します。
cfmg_deleteconfigコマンドについては、「リファレンスガイド CE」の「5.11 cfmg_deleteconfig(全構成情報の削除)」を参照してください。
L-PlatformテンプレートおよびL-Platform構成情報をインポートします。
L-PlatformテンプレートおよびL-Platform構成情報のインポートは、cfmg_importconfigコマンドを実行します。
cfmg_importconfigコマンドについては、「リファレンスガイド CE」の「5.10 cfmg_importconfig(構成情報のインポート)」を参照してください。
課金情報をインポートします。
課金情報のインポートは、商品マスタメンテナンスコマンドのインポート機能(productmaintain import)を実行します。
商品マスタメンテナンスコマンドについては、「リファレンスガイド CE」の「3.4 productmaintain(商品マスタメンテナンス)」を参照してください。
ディレクトリサービス情報を復元します。
ディレクトリサービスの情報を復元します。
グローバルリソースをコピーします。
リソース構成情報・ユーザー定義情報(XMLファイル)のインポート
リソース構成情報・ユーザー定義情報(XMLファイル)のインポートは、rcxadm config importを実行します。
rcxadm config importコマンドについては、「リファレンスガイド (リソース管理) CE」の「1.7.11 rcxadm config」を参照してください。
仮想L-Server以外のリソースのインポートを実行します。
インポートしたL-Serverは定義されただけの状態になります。
インポートしたL-Serverを起動します。
VM管理製品を搭載した物理L-Serverと、VMホストを搭載した物理L-Serverを起動してください。その他のL-Serverは、手順e.を行ったあと起動しても問題ありません。
必要に応じて、VM管理製品をリソースツリーに登録します。
ほかのテナントとVM管理製品を共用し、ほかのテナントですでに登録済みの場合、改めて登録する必要はありません。VM管理製品を登録する場合は、運用サイトと同じ名前で登録してください。
VM管理製品の情報を更新し、VM管理製品の情報を反映します。
VM管理製品の情報の更新は、rcxadm vmmgrコマンドを実行します。
rcxadm vmmgrコマンドについては、「リファレンスガイド (リソース管理) CE」の「1.7.3 rcxadm vmmgr」を参照してください。
L-PlatformテンプレートおよびL-Platform構成情報を削除します。
L-PlatformテンプレートおよびL-Platform構成情報の削除は、cfmg_deleteconfigコマンドを実行します。
cfmg_deleteconfigコマンドについては、「リファレンスガイド CE」の「5.11 cfmg_deleteconfig(全構成情報の削除)」を参照してください。
グローバルリソースをインポートします。
グローバルのL-PlatformテンプレートおよびL-Platform構成情報をインポートします。
グローバルのL-PlatformテンプレートおよびL-Platform構成情報のインポートは、cfmg_importconfigコマンドに「-global」オプションを指定して実行します。
cfmg_importconfigコマンドについては、「リファレンスガイド CE」の「5.10 cfmg_importconfig(構成情報のインポート)」を参照してください。
課金情報をインポートします。
すべてのリソースをインポートする手順と同様、商品マスタメンテナンスコマンドを実行します。
ディレクトリサービス情報を復元します。
バックアップサイトに切り替えないテナントで使用しているユーザーをバックアップサイトの他のテナントで使用する場合、ディレクトリサービスに直接アクセスして復元したあとのユーザーを削除してください。
テナントリソースをインポートします。
インポートするテナントそれぞれに対して以下の手順を実施します。
リソース構成情報・ユーザー定義情報(XMLファイル)のインポートは、rcxadm config importを実行します。
仮想L-Server以外のリソースのインポートを実行します。
インポートしたL-Serverは定義されただけの状態になります。
インポートしたL-Serverを起動します。
VM管理製品を搭載した物理L-Serverと、VMホストを搭載した物理L-Serverを起動してください。その他のL-Serverは、手順e.を行ったあと起動しても問題ありません。
必要に応じて、VM管理製品をリソースツリーに登録します。
ほかのテナントとVM管理製品を共用し、ほかのテナントですでに登録済みの場合、改めて登録する必要はありません。VM管理製品を登録する場合は、運用サイトと同じ名前で登録してください。
VM管理製品の情報を更新し、VM管理製品の情報を反映します。
VM管理製品の情報の更新は、rcxadm vmmgrコマンドを実行します。
rcxadm vmmgrコマンドについては、「リファレンスガイド (リソース管理) CE」の「1.7.3 rcxadm vmmgr」を参照してください。
仮想L-Serverに関するリソースをインポートします。
インポートしたL-Serverは定義されただけの状態になります。
テナントのL-PlatformテンプレートおよびL-Platform構成情報をインポートします。
グローバルのL-PlatformテンプレートおよびL-Platform構成情報のインポートは、cfmg_importconfigコマンドに「-tenant」オプションを指定して実行します。
cfmg_importconfigコマンドについては、「リファレンスガイド CE」の「5.10 cfmg_importconfig(構成情報のインポート)」を参照してください。
インポートしたL-Platformの確認
L-Platformを配備中、または構成変更中などの状態でエクスポートし、cfmg_importconfigコマンドでL-Platform構成情報をインポートした場合、リソースが存在していないL-Platform情報が復旧される場合があります。
その場合、リソースが存在していない可能性のあるL-Platformの情報をログに出力します。
ログに出力される内容を確認し、必要な対処を行います。
ログに出力される内容と対処方法については、「リファレンスガイド CE」の「1.2 Disaster Recovery対応コマンドのログ出力」を参照してください。
稼働状況の情報の最新化
性能情報収集用の構成情報を更新します。
性能情報収集用の構成情報の更新は、cmdbrefreshコマンドを「-a」オプションおよび「-q」オプションを指定して実行します。
cmdbrefreshコマンドについては、「リファレンスガイド CE」の「5.12 cmdbrefresh(稼働状況の構成情報の更新)」を参照してください。
注意
性能情報(ダッシュボード及び稼動状況表示で表示される情報)は、運用サイトの構成に依存する情報のため、バックアップサイトへの切り替えで引き継がれません。バックアップサイトでの情報が表示されます。
メータリングログのマージ
運用サイトでエクスポートしたメータリングログと、バックアップサイトでシステムを復旧した後に取得(エクスポート)したメータリングログをマージすることで、課金計算ができます。
注意
メータリングログエクスポートから、災害などによる致命的なシステム障害が発生した間のメータリングログは抜けた状態となるため、定期的にメータリングログをエクスポートし、最新化することをお勧めします。
L-Serverの起動
インポートで作成されたL-Serverの電源状態は停止状態であるため、以下の操作で必要なサーバの電源をオンしてください。
インフラ管理者が作成した物理L-Serverは、rcxadm folder startコマンドまたは rcxadm lserver startコマンドで起動します。
L-Platformに属するL-Serverは、StartLServerコマンド、またはStartLPlatformコマンドを使用して電源をオンにしてください。